スウェーデンの使用済燃料処分の実施主体であるスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は、2006年11月1日付のプレスリリースにおいて、使用済燃料の最終処分場候補地選定に向けてサイト調査が実施されているエストハンマル自治体のフォルスマルク地区及びオスカーシャム自治体のオスカーシャム地区について、長期的安全性を検討するための予備的安全評価書(SR-Can)1 を原子力発電検査機関(SKI)に提出したことを発表した。また、それと同時に、フォルスマルク及びオスカーシャムでのサイト調査 による母岩の調査結果は有望であるが、SKB社が規制要件に適合するかどうかについて決定可能とするまでには、さらにデータを収集し解析する必要があるとの見解を示している。両サイトからの追加データを反映した最終的な安全評価書は2009年に提出される予定とされている。
スウェーデンでは、使用済燃料を銅製キャニスタに封入し、処分場の地下約500メートルに建設される施設内で、母岩中にベントナイトを緩衝材として定置とする。同プレスリリースによると、この銅製キャニスタに関する重要な課題については、今回の予備的安全評価書の中で明らかにされたとしている。SKB社は2005年に、使用済燃料を封入するキャニスタの溶接方法として「摩擦攪拌溶接」(Friction Stir Welding, FSW)を採用とすることを公表しているが 、この方法が期待通りに機能することが確かめられたほか、キャニスタが将来、氷期によって生じ得る大きな圧力に耐えることが確認されたとしている。
また、同プレスリリースでは、今回の予備的安全評価書で示された最終処分場の安全性をさらに向上させる可能性のある研究分野として、使用済燃料からの熱が母岩に与える影響、及びキャニスタを取り巻くベントナイトの長期的な挙動を挙げている。
同プレスリリースでは、今回の予備的安全評価は、フォルスマルク及びオスカーシャムの両サイトについて、限られた量のデータによってなされたものであり、特に、オスカーシャム自治体については、現在の調査地区と隣接したラクセマル地域について追加的なサイト調査データが必要であるとしている。
同プレスリリースでは、今回の予備的安全評価は、2009年に予定されている最終処分場の許可申請の際の最終安全評価書の提出に先立って、安全評価方法を最終化するための基礎をとりまとめることを主要な目的としたものとしている。
なお、使用済燃料を銅製キャニスタに封入するキャニスタ封入施設の許可申請は2006年に提出される予定とされていたが 、同プレスリリースでは、翌週(注:2006年11月6日の週)に提出される予定であるとしている。この許可申請によって、約30年間の研究、開発及び科学的基盤に基づくレビューを経て、使用済燃料の最終処分に向けた許可の動きが開始されることになる。
【出典】
- スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)2006年11月1日付けプレスリリース、http://www.skb.se/FileOrganizer/Pressrum/Pressmeddelanden%202006/Press%20release_061101.pdf
- SKB TR-06-09, Long-term safety for KBS-3 repositories at Forsmark and Laxemar – a first evaluation, Main Report of the SR-Can project. October 2006 [↩]
(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-10 )