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§ 2018年1月25日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

スウェーデンで放射線安全機関(SSM)と土地・環境裁判所が使用済燃料最終処分場及びキャニスタ封入施設の建設許可申請に関する政府への意見書を提出

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等に関して、環境法典に基づく審理を実施していた土地・環境裁判所及び原子力活動法に基づく審査を行っていた放射線安全機関(SSM)は、2018年1月23日に、それぞれの意見書を政府に提出した。このうち、土地・環境裁判所は、フォルスマルクに立地する使用済燃料処分場に対して、政府が環境法典に基づく許可の発給が可能となる条件が整うためには、使用済燃料を封入するキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明が必要であるとした意見書を政府に提出した。また、土地・環境裁判所は、キャニスタ封入施設に関しては環境法典に基づく許可発給が可能な条件は整っていると結論している。一方、SSMは、政府が原子力活動法に基づく許可を発給する際には、処分場の建設開始に先立ち、SKB社が処分場の様々な活動時期と閉鎖後の両方の期間における安全性を統合的に扱った安全解析書(SAR)を取りまとめ、SSMの審査・承認を受けることを条件とすべきであるとした意見書を提出した。今後、政府は、両方の意見書を踏まえて、SKB社が申請した処分事業が許可可能であるかの判断を行うことになる。

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設のイメージ(SKB社提供)

SKB社は、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念による使用済燃料の最終処分の実現に向け、2006年11月に、オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書を提出し  、その後、2011年3月にフォルスマルクにおける使用済燃料処分場の立地・建設許可申請書を提出した 。これまで、スウェーデンにおける使用済燃料処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請では、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められてきた(下記の囲みを参照)。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請

放射線安全機関(SSM)の意見書

スウェーデンにおける原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、政府に提出した意見書において、SKB社の申請書に対する審査結果として、SKB社は使用済燃料を安全に処分するという原子力活動法の要求を実現する能力を有していると評価した上で、フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場、及びオスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設を許可するよう勧告するとしている。また、原子力活動法に基づく段階的な許可プロセスのもとで、SKB社は今後、処分場の安全解析書(SAR)を取りまとめ、処分場及び関連施設を現実のものとする努力を続けることになるが、SKB社はそれらを達成する能力を備えていることを立証したとSSMは評価した。SSMは、処分場の建設、試験操業及び通常操業のそれぞれの開始に先立ち、処分場の安全性を最新の知見に基づいて精査可能とするために、SKB社が安全解析書(SAR)をSSMに提出し、承認を受けることを条件とする旨を許可条件に記載すべきとしている。

土地・環境裁判所の意見書

環境法典に基づいてSKB社が申請した使用済燃料の処分事業については、その方法及び関連施設の立地選定に関する許可判断は政府が行うことになっている。土地・環境裁判所は、申請案件についての環境法典に基づく許可発給が可能であるかに関する意見書を政府に提出することになっている。その意見書を受けて、政府が許可発給可能と判断した場合には、申請案件の審理が土地・環境裁判所に戻され、処分事業に関する許可及びその条件に関する審理が継続される。

土地・環境裁判所は、SKB社による立証は信頼に足るものであると評価しつつも、使用済燃料を閉じ込める銅製キャニスタの腐食や機械的強度に影響を与えるプロセスの影響の大きさに関する説明が不十分であり、現時点において提示されている安全解析の結果に基づいて、最終処分場が長期安全性を有しているという結論を導き出すことはできないと判断した。このため、土地・環境裁判所は政府への意見書において、SKB社が申請する処分事業に対する許可発給の可能性に関しては、今後、キャニスタの耐久性能を考慮に入れた形で処分場の安全性を立証する追加資料がSKB社から提出される場合に限り、政府が環境法典に基づく処分場の許可を発給することが可能になるとの結論を示した。

また、土地・環境裁判所は、現行の環境法典に基づく許可の取得者に対して、許可条件において別途指定されない限り、当該活動に対する責任が無期限に負わされている問題に言及している。土地・環境裁判所は、2017年9月から10月にかけて開催した口頭弁論において、エストハンマル自治体が最終的な責任を負うことに対して反対している事実を挙げ、最終処分場に関して国が最終手的な責任を負うとした場合でも、処分場の閉鎖後における責任の所在を予め明確にする必要性を指摘している。また、土地・環境裁判所は、今後SKB社が追加資料を提出することによって処分事業に対する許可発給が可能となる条件が整うのに先立ち、政府は環境法典において放射線安全機関(SSM)に対して、より強い権限を与えることを含め、いくつかの法改正を行うことを検討すべきであると勧告している。

今後の進捗

環境法典の規定に基づき、政府が許可発給に関する決定を行う前には、使用済燃料処分場の立地予定地があるフォルスマルクがあるエストハンマル自治体と、キャニスタ封入施設を建設予定地があるオスカーシャム自治体の議会がその受け入れを承認していることが条件となっている。エストハンマル自治体は、2017年4月に、自治体としての判断を行う際の参考とするため、2018年3月4日に住民投票を行うことを決定している 。使用済燃料の処分事業の実施可否は、放射線安全機関(SSM)及び土地・環境裁判所の意見書や地元自治体の受け入れ意思の確認を踏まえて、最終的に政府が判断することになる 。

なお、土地・環境裁判所及びSSMの意見書の公表を受けてSKB社は、2018年1月23日のプレスリリースにおいて、SSMが処分場の建設の開始に先立って提出するように求めている安全解析書(SAR)等の追加資料をSKB社が提出した時点で、政府が環境法典に基づく許可を発給できる条件が整うという認識を表明している。

【出典】

 

【2018年2月22日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)は2018年2月21日付のプレスリリースにおいて、政府による環境法典に基づく許可発給が可能となるための条件として土地・環境裁判所が提示したキャニスタの長期閉じ込め能力に関する補足説明について、2018年内に作成できるとの見通しを示した。SKB社によれば、現状、土地・環境裁判所の意見書を受けた政府(環境省)からの対応指示を受けていないものの、SKB社は補足説明の作成に自主的に先行して取り組んでいるとのことである。土地・環境裁判所が補足説明の必要性を指摘したのは、具体的には以下の5点である。

  • 無酸素水との反応による腐食
  • 硫化物との反応による孔食(熱水効果〔塩濃縮〕の影響の考慮を含む)
  • 硫化物との反応による応力腐食(熱水効果の影響の考慮を含む)
  • 水素脆化
  • 放射線照射が孔食、応力腐食及び水素脆化に及ぼす影響

SKB社は、これらの銅製キャニスタの腐食に関する問題は既に数年にわたって取り組んでいるものであり、また、いくつかの点については規制当局である放射線安全機関(SSM)に提出予定の報告書において対応するために詳細調査を実施中であると説明している。

また、土地・環境裁判所は、2018年1月23日に提出した政府への意見書において、政府による環境法典に基づく許可発給が可能となるための条件として、最終処分施設の長期における責任の所在を明確にする必要性も指摘している。最終処分場の建設予定地があるエストハンマル自治体は、最終的な責任を負うことに反対している。エストハンマル自治体は、今後の許可プロセスの先行きが不透明になったことを受け、2018年1月30日の自治体議会において、自治体としての判断を行う際の参考とするために予定していた2018年3月4日の住民投票を中止することを決定している。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に縦置きに定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様な概念を採用している。 []

(post by sahara.satoshi , last modified: 2018-02-22 )