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英国政府は2018年12月19日、2014年7月の白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)に代わるイングランドの政策文書である『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)を公表するとともに、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)による地層処分施設(GDF)の新たなサイト選定プロセスが開始されたことを公表した。一方、2018年政策文書の公表に併せてRWM社は、2014年白書に基づいて取り組んでいた英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」(National geological screening exercise)の結果を公表するとともに、今後のサイト選定プロセスを通じて地域社会と協働して進めていく「サイト評価方法案」に関する協議文書を公表した。サイト評価方法案に対する意見募集は、2019年3月31日まで行われる。

■サイト評価方法案に関する協議文書で提案されたサイト選定で考慮する立地要因と評価項目

図:サイト選定プロセスの全体像

英国政府は、2018年政策文書で新たなサイト選定プロセスとして、今後約5年間を「サイト評価期間」(site evaluation)とし、複数の「調査エリア」(Search Area)を探すことを計画に盛り込んだ。RWM社は、ボランタリーなワーキンググループ(下記参照)との初期対話において、今回提示した既存の地質情報に基づく地質学的スクリーニングの結果を活用しつつ、自治体組織が参加する「コミュニティパートナーシップ」(下記参照)の設立を目指すとしている。今回RWM社が提示した協議文書では、地層処分施設の立地要因(Siting Factors)として、①安全、②コミュニティ、③環境、④工学的成立性、⑤輸送、⑥コストの6つを挙げている。このうち、2番目の「コミュニティ」では、「コミュニティの福祉」と「立地コミュニティの将来ビジョン」を評価項目(Evaluation consideration)として位置づけている。6つの立地要因間での序列や重み付けはなく、定性的な評価方式を採用するとしている。

■新たなサイト選定プロセス:初期対話とワーキンググループの設置

2018年政策文書で設定されたサイト選定プロセスでは、地層処分施設(GDF)の設置に関心を示す者、または設置候補エリアを提案したい者であれば、RWM社との初期対話(initial discussion)を開始できる。初期対話の関心表明は、必ずしも自治体当局である必要はなく、土地所有者や企業、団体、個人であっても可能であるとしている。初期対話において、GDF設置に向けた更なる検討を進めていくことに合意した場合には、当該地域の自治体組織(市議会、州議会など)に報告して、コミュニティ全体での協議に発展させることになる。これを目的として、RWM社、関心表明者の他、独立したグループ長とファシリテータを加えた準備組織「ワーキンググループ」を設立することを2018年政策文書において取り決めている。英国政府は、ワーキンググループに自治体組織が入ることが望ましいとする見解を示しているが、必須条件とはしていない。

ワーキンググループは、その設置を当該地域の自治体組織に報告した後、RWM社がGDF設置の潜在的な適合性を確認する「調査エリア」の特定作業を進める。調査エリアは、自治体組織の選挙区を最小単位にするように設定するとしており、これにより、コミュニティや自治体組織等の協議への参加可能者が特定されるとしている。

■コミュニティパートナーシップの設立

英国政府は、「調査エリア」の地理的範囲はRWM社の協議文書「サイト評価方法案」で定めた立地要因に基づく検討が進むに従って変化するものであるとしており、ワーキンググループの活動によって調査エリアの範囲が定まっていくにつれて「コミュニティパートナーシップ」の範囲に収斂していくと見込んでいる。2018年政策文書では、「コミュニティパートナーシップ」を当該コミュニティにおける情報共有、地層処分・サイト選定プロセス・地域の便益に関する対話と理解を促進するために設置されると位置づけている。コミュニティパートナーシップの設立には、調査エリアにある自治体組織の合意が必須であり、同パートナーシップの構成メンバーには、少なくとも一つの自治体組織が参画する必要がある。英国政府は、同パートナーシップを形成するコミュニティに対し、経済振興、環境・福祉向上を目的とするプロジェクトに限定した形で、年間最大100万ポンド(1億4,900万円)、地下深部ボーリング調査の実施に至った際には年間最大250万ポンド(約3億7,300万円)の資金提供を行うとしている。

■サイト選定プロセスにおける住民支持の調査・確認の義務と撤退権に関する取り決め

英国政府は、今回の2018年政策文書の公表に先立って、2018年1月25日から4月19日まで、地域社会との協働プロセスに関する公衆協議を実施した 。この公衆協議を通じて寄せられた意見に基づき、英国政府は、サイト選定プロセスにおいて、自治体組織(市議会、州議会など)が果たす重要な役割である「住民支持の調査・確認(test)」と「撤退権」に関する条件を明確にしている。

英国では、地層処分施設及びその候補サイトを評価するために必要な地上からのボーリング調査を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)と位置づけており、地上からのボーリング調査の実施前、及び地層処分施設(GDF)の建設前において、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(Development Consent Order ,DCO)が必要となっている。コミュニティパートナーシップに参画する自治体組織は、遅くともRWM社が地層処分場の建設許可申請を行う前までに、地層処分施設(GDF)の設置受け入れに関して、住民支持の調査・確認(test)を実施する必要がある。また、サイト選定プロセスにおいては、住民支持の調査・確認が実施される前であれば、自治体組織はサイト選定プロセスから撤退する権利を有することが認識されている。

英国政府は2018年政策文書において、住民支持の調査・確認を行う時期を決定する権限は、コミュニティパートナーシップに参画する自治体組織が有するとしつつ、コミュニティパートナーシップに複数の自治体組織が参画している場合には、全ての自治体組織がその実施時期に合意しなければならないことを明確にした。また、自治体組織がサイト選定プロセスから撤退する権利を行使する際には、当該コミュニティパートナーシップに参画している全ての自治体組織が撤退に合意する必要があることを明確にしている。

【出典】

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2018年12月14日、放射性廃棄物管理及び廃止措置に関する規制の枠組みを示した規制文書「REGDOC-2.11 廃棄物管理 カナダにおける放射性廃棄物管理及び廃止措置の枠組み」(以下「REGDOC-2.11」という。)を公表した。REGDOC-2.11は、放射性廃棄物管理及び廃止措置の規制に対するCNSCの取り組みの基本的考え方と原則を示す文書であり、放射性廃棄物管理の国の枠組み、放射性廃棄物管理及び廃止措置に関するCNSCの規制の枠組みと監督、国際的義務などが記されている。

CNSCは、原子力産業に対する規制に関する情報を、事業者及びカナダ国民に明瞭かつ論理的な形で提供することを目的として、規制文書の再編成を進めている。従来は、規制文書の位置づけや拘束力に応じて、規制方針(P)、規制基準(S)、規制指針(G)、規制通知(N)の4シリーズに区分していたが、これを規制対象分野で区分した階層番号形式に変更し、規制文書へのアクセス性を改善している。

廃棄物管理に関する規制文書REGDOC-2.11シリーズは、今回公表された最上位の文書のほか、下位の3巻の文書で構成されている。

文書名

策定状況

備考

REGDOC-2.11 廃棄物管理 カナダにおける放射性廃棄物管理及び廃止措置の枠組み

2018年12月発行

 

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理

未策定

 

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第2巻:ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理

2018年11月発行

従来の「ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理 RD/GD-370」及び「放射性廃棄物の管理 規制方針P-290」を置き換え

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物管理の長期安全性の評価

2018年5月発行

従来の「放射性廃棄物管理の長期安全性の評価 規制指針G-320」及び「放射性廃棄物の管理 規制方針P-290」を置き換え

CNSCの規制文書のREGDOC-2.11シリーズへの再編では、従来の「規制方針P-290 放射性廃棄物の管理」(2004年)及び「規制指針G-320 放射性廃棄物管理の長期安全性の評価」(2006年)は、形式的な変更はされているものの、内容的な変更はされずに取り込まれている。

なお、CNSCは別途の規制文書として、「REGDOC-1.2.1地層処分場のサイト特性調査に関するガイダンス」の策定に向けた取り組みを進めており、2018年10月19日にREGDOC-1.2.1の案を公表し、2018年12月17日を期限として公衆からの意見募集を行っている

【出典】

スイスの連邦評議会1 は、2018年11月21日の閣議において特別計画「地層処分場」(以下「特別計画」という)に基づくサイト選定手続について、サイト選定第2段階の成果報告書を承認したことにより、サイト選定第2段階は終了し、サイト選定第3段階が開始されることとなった。2011年12月から開始されたサイト選定第2段階においては、6つの地質学的候補エリアが検討され、このうち、「ジュラ東部」「チューリッヒ北東部」「北部レゲレン」の3つをサイト選定第3段階に進む候補とした。

「サイト選定第2段階で確定した地質学的候補エリア」(NAGRAウェブサイト」、2018年11月22日を元に原環センターが作成)

■サイト選定第3段階開始に向けた連邦評議会の決定事項

連邦評議会は、処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)の提案、連邦原子力安全検査局(ENSI)及び原子力安全委員会(KNS)の見解、意見聴取の結果を踏まえて、サイト選定第3段階に向けて、以下の事項を決定した。

  • サイト選定第3段階では、高レベル放射性廃棄物及び低中レベル放射性廃棄物の地層処分場について、地質学的候補エリア「ジュラ東部」「北部レゲレン」「チューリッヒ北東部」を対象として詳細調査を実施する。
  • 地質学的候補エリア「ジュラ・ジュートフス」「ジュートランデン」「ヴェレンベルク」は予備候補として留保する。
  • NAGRAは、高レベル放射性廃棄物の処分場と低中レベル放射性廃棄物の処分場を同じ地質学的候補エリアに建設する場合の長所と短所を検討する。
  • 各地質学的候補エリアにおいて検討する地上施設の設置区域は、JO-3+(ジュラ東部)、NL-2またはNL-6(北部レゲレン)、ZNO-6b(チューリッヒ北東部)とする。
  • NAGRAは、上記の地上施設の設置区域から離れた場所に設置する換気用立坑と掘削土砂輸送用の建設立坑について提案し、処分場の建設段階と操業段階における活動範囲、地上インフラの外観デザインなどについて、サイト地域の要望を考慮しつつ、特別計画の目標と環境保護が最良な形で達成されるように最適化すべきである。このため、NAGRAは、サイト地域2 を含む州や自治体当局、市民で構成される地域会議との協働のもと、ガラス固化体のオーバーパック等を処分場の地上施設ではなく、サイト地域外で行う可能性について検討することを認める。

なお、サイト選定第2段階では、地上施設の設置区域として、廃棄体の製作施設を設置可能な場所を検討してきているが、チューリッヒ北東部の地域会議から、廃棄体の製作をサイト地域外で実施することの長所及び短所を説明して欲しいとの要望が出されており、今回の連邦評議会の決定は、このような地域会議の意見を反映したものとなっている。

■サイト選定第2段階での取組

サイト選定第2段階では、サイト選定第1段階(2008年~2011年)で選定された6つの地質学的候補エリア(ただし、高レベル放射性廃棄物用処分場の地質学的候補エリアは3カ所)から、高レベル放射性廃棄物用処分場、低中レベル放射性廃棄物用処分場について、それぞれ最低2カ所の候補を選定する取組が行われた。

2015年1月にNAGRAは、地層処分場のサイト選定第2段階での絞り込み結果として、「チューリッヒ北東部」及び「ジュラ東部」の2つを優先候補として第3段階での詳細調査対象とすることを提案した。しかし、規制機関である連邦原子力安全検査局(ENSI)が2016年12月に、NAGRAが予備候補として留保した「北部レゲレン」について、北部スイスの地質学的データが十分とは言えない中で、NAGRAが示した想定が現在の科学技術的知見に照らして過度に保守的であると判断し、同エリアも引き続き優先候補として検討すべきとの見解を示し、諮問機関である原子力安全委員会(KNS)もこれを支持した

サイト選定第2段階では、6つの地質学的候補エリアそれぞれに、関係する州や自治体当局や個人が参加する地域会議が設置され、NAGRAがこの地域会議との協働により、各エリアにおける処分場地上施設の設置区域を特定する取組も行われた。また、NAGRAによる安全上の比較評価に加え、連邦エネルギー庁(BFE)により、地層処分場が与える社会影響・経済影響・環境影響に関する調査も行われた

このような取組を受けて、サイト選定手続きを監督する連邦エネルギー庁(BFE)が2017年11月に公表した第2段階の成果報告書草案では、「チューリッヒ北東部」「ジュラ東部」「北部レゲレン」を優先候補とし、同草案は2017年11月22日から2018年3月9日までの約3か月にわたって意見聴取にかけられた。意見聴取では、個人・組織から約1,550件の意見が提出され、うち431件がスイス、1,120件がドイツ、3件がオーストリアから寄せられたものであった。NAGRAも、これら3つのエリアがサイト選定第3段階で引き続き検討対象となることを想定して三次元弾性波探査を先行実施するととともに、サイト選定第3段階で実施されるボーリング調査に向けて、ボーリング地点の特定と許可申請などの準備作業を進めてきた

■今後の予定

サイト選定第3段階が開始されたことを受け、今後NAGRAは、2019年初頭から順次、必要な許可が発給された地点について、3つの地質学的候補エリアにおけるボーリング調査を実施する。NAGRAはこれら詳細調査を踏まえてサイトの比較を行い、最終的なサイト候補を提案し、2024年末までに連邦エネルギー庁(BFE)に対して概要承認を申請する。サイト選定プロセスを監督するBFEは、連邦評議会による概要承認の決定を2030年頃としている。

なお、サイト選定第3段階では、NAGRAと関係地域との間で、地上施設、交付金・補償金など地域開発関連、安全性の問題等に関する具体的な交渉が行われる。また、連邦エネルギー庁(BFE)が社会経済影響に関する詳細調査を実施する。地質学的候補エリア「ジュラ東部」「チューリッヒ北東部」「北部レゲレン」では2018年内に、サイト選定第2段階で設置された地域会議を、第3段階における公衆参加の機能と役割に合わせて再編成し、規約変更や代表者の選定等を実施する予定である。

 

 

【出典】


  1. 日本の内閣に相当 []
  2. サイト選定第3段階におけるサイト地域は、地上施設、地下施設、地上・地下のインフラの一部または全てが立地する「インフラ立地自治体」と「その他関係自治体」で構成される。 []

英国の原子力安全規制機関である原子力規制局(ONR)とイングランドを所管する環境規制機関(EA)(以下、両機関を合わせて「規制機関」という。)は、2018年11月15日に、放射性廃棄物管理会社(RWM社)が作成した地層処分施設の一般的な条件における処分システム・セーフティケース(gDSSC)の2016年版(以下「2016年版gDSSC」という。)に対する評価報告書を公表した。2016年版gDSSCは、地層処分施設への放射性廃棄物の輸送、地層処分施設の建設・操業、地層処分施設の閉鎖後という3つの段階に分けて、放射性廃棄物を安全に処分できることを立証する目的で作成されている(下記コラムを参照)。gDSSCは許可申請文書の一部となるものではないが、規制機関とRWM社の協定のもと、RWM社の要請に基づいてレビューが実施されている。なお、同様なレビューは、RWM社が取りまとめた2010年版gDSSCに対しても実施されている

今回の評価報告書において規制機関は、2016年版gDSSCが前回の2010年版と比べて大幅に改善していると評価する一方、サイト固有の処分施設が設計されなければ十分な評価はできないとしており、今後の包括的なサイト固有のセーフティケースの作成に向けて、多くの作業が必要であると指摘している。また、規制機関は、以下に示す環境セーフティケースに関する指摘を含め、2016年版gDSSC全体を対象として38項目の改善点を指摘している。

  • 地層処分施設の操業期間(建設、操業、閉鎖及び廃止措置を含む)を対象とした環境安全評価において、全ての潜在的な環境影響を網羅していない。また、現段階では、地層処分施設の操業期間と閉鎖後を個別に評価しても構わないが、2つの評価間の整合性を保つように改善すべきである。
  • 処分施設閉鎖後のニアフィールドにおけるガスの発生量や移行経路、人間侵入の評価方法を更に開発する必要がある。
  • 将来的に作成するサイト固有の環境セーフティケースでは、地層処分施設の安全性をバランスの取れた、偏りのない観点で示すことが期待される。一般的な条件における環境セーフティケースでは、地層処分施設の操業時及び閉鎖後の長期にわたって環境安全を確保できる証拠を示しているが、今後、環境安全の確保のため、必要な作業に関する重要な前提条件の存在や不確実性について、十分に説明されていない。
  • 回収可能性のアプローチを明確にし、廃棄物パッケージの回収を実現するために必要な研究を特定すべきである。
  • 回収可能性を維持したままでも、地層処分施設のセキュリティ、保障措置、操業安全及び閉鎖後安全が確保されることを立証するために、回収可能性を維持するために必要となる条件を操業セーフティケース(OSC)に含めるようにすべきである。

なお、英国の規制機関は、現時点では廃棄物パッケージの回収可能性に関する規制要件を定めていないものの、英国政府は2014年に公表したサイト選定プロセス等を示した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』において、廃棄物パッケージを回収する確固たる理由がある場合には、廃棄物パッケージの回収を行う余地があるとしている。そのため、RWM社は、廃棄物パッケージの回収が必要となる万一の事態に備えて、回収可能性の技術的なオプションを排除しないような地層処分施設の設計を行うという意向である。

(2017年8月9日の速報より再掲)

2016年版gDSSC の目的と構成

一般的な条件でのセーフティケース(gDSSC)は、①gDSSCを構成する文書全体の構成、目的、主要成果を示した概要報告書(Overview)、②地層処分施設への放射性廃棄物の輸送、地層処分施設の建設・操業、地層処分施設の閉鎖後という3つの段階におけるセーフティケース報告書(Safety Cases)、③3つのセーフティケースの根拠となる評価報告書(Assessments)、④評価のために利用された基礎情報文書(System Information)で構成されている(下図参照)。

2016年gDSSCの文書校正

図:2016年gDSSCの文書構成

<2016年版gDSSCの目的>

  • 放射性廃棄物を安全に処分できることを立証する
  • 規制機関及び廃棄物発生者や原子力廃止措置機関(NDA)のようなステークホルダーとの協議に利用できる
  • 放射性廃棄物管理会社(RWM社)が廃棄物発生者に対して、廃棄物パッケージに関するアドバイスの根拠となること、及び廃棄物パッケージの処分可能性評価のための基礎情報となること
  • 地層処分施設の受け入れに関心のある自治体(コミュニティ)に情報提供を行うことで、サイト選定プロセスを支援する
  • 研究開発が必要な分野を特定し、RWM社の科学技術プラン3  の策定に資する
  • 地層処分施設の開発における明確な処分概念と設計に関する情報を提供し、サイト選定プロセスの早期段階において、潜在的な候補サイトの適合性を評価するための基礎情報となること
  • サイト固有の設計及びセーフティケースの開発を支援する情報となること

【出典】
• 英国政府ウェブサイト、Joint regulators’ assessment of the 2016 generic Disposal System Safety Case、2018年11月15日、https://www.gov.uk/government/publications/joint-regulators-assessment-of-the-2016-generic-disposal-system-safety-case
• 原子力規制局(ONR)及びイングランドの環境規制機関(EA)、Pre-application advice and scrutiny of Radioactive Waste Management Limited: Joint regulators’ assessment of the 2016 generic Disposal System Safety Case、2018年11月15日、https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/756205/Joint_regulators__assessment_of_the_2016_generic_Disposal_System_Safety_Case.pdf

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2018年10月19日に、「地層処分場のサイト特性調査に関するガイダンス」(REGDOC-1.2.1)の案1 を公表し、2018年12月17日を期限として公衆からの意見募集を開始した。カナダでは、2010年から、カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が使用済燃料の地層処分場のサイト選定プロセスを進めており、2018年10月現在、オンタリオ州内の5つの自治体がサイト選定プロセスに残っている。いずれの自治体も、サイト選定プロセスの第3段階にあり、空中物理探査や地表踏査などの現地調査が行われており、一部の自治体では限定的なボーリング調査が実施されている。NWMOは、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うと見込んでおり、選定される1カ所において、サイト選定プロセス第4段階としてサイト特性調査を行う計画である。CNSCは、サイト選定プロセスにおいて、サイト特性調査のために収集された情報が、今後の許認可申請に使用されるため、サイト特性調査段階に関するガイダンスを策定するとしている。

今回のガイダンス案においてCNSCは、サイト選定プロセスの一部として、許認可申請者は、サイトの現在及び将来の変遷に関する一般的な理解を裏付ける十分な情報や、セーフティケースに関する長期間にわたる進展への期待を提供できるような「サイト特性調査プログラム」を策定すべきであるとしている。特に、地質環境に関してサイト特性調査で得られたデータは、地層処分場の長期安全評価及びセーフティケースの重要な構成要素になると説明しており、サイト特性調査において収集するデータの具体的な項目を提示している。

また、CNSCはガイダンス案で、現行の原子力安全管理法に基づく許認可プロセスにおいては、「地層処分場のサイトの選定に適用される規制プロセスがない」という認識を示している。しかし、現実には、原子力安全管理法に基づく段階的な許認可の最初のものとなる「サイト準備許可」の発給前に、候補サイトにおいて何らかの調査活動が実施されることになると認識している。CNSCは、許認可前に実施される調査活動に対して、本来必要な規制手続を開始できるようにするため、規制当局と議論すべきであると述べている。

さらに、CNSCは、規制の独立性を確保しつつ許認可申請者に対して適切なガイダンスを与えるため、CNSCと許認可申請者との間で業務委託契約(service agreement)を締結すべきであり、この枠内において、CNSCが非公式な検査や評価を行う機会を持てるよう勧告している。また、CNSCは、サイト特性調査の作業に関して、許認可申請者がCNSCに予め通知した主要マイルストーンの維持に努めるよう勧告するとともに、サイト特性調査プログラムなどに対するCNSCによる事前レビューの要請を早期に行うことを勧告している。

【出典】


  1. カナダ原子力安全委員会(CNSC)の前身である原子力管理委員会(AECB、2000年に廃止)が策定していた規制文書「R-72 高レベル放射性廃棄物の地層処分のための処分場立地における地質学的配慮」(1987年)は、今後REGDOC-1.2.1の策定によって廃止されることになる。 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2018年9月26日付プレスリリースにおいて、2018年9月6日に、政府と原子力安全機関(ASN)主導で、地層処分の対象であり、発熱反応のリスクが指摘されているビチューメン(アスファルト)固化体の管理に関する国際レビューが開始されたことを公表した。

ビチューメン固化体は、Orano社(旧AREVA社)や原子力・代替エネルギー庁(CEA)の再処理工場の廃液処理で発生したスラッジ等をビチューメン(アスファルト)にて固化し、金属製容器に封入したものであり、長寿命中レベル放射性廃棄物に分類されている。ビチューメン固化体は、ANDRAによる高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分場において処分が予定されている長寿命中レベル放射性廃棄物の廃棄物量72,000m3の18%(約13,000m3)を占めており、この廃棄物量は高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の廃棄物量12,000m3を上回るものとなっている。

今回設置されたビチューメン(アスファルト)固化体の管理に関する国際レビューチームは、国内外の専門家や有識者等で構成されており、以下の内容についてレビューを実施する。

  • ビチューメン固化体の特性と挙動に関する科学的知見
  • ビチューメン固化体で生じる化学反応の抑制に関して、現在実施中の研究の妥当性
  • 急激な発熱反応のリスクを排除するためにANDRAが実施している地層処分場の設計変更に関する検討の妥当性

政府やASNは、ビチューメン固化体の安全対策を重要視し、これまでに、以下のような検討を行っており、今回の国際レビューチームの設置はこれらに基づくものである。

  • 2016~2018年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)において、原子力・代替エネルギー庁(CEA)がANDRAと協力して実施するビチューメン固化体に関する研究成果に基づく報告書を2017年6月末までに政府に提出し、さらにANDRAは同報告書を踏まえ、地層処分場にビチューメン固化体を受け入れた際の影響分析結果を2018年6月末までに政府に提出する方針が示された
  • ANDRAが提出した地層処分場の安全オプション意見請求書(DOS)について、ASNが2018年1月に公表した見解書では、ビチューメン固化体の処分坑道における火災対策として、発熱反応を抑えるための研究を優先的に実施するとともに、発熱反応の過剰な進行を防げるように処分場の設計を変更する場合の検討を実施することが勧告された
  • 2018年3月に開催された地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)において、地層処分プロジェクトに関する透明性強化の方針の中で、政府及びASNの指示の下、ビチューメン固化体に関する国際専門委員会を2018年中に設置することが決定された
  • 2018年6月に公開された国家評価委員会(CNE)1 の第12回評価報告書では、国際的な検証が行われるべきであるとの立場が示され、地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)で設置が決定されたビチューメン固化体に関する国際専門委員会における検討状況を注視する方針が示された

また、原子力安全機関(ASN)は、現状の設計と、ビチューメン固化体に関する知見のレベルからは、同廃棄物を地層処分場に処分することはできないと考えており、以下のいずれかを明らかにすべきであるとの立場をとっている。

  • 設計変更により地層処分場にビチューメン固化体を安全に処分できること。
  • 化学反応を抑制するための処理をビチューメン固化体に対して行う場合の技術的な実現可能性。

なお、今回の国際レビュー会合には、国防原子力安全機関(ASND)2 と国家評価委員会(CNE)の代表も参加している。

今後、ビチューメン(アスファルト)固化体の管理に関する国際レビューチームは、2018年10月、11月及び12月に会合を開催し、2019年半ばまでに、検討結果に関する報告書を取りまとめる予定である。

【出典】


  1. フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する研究・調査の進捗状況を評価する組織 []
  2. 原子力・代替エネルギー庁(CEA)は軍事由来のビチューメン固化体をマルクールサイトに保有しており、これを規制・監督するのはASNDである。 []

スイスの連邦原子力安全検査局(ENSI)は、2018年9月26日付けのプレスリリースにおいて、2019年以降と見込まれるサイト選定第3段階においてボーリング調査が実施される地質学的候補エリア毎に、関係自治体などが参加する情報共有のためのグループを設置することを明らかにした。本グループは「ボーリング調査情報共有グループ」(〈ドイツ語〉Begleitgruppen)と呼ばれ、ボーリング調査に関する関係自治体の情報ニーズを取りまとめて、連邦政府や処分実施主体である放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)から、迅速かつ分かりやすい情報提供を受けることを目的としており、関係自治体のほか、州、隣接するドイツの自治体(該当する場合のみ)も参加している。該当する3つの地質学的候補エリアのうち、「北部レゲレン」と「チューリッヒ北東部」では、それぞれ2018年9月24日と25日に初回会合が開催された。残る「ジュラ東部」でも、エリア内でのボーリング調査の許可発給を待って、初回会合が開催される予定である。

ボーリング調査の許可手続きと進捗状況

サイト選定プロセスを定めた特別計画「地層処分場」によると、サイト選定第3段階では、概要承認の申請書提出に向けた準備を行う上で、安全性の観点からの詳細な比較を可能にするため、必要に応じて弾性波探査、ボーリング調査などの地球科学的調査を行って、サイト特有の地質学的知見を収集するとしている。

三次元弾性波探査については、NAGRAがサイト選定第2段階において先行的に実施済みである。ボーリング調査については、サイト選定第3段階の開始後すぐに実施できるよう、NAGRAが2016年9月と2017年8月に3つの地質学的候補エリア「北部レゲレン」、「チューリッヒ北東部」「ジュラ東部」内の合計22の調査候補地点についてボーリング調査の許可申請書を提出している。このうち、北部レゲレンの1地点及びチューリッヒ北東部の2地点の合計3地点については、2018年8月に許可を取得済みである

 

【出典】

米国の原子力規制委員会(NRC)は、ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)社による使用済燃料等の中間貯蔵施設の許認可申請に関して、中間貯蔵パートナーズ(ISP)社が要請した許認可審査の再開を認めることについて、2018年8月21日付のISP社宛の書簡(以下「NRC書簡」という。)で通知した。WCS社によるテキサス州アンドリュース郡における中間貯蔵施設プロジェクトについては、WCS社に対する買収の動きを受け、2017年4月18日に許認可審査の一時停止がWCS社から要請され、NRCもこれを承認していた。WCS社は、2018年1月に投資会社のJFリーマン社に売却されたが、WCS社とOrano USA社1 との合弁会社として設立されたISP社が、2018年6月8日に、中間貯蔵施設の許認可審査の再開を公式に要請していた

今回公表されたNRC書簡の中でNRCは、ISP社が2018年6月8日付の許認可審査の再開要請に続いて提出した許認可申請書の改定2版(Revision 2)において、詳細な審査の再開に必要な情報が提供されていることを確認したとしている。また、NRC書簡では、ISP社の許認可申請に係る審査のスケジュールが以下のように示されている。

  • 安全審査関連の追加情報要求(RAI)
    • 1回目:2018年11月~2019年1月
    • 2回目:2019年5月~2019年7月(必要な場合のみ)
  • 環境審査関連の追加情報要求(RAI)
    • 1回目:2019年1月
    • 2回目:2019年5月(必要な場合のみ)
  • NRCによる安全審査、環境審査関連の完了:2020年8月

また、NRC書簡では、裁判形式の裁決手続による「ヒアリングの開催要求の機会」(opportunity to request a hearing)(以下「ヒアリング開催要求の機会」という。)に係る新たな通知、及び環境影響評価(EIS)のスコーピング手続を再開する旨の通知を、連邦官報で告示する予定としている。NRCは、2017年7月20日付の連邦官報において、ヒアリング開催要求の機会に係る2017年1月30日付の連邦官報告示を取消すとともに、WCS社が許認可審査の再開を要求した場合には、改めてヒアリング開催要求の機会に係る通知を連邦官報で告示することを決定していた

なお、NRCウェブサイトにおけるWCS社の集中中間貯蔵プロジェクトのページは、2018年8月15日に、ISP社を申請者とする形で更新されており、ISP社が提出した許認可申請書の改定2版(Revision 2)も掲載されている。

【出典】


  1. Orano USA社は、フランスの原子力総合企業であるOrano社(旧Areva社)の米国法人である。実際にWCS社との合弁会社であるISP社を設立したのは、Orano USA社の子会社であるOrano CIS LLCとなっている。 []

スペインの原子力安全審議会(CSN)は2018年7月25日のプレスリリースにおいて、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等の集中中間貯蔵施設(ATC)に関して、放射性廃棄物管理等の実施主体である放射性廃棄物管理公社(ENRESA)が2014年1月に提出していた立地・建設許可申請1 のうち、建設許可申請の審査を中断することを公表した。CSNは立地・建設許可のうち立地許可申請については、2015年7月に、条件付きながら肯定的な評価結果を示しており、その後、建設許可申請の審査を実施していた。

今回の原子力安全審議会(CNS)による建設許可申請の審査中断の決定は、スペイン政府の環境移行省(Ministry of Ecological Transition)2 からの要請を受けて行われたものである。スペインでは、集中中間貯蔵施設(ATC)を含む原子力関連施設の立地・建設・操業に係る許可は、CSNによる原子力安全及び放射線防護の観点からの申請書の評価に基づき、環境移行省が発給することとなっている。2018年6月に発足した社会労働党政権は、原子炉の運転期間を40年とし、最後の原子炉が40年を迎える2028年で原子炉を閉鎖する等の方針を打ち出している。また、ATCの立地予定地のあるカスティーリャ・ラマンチャ州の州政府も社会労働党が主導しており、ATCの建設に反対していた。なお、同州には原子力発電所は立地していない。

今回のCSNの決定を受けて、カスティーリャ・ラマンチャ州政府は、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等は各々の原子力発電所サイトで貯蔵すべきとの考え方を示している。

スペインでは、使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物等については、最終管理方策の決定を先送りしており、当面は、集中中間貯蔵施設(ATC)において貯蔵することとしている。ATCの建設地の選定は、公募方式によって2009年から開始され、2011年12月にカスティーリャ・ラマンチャ州クエンカ県のビジャル・デ・カニャス自治体が建設地に決定していた。放射性廃棄物管理公社(ENRESA)のATCに関する資料によれば、同施設では、原子力発電所からの7,000トンの使用済燃料、一部の使用済燃料の再処理に伴う高レベル放射性廃棄物等のほか、約1,900m3の原子力発電所の解体廃棄物が管理される予定である

集中中間貯蔵施設(ATC)の完成予想図

集中中間貯蔵施設(ATC)の完成予想図(ENRESAウェブサイトより引用)

 

【出典】

【2018年9月10日追記】

スペインの環境移行省は2018年9月6日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料・高レベル放射性廃棄物等の集中中間貯蔵施設(ATC)プロジェクトの今後に関して、2019年に判断するとの方針を示した。環境移行省は、2006年に策定された第6次総合放射性廃棄物計画を更新し、2019年に策定する第7次総合放射性廃棄物計画においてATCプロジェクトの今後の計画を織り込むとしている。

環境移行省は、ATCプロジェクトの今後を判断する際に、放射性廃棄物管理公社(ENRESA)がこれまで行ってきたATC建設への投資と、建設コストについて調査するとともに、国会議員、ATCの立地予定地のあるカスティーリャ・ラマンチャ州の州政府や州議会、プロジェクトに関わる技術者等、あらゆる関係者の意見を聴取する方針である。また、議会下院の環境移行委員会に対し、ATC建設について検討し、政府に報告するよう要請している。

【出典】


  1. スペインでは、原子力関連施設の立地と建設の許可を一括して申請できることになっている。 []
  2. 2018年6月の省庁再編により、エネルギー政策の管轄が、産業・エネルギー・観光省(MINETUR)から環境移行省に変更された。 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2018年7月13日に、「放射性物質及び放射性廃棄物の国家インベントリレポート」(以下「インベントリレポート」という)の2018年版を公表した。ANDRAは2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、3年毎にインベントリレポートを改訂しており、前回のインベントリレポートの改訂は2015年に行われていた

インベントリレポートにおいては、2016年末時点でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約154万m3であり、前回2013年末時点から約8.5万m3増加していることが示されている。この増加の理由としてANDRAは、原子力発電利用、研究、産業・医療分野などでの通常の放射性廃棄物の発生に加えて、原子力施設の解体による極低レベル放射性廃棄物や短寿命低中レベル放射性廃棄物の発生を主な要因としている。

今回の2018年版インベントリレポートの公表に先立ち、フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する調査研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、2018年6月21日に公表した第12回評価報告書において、今後のフランスでの原子力・燃料サイクル政策が取りうる戦略オプションは以下の3つであると指摘している。

  • 中長期的に高速炉開発も含めて原子力発電利用を継続するオプション 
  • 高速炉開発を想定せずに原子力発電利用を継続するオプション 
  • 運転寿命を迎える既存炉のリプレースも増設も行わずに原子力発電から撤退するオプション 

2018年版インベントリレポートでは、将来のインベントリ予測として、CNEが指摘した戦略オプションに合致した形で以下の3つのシナリオを設定し、それぞれ、既存炉58基の運転と解体による廃棄物発生量の予測が示されている。なお、既存炉をリプレースした新規炉から発生する廃棄物量は予測に含められていない。

  • シナリオ1:既存炉を50~60年間運転した後に、欧州加圧水型原子炉(EPR)、さらには高速炉(FR)によってリプレースしていく。使用済燃料は全量再処理し、分離した核物質をMOX燃料として既存炉とEPRで再利用し、さらに高速炉においてマルチリサイクルを実施する。 
  • シナリオ2:既存炉を50~60年間運転した後に、EPRによってリプレースする。高速炉は導入しない。使用済のウラン燃料は全量再処理し、分離した核物質をMOX燃料として既存炉とEPRで再利用する。 
  • シナリオ3:既存炉は40年間、フラマンヴィル3号機(EPR)は60年間運転した後に閉鎖し、リプレースは行わない。使用済みのウラン燃料のみを再処理し、分離した核物質のMOX燃料としての再利用は、既にMOX燃料の装荷許可を受けている既存炉のみに限定し、その後中止する。使用済のMOX燃料や回収ウラン燃料は再処理しない。 

これら3つのシナリオにおける、地層処分対象となる放射性廃棄物の発生量の予測は以下の表のとおりである。シナリオ2と3では、使用済燃料を直接処分する必要性が生じるほか、高速炉を導入しないことにより、ウラン濃縮によってU-235が減損した劣化ウランが長寿命低レベル放射性廃棄物として、それぞれ470,000tHM及び400,000tHM発生するとしている。

 

シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3

原子力発電

既設炉(PWR)

50~60年

50~60年

40年

EPRによるリプレース

実施

実施

1基のみ

高速炉

導入あり

導入なし

導入なし

再処理

ウラン燃料

全量

全量

限定

MOX燃料

全量

高レベル放射性廃棄物

使用済のウラン燃料

3,700tHM

25,000tHM

使用済の
MOX燃料、FR燃料

5,400tHM

3,300tHM

ガラス固化体

12,000m3

9,400m3

4,200m3

長寿命中レベル放射性廃棄物

72,000m3

70,000m3

61,000m3

【出典】