英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、2006年10月25日付けのプレスリリースで、環境大臣が高レベル放射性廃棄物等の長期管理に関する計画について、議会で見解を公表したことを報じるとともに、同日付けで15の勧告に対する政府の回答書がDEFRAのウェブサイト上で公開された。今回の見解の公表は、2006年7月31日に放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が政府に対して行った放射性廃棄物の長期管理に関する勧告に対する政府の回答としてなされたものである。
同プレスリリースによると、政府は、原子力発電をはじめ、医療、産業、軍事利用、学術研究などによって発生する廃棄物を含む放射能レベルの高い廃棄物の長期管理方法について、2006年7月31日に報告された放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の勧告を基本的に受け入れたとしている。政府は、安全性及び公衆と環境の防護の点で最も良いオプションとして提案された地層処分を行うこと、地層処分場が設置されるまでは、安全で信頼性の高い中間貯蔵が必要であるとしている。
同プレスリリースでは、地層処分の計画及び開発については、以下の4点に基づくことが示されている。
- 原子力廃止措置機関(NDA)を実施主体とする。
- 保健安全執行部(HSE)、イングランドとウェールズの環境規制機関(EA)、民間原子力安全保障局(OCNS)が独立した規制を行う。
- 政府に対して独立した立場で助言を行う、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の後継機関を設置する。
- 処分場について、候補自治体との間に、透明性を確保し、開かれたパートナーシップを構築する。
同プレスリリースでは、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の後継機関となる独立諮問委員会には、放射性廃棄物の長期管理計画に関する助言を行うことが求められており、CoRWMの名前を引き継ぐが、新たな役割に応じた再編を行うとしている。さらにNirex社については、その能力及び知的財産を維持・活用するために、原子力廃止措置機関(NDA)に吸収させ、組織としては解散させることが提案されている。
また、同プレスリリースによると、環境大臣は、放射性廃棄物をいかなる地域社会にも押しつけず、サイト選定は、公衆、ステークホルダー、専門家及び地域社会に適切な機会を与え、当初から透明性を確保し、開かれた方法で行うと述べている。また、処分場の建設に当たっては、地質学的な観点からだけでなく、科学的及びその他の社会的な観点にも配慮するとしている。さらに、政府はパートナーシップの仕組みをいかに実質的に機能させるかについて、ステークホルダーと話し合いを行うとし、参加を望む全ての地方自治体などを関与させるとしている。
なお、今回の政府の管理方針の決定によって、政府が設定した管理オプションの検討についての協議プロセスの第2段階が終了することになる 。第3段階を含む今後の予定については、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のウェブサイトで公開された政府の回答書では以下のように示されている。
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【出典】
- 環境・食糧・農村地域省 (DEFRA)、2006年10月25日付けプレスリリース、
(http://www.defra.gov.uk/news/2006/061025b.htm) - Response to the Report and Recommendations from the Committee on Radioactive Waste Management (CoRWM), By the UK Government and the devolved administrations.
(http://www.defra.gov.uk/environment/radioactivity/waste/pdf/corwm- govresponse.pdf)
【2006年12月4日追記】
2006年11月30日、原子力廃止措置機関(NDA)及びNirex社はそれぞれのプレスリリースにおいて、現在、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)と貿易産業省(DTI)が共同で所有するNirex社の所有権株をNDAに移すことについて、政府が確認したことを報じた。NDAが2006年12月1日に公表した資料によると、NDAは統合に向けたNirex社のスタッフとの協議を2006年末に開始し、2007年の春には統合の上、Nirex社が正式に解散される予定となっている。また、2007年に処分の実施手続の枠組み及び地層処分実施計画の概要に関する公衆協議が実施され、2008年末にはNDAが処分に関する新たな実施請負者を指名するとの見通しを示している。
(post by 原環センター , last modified: 2013-07-03 )