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《スウェーデン》最終処分場候補地選定に向けたサイト調査の現状

2004年4月23日、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)はウェブサイト上で使用済燃料の最終処分場候補地を選定するためのサイト調査の現状についてのニュースリリースを公表した。スウェーデンでは、ボーリング調査をはじめとしたサイト調査が、フィージビリティ調査等の結果選定されたフォルスマルクとオスカーシャムの2つのサイトで2002年から行われている。 このニュースリリースによると、フォルスマルクでは、5番目のサイトでのボーリングが終了し、岩盤などが良好な状態であることがわかったとされている。また、オスカーシャムではこれまで、地表調査により、岩盤の電気的、磁気的特性が調査された。また、ボーリングによる岩盤調査も計画されている。更に、両サイトでは、動植物の生息調査などが開始されている。今後も両サイトにおいて、サイト調査が更に継続される予定である。以下にニュースリリースに示されたサイト調査内容の概要を示す。

フォルスマルクサイト

フォルスマルクでは第5ボーリングサイトでのコアボーリングが終了されようとしている。ボーリング孔は1,000mに達し、割れ目の少ない岩盤であることが確認された。また、地下100m以下では、地下水の流入、大きな割れ目の層がほとんどないことも確認された。
一方、野外での生物調査も行われている。夜行性鳥類、キツツキ、海鳥などの鳥類と魚類の調査が進行中である。これらの調査のほかに、哺乳類の調査も行われている。
今後のサイト調査の予定としては、6番目のコアボーリング孔の掘削が数週間以内に開始される。7、8番目のボーリング孔の掘削も計画されている。これらのボーリングサイトはフォルスマルクの工業地域内に設置される予定で、その目的は、質のよい岩盤がどれだけ発電所の方向に存在しているのかを調べるためである。また、野外での調査も継続される。鳥類と魚類に加えて、植物現存量の調査も行われる。更にフォルスマルク近海で海流の速度と方向、水温と塩分などの調査をする準備がなされている。

オスカーシャムサイト

オスカーシャムではボーリング孔を掘削し、岩盤と地下水を調査することが計画されている。これとは別に、2002年の初秋には、ヘリコプターで空中からの調査が行われており、調査サイト上空を低空で飛行し、岩盤の電気的、磁気的特性が測定されている。
野外調査に関しては、生物学者および生態学者が、この地域の鳥類および植生調査を開始した。また、2003年1月初旬に、ヘリコプターでの哺乳類調査が行われた。この調査は冬から春にかけて引き続き行われる。更に地元のヘラジカハンターの協力で、ヘラジカ個体群の年齢分布や繁殖についての情報が得られた。
SKBは、オスカーシャムサイト調査地域とその近辺に住む人々が多くの情報を得られることは非常に重要なこととしており、シンペルバルプ半島にあるSKBの施設やボーリング調査を関心のある人々に進んで公開してゆく予定である。また、学校、企業やその他の組織を訪問し、SKBの活動について対話を進めてゆきたいとのことである。

なお、スウェーデンでは、2007年頃にサイト調査などの結果により、処分サイトが1ヶ所選定され、処分場立地・詳細特性調査・建設の許可申請(詳細は こちら)がなされることとなっている。その後、2023年頃から、本格操業が開始される予定である。

【出典】

  • SKBニュースリリース
    http://www.skb.se/templates/SKBPage____9450.aspx
    http://www.skb.se/templates/SKBPage____8748.aspx 、(2004年5月21日)
  • RD&D-Programme 2001. Programme for research, development and demonstration of methods for the management and disposal of nuclear waste, SKB, 2001

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )