フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2016年11月29日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の建設を12月に開始することを公表した。また、2016年11月29日付の規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)のプレスリリースにおいて、STUKは11月25日にポシヴァ社が地下の処分場の建設を開始できることを確認・決定したことを明らかにした。
エウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている使用済燃料処分場について、フィンランド政府は2015年11月にポシヴァ社に対して処分場の建設許可を発給していた 。しかし、ポシヴァ社が処分場の建設を実際に開始するためには、法令に基づき、STUKが建設許可に関連した安全関連要因及び安全規則をポシヴァ社が十分に検討したことを確認することが必要となっていた。
STUKのプレスリリースによるとSTUKは、ポシヴァ社からの提出資料やオルキルオトへの訪問を通じて、処分場に関連する文書や計画を評価し、発給された建設許可に従って、ポシヴァ社が処分場の建設を開始する準備ができていると評価したとしている。また、STUKは今回の結論を出す前の夏から秋にかけて、ポシヴァ社の人的資源、事業マネジメント、品質マネジメント、安全文化、設計活動、建設による影響のモニタリング、核物質防護・保障措置等の、処分場建設に係るポシヴァ社の準備状況について監視していたとしている。
なお、STUKのプレスリリースによると、STUKは建設期間中において、ポシヴァ社の活動を詳細に監督し、様々な段階においても技術計画が安全要件に従っていることについて確認するとしている。その一環として、地上のキャニスタ封入施設についても、ポシヴァ社が建設を開始する前にSTUKが計画を確認・決定するとしている。
処分場の最初の掘削作業
ポシヴァ社のプレスリリースによると、ポシヴァ社は処分場の最初の掘削作業について、YITコンストラクション社と契約したことを明らかにした。契約における作業内容は、主要坑道の最初の部分の掘削、及び主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削、キャニスタ搬送リフト用の立坑掘削作業のための予備掘削とその支保作業等が含まれるとしている。契約額は2,000万ユーロ(約23億円)であり、作業期間は約2年半が見込まれている。また、本契約によって雇用される人員は1年あたり100~125人(下請会社を含む)としている。
ポシヴァ社によると、次の地下の処分場建設に関しては、建設作業の進捗により契約がなされるとしている。
【出典】
- ポシヴァ社、2016年11月29日付プレスリリース、
http://www.posiva.fi/en/media/press_releases/first_excavation_works_for_posivas_final_disposal_facility_to_begin_-_yit_as_contractor.3300.news#.WD46B1zYGSw - 放射線・原子力安全センター(STUK)、2016年11月29日付プレスリリース、
http://www.stuk.fi/-/stuk-paatti-posiva-voi-aloittaa-loppusijoituslaitoksen-rakentamisen
【2016年12月22日追記】
フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2016年12月21日付のプレスリリースにおいて、ポシヴァ社が使用済燃料処分場の建設を開始したことを受け、政府が2015年11月12日に発給した建設許可 が発効したことを公表した。建設許可の許可条件には、処分場の建設が2年以内に開始されない場合には許可が無効となることが付されていたが、実際にポシヴァ社が建設を開始したことを受け、雇用経済省は許可条件が満足されたと確認したものである。
プレスリリースにおいて雇用経済省は、ポシヴァ社が2020年に操業許可の申請を行う予定であることについて言及し、実際にポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するには、別途、処分場の操業許可の発給を受けることが必要なことを指摘している。
【出典】
- 雇用経済省(TEM)、2016年12月21日付プレスリリース、
http://tem.fi/en/article/-/asset_publisher/tem-posivan-rakentamisluvan-voimassaoloehto-tayttyy
【2019年7月4日追記】
フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、フィンランドの南西部トゥルクに本社を置く建設会社Hartela Länsi-Suomi社を含む4社による共同企業体(コンソーシアム)との間で、使用済燃料処分場の地下施設の建設に関する契約を締結した。契約額は約4,000万ユーロ(約50億円、1ユーロ=125円で換算)であり、契約期間は2022年末までである。
今回の共同企業体との契約は、処分場の地下施設の建設工事の一部であり、処分坑道の掘削のほか、地下特性調査施設(ONKALO)内に掘削された機材室(Technical Rooms)や坑道のための電気・通信設備等の建設、エンジニアリング業務、処分場の操業を開始するために必要となる系統の設置、その他の準備作業が実施される。共同企業体を構成する企業には、ラウマ自治体などの処分場が建設されるエウラヨキ自治体近隣に本社を置く中小企業も含まれている。
【出典】
【2019年8月29日追記】
フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年8月28日付のプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地下の処分施設建設の第2期となる掘削作業について、フィンランドの建設業最大手のYIT社1 と契約を締結したことを明らかにした。
処分施設建設の第2期では、2本の主要坑道、主要坑道のうちの1本に連結する処分坑道5本の掘削が含まれる。契約額は約1,700万ユーロ(約21億円、1ユーロ=125円で換算)である。掘削作業は2019年末頃に開始し、約2年半の期間が見込まれている。
【出典】
- ポシヴァ社、2019年8月28日付プレスリリース
http://www.posiva.fi/en/media/news/posiva_and_yit_agree_on_second_phase_of_excavation_works_for_final_disposal_facility.3413.news#.XWdGmyj7SUl - YIT社、2019年8月28日付プレスリリース
https://www.yitgroup.com/en/news-repository/press-release/yit-and-posiva-sign-contract-for-stage-two-in-the-excavation-of-posivas-final-disposal-facility
- YITグループは、2016年末からの主要坑道の最初の部分の掘削等の、処分場建設の第一段階の作業についても担当していた。 [↩]
(post by t-yoshida , last modified: 2024-07-24 )