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《英国》放射性廃棄物管理に関する次なる協議段階へ- 環境・食糧・農村地域省が発表

2002年7月29日、英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、放射性廃棄物の管理に関する次の協議段階についての発表を行った。これは、2001年9月の英国政府とスコットランド、ウェールズ、北アイルランド行政府による「放射性廃棄物管理に関する協議文書」の発表以降、半年間にわたって行われてきた協議が今年3月12日に終了し、その協議報告書「放射性廃棄物管理に関する協議文書:協議文書への見解の概要、2001年9月~2002年3月」が出されたことを受けたものである。なお、管理対象となっている廃棄物は、固体の長寿命放射性廃棄物で、現在貯蔵中のものが1万トン以上、将来の発生が50万トンと見込まれる廃棄物である。

環境・食糧・農村地域省は、まず、放射性廃棄物管理方法のレビュー・プロセス(検討経緯)を監督するための独立の組織を2002年の末までに設立するとしている。このレビュー・プロセスにおいては、利害関係者、公衆、そして政府各省庁の見解を求めることになる。

上記の新しい組織は、公衆の信用を勝ち得ることができ、開かれた、透明性のある包括的な方法で運営されるべきであるとされている。また、レビューは利害関係者や公衆が関与した形で行われなければならないとされている。レビューの第1ステップは、対象となる廃棄物、各廃棄物の管理方法、それぞれの管理方法が評価されるべき基準について、広く合意を得ることによって、議論のための枠組みを設定することである。続く第2ステップは、今後必要とされる新しい研究の提示も含めて、それぞれの管理方法についての評価を行うことである。最終ステップでは、関係大臣への勧告を作成するとされている。

また、「放射性廃棄物管理に関する協議文書」で示された5つの段階の協議プロセスについては、これまでの協議で得られた様々な見解と研究の結果を考慮して、以下のような4つの段階からなるプロセスに修正されている。その第1段階は「放射性廃棄物管理に関する協議文書」の発表と協議であり、次の第2段階は、今回発表された新しい独立組織の設立によって始まる。この第2段階では、管理方法のレビューが行われ、政府決定の発表と説明がなされるまで続けられる。第3段階は、2006年頃となる見通しで、サイト選定基準を含む、政府決定が実行される方法についての公開討論がなされる。最後の第4段階は、2007年頃になり、必要な法整備をも含めた実行プロセスが開始される。

さらに今回の発表では、廃棄物管理方法の評価において、現在廃棄物として区分されているものだけでなく、使用済燃料と分離されたプルトニウムやウランも含まれるとしており、長期間において廃棄物として管理される可能性のあるその他の物質も対象とすることが重要であると明言されている。

今後の予定として、2002年の夏から秋にかけて、新しい独立組織とその権限、第2段階についてのより詳細な提案等が発表されることとなっている。

【出典】

  • 英国環境・食糧・農村地域省プレスリリース (http://www.defra.gov.uk/news/2002/020729c.htm)
  • 英国環境・食糧・農村地域相の議会への書簡 (http://www.defra.gov.uk/environment/radioactivity/waste/pdf/radwaste_sofs-letter.pdf)
  • 「放射性廃棄物管理に関する協議文書:協議文書への見解の概要、2001年9月~2002年3月」 (http://www.defra.gov.uk/environment/radioactivity/waste/pdf/radwaste_response-summary.pdf)

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )