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§ 2017年7月6日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

スウェーデンで使用済燃料最終処分場の建設許可申請に関する土地・環境裁判所の口頭弁論が2017年9月に開催予定

スウェーデンにおける使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書の審理を行っているナッカ土地・環境裁判所(所在地 ストックホルム)は、2017年7月4日に、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書について、主要審理プロセスとなる口頭弁論を2017年9月5日から10月27日までの間の計22日で開催する旨の公告を行った。

図 フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

フォルスマルクに建設予定の使用済燃料処分場のイメージ(SKB社提供)

SKB社は、KBS-3概念1 と呼ばれる処分概念を採用した使用済燃料の最終処分の実現に向け、2006年11月にはオスカーシャム自治体でのキャニスタ封入施設の建設許可申請書を、2011年3月にはエストハンマル自治体のフォルスマルクにおける使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書を提出した 。現在、スウェーデンでは、使用済燃料最終処分場及びキャニスタ封入施設に関する許可申請として、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく3つの申請書の審査が並行して進められている(下記の囲みを参照)。

※使用済燃料処分場の実現に向けて審査中の申請書

①オスカーシャムにおけるキャニスタ封入施設の建設許可申請書
(2006年11月にSSMに提出、2011年3月16日更新)…原子力活動法に基づく申請
②フォルスマルクにおける使用済燃料の処分場の立地・建設許可申請書
(2011年3月16日にSSMに提出)…原子力活動法に基づく申請
③使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請書
(2011年3月16日に土地・環境裁判所に提出)…環境法典に基づく申請
口頭弁論カレンダ

口頭弁論カレンダ

今回、2017年9月に開催される口頭弁論は、環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る許可申請(上記囲みの③)の審理のために実施されるものである。口頭弁論のスケジュールについては、2017年9月5日から14日までの期間(8日間)はストックホルムで開催され、2017年10月2日から6日の期間(5日間)はオスカーシャム自治体において、2017年10月9日から13日の期間(5日間)はエストハンマル自治体で開催される。その後、2017年10月23日から27日までの期間(4日間)は再度、ストックホルムにおいて総括の意見陳述が行われる予定である。口頭弁論の結果に基づいて土地・環境裁判所は、SKB社が申請する処分事業を認めるか否かに関する意見書を政府に提出することになる。

口頭弁論の開催に先立って土地・環境裁判所は、SKB社が計画する処分事業に関係する規制・行政機関、地方自治体、環境団体などから意見書を収集している。このうち、原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、2016年6月に、SKB社は安全要件を遵守して処分場を建設する能力を有しているとする意見書を土地・環境裁判所に提出している

SKB社の処分事業に関しては、原子力活動法に基づく放射線安全機関(SSM)による審査も並行して行われている(上記囲みの①②)。SSMも政府に対して意見書を提出することになっており、土地・環境裁判所が政府に意見書を提出するのと同時期になるよう調整が図られることになっている。

土地・環境裁判所と放射線安全機関(SSM)から政府への意見書が提出された後、政府が判断を行うには、環境法典の規定により、地元のエストハンマル自治体とオスカーシャム自治体の議会がSKB社の計画する処分事業を承認していることが条件となっている。使用済燃料の処分場が立地されるフォルスマルクがあるエストハンマル自治体は、2017年4月に、自治体としての判断を行う際の参考とするため、住民投票を2018年3月4日に行うことを決定している。使用済燃料の処分事業の実施可否は、SSM及び土地・環境裁判所の意見書や自治体の承認を踏まえて、最終的に政府が判断することになる

【出典】

【2017年9月21日追記】

スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)が2011年3月に提出した環境法典に基づく申請書について、主要審理プロセスとなる口頭弁論が2017年9月5日から開始された。口頭弁論はのべ5週間にわたって開催されるが、ストックホルムで開催される前半の第2週目までの日程が2017年9月14日に終了した。次の口頭弁論は会場を移し、2017年10月2日からオスカーシャム自治体で、2017年10月9日からエストハンマル自治体で開催される。

ストックホルムで2017年9月5日から14日の期間に開催された口頭弁論は、ナッカ土地・環境裁判所の近くの会議場において公開形式で行われた。SKB社が申請している使用済燃料の処分方法、使用済燃料処分場などの関連施設の立地選定、処分場の閉鎖後の安全に関して、SKB社のほか、処分場建設予定地が所在するエストハンマル自治体、放射線安全機関(SSM)、環境団体などが意見陳述を行った。エストハンマル自治体は、使用済燃料処分場の受け入れに関する住民投票を2018年3月4日に実施する予定であり、今回の口頭弁論においては正式な意思表示を行わないことを説明した。

SKB社は、2017年9月8日付け及び9月15日付けのプレスリリースにおいて、2017年9月5日から14日の期間での口頭弁論の概要を以下のように紹介している。

開催日 概要
9月5日(火)
  • 使用済燃料の処分方法、使用済燃料処分場などの関連施設の立地選定に係る許可申請についてSKB社が意見陳述
  • 放射線安全機関(SSM)やその他の政府機関、オスカーシャム自治体はSKB社に賛成、環境保護団体は反対を表明。エストハンマル自治体は住民投票まで態度を保留
9月6日(水)
  • SKB社が使用済燃料の処分方法として申請したKBS-3概念やその他に研究した処分概念、サイト選定、閉鎖後の安全性、安全解析等について説明
9月7日(木)
  • SSMが、SKB社の処分概念やサイト選定、閉鎖後の安全性に対して実施した審査、及び同社が安全な処分システムを構築できるとした審査結果について説明
  • エストハンマル自治体が口頭弁論における同自治体の役割について説明
  • 複数の環境団体が、SKB社の処分方法やサイト選定、安全解析について意見陳述
9月8日(金)
  • 環境団体が、放射線、銅の腐食、深部における処分坑道等のテーマについて意見陳述し、SKB社に対して質問を提示
9月11日(月)
  • SKB社が無酸素環境における銅の腐食、沿岸部におけるサイトの選定、深部における処分坑道の掘削、放射線リスク等の質問に対して回答
  • ウプサラ大学が無酸素環境における銅の腐食に関する研究結果を提示
9月12日(火)
  • SKB社がベントナイト、緩衝材における亀裂、岩盤の圧力、地震、キャニスタの耐久性、閉鎖後の安全性等について説明
  • SKB社が使用済燃料処分場の立地選定について説明
9月13日(水)
  • SKB社がベントナイト、緩衝材における亀裂、岩盤の圧力、地震、キャニスタの耐久性、閉鎖後の安全性等について説明
  • SKB社が、フォルスマルクのバックグラウンド放射線量、地球潮汐、処分場閉鎖方法等の質問について回答
  • 処分場の閉鎖後の責任や環境影響評価手続についてSKB社等が説明
9月14日(木)
  • 土地・環境裁判所がSSMに対して、生物多様性や生態系に対する長期的な影響について質問
  • 土地・環境裁判所がSKB社に対して、原子力活動法と環境法典に基づき並行して進められている許認可手続きについて質問
  • SKB社が無酸素環境における銅の腐食への対応方法やそれが処分場の長期安全性に影響を与えないとする理由について説明

【出典】

 

【2017年10月20日追記】

スウェーデンにおける原子力安全・放射線防護の規制機関である放射線安全機関(SSM)は、2017年10月17日付のプレスリリースにおいて、スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)による環境法典に基づく使用済燃料の処分方法及び関連施設の立地選定に係る申請に関して、土地・環境裁判所が実施している口頭弁論におけるSSMの役割を示した。

SSMはプレスリリースにおいて、2017年10月23日からストックホルムで開催される口頭弁論でSSMは、SKB社が申請している使用済燃料の処分計画において現時点で残存している不確実性を概括的に説明した上で、このような不確実性を伴う処分計画を実施に移しうる理由を陳述することになるとの認識を明らかにした。また、SSMが土地・環境裁判所から意見陳述を求められている事項を以下のように説明している。

  1. 処分場閉鎖後の放射線安全に関して、環境法典(第2章第1条)において規定されている事業実施者の立証責任の裏付けはどのようにあるべきか。
  2. 上記との関連において、処分場閉鎖後の放射線安全の立証要件は、原子力安全と放射線防護に関してSSMが定めている規則とどのように関係しているのか。
  3. 環境法典に基づく許可と原子力活動法に基づく許可の関係性を踏まえた上で、環境法典に基づいて土地・環境裁判所が設定する許可条件において、放射線防護に係る許可条件を一定期間にわたって定めずにおく観察期間を設定することは適切かつ必要であるか否か。また、そのような観察期間を設定する場合、何を観察の対象とすべきか。さらに、観察期間において事業者から報告してもらう事項及びその継続期間の長さをどのように定めるべきか。
  4. 事業が許可された場合、原子力活動法による規制下においてSKB社は、今後も段階的に調査・試験を行って処分場に関する様々な立証活動を実施していく必要がある。そのような状況において、処分場に関する未解明の不確実性について、SSMが現時点において概括的に説明することが可能であるか否か。
  5. 不確実性が残存しているにもかかわらず、環境法典の下でSKB社が申請している事業活動を許可しうると判断する理由をSSMが説明できるか否か。

【出典】


  1. KBS-3概念とは、スウェーデンで開発された使用済燃料の処分概念であり、使用済燃料を銅製のキャニスタに封入し、処分坑道の床面に掘削した処分孔に定置して、キャニスタの周囲を緩衝材(ベントナイト)で囲うというもの。本概念を検討した報告書の略称に由来しており、フィンランドも同様の概念を採用している。 []

(post by sahara.satoshi , last modified: 2017-10-20 )