米国の核燃料サイクルのバックエンド政策の包括的な評価を行う「米国の原子力の将来に関するブルーリボン委員会」(以下「ブルーリボン委員会」という)は、2011年3月25日、ブルーリボン委員会がこれまでに受けた証言やコメントの主要な論点を取りまとめた報告書(以下「証言等報告書」という)を公表した。証言等報告書は、ブルーリボン委員会が事務局に対して作成を指示したものであり、ブルーリボン委員会の設置から1年半以内にエネルギー長官に対してドラフト報告書の提出を行うこととされているが、ドラフト報告書を検討する上で、ステークホルダや公衆の主要な懸案事項を認識していることを確認するためのものとしている。
ブルーリボン委員会は、証言等報告書の公表により、以下のことを期待しているとしている。
- これまでにブルーリボン委員会に対して意見を表明した個人や組織に対して、主要な主張が理解されているかを確認する。また、反映されていない点を主張する機会を与える。
- ブルーリボン委員会の活動に関心を有しているが、これまでに意見などを表明していない個人や組織に対して、見落とされている課題として、ブルーリボン委員会がエネルギー長官への報告を準備する際に考慮すべきと考えられる点を提起する機会を与える。
証言等報告書では、以下の7つのテーマごとに、ブルーリボン委員会がこれまでに聴取した主な論点が示されている。
- 計画のガバナンス・実施
- 放射性廃棄物の拠出金及び基金
- サイト選定のアプローチ
- 原子炉及び核燃料サイクルの技術
- 高レベル放射性廃棄物の輸送
- 使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の貯蔵
- 高レベル放射性廃棄物の処分システム
主な論点のうち、サイト選定のアプローチに関しては、サイト選定プロセスにおいて信頼の構築、詳しい説明による合意形成、地域社会の関与が強調されるべきであり、これらはサイト選定だけでなく、貯蔵及び処分施設の建設、操業においても強調されるべきものであるなどの証言があったとされている。また、高レベル放射性廃棄物の処分システムに関しては、使用されている原子炉や核燃料サイクル技術によらず、特定の放射性廃棄物は長期的な隔離が必要であることが、米国だけでなく、国際的にコンセンサスが得られている考え方であるといった意見があったとされている。
今後、証言等報告書及び報告書に対して寄せられた意見は、ブルーリボン委員会がエネルギー長官への勧告案を策定するに当たってオプションの精査を行うために活用するとしている。
【出典】
(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-11 )