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《フィンランド》ポシヴァ社が使用済燃料の最終処分場の試運転を開始

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2024年8月30日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料の最終処分場の試運転1 を今後数カ月間の予定で開始したことを公表した。試運転は、実際の最終処分作業を開始する前に、安全な最終処分を検証することを目的としている。また、試運転においては、地下の処分場の機器とシステムについて、計画されたプロセスに従って初めて一括してテストされることとなる。

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島に位置しており、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。使用済燃料は約40年間冷却された後、銅製容器と鋳鉄製容器の2重構造のキャニスタに封入して地下の最終処分場に処分される。

試運転では実際の使用済燃料は用いられず、実規模の4つの模擬キャニスタが、地下約430mの長さ約70mの最終処分坑道内にある、深さ8mの処分孔に定置される。その後、処分坑道は、ベントナイトで埋め戻され、処分坑道は止水や埋戻し材の流出を防ぐためのプラグと呼ばれるコンクリート製の構造体で密封される予定である。また、試運転では損傷したキャニスタを回収することを想定し、キャニスタを回収して地上まで搬送する試験も行われる。

フィンランドでは使用済燃料の最終処分場の建設予定地は、原子力法による原則決定という手続きにおいて(詳しくはこちら)、原子力施設の建設が社会全体の利益に合致することを政府が判断することにより、2001年にエウラヨキ自治体のオルキルオトに決定していた。ポシヴァ社は地下特性調査施設(ONKALO™)での調査研究を踏まえて、2012年に使用済燃料処分場の建設許可を申請し、フィンランド政府は2015年に建設許可を発給した。その後、ポシヴァ社は2016年に処分場の建設を開始し、2021年には処分場の操業許可を申請している

ポシヴァ社が実際の使用済燃料の最終処分を開始するためには、政府から操業許可の発給を受けなければならない。政府は原子力安全に係る規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)などから意見書の提出を受けたうえで許可発給を判断することが原子力法・令において規定されており、現在、STUKはポシヴァ社の使用済燃料処分場の操業許可申請について安全審査を進めている。なお、STUKは、安全審査意見書の雇用経済省への提出が2024年末になる見通しを示している

【出典】

  1. 今回の試運転は、これまで統合機能試験と呼ばれていたものである。 []

(post by t-yoshida , last modified: 2024-09-03 )