フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2025年3月4日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料の最終処分場の試運転(試験操業)のうち、地上のキャニスタ封入施設における試験が終了したことを公表した。
ポシヴァ社は、実際の最終処分作業を開始する前に、安全な最終処分が実施可能かどうかを検証することを目的として、最終処分試運転(Trial Run of Final Disposal :TRFD)を2024年8月から実施している 。試運転では実際の使用済燃料は用いられず、模擬廃棄体が外側が銅で内側が鋳鉄の二重構造のキャニスタに封入された。キャニスタ封入施設における試験は、実際の使用済燃料を取り扱うことを想定し、高度な放射線遮蔽を備えた施設での遠隔操作にて実施された。
今回の試験で封入されたキャニスタは合計で5本となり、これらは地下430mの地下の一時貯蔵施設に無事に搬送された。また、回収可能性を検証するための試験も行われ、5本のうちの1本のキャニスタを地下の一時貯蔵施設から地上のキャニスタ封入施設まで逆搬送することにより、回収試験(retrieval test)は無事に完了した。
プレスリリースにおいて、ポシヴァ社の社長イルッカ・ポイコライネン氏は、最終処分試運転の全体は、組織面及び技術面において、操業段階に向けたポシヴァ社の準備態勢を検証する重要な段階であり、今回のキャニスタ封入施設での試験の成功により、地下の処分操業設備での最終処分試運転の実施、さらには実際の処分操業の段階へと前進することができるだろう、と述べている。
今後、地下の作業で用いられる設備全てで個々の試験が適切に完了した後、引き続き、地下の最終処分試運転が実施される予定となっている。
【出典】
(post by t-yoshida , last modified: 2025-03-05 )