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《スウェーデン》SKB社がフォルスマルクでの使用済燃料処分場の立地・建設許可を申請

スウェーデンの放射性廃棄物処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2011年3月16日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書を放射線安全機関(SSM)及び環境裁判所に提出したことを公表した。

SKB社は、スウェーデンで発生する使用済燃料を銅製キャニスタに封入し、地下約500mの結晶質岩に掘削した処分孔内に、ベントナイト製の緩衝材でキャニスタを取り囲むようにして定置する方針である。この処分概念はKBS-3概念と呼ばれている。処分場の建設予定地は、首都ストックホルムから約170km北方、バルト海に面したエストハンマル自治体のフォルスマルクである。SKB社の計画では、既に運転を停止した原子炉2基、並びに運転中の原子炉10基が廃止されるまでに発生すると見込まれる約12,000トン(ウラン換算)の使用済燃料を約6,000体のキャニスタに封入して処分することになっている

使用済燃料を銅製キャニスタに封入する施設は、1985年から操業している集中中間貯蔵施設CLABに隣接して建設し、CLINKと呼ぶ一体の施設として操業する計画である。CLABは、ストックホルムの南方230kmのオスカーシャム自治体にある。SKB社は、2006年11月にオスカーシャム自治体でのキャニスタ封入施設の建設許可申請書をSSMに提出していた

SKB社はプレスリリースにおいて、使用済燃料のキャニスタへの封入、キャニスタの輸送、処分場への定置までの全体をカバーする処分システムに関するSKB社の提案内容は、使用済燃料から現在及び将来にわたり、公衆及び環境を保護するという要件を満たすものであり、同社が30年以上の研究を費やすことにより、安全な処分方法の実施に向けた準備が整えたとしている。またSKB社は、放射性廃棄物を最新の知見及び技術によって取り扱うために、許可プロセスと並行して、研究開発を継続していくとしている。

今後のレビュープロセス

今回の使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書の提出により、SKB社が先に提出していたキャニスタ封入施設の建設許可申請書と合わせて、スウェーデンにおける使用済燃料の処分実現に向けてSKB社が提出する必要がある以下の3つの申請書が出そろったことになる。

  1. オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書(2006年11月にSSMに提出済)
  2. フォルスマルクにおける使用済燃料処分場の建設許可申請書(2011年3月16日にSSMに提出)
  3. 使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書(2011年3月16日に環境裁判所に提出)

最初の2つの申請書は原子力活動法に基づく申請書であり、SSMが審査する。3番目の申請書は環境法典に基づく申請書であり、環境裁判所で審理される。SSM及び環境裁判所は、いずれもSKB社からの申請書提出を受けたことを同日公告した。

SSMのWebサイトにあるレビュープロセスの解説によれば、申請書類の審査後に正式に受理され、SSMは原子力活動法に基づく審査を開始し、環境裁判所は環境法典に基づく審理を開始する。それらの結果が政府に報告された後、原子力活動法と環境法典に基づく許可発給は政府が行うことになっている。

SKB社は、SSMと環境裁判所におけるレビュー結果が肯定的なものであった場合、早ければ2015年から処分場の建設を開始できるとしている。その場合、処分場での使用済燃料の処分開始は2025年頃となる見通しである

【出典】

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )