スウェーデンの放射性廃棄物処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は9月30日付けプレスリリースにおいて、「放射性廃棄物の管理及び処分方法に関する研究開発実証プログラム2010」(RD&Dプログラム2010)を取りまとめ、2010年9月30日に放射線安全機関(SSM)に提出したことを公表した。SKB社は、フォルスマルクでの使用済燃料処分場の立地・建設許可申請を2011年3月に提出する予定としている。
RD&Dプログラムとは、使用済燃料を含む放射性廃棄物の安全な管理・処分、及び原子力施設の廃止措置に関する包括的な研究開発などの計画を、原子力活動法に基づいて原子力発電事業者が3年毎に策定するよう義務づけられているものである。SKB社は、原子力発電事業者4社の委託を受けて同プログラムの取りまとめを行っている。同プログラムは、安全規制機関である放射線安全機関(SSM)のほか、原子力廃棄物評議会などによるレビューを経た後、政府によって最終的な判断が行われる。
同プレスリリースによると、RD&Dプログラム2010は、SKB社が行っている研究及び技術開発のすべての分野を対象として、現状と今後の計画を体系的に評価した結果の報告を含んでいる。SKB社は、現在までに開発された安全評価手法により、規制機関が定めている安全要件を満たすことを立証できるとしている。さらに、RD&Dプログラム2010で示した今後の活動は、地層処分場の長期的な自然の変化を理解することに焦点を当てたものとなっていると紹介している。
SKB社は、使用済燃料処分場の立地・建設許可申請を2011年3月に放射線安全機関(SSM)及び環境裁判所1 に提出する予定であり、立地・建設許可申請の審査・審理結果が肯定的なものであった場合、処分場の建設を2015年に開始できるとしている。その場合、処分場の操業開始は2025年となる見通しである。
また、同プレスレリリースにおいてSKB社は、フォルスマルクで1988年から操業されている短寿命低中レベル放射性廃棄物の処分場(SFR)の拡張計画にも触れている。SKB社は、SFRの処分容量を拡張する申請を2013年までに提出する予定である。SFR処分場の拡張部分の操業開始は、2020年となる見通しである。
【出典】
- スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)2010年9月30日付プレスリリース、
http://www.skb.se/Templates/Standard____29893.aspx
(英語版、http://www.skb.se/Templates/Standard____29896.aspx)
- スウェーデンでは、放射性廃棄物の処分場の建設には、原子力活動法と環境法典の二つの法律に基づく許可が必要となっている。環境法典に基づく許可(環境に影響を与える活動の許可)の審査は、環境裁判所で行われる。環境裁判所は、通常の地方裁判所から政令で指定される。処分場建設予定地の選定が司法機関である環境裁判所で審理される点は、スウェーデンにおけるサイト選定の特徴となっている。 [↩]
(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-11 )