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海外情報ニュースフラッシュ

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ドイツの連邦環境・自然保護・原子炉安全省(BMU)は2019年7月17日、BMUの特設ウェブサイト「ダイアログ(対話)最終処分場安全」において、「高レベル放射性廃棄物の最終処分の安全要件」及び「処分場サイト選定手続における予備的安全評価実施要件」を定める2件の政令案を公表した。また、BMUは、公開シンポジウム「安全要件と安全評価:高レベル放射性廃棄物処分場選定の枠組みにおける政令案に関する対話」を2019年9月14日と15日の2日間、ベルリンで開催する。これらの政令案に対する意見募集は、2019年9月20日まで行われる。

2017年に全面改正された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)では、高レベル放射性廃棄物処分の安全要件及び処分場サイト選定における予備的安全評価の実施要件を政令として定めることを規定している。また、これらの政令は、サイト選定手続きの第1段階において、サイト区域と地上からの探査対象のサイト地域の絞り込みに先がけて実施する予備的安全評価(第1次予備的安全評価)までに策定することになっている。

■「高レベル放射性廃棄物最終処分の安全要件」に関する政令案

高レベル放射性廃棄物の最終処分安全要件に関する政令案は、2010年にBMUが策定した「発熱性放射性廃棄物の最終処分に関する安全要件」(以下「2010年安全要件」という)を置き換えるものであり、処分場の長期安全性、サイト調査と処分場計画、定置された廃棄体の回収可能性確保、処分場の建設・操業・閉鎖等に関する要件を定めることになっている。今回公表された政令案は、2010年安全要件を踏襲しており、線量基準値のほか、安全性の評価期間を100万年とすること、定置済みの廃棄体の回収可能性を処分場閉鎖後500年間確保する要件などは変更されていない。

本政令案では、高レベル放射性廃棄物処分場において、低中レベル放射性廃棄物を受け入れる場合には、処分場の頑健性に影響しないこと、地下の処分領域やインフラを分離することなどを要求する規定が盛り込まれている。これは、2015年に連邦政府の承認を受けた「使用済燃料及び放射性廃棄物の責任ある安全な管理のための計画」(国家放射性廃棄物管理計画)において、アッセⅡ研究鉱山から回収する放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物処分場との同一サイトで処分することを想定していることを受けたものである。

■「高レベル放射性廃棄物処分場サイト選定手続における予備的安全評価実施要件」に関する政令案

サイト選定法に基づく処分場のサイト選定手続きでは、3段階のプロセスの各段階で予備的安全評価が実施されることになっている。本政令案は、セーフティケースの作成における国際的に標準とされる手順や、放射性廃棄物管理に関してBMUに助言を与える諮問組織である廃棄物管理委員会(ESK)によって、これまでに提出された予備的安全評価に関する勧告に基づいて、予備的安全評価の構成要素や実施に係る要件を規定するものである。

予備的安全評価の構成要素としては、地質学的状況の解析、処分場の安全概念や設計概念の提示、処分システムの解析、処分場の操業中における安全性の解析、処分場閉鎖後の長期安全性の解析、処分システムの包括的評価、不確実性に関する評価、今後調査研究・開発が必要な事項の特定などの項目を挙げている。

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、2019年7月17日付けのニュースリリースにおいて、クラスCを超える(GTCC)低レベル放射性廃棄物及びエネルギー省(DOE)が管理するGTCC類似廃棄物(以下、GTCC低レベル放射性廃棄物とGTCC類似廃棄物とを合わせて「GTCC廃棄物等」という。)1 の処分に係る新たな規制のためのドラフト規制基盤(regulatory basis)について、パブリックコメントを募集することを公表した。GTCC廃棄物等の処分に係る規制基盤は、2015年12月22日付けのNRC委員会文書で策定が指示されたものであり、GTCC廃棄物等が浅地中処分施設で処分可能であるか、可能な場合に規制変更が必要なのか、協定州2 による規制が認められるべきかなどについて評価・分析が行われている。ドラフト規制基盤に対するパブリックコメントの募集は、連邦官報の告示から60日間行われ、2019年8月27日にはテキサス州でパブリックミーティングを開催する予定も示されている。

規制基盤の策定を指示した2015年12月22日のNRC委員会文書では、規制基盤における分析の結果として、浅地中処分が適している可能性があると結論が得られた場合には、連邦規則(CFR)の改定案を策定することとされていたが、今回公表されたドラフト規制基盤では具体的な連邦規則案を含むものではなく、以下のような内容を示すものとなっている。

  • 連邦規則改定により、どのように問題が解決し得るかの説明
  • 規制問題に対応するためのいくつかのアプローチを同定し、連邦規則策定及びその他のアプローチの費用便益を評価
  • 評価において使用された科学、政策、法律、技術的情報の提供
  • 規制基盤のスコープや品質上の限界についての説明
  • 規制基盤の技術的部分の策定過程でのステークホルダーとのやり取り、及びステークホルダーの見解についての議論

ドラフト規制基盤では、GTCC廃棄物等の危険性、連邦規則の改定やその他のオプションを評価した上でのNRCの結論として、以下の2点が示されている。

  1. ほとんどのGTCC廃棄物等(全体量の約80%)は、偶発的な人間侵入やサイト外での個人の確実な防護に係る変更など、追加的な管理や解析が行われれば、浅地中処分が適している可能性がある。
    ※GTCC廃棄物等の処分場の許認可申請に際しては以下が必要となる。

    • 偶発的な人間侵入に関するNRCの連邦規則の性能要件を満たしていることを示すサイト固有の人間侵入評価の提出
    • GTCC廃棄物等の処分は、地表から5m以深とし、500年以上にわたって有効な侵入防止バリアの設置
  2. ほとんどのGTCC廃棄物等(潜在的に浅地中処分に適していると決定されたGTCC廃棄物等の量の約95%)は、NRCの連邦規則(10 CFR Part 150「協定州における規制の適用除外及び継続等」)の一部に変更が推奨されるものの、協定州によっても安全に規制し得る。

米国でGTCC廃棄物等は、連邦政府が処分責任を有し、DOEがNRCの許可を受けた施設で処分すべきことが「1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法」で規定されている。NRCの連邦規則では、NRCが個別に承認した場合を除き、GTCC廃棄物等は地層処分しなければならないことが規定されており、テキサス州の規制当局が、GTCC廃棄物等の処分場に対する許認可権限が協定州にあるのかなど、法的権限の明確化をNRCに求めていた。テキサス州では、GTCC廃棄物等を低レベル放射性廃棄物処分場で処分することを禁止しているテキサス州法の修正をウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社が求めていた

一方、GTCC廃棄物等の処分責任を有するDOEは、GTCC廃棄物等の処分方策に係る最終環境影響評価書(FEIS)を2016年2月に公表し、その後、2017年11月に連邦議会に提出した報告書では、推奨される処分方策として商業施設における陸地処分を主として考慮しているとの見解を示している。さらに、2018年10月には、テキサス州のWCS社の低レベル放射性廃棄物処分場でのGTCC廃棄物等の処分に係る環境アセスメント(EA)も公表している。NRCのドラフト規制基盤においても、DOEのFEISが参照されており、FEISで示されたGTCC廃棄物等が分析の対象とされている。

DOEが商業施設における陸地処分をGTCC廃棄物等の処分方策として推奨し、NRCで規制基盤の検討作業が進められる中、2019年4月26日にテキサス州知事は、州が許認可権限を持たない現状ではテキサス州のWCS社処分場におけるGTCC廃棄物等の処分には反対する主旨の書簡をエネルギー長官及びNRCの委員長に送付している。NRCの委員長から州知事に宛てた返書では、ドラフト規制基盤の公表後のプロセスでテキサス州や他のステークホルダーの見解表明の機会があること、2019年後半にテキサス州で規制基盤に関するパブリックミーティングを開催する予定であることなどが示されている。

なお、2015年12月25日付けのNRC委員会の指示文書では、NRCの連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)の改定作業の完了から6カ月以内にGTCC廃棄物等の処分のドラフト規制基盤を提出することとされていた。しかし、10 CFR Part 61の改定作業が長期化・遅延する中で、GTCC廃棄物等の規制基盤の策定は10 CFR Part 61の改定作業とは切り離して行うことが、2018年10月23日に指示されていた。

【出典】


  1. 米国では、1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法、原子力規制委員会(NRC)の連邦規則(10 CFR Part 61「放射性廃棄物の陸地処分のための許認可要件」)において、地下30mより浅い浅地中処分が可能な低レベル放射性廃棄物としてクラスA、B、Cの分類が定められている。GTCC廃棄物は、放射能濃度などがクラスCの制限値を超える低レベル放射性廃棄物であり、連邦規則に基づいて操業されている浅地中処分場での処分をNRCが承認しない場合、地層処分しなければならないこととなっている。 []
  2. 原子力法及び1985年低レベル放射性廃棄物政策修正法の規定によれば、州はNRCと協定を締結し、低レベル放射性廃棄物の処分を規制する権限を得ることができる。 []

英国政府は2019年7月4日、イングランド1 における地層処分社会基盤(Geological Disposal Infrastructure)に関する国家政策声明書(National Policy Statement, NPS2 )を英国議会に提出した。NPSは、2014年の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)において、地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスの初期活動の主要目標の一つとして、英国政府が策定を進めていたものである。イングランドにおいては、地層処分施設(GDF)の候補サイトを評価するために行われるボーリング調査、その後のGDFの建設に先がけ、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(Development Consent Order ,DCO)が必要である。国家政策声明書(NPS)は、開発同意令(DCO)の発給審査の基礎文書となるものであり、2018年12月から新たに始まったサイト選定プロセスにおいて、地域における地層処分社会基盤に関する開発合意の認可に関する法的な枠組みを提供するものとなる

英国政府は、2018年1月にNPS案を公表し、約3か月にわたる公衆協議を実施するとともに、英国議会下院のエネルギー・産業戦略委員会にNPS案に関する審議を付託していた。今回、英国政府は、公衆協議で得られた見解やエネルギー・産業戦略委員会の審議結果を踏まえてNPSを最終化し、英国議会の承認を求めている3

地域社会との協働プロセス
(出典:BEIS, 政策文書「地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理」(2018)の図を一部修正)

英国では2018年12月より、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)4 による地層処分施設(GDF)の新たなサイト選定プロセスが開始されている。RWM社は、今後約5年間でGDF設置の潜在的な適合性を確認する「調査エリア」を特定し、その後、調査エリア内から候補サイトを特定するために、地上からのボーリング調査を実施する予定である。

国家政策声明書(NPS)の内容

英国における国家政策声明書(NPS)とは、「2008年計画法」(2015年3月改正)により設定された、エネルギー、運輸、水資源及び廃棄物に関する「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)について、当該施設の開発や建設に関する国の政策文書であると同時に、事業者が作成する開発同意申請書のガイダンス的な役割を持つものであり、事業の方針や背景情報、当該施設の必要性や当該施設に関する評価原則などを示す必要がある。地層処分社会基盤に関するNPSでは、英国政府の地層処分方針、地層処分施設(GDF)等の開発や建設の必要性、NPSの策定に当たって行う必要がある持続可能性評価(AoS)及び生息環境規制評価(HRA)に関する原則などを示している。

今回提出されたNPSは、以下の5つの章で構成されている。

第1章「イントロダクション」

ボーリング調査と地層処分施設(GDF)の定義、対象地域がイングランドのみであること、ボーリング調査とGDF開発の計画申請の審査において検討すべき事項、持続可能性評価(AoS)及び生息環境規制評価(HRA)の概要5 に加え、NPSの目的を述べている。

  • 英国政府の地層処分方針を実行すること
  • GDF等の社会基盤の必要性を示すこと
  • 明確かつ透明性のある計画及び開発におけるサイト固有ではない包括的な影響や一般的なサイト選定での検討事項を示すことにより、長期的にセキュリティ及び安全性があり、持続可能なボーリング調査とGDFの開発を可能とするとともに、開発申請者のためのガイドにもなること
  • 開発同意令(DCO)の発給審査の基礎文書となること
  • 地域計画当局による影響評価報告書の作成を支援すること

第2章「英国政府の高レベル放射性廃棄物等の管理方針」

英国政府の管理方針、地層処分、処分対象廃棄物の概要に加えて、処分実施戦略におけるポイントを述べている。

  • 2014年白書 に代わる政策文書である『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)では、実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)のみに、地域社会との協働プロセスを適用するとしているが、本NPSはボーリング調査とGDFの開発を希望する全ての者に適用される。
  • ボーリング調査とGDFの開発の際には、担当大臣による開発同意令(DCO)、イングランドの環境規制機関(EA)による環境許可、原子力規制局(ONR)による原子力サイト許可が必要となる。各規制当局は段階的な規制アプローチに基づき、GDFの開発計画・建設・操業・閉鎖の各段階において、相互に適切に関与するものの、規制が重複しないような体制を構築する。

第3章「地層処分施設の必要性」

技術・倫理・法律等の各観点から、高レベル放射性廃棄物等の管理方針として、他の管理方法を説明するとともに、地層処分が適切である理由が説明され、英国政府が公衆協議等を経て地層処分方針の採用を決定し、NPSの策定に至ったことを示している。

第4章「評価原則」

GDF等による環境・経済・地域への影響を評価するための主な原則として、設計・環境・健康・安全・セキュリティについての評価原則を述べている。

第5章「影響」

大気・騒音・生態系と自然保護・気候変動・文化遺産・社会経済・人口・洪水・湾岸侵食・健康・景観・土地利用・交通・水質等の主要な影響についての評価方法、マイナス影響を回避・緩和・補償するための措置等について述べている。

【出典】


  1. 英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、イングランド以外で地層処分施設を計画する場合は各地方自治政府が定める許可制度が適用される。 []
  2. このNPSは、イングランドにおける特定サイトではなく一般的なサイトを対象として作成されている。 []
  3. 2008年計画法(2015年3月改正)では、21会期日以内にNPSが可決または、「NPSを進めるべきではない」との決議をしていない状態で会期が終了した場合、NPSが制定されるとしている。 []
  4. 原子力廃止措置機関(NDA)の完全子会社。 []
  5. 英国政府は、国家政策声明書(NPS)の制定後、持続可能性評価(AoS)及び生息環境規制評価(HRA)の最終版を発行するとしている。 []

フランスの会計検査院(CDC)は2019年7月4日に、放射性廃棄物管理のコスト、エネルギー政策の変更によるバックエンドへの影響等に関する問題について、評価報告書を公表した。これは、これらの問題が長く公開討論会で扱われていなかったことから、2019年4月から2019年9月までの予定で開催されている2019~2021年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に関する公開討論会に向け、情報資料として提示されたものである。

会計検査院は、以前から原子力産業のコスト評価報告書を取りまとめて公表しており、主な報告書として、2005年の「原子力施設の廃止措置と放射性廃棄物管理に関する報告書」、2012年の「放射性廃棄物管理を含む原子力発電コストに関する報告書」があり、2014年には2012年の報告書を更新している

会計検査院は今回の評価報告書において、原子力政策を所管する環境連帯移行省や同省のエネルギー・気候総局(DGEC)、放射性廃棄物処分の実施主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)等に対して、以下の10の提言を示している。

  1. DGEC及びANDRAは、2021年までに、貯蔵施設、処分場の容量と、放射性物質や放射性廃棄物の発生量とをより緊密に関連づけて廃棄物インベントリを補完すべきである。
  2. DGEC及びANDRAは、2020年までに、廃棄物インベントリでANDRAが想定している原子力・燃料サイクル政策に関する複数のシナリオについて、それぞれ地層処分場の建設コストを試算すべきである。
  3. DGEC及びANDRAは、2020年までに、2016年に試算された地層処分プロジェクトのコスト について、考えうるリスクや有利な状況の進展を現実的に考慮し、更新すべきである。
  4. 環境連帯移行省は、2019年中に、環境法典に基づき、再利用が想定されている放射性物質と処分が想定される放射性廃棄物との分類について、同省が変更する場合の方針を明確化すべきである。
  5. DGEC及び経済・財務省の国庫・経済政策総局は、2019年中に、放射性廃棄物管理に係る引当金及び見合資産の計上に関して、産業面での実際に即した観点を反映すべきである。
  6. ANDRAは、2020年までに、地層処分プロジェクトの実現に際して、特に使用済みのMOX燃料や使用済みのURE燃料1 を地層処分場に処分することになった場合など、エネルギー政策の変更による影響について、地層処分場の建設に向け、ANDRAが策定する放射性廃棄物の基準インベントリの更新が必要となるマイルストーンを明確化すべきである。
  7. DGECは、2019年に開催中のPNGMDRに関する公開討論会や、今後の多年度エネルギー計画(PPE)2 に関する公開討論会に際して、フロントエンドとバックエンドの関係性を明らかにして議論を行うべきである。
  8. DGECは、2019年に、廃棄物インベントリにおけるシナリオと、事業者が策定する燃料サイクルの影響に関する文書3 、多年度エネルギー計画(PPE)、PNGMDRにおけるシナリオとを整合させ、特に、これらの文書におけるレファレンスシナリオを1つに統一すべきである。
  9. 環境連帯移行省は、DGECと原子力安全機関(ASN)が多様な検討結果等を踏まえ、総合的な視点で計画を策定するために十分な期間を確保できるよう、初回の公開討論会の成果も踏まえ、PNGMDRの策定期間を2020年まで延長すべきである。
  10. 環境連帯移行省は、2019年中に、事業者が提出したデータや研究結果に関して、DGECが独自の分析や、原子力発電事業のコスト便益分析を実施する能力を強化すべきである。

今回の会計検査院のバックエンドコストに関する評価報告書の公表を受けて、ANDRAは2019年7月5日付けプレスリリースにおいて、地層処分プロジェクトの次回のコスト見直しに向けた取組を開始していることを表明するとともに、会計検査院に対して2019年6月17日付けで先行して提出していた意見書を公表した。ANDRAは、会計検査院が示した提言に関して、以下のような見解を示している。

  • 地層処分プロジェクトが段階的に進められていることの妥当性が会計検査院の評価報告書の中でも認められている。ANDRAは、この段階的な取組によって、同プロジェクトが今後の技術進展やエネルギー政策の変更にも適応可能であると考える。
  • 地層処分対象となる放射性廃棄物のインベントリに関して、ANDRAは、地層処分場の設置許可申請に向けて策定した基準インベントリの他に、放射性廃棄物管理方法の変更やエネルギー政策の進展に付随する不確実性を考慮に入れた予備インベントリも策定している4
  • 地層処分プロジェクトのコストに関しては、ANDRA及び電力会社等による試算が2014年以降実施されたが、当時は地層処分場の設計の初期段階にあり、不確実性が高かったため、試算結果には大きな幅があった。このため、最終的には2016年に、政府が今後の必要性に応じた見直しをすることを前提に、コストの目標額を定めた。地層処分プロジェクトは非常に長期にわたるものであり、前述したコスト試算の経緯も踏まえると、会計検査院が地層処分場のコストを正確に試算することは不可能であると指摘しているのは妥当である。
  • 地層処分プロジェクトのコストに関してANDRAは、すでに次回のコスト見直しに向けた取組を開始している。2014年からのコスト試算時と比較して、地層処分場の設計等が詳細化されており、また、地層処分場が予備インベントリに適応するためのコストも試算する予定である5
  • 会計検査院の提言10にあるとおり、放射性廃棄物の貯蔵、処理の状況や、燃料サイクルに関する総合的な視点を持つために、環境連帯移行省のエネルギー・気候総局(DGEC)が分析や専門的能力を強化することは重要である。

【出典】


  1. Uranium de retraitement ré-enrichi, PWR使用済燃料からの回収ウランの再濃縮による燃料 []
  2. 2015年8月に制定されたエネルギー転換法に基づき、フランス政府は、エネルギー供給保証、エネルギー効率、再生可能エネルギー利用促進、エネルギー価格の競争力維持等の観点から、連続する2期間(各5年)を対象としてPPEを策定する。 []
  3. 原子力安全機関(ASN)は2000年以降、フランス電力株式会社(EDF社)に対し、燃料サイクルに係わるOrano社等の事業者と共同で、燃料サイクルの実施状況とその原子力安全等への影響について検討した結果をまとめた “Impact cycle”文書を定期的に提出するよう要請している []
  4. 環境法典第D542-90条では、地層処分場の建設に向けた基準インベントリと、不確実性を考慮に入れた予備インベントリを策定することが規定されている。 []
  5. 環境法典第D542-94条では、長寿命中・高レベル放射性廃棄物の長期的な管理の実施に係るコストの評価は、定期的に更新され、特に、地層処分場の設置許可時、操業開始時、パイロット操業フェーズの終了時、定期安全レビュー時には必ず更新することが規定されている []

フランスにおいて国家評価委員会(CNE)は2019年6月27日に、第13回評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEのウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を取りまとめた報告書を議会に提出することになっている。第1回評価報告書は2007年6月に取りまとめられている

CNEは、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトの他、長寿命低レベル放射性廃棄物や極低レベル放射性廃棄物の管理研究について、以下のような見解を示している。

  • 地層処分場の設置許可申請は2020年に提出可能な見込みであるが、許認可手続きが非常に複雑であり、審査を統合する等の手続きの簡略化を検討すべきである。
  • ANDRAが地層処分場の「操業基本計画」を政府に提出した後、同計画の実行や改定のために、誰がどのようにANDRAに見解を示すのかを早急に詳細化する必要がある。2017年の第11回評価報告書において指摘したように、CNEは見解を示す専門機関が必要であると考えており、CNE自身が操業基本計画に関するANDRAへの聴聞を毎年実施する。
  • 地層処分場の建設が開始されれば、立地地域の経済産業状況を一変させると同時に、ANDRAの内部組織も大きく変わると予想される。CNEは、これらの変化に全ての関係者が最適な形で関与すべきと考えている。また、ANDRAは地層処分事業の責任者として、外部発注先の管理等の責任を果たすとともに、全ての決定事項のトレーサビリティを確保しなければならない。
  • 短寿命低中レベル放射性廃棄物の管理については、これまでに策定されてきた「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)1 に基づく多数の研究の枠組みにおいて、適切に進められていると考える。これらの研究の結果から、極低レベル放射性廃棄物及び長寿命低レベル放射性廃棄物の管理方法の検討に必要な成果が得られると期待される。ただし、長寿命低レベル放射性廃棄物については、現時点では有効な管理方法が特定されていないと考えている。
  • 極低レベル放射性廃棄物の有害性に応じた管理に関しては、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)が開発した指標2 を用いることにより、実行可能性の高い方法論を確立するよう勧告する。
  • これまでに実施されている極低レベル放射性廃棄物や長寿命低レベル放射性廃棄物等に関する研究の質を高く評価する。しかし、ほぼすべての研究報告書において、経済的要素の重要性について言及されており、検討作業に支障をきたすおそれがある。このため、これらの廃棄物の管理に関する概念研究の実施を可能とするような合理的な計画を立案し、技術的検討を通じて、可能性のある管理オプションを明らかにするよう勧告する。
  • 極低レベル放射性廃棄物や長寿命低レベル放射性廃棄物に関する研究成果についても、毎年CNEに報告するよう希望する。

 

【出典】

CNEウェブサイト、Le rapport d’évaluation No. 13
https://www.cne2.fr/telechargements/RAPPORT_CNE2_13_2019.pdf


  1. 2019年から2021年を対象とするPNGMDRに関しては、2019年4月から9月にかけて、全国公開討論会の開催中である。 []
  2. IRSNは個人の被ばくに関する4つのシナリオを想定し、被ばく線量と化学毒性の指標に基づき、廃棄物の有害性を分類する方法を提案している。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年6月25日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設を開始したことを公表した。本施設は、国内2カ所の原子力発電所から使用済燃料を輸送キャスクに収納して受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。乾燥させた使用済燃料は、キャニスタに収納され、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により、接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜて一体化することにより、使用済燃料が密封される。

ポシヴァ社は2012年12月に、地上のキャニスタ封入施設と地下の処分施設の建設許可申請書を政府に提出し、政府は2015年11月に建設許可を発給していた。地下の処分施設の建設は、2016年12月より開始されており、キャニスタ封入施設の建設開始とあわせて、処分施設との接続に必要なシステムも設置される予定である。

また、ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設と処分施設を合わせた処分場全体の建設費用が約5億ユーロ(625億円、1ユーロ=125円で換算)になるとしている。ポシヴァ社は、現在のところ2021年末に操業許可を申請し、2020年代に操業を開始する予定である

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

【出典】

 

 

【2019年7月2日追記】

ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設の建屋建設について、スウェーデンの大手建設会社であるSkanska社と工事契約を締結したことを公表した。ポシヴァ社のプレスリリースによると、キャニスタ封入施設は床面積約11,500m2、コンクリート使用量約16,000m3であり、工事契約額は約4,500万ユーロ(約56億3,000万円、1ユーロ=125円で換算)である。竣工は2022年夏の予定である。

Skanska社は、スウェーデンの首都ストックホルムに本社を置く建設・不動産開発企業である。原子力施設の建設にも携わっており、フィンランドのオルキルオトでも原子力関連事業を請け負った経験も有している。なお、今回の工事契約の締結に先立ってポシヴァ社とSkanska社とは、2018年11月にキャニスタ封入施設建設プロジェクトの準備に関する契約を締結していた。

【出典】

韓国産業通商資源部(MOTIE)は、2019年5月29日のプレスリリースにおいて、「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)を設置し、使用済燃料の管理政策の見直しに本格的に着手したことを公表した。今後、再検討委員会は、2016年に策定された「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の漸進的な脱原子力政策に沿った場合の使用済燃料の発生量予測の変化などを踏まえて、使用済燃料の管理政策の枠組みに関する検討を行い、勧告書をMOTIEに提出する予定である。再検討委員会は当面の作業として、原子力発電所の立地地域住民を対象に使用済燃料の管理政策に対する意見を収集する。

2016年にMOTIEが前政権の下で策定した基本計画では、高レベル放射性廃棄物の管理の方針として、①最終処分施設の許認可取得を目的とした地下研究所(URL)、②使用済燃料の中間貯蔵施設、③最終処分施設の3施設を1カ所のサイトにおいて段階的に建設するとし、最終処分施設サイトの選定に12年間を掛けることなどの計画を示していた。MOTIEは、基本計画に沿った法案策定を進めていたが、2017年5月の政権交代を受けて、国会審議は無期限延期となっていた。

文政権の漸進的な脱原子力政策と使用済燃料管理政策の見直し

韓国で2017年10月に閣議決定された「エネルギー転換ロードマップ」では、原子力発電について、計画中の原子炉は建設せず、既設炉も設計寿命を超えた運転を認めない方針としていた。これを受けて、韓国産業通商資源部(MOTIE)は2018年5月に「高レベル放射性廃棄物管理政策の見直し準備団」(以下「準備団」という)を発足させ、基本計画の見直しのための再検討委員会の構成案、国民意見の収集方法などについて2018年11月まで検討を行っていた。

今回設置された再検討委員会の構成についてMOTIEは、韓国社会を代表するように、人文・社会、法律・科学、コミュニケーション・紛争管理、調査・統計などの中立的な専門家15名を集めるとともに、30代から60代の男女がバランスよく構成されるよう配慮したと説明している。

MOTIEは、再検討委員会の独立性を確保するとし、再検討委員会が勧告書を取りまとめる時期について言及していない。また、MOTIEは、再検討委員会が今後提出する勧告書を最大限尊重し、使用済燃料の管理政策を推進する考えを表明している。

表 使用済燃料管理政策再検討委員会委員

氏名

所属

専門分野

チェヒョンソン

明知大学 行政学科 教授

人文・社会

イヒョクウ

培材大学 行政学科 教授

キムジョンイン

水原大学 法・行政学部 教授

ユウォンソク

弁護士

法律・科学

シンヨンジェ

弁護士

キムスヨン

KAIST 科学技術政策大学院 院長

チャンボヒェ

弁護士

キムミン

忠北大学 化学科 教授

チョンチョンファ

江原大学 公共行政学科 教授

コミュニケーション・紛争管理

イユンソク

ソウル市立大学 都市社会学会 教授

キムドンヨン

KDI国際政策大学院 教授

ユギョンハン

全北大学 新聞放送学科 教授

チョンジュジン

平和紛争研究所 所長

パクインギュ

高麗大学 統計学科 教授

調査・統計

キムソクホ

ソウル大学 社会学科 教授

【出典】

スイスの処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は、201959日に、3つの地質学的候補エリアを対象とした地層処分場の地上インフラの配置案を公表した。NAGRAは、既に20139月以降、地上施設の設置区域を絞り込んだ案の概要を公表しているが、今回は、ガラス固化体のオーバーパック等を含む廃棄体製作施設の配置の他、地上施設の設置区域外に設ける可能性がある換気用及び掘削した岩石の搬送用の建設立坑の位置、廃棄体の積み下ろし駅を加えるなど、より広範な地上インフラの配置案を提示している。NAGRAは、今回提示した地上インフラの配置案は最終的なものではなく、今後のサイト選定第3段階での地域会議との協議において、建物の外観デザインや処分場の建設・操業時の作業が住民生活や環境へ及ぼす影響などを具体的に議論していくための資料となると説明している。

NAGRAが今回提示した地上インフラの配置案は、高レベル放射性廃棄物用処分場(HAA処分場)と低中レベル放射性廃棄物用処分場(SMA処分場)を併設する場合を想定して作成したものである。このため、配置案には2種類の廃棄体製作施設―①ガラス固化体及び使用済燃料をオーバーパックする施設、②低中レベル放射性廃棄物を処分するためにコンクリート製容器に収納する施設 1 ―が含まれている。

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ジュラ東部の地上施設の設置区域案(左)と今回の地上インフラ配置案(右)

NAGRAは、高レベル放射性廃棄物のオーバーパック施設を地層処分場の地上施設に含めない代替オプションとして、既存のヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設(ZZL)の敷地に配置する案が考えられるとしている。ZZLでは、国内4カ所の原子力発電所から発生する低中レベル放射性廃棄物と使用済燃料の他、英仏での再処理に伴って返還されたガラス固化体も貯蔵されており、地質学的候補エリア「ジュラ東部」の地上施設の設置区域とアーレ川を挟んだ対岸にある(図参照)。

また、低中レベル放射性廃棄物の廃棄体製作施設に関する代替オプションとしては、各原子力発電所に設ける、あるいはZZLに設けるの2通りが考えられるとしている。

地域会議の要望と連邦評議会のNAGRAへの要求

サイト選定第2段階において、チューリッヒ北東部の地域会議は、高レベル放射性廃棄物または低中レベル放射性廃棄物の廃棄体製作をサイト地域外で実施することの長所及び短所を説明して欲しいとの要望を出していた。また、2018年11月21日に連邦評議会2 は、NAGRAに対し、サイト選定第3段階の取組として、サイト地域3 を含む州や自治体当局、市民で構成される地域会議の要望を考慮した上で、処分場の建設時に必要となる建設立坑の配置案を提示し、廃棄体製作施設をサイト地域外に設置する可能性を検討するよう求めていた 。

今後の予定

NAGRAは、地域会議と立地州との協議は2021年初頭まで続く見通しであり、寄せられた意見・要望を受けて2022年までに地上インフラ計画の見直しと詳細化を進めるとしている。NAGRAは2024年に地層処分場の候補サイトを提案し、概要承認申請書を提出するとしている。

 

【出典】


  1. スイスでは現在、低中レベル放射性廃棄物は原子力発電所またはヴュレンリンゲン放射性廃棄物集中中間貯蔵施設(ZZL)でドラム缶などに収納して保管されている。 []
  2. 日本の内閣に相当 []
  3. サイト選定第3段階におけるサイト地域は、地上施設、地下施設、地上・地下のインフラの一部または全てが立地する「インフラ立地自治体」と「その他関係自治体」で構成される。 []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2019年5月のプレスリリースにおいて、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズにおけるフィールド調査の実施に向けた土地利用に関する説明等を行うため、オンタリオ州南部のヒューロン=キンロス・タウンシップ及びサウスブルース自治体を訪問することを公表した。NWMOは2017年に、南部2自治体でボーリング調査を行う計画を表明していたが、現在も土地所有者や先住民からボーリング調査の許可を得るに至っていない。このためNWMOは、ボーリング調査の結果によって、将来、当該エリアが使用済燃料処分場の好ましいサイトとして選定された場合には、当該エリアの土地を割り増し価格で購入する合意文書を事前に取り交わすことで、土地所有者などからボーリング調査の許可を得たいとの意向を明らかにしている。

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向
(2017年12月時点)

使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズにある5自治体のうち、オンタリオ州北部の3自治体で特定されているフィールド調査エリアは州管轄地(クラウンランド)にあって土地所有構造が単純であるのに対し、南部2自治体の場合は複数の土地所有者が関係する複雑な構造となっている1 。NWMOは、南部2自治体において当面必要なフィールド調査を円滑に進められるように「土地アクセスプロセス」(Land Access Process)を明らかにしたうえで、土地所有者とNWMOとの双方に有益な関係の構築を目指すとしている。

土地アクセスプロセス

今回NWMOは、土地所有者からフィールド調査を行う許可を得るとともに、将来的にNWMOがその土地を購入する可能性を見越して、土地所有者との間で事前に以下の内容の合意文書を取り交わす「土地アクセスプロセス」を提案している。

  • NWMOは、土地所有者と合意文書を取り交わすことで、フィールド調査を実施する権利、さらには、将来的にサイトが選定された際に土地を購入する権利を得る。
  • NWMOがフィールド調査に利用する土地の所有者は、NWMOと合意文書を取り交わすことよって、土地所有者が行っている活動への影響に対する補償を受けることができる。
  • 土地所有者が合意時点で受け取ることができる補償内容には、土地の市場価格の10%の金額、並びに土地所有者が外部専門家から地価の評価額や法的助言を得るために使用できる費用として1万カナダドル(83万円、1カナダドル=83円で換算)が含まれる。
  • 土地所有者とNWMOとが合意文書を取り交わした場合でも、実際にフィールド調査に使用されない土地の部分は、土地所有者が継続して利用可能である。
  • 将来、NWMOが使用済燃料処分場の好ましいサイトを選定した後、当該土地の購入を決定した場合、土地の市場価格に25%を上乗せした金額をNWMOが土地所有者に支払う。

 NWMOは、土地所有者との間で上記の合意文書を取り交わしたい意向であるが、土地所有者が希望する場合には、当該土地を直ちに購入する選択肢も検討するとしている。また、土地所有者が土地アクセスプロセスに関してNWMOと合意文書を取り交わした場合でも、そのことをもって処分場の受け入れに同意したことにはならないことを明らかにしている。

 

【出典】

 


  1. 第3段階第2フェーズにあるオンタリオ州北部3自治体の一つであるイグナス・タウンシップは、2011年11月にNWMOとボーリング調査に関する合意文書を取り交している。NWMOは州政府の承認を得て初期ボーリング調査を2017年11月に開始している   []

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は2019年5月8日に、処分場科学及び国際的な地下研究所(URL)研究活動における最近の進展に関する2019年春季ワークショップ(以下「本ワークショップ」という。)の資料等を公表した。本ワークショップは、2019年4月24日及び25日の2日間にわたって米国サンフランシスコで開催されたものである。なお、NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性をレビューするため、独立した評価組織として設置されたものである。

本ワークショップの目的は、エネルギー省(DOE)が実施または計画している研究開発活動についてレビューを行うこと、DOEによる研究活動及びNWTRBによるレビューに資する情報を得ることとされている。国際的な経験に関する議論の焦点は、各国の地下研究所で実施されてきた研究について、高レベル放射性廃棄物の地層処分場の長期的挙動の科学的理解、技術、操業に係る最近の進展などに当てられている。なお、2019年2月26日には、本ワークショップの準備のため、DOEの研究活動の現況を確認するNWTRBミーティングが開催されている。

本ワークショップでは、主に以下のような報告や議論が行われた。

  • 国際的な地下研究所プログラムについて、フランス、スウェーデン、スイス及び英国の4カ国からの報告とパネルディスカッション
    • スイス:放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)
    • スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)
    • フランス:放射性廃棄物管理機関(ANDRA)
    • 英国:放射性廃棄物管理会社(RWM社)
  • DOEの地層処分研究開発プログラムの概要、及び国際的な地下研究所での研究との統合
  • DOEにおける地下研究所に関連した研究開発活動(特に、天然バリア、人工バリアの健全性、地下水流動と核種移行、全体システムの挙動)
  • 地下研究所での研究開発プログラムから得られた教訓と重要事項(全体セッション)

なお、現在、DOEは、「使用済燃料処分等研究開発プログラム」(UNFD研究開発プログラム)の中で、処分及び貯蔵・輸送に係る一般的な研究開発活動を実施している。DOEは、2020会計年度の予算要求書において、UNFD研究開発プログラムの大幅な縮小を提案しているが、潜在的な代替処分オプションに関する国際共同研究については継続するとしている。

【出典】