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《スウェーデン》土地・環境裁判所が環境法典に基づく処分場等の許可発給‐使用済燃料処分場の準備作業が開始可能に‐

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出していた使用済燃料処分場の立地・建設許可申請等に関して  、環境法典に基づく申請書の審理を実施していたナッカ土地・環境裁判所は、2024年10月24日に、オスカーシャム自治体のキャニスタ封入施設及びエストハンマル自治体の使用済燃料処分場の双方を対象として、許可を発給したことを公表した。今回発給された許可には、キャニスタ封入施設及び処分場の建設に向けた環境保護のための条件が付されている。本許可によりSKB社は、処分場建設のための地上での準備作業を開始することが可能となった。

■処分場の許認可プロセスとこれまでの経緯

SKB社が2011年3月に提出した処分場の立地・建設許可申請等に対しては、環境法典に基づく審理はナッカ土地・環境裁判所が、原子力活動法に基づく審査は放射線安全機関(SSM)が実施し、2018年1月に、それぞれの意見書をスウェーデン政府に対して提出していた。その後、政府は、2022年1月に、使用済燃料処分場計画の承認を行い、使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場に関して、SSMによる建設前・操業前の段階的な審査と承認を受けることを前提に、SKB社に対して原子力活動法に基づく許可を発給していた 。この政府の決定においては、土地・環境裁判所による環境法典に基づく許可についても発給可能であることを示すとともに、発給に際しては使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場の建設に向けた条件が付されることになっていた。

<参考:地層処分場の許可手続き>

スウェーデンでは、地層処分場を含む新たな原子力施設建設事業の場合、環境法典に基づく許可と原子力活動法に基づく許可が必要とされている。原子力活動法に基づく許可の審査は、放射線安全機関(SSM)が行い、環境法典に基づく許可の審理は、土地・環境裁判所が行うこととなっており、それぞれの審査結果を政府に提出する。政府は、SSMの審査結果等に基づき、原子力活動法上の許可を発給し、SSMは原子力活動法上の許可の条件を決定する。一方で、政府は、土地・環境裁判所の審査結果等や立地自治体の施設の受入れの承認結果に基づき、環境法典上の許可発給の可能性を示す。そのうえで土地・環境裁判所が、環境法典に基づく許可の条件を決定し許可を発給する。

スウェーデンの地層処分場の許可手続き

スウェーデンの地層処分場の許可手続き

■土地・環境裁判所の許可

土地・環境裁判所による今回の許可の条件では、環境への影響を低減することを目的とし、騒音、地下水位の低下、排水などに対する基準や措置が示されている。また、いくつかの条件は、処分場立地地域の保護種や自然地域を保護する目的のものも含まれている。さらに、SKB社は、将来世代や処分場閉鎖後のモニタリングのための情報を提供するため、環境モニタリングを行わなくてはならないことが許可条件に含まれている。

また、今回の許可には執行命令が付されており、万一、今回の土地・環境裁判所の許可発給に関して上訴された場合でも、SKB社は作業を開始することができることとなっている。今後、ウプサラ県域執行機関1 がSKB社の環境管理プログラムを承認すれば、SKB社は、執行命令の範囲内で処分場建設のための地上での準備作業を開始することができる。また、使用済燃料処分場が建設されるフォルスマルクサイトでは、森林の伐採、敷地造成作業、掘削土保管場所の建設、フォルスマルク原子力発電所の冷却水取水路をまたぐ道路橋の敷設、地下湧水の処理施設の設置などが開始できることになる。

■今後のプロセス

今後、SSMにより、使用済燃料のキャニスタ封入施設及び処分場の建設に向けた条件が決定されることとなっている。また、SKB社が、実際の処分場の掘削作業を開始するためには、2011年の立地・建設許可申請以降の進展を反映した安全解析書(SAR)の承認をSSMから受ける必要がある。SKB社は、キャニスタ封入施設及び使用済燃料処分場は2030年代半ばに操業する予定と計画している。

【出典】

  1. 国の地方出先機関の一つであり、使用済燃料処分場の建設予定地フォルスマルクがあるエストハンマル自治体を含むウプサラ県域を管轄しており、環境法典の許可に基づく活動の監視責任を有している。 []

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2024-10-29 )