スウェーデンの使用済燃料処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2006年11月8日付のプレスリリースにおいて、使用済燃料のキャニスタ封入施設の許可申請書を原子力発電検査機関(SKI)に提出したことを公表した。同プレスリリースによると、キャニスタ封入施設はオスカーシャム自治体において操業中の使用済燃料の中間貯蔵施設(CLAB)に隣接して建設され、最終的には両施設が連携して操業されることになる。
スウェーデンでは、使用済燃料は銅製のキャニスタに封入され、地下約500メートルの母岩中にベントナイトを緩衝材として処分するKBS-3概念と呼ばれる方法が採用されることになっている。同プレスリリースによると、今回の許可申請は、30年にも及ぶ体系的な研究及び技術開発に基づいて行われたものであり、使用済燃料のキャニスタ封入施設1 は、このKBS-3概念に基づく使用済燃料の安全な処分に向けた第一歩と位置づけられている。また、同施設では使用済燃料の封入に関して、キャニスタ本体と蓋の溶接方法などについて、先進技術を採用することにしている 。
同プレスリリースによると、SKB社は今回の使用済燃料のキャニスタ封入施設の建設許可申請に対する規制当局や政府の原子力活動法に基づく最終的な決定は、使用済燃料の最終処分施設に関する許可申請が提出される予定の2009年以降になるとの見通しを示している。
なお、原子力発電検査機関(SKI)も2006年11月8日付のプレスリリースにおいて、SKB社の使用済燃料のキャニスタ封入施設の許可申請書の提出について発表した。SKIのプレスリリースでは、使用済燃料のキャニスタ封入施設と最終処分施設はともにKBS-3概念を構成する施設であり、SKIは両施設の審査プロセスを調整して進めることとしている。SKIのプレスリリースによると、SKIは、二つの施設に関する許可申請の審査を行い、2012年頃に政府に対して見解を報告する予定である。その後、政府によって二つの施設に関する決定が行われることになる。
【2007年1月5日追記】
2007年1月4日、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)はプレスリリースにおいて、使用済燃料集中中間貯蔵施設(CLAB)の操業を、OKG社への外部委託の形態から、SKB社の直接実施形態へと引き継いだことを発表した。CLABはOKG社が操業するオスカーシャム原子力発電所の近隣に建設され、1985年から操業されている。SKB社はCLABの操業をOKG社に委託していたが、CLABに隣接してキャニスタ封入施設を建設して両施設を一体的に操業する計画であることから、CLABの操業をSKB社が直接的に行うこととした。
なお、SKB社ウェブサイトによると、キャニスタ封入施設の操業開始は2018年頃とされている。
【出典】
- スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)2006年11月8日付けプレスリリース、http://www.skb.se /FileOrganizer/Pressrum/Pressmeddelanden%202006/Press%20release%20INKA.pdf
- 原子力発電検査機関(SKI)2006年11月8日付けプレスリリース、http://www.ski.se/extra/tools/parser /index.cgi?url=/html/parse/index.html&selected=6&mainurl=http://www.ski.se/extra/news/%3Fmodule_instance%3D2/page/1/26.html%3F31118
- キャニスタ封入施設では、使用済燃料は乾燥後に銅製キャニスタに納められる。使用済燃料を納めたキャニスタには蓋が取り付けられ、均質な物質として一体化させるため「摩擦攪拌溶接」(Friction Stir Welding, FSW)と呼ばれる方法によって溶接される。蓋とキャニスタの溶接部分は、X線撮影及び超音波による非破壊試験により検査される。使用済燃料を封入したキャニスタは輸送用容器に納め、処分施設に輸送されることになる。 [↩]
(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-10 )