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フランス

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理に関する取組、研究・調査等の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第9回評価報告書を2015年6月18日にCNEウェブサイトで公表し、地層処分プロジェクトなどに対する見解を示した。

CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する研究・調査の進捗状況について、「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に定める基本方針を基準として毎年評価し、その結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。なお、前回の第8回報告書は、2014年6月10日に公表されている

CNEは、第9回評価報告書の「要約と結論」において、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発状況について、以下のような見解を示している。

  • ANDRAが地層処分場の設置許可申請を行う時期は、放射性廃棄物等管理計画法で定められた期限の2015年ではなく、2017年頃になる予定である。CNEとしては新たなスケジュールが遵守されることを期待する。
  • ANDRAは、高レベル放射性廃棄物の処分坑道において発熱性のある廃棄物パッケージの定置の最適化作業を進めており、その一環でカロボ・オックスフォーディアン粘土層の熱・水・応力(THM)挙動に関する研究を実施している。その結果を反映してANDRAは、地下施設の高レベル放射性廃棄物の処分区域のレイアウトを大きく変更した。処分場のTHM挙動を精緻に把握し、カロボ・オックスフォーディアン粘土層における熱応力破壊の範囲をより明確にするとともに、熱応力破壊に関する判断基準が満たされないことによる安全性への影響を評価するためには、さらなる調査・研究が必要である。
  • ANDRAは、廃棄物発生者と共同で策定する廃棄物管理産業プログラム(PIGD)1 で示される全ての高レベル放射性廃棄物について、安全規則を遵守して処分を行うため、高レベル放射性廃棄物の処分区域の設計を十分慎重に行うべきである。また、今後の新たな知見により、地下空間をより効率的に利用できる可能性もある。
  • ANDRAは、地層処分場内での大規模火災を想定した熱条件下におけるビチューメン(アスファルト)固化体の挙動に関する研究を行い、これらのパッケージのロバスト性及びビチューメン固化体の化学的な不活性さを確認している。これらの新たなデータによって、火災が廃棄体に与える影響に関する懸念は払しょくされたとCNEは判断した。引き続きANDRAは、地層処分場の操業期間を通じて、ビチューメン固化体の化学的安定性に関する研究を継続すべきである。
  • ANDRAは現在も、処分場の操業開始後、最初に処分する廃棄物パッケージの仕様を確定するため、廃棄物発生者(事業者)と協議を行っている。CNEは、放射性廃棄物の管理プロセスにANDRAが可能な限り早い段階から関与できるようにすることを勧告する。
  • 地層処分場のコスト評価について、ANDRAと廃棄物発生者との間で意見が対立している。CNEは、コストが慎重に評価され、安全性の確保に必要なコストが削減されることがないよう改めて要望する。

【出典】


  1. 地層処分場の設計にあたって考慮すべき廃棄物インベントリ、中間貯蔵施設からの輸送手段や流れ等に関してANDRAと廃棄物発生者が共同で策定した計画 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2015年4月24日付プレスリリースにおいて、地層処分場の操業時のリスク管理に関する原子力安全機関(ASN)の2015年4月7日付の書簡を公表した。今回のASNの書簡は、ANDRAが2013年12月にASNに提出していた地層処分場の操業時におけるリスク管理に関して、研究開発の進捗報告書に対するレビュー結果を示したものである。レビュー結果としてASNが示す要求事項・見解は、ANDRAが進める地層処分場の設置許可申請に向けた研究開発を方向付けるものとなる。なお、ASNは、2006年以降、ANDRAが実施している地層処分関連の研究開発状況をレビューしており1 、今回のASNの書簡も、こうしたレビューの一環で提示されたものである。

今回のASNの書簡によると、ANDRAは、2013年12月にASNに提出した研究開発の進捗報告書において、放射性物質の拡散リスク、廃棄体から発生した水素ガスに起因する爆発リスク、火災リスク、地下施設における処分活動と建設活動の同時進行に伴うリスク、地上施設と地下施設との連結によるリスク管理に重点を置いた研究開発の進捗状況を報告していた。ASNは、以下の点について、操業時のリスク低減に寄与する有意な進展があったとの見解を示している。

  • ASNの要求に基づく火災リスクを低減するための要求事項をまとめた「火災基準」の策定。
  • 長寿命中レベル放射性廃棄物用の処分坑道への超高性能フィルタの設置を伴う動的閉じ込め機能の確保。この措置は、2010年に提出したANDRA報告書のレビューにおいて、廃棄体による静的閉じ込め機能の不具合の場合に対応するため、動的閉じ込め機能を確保する措置の提示を求めたASNの要求に沿ったものである。なお、コンクリート構造の地下施設に設置する設備は、通常の環境よりも早いペースで閉塞を起こす可能性があるため、設置許可申請書と合わせて提出する補助文書において、設備の保守に関する事項を明確にする必要がある。
  • 施設全体の設計が進展しており、放射線管理区域と建設区域の分離を徹底することにより、操業時のリスク管理の容易化が図られている。これは、地下施設における操業活動と建設活動が同時進行することによるリスク分析を補完するよう求めたASNの要求に沿ったものである。

一方、ASNは、操業時のリスク管理との兼ね合いから、設置許可申請書と共に提出する「安全証明」に関する文書において、特に以下の点に注意を払うべきと指摘している。

安全証明アプローチと安全要件

  • 安全機能と主要パラメータ
    設置許可申請書の補助文書では、地層処分場の閉鎖後安全性の範囲を規定し、操業中に監視する主要パラメータ及び操業中の安全性の範囲を規定しなければならない。また、施設の操業安全及び閉鎖後安全に照らして、廃棄体の受け入れ時及び操業中も監視する主要パラメータについて、逸脱を確認した場合に講じる是正措置を提示しなければならない。
  • 施設の設計とサイト内緊急時計画(PUI)において採用する設計基準シナリオの選定方法
    安全オプションに関する資料2 では、深層防護レベル及び原子力基本施設(INB)に関する2012年2月7日付アレテの規定と整合する形でシナリオを分類して示すのが望ましい。一部の廃棄体内部で発熱反応が急速に進むシナリオについても提示しなければならない。
  • 放射線防護目標
    安全オプションに関する文書では、事故・事象発生の状況下で放射線管理区域にいる職員に適用される放射線防護上の目標の最終決定に向けた最適化アプローチを提示しなければならない。

資料等で説明すべきリスク

  • 火災リスク
    安全オプションに関する資料では、供用部分または長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道のハンドリング用セルで火災が発生した場合、火災発生区画を発生源とする放射性物質の放出を抑制する措置を説明しなければならない。
    設置許可申請書の補助文書では、火災リスクの分析に使用する計算シミュレーションツールを提示し、その使用分野における有効性を立証すること。また、経験のフィードバックや専門家の判断も考慮したうえで、同ツールと地層処分場の特性との整合性を立証する要素について提示しなければならない。
  • 爆発リスク
    火災リスクと同様に、ANDRAが「爆発基準」を策定することが有益である。
  • 放射性物質の拡散リスク
    設置許可申請書の補助文書では、高レベル放射性廃棄物処分孔の排水の管理方法を明示するとともに、廃棄体の移送ケージにハッチが存在する可能性を考慮しなければならない。
  • 作業の同時進行に関するリスク
    設置許可申請書では、施設の安全性に関して影響を与える人間活動を特定する。また、地層処分場の建設開始から操業期間にわたり、関与する企業間の責任所掌を詳細に定めなければならない。

施設の操業

  • 事故・事象発生の状況下での介入と避難
    設置許可申請書の補助文書では、目標とする期限内に事故・事象発生の状況に介入できるよう、採用する技術的・組織的措置を提示しなければならない。
  • 廃棄体の回収
    ANDRAは、地層処分場の操業段階で廃棄体の回収可能性を実証するために慎重なアプローチを採用しなければならない。また、回収可能性オプションに関する研究は、操業中にとどまらず長期的な視野で、安全と放射線防護の観点から種々のオプションの長所と短所を評価しなければならない。

事故・事象発生後の処分場の各種機能の回復

安全オプションに関する資料では、深層防護の原則を適用し、事故・事象発生後の処分場の各種機能の回復について、処分作業の継続、廃棄体の回収、処分場の閉鎖の可能性を区別したうえで、安全面での課題を提示する。また、設置許可申請書では、これらの課題を考慮し、その対応について提示する。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に規定。原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合、申請までに事業者が実施しておくべき補完的な研究や証明についても特定することができる。 []
  2. ANDRAは地層処分場の安全オプションに関する資料を2015年中にASNに提出する方針である 。 []

フランスの原子力安全機関(ASN)は、2015年1月20日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2015年中にASNに提出予定である「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」に対する記載要求事項をまとめた2014年12月19日付けの書簡を公表した。ASNは、本書簡において、「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」のレビューを通じて、フランスの処分方針である「可逆性のある地層処分」の実現可能性を評価するが、その際に適用する「可逆性」に関する考え方を提示している。

ASNは、今回公表された書簡において、「可逆性」は以下2つの概念を含むことが適当であるとしている。

  • 適応性
    経験の蓄積や科学技術的な知見の向上によるフィードバック、政策や事業方針の変更、社会受容性の変化によって、処分シナリオが変わることを考慮して、設置許可申請段階で想定していた設計や操業方法を変更できること。
  • 回収可能性
    定置した廃棄物パッケージをある一定期間にわたって回収できることが担保されていること。

ASNは、ANDRAが作成する「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」において、ASNが提示した「可逆性」の考え方に沿って、処分施設が備える順応性(フレキシビリティ)の度合いを説明しなければならないとしている。ただし、ASNは、「可逆性」の正式な定義は、ANDRAが地層処分場の設置許可申請書を提出し、安全審査が行われた後に法律によって定められるものであるとしており、今回ASNは、この定義に抵触しないと考えられる範囲で「可逆性」の考え方を示したとしている。

「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」の作成とレビューの背景

フランスでは、原子力施設の設置許可申請に先立って、安全オプションをASNに提出し、その見解を求めることができるとされている1 。2013年5月から約7カ月間にわたって開催された地層処分プロジェクトに関する公開討論会を受け、ANDRAは、2014年5月に公開討論会の結果をふまえたプロジェクト継続に関する新たなスケジュール等を公表し、「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」を2015年中にASNに提出することを提案していた。2014年12月19日付けの書簡において、ASNは、これらの書類の提出に係るANDRAの決定を承諾し、レビューを実施するとしている。

「回収可能性の技術オプションに係る資料」の作成上の考慮事項

ANDRAは、公開討論会の結果をふまえた新たなスケジュール等の提案の中で、「回収可能性の技術オプションに係る資料」もASNに提出するとしていた。ASNは2014年12月19日付けの書簡において、「回収可能性の技術オプションに係る資料」の作成に当たって、ANDRAが考慮すべき事項を以下のように示している。

  • 特に処分空間やアクセス坑道が埋め戻された後は、廃棄物パッケージへのアクセスが困難になる。
  • 廃棄物パッケージの閉じ込め機能の健全性が損なわれた場合、放射線防護の点で大きな不都合が生じ、作業の可能性が制限される可能性がある。
  • 構築物の経年劣化や損傷(たとえば、処分空間の変形)により作業が困難になる。

「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」のレビュー要件

ASNは2014年12月19日付けの書簡において、ANDRAが「地層処分場の主要な技術オプション」及び「廃棄物パッケージの受入基準案」について、地層処分場全体(地上施設及び地下施設)をカバーしていることや、地層処分場の基本設計書の内容が2008年の地層処分に関するASN指針に整合していることを説明するとともに、操業のあらゆる段階の安全を確保するために採用された安全目標、設計、原則について網羅的に提示するようANDRAに要請している。さらにASNは、10件程度の具体的な要求事項を示しており、以下のような内容が含まれている。

  • 適用される規制基準・技術基準や国内外の経験のフィードバック
  • 2008年のASN指針や国際取組みに照らした長期的な操業における安全目標。採用された安全目標とASN指針に示された安全目標との間に差がある場合はその妥当性の証明。
  • 処分しようとする廃棄物のインベントリ、これらの廃棄物の処分方法へ適合させるためのコンディショニング方法、長期的な時間枠でのインベントリの変更に関する仮定
  • 地層処分場の建設から閉鎖後のモニタリング期間における、施設の安全性を考慮した操業範囲と主要なパラメータの初期状態の設定
  • 可逆性の概念としての処分場の適応性。特に、設計時に処分対象となっていない放射性廃棄物を処分することになった場合の容量の拡大可能性。

 

【出典】


  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に規定。ASNは見解において、設置許可申請を行う場合、申請までに事業者が実施しておくべき補完的な研究や証明についても特定することができる []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2014年12月16日付プレスリリースにおいて、原子力安全機関(ASN)が地層処分場における閉鎖技術の安全性に関するANDRAによる説明が十分であるとの見解を示すとともに、ANDRAに対して設置許可申請までに追加で詳細な情報の提供を求めた。ANDRAは、ASNからの要請により、2013年に閉鎖技術に関する詳細情報を提示していた。ASNからの見解を受け、今後、ANDRAは、すでに実施してきた研究の適切性を検証するとともに、地層処分場の設置許可申請に向けて実施する研究の方向性を検討するとしている。

地層処分場の閉鎖技術は、放射性廃棄物の閉じ込めを人間の行為を伴うことなく確保するため、地層処分場の処分孔、地下坑道、アクセス坑道をそれぞれ閉鎖するために用いる技術であり、主にベントナイトを使用した「プラグ」と呼ばれる構造物を設置することが計画されている。ANDRAのプレスリリースによれば、ASN及びASNの廃棄物担当常設専門家グループ1は、地層処分場における閉鎖技術に関して以下のような見解を示している。

  • 閉鎖技術の実現可能性について、ANDRAはすでに説得力のある要素を提示した。
  • ANDRAが提案した閉鎖技術は、必要な機能を有していることが実証されており、閉じ込め能力の確保のために設定している研究目標も適切である。

また、ASN及びASNの廃棄物担当常設専門家グループは、ANDRAに対し、設置許可申請時点までに、以下の事項に関する詳細な情報を提供するよう要請している。

  • Ÿ処分場設計の妥当性:2008年の地層処分に関するASN指針に従い、アクセス坑道ではなく、粘土層を放射性核種が移行するように採用した地層処分場の設計について、他の設計オプションと比較したうえで妥当性を立証する必要がある。
  • ŸASNが示した安全目標と地層処分場設計との整合性:カロボ・オックスフォーディアン粘土層には自己修復能力があり、坑道の掘削により損傷を受けても、時間の経過とともに本来の不浸透性を回復すると考えられている。しかし、ANDRAは安全裕度を確保するため、安全評価上は粘土層の自己修復能力を考慮していない。ANDRAは現時点までに実施された安全評価において、ASNが示す安全目標は遵守されているとの結果が得られたとしているが、実規模での試験が実施可能となるまで研究を継続し、自己修復能力を想定する場合としない場合のそれぞれについて、地層処分場設計との整合性を立証する必要がある。
  • Ÿ高レベル放射性廃棄物の処分孔のプラグに関する現時点における設計について、試験結果を提示する必要がある。

ANDRAは、上記のASNによる見解を受け、地層処分場の設置許可申請までの間に新たな安全評価を実施する方針である。なお、ANDRAは、この評価結果の検証を行うため、パイロット操業フェーズにおいて、実規模での試験を実施することを計画している。

 

閉鎖後安全性に関するレビューの経緯

ANDRAは、地層処分場の閉鎖技術の安全性について、2010年に原子力安全機関(ASN)に提出した報告書の中で、研究成果を示していた。しかし、ASNは、報告書で示された研究方針等を検討する中で、地層処分場の設置許可申請の審査に向けて追加情報を要求した。これを受けてANDRAは、2013年4月~8月にかけてASNに追加情報を提供していた。この情報を検討するに際してASNは、規制支援機関である放射性防護・原子力安全研究所(IRSN)へ技術的評価を依頼しており、IRSNは2014年7月1日に評価報告書を公表していた。このIRSNによる評価に基づいて、ASN及び廃棄物担当常設専門家グループは、それぞれ2014年7月と同年10月に研究方針の妥当性に関する判断を示していた。

 

【出典】

  • ANDRAウェブサイト、2014年12月16日付け公表情報「地層処分場閉鎖評価の総括」
    Retour sur l’évaluation des ouvrages de fermeture de Cigéo
    http://www.cigeo.com/tags/item/retour-sur-l-evaluation-des-ouvrages-de-fermeture-de-cigeo
  • 原子力安全機関(ASN) 2014年10月9日の見解書「閉鎖の実施に関して―深地層における放射性廃棄物プロジェクト」
    Dossier « projet de stockage de déchets radioactifs en couche géologique profonde – ouvrages de fermeture »
    http://www.cigeo.com/images/cigeo/blog/rapport_ASN.pdf
  • 放射性防護・原子力安全研究所(IRSN)報告書 No.2014-00006「深地層処分場における放射性廃棄物プロジェクト―閉鎖の実施に関して」(2014年7月1日の廃棄物担当常設専門家グループ会合にて公開)
    Projet de stockage Cigéo – Ouvrages de fermeture – Rapport IRSN n°2014-00006. Réunion du groupe permanent d’experts pour les « Déchets » du 1er juillet 2014
    http://www.cigeo.com/images/cigeo/blog/rapport_IRSN.pdf

※Cigéoは、フランス語のCentre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)の略語である。


  1. ASNの諮問組織であり、廃棄物担当の専門家グループの他、原子炉、研究所・プラント、輸送、原子炉圧力機器についてそれぞれ常設専門家グループが設置されている []

フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する研究・調査の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第8回評価報告書を2014年6月10日にてCNEウェブサイトで公表し、地層処分プロジェクト及び可逆性のある地層処分に対する見解を表明した。

2006年放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、CNEは放射性廃棄物等管理計画に関する取組や研究・調査等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を取りまとめた評価報告書を議会に提出することになっている。なお、前回の第7回報告書は、2013年12月10日に公表されている

CNEは、地層処分プロジェクトについて、2013年5月~12月に実施された公開討論会の総括報告書及びその結果を取り入れた放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による新たなスケジュールの提案を踏まえ、以下のような見解を示している。

  • Ÿビュール地下研究所における試験結果は、高レベル放射性廃棄物の処分エリアにおける放射性核種の長期挙動のモデル化のために不可欠である。
  • 処分セルの形状を明確にすること、廃棄物パッケージとコンクリート(坑道の支保)との間隙の設計が重要である。これは、廃棄物の回収と処分場の長期の安全性についての要求として対立を与えている。また、ANDRAと廃棄物発生者とが協力し、自然発火性、塩及びビチューメン(アスファルト)を含有する廃棄物の挙動に関する研究、並びに有機化合物とアクチノイド元素との相互作用に関する研究を促進すべきである。これにより、同一の処分エリアに異なる種類の廃棄物を処分できるパッケージの仕様を早急に特定すべきである。
  • 地層処分場内の廃棄物の運搬用坑道及び長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道の支保の設計、水素ガスの存在する環境下での長期的な粘土の挙動、岩盤の不飽和及び再冠水、モニタリングと埋め戻しなど、地層処分場を管理するために考慮すべき問題が残っている。ANDRAは、地層処分場の第1ユニットの完成後すぐに、原位置での試験を実施すべきである。そのための計画を立案し、設置許可申請前に検討すべき点を、2015年5月末までに列挙すべきである。
  • 地層処分場の開発期間を通じたコスト(初期投資コスト、操業コスト、廃棄物パッケージの処分料金)を特定し、事業者間で分担するための検討を行うべきである。

  また、CNEは、可逆性の定義を「計画された地層処分プロセスのあらゆる段階において、継続・中断・前段階へ立ち戻る可能性を将来世代に対して保証すること」とすることを提案している。これに基づきCNEは、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)の可逆性の概念を採用するANDRAに対し、以下のような見解を示している。

  • Ÿ可逆性に含まれる回収可能性を有効なものとすべきであり、換言すると、定置後の廃棄物パッケージの移動や、地上への引き上げを技術的・組織的に担保する必要がある。地層処分場の地下施設の建設に際しては、柔軟性を担保する必要がある。
  • 将来世代に可逆性の段階を変更する余地を残すため、処分場へ廃棄物を定置する段階(OECD/NEAの可逆性の第2段階に相当)から処分エリアを閉鎖する段階(OECD/NEAの可逆性の第3段階に相当)に進むまでに十数年~二十数年といった十分な期間をかけるべきである。
  • 地層処分場の開発プロセス全体を、閉鎖しない段階にとどめるオプションを将来世代に対して強制することは、安全上望ましくない。したがって、最初の監視期間後、安全上の観点から適切であると考えられる場合には、可逆性の第2段階から第3段階に進める決定を下すべきである。

Ÿ   【出典】

フランスの会計検査院(CDC)は、2014年5月27日付プレスリリースにおいて、放射性廃棄物の長期管理を含めた原子力発電事業の費用を検証した「原子力発電事業の費用に関する報告書」の更新版を公表した。

現在、フランスでは、2013年12月に国民議会に設置された「原子力発電の過去、現在、将来に係る様々な費用、原子炉の運転期間及び原子力発電とその商業利用に関する経済的、社会的、財務的影響等に関する調査委員会」(以下「調査委員会」という)が、原子力発電事業に関する費用について検証を行っている。この検証作業に用いる最新の費用算定結果を得るため、調査委員会は、2014年2月6日に会計検査院に対し、会計検査院が2012年に取りまとめた放射性廃棄物の長期管理を含む「原子力発電事業の費用に関する報告書」の内容を更新するよう要請していた1

今回の更新版の報告書において、放射性廃棄物に関わる今後の長期管理費用の試算総額は318億ユーロであり、2012年の報告書での284億ユーロに比べ増加している。ただし、会計検査院は、本試算は原子力発電事業者の計算に基づくものであり、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)の試算額と大きく異なる等、信頼を欠くものであると評価しており、より金額が確からしい放射性廃棄物管理事業に係る費用の見積りを行うべきであるとの見解を示している。

さらに、会計検査院は、放射性廃棄物管理事業に備えるため原子力事業者が積み立てる引当金の算定に採用する割引率(将来費用の現在価値への換算係数)に関する提言を示している。フランスでは、「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」において、割引率に上限値を設定している2 。昨今の経済状況の変化を反映して2012年の割引率の値は小さくなっており、その結果、原子力事業者が引き当てるべき金額が増加することに繋がり、原子力事業者の負担となっている。2013年の割引率はさらに低下する見込みであったことから、原子力事業者と政府は、割引率の上限の設定方法に関する見直しを協議している。会計検査院は、この協議において早急に設定方法を決定すべきであると提言している。

なお、調査委員会は、原子力発電事業に関する費用に関する調査結果を取りまとめた報告書を2014年6月に提出する予定である。

 

【出典】


  1. 財政裁判所法典L132-4条では、会計検査院またはその地方裁判所の管轄下にある組織の運営について、議会財政委員会及び調査委員会から要請があった調査を会計検査院が実施することが規定されている。 []
  2. 「原子力債務の資金確保に関する2007年3月21日のアレテ(省令)」の第3条では、割引率の上限値について「当期の決算日において確認された固定金利タイプ30年満期国債金利(TEC 30)の直近48ヶ月の算術平均に1ポイントを加算したものに等しい」と規定されているが、経済状況の変化により国債金利が低下している。原子力事業者は同規定に基づいて、2012年まで割引率を5%に設定してきたが、国債金利の低下に伴い、割引率は5%を下回っている。 []

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2014年5月6日付のプレスリリースにおいて、地層処分プロジェクトに関する公開討論会の結果、市民会議、政府関係機関の意見等を反映し、新たに「パイロット操業フェーズ」を導入するなどの4つの改善案を含む今後のプロジェクト継続計画を取りまとめて公表した。ANDRAは、プロジェクト継続計画に含めた改善案の実現に向けて、政府と協議するとしている。

2006年放射性廃棄物等管理計画法では、地層処分場の設置許可申請に先立って国民からの意見収集を行うことが規定されており、そのため、ANDRAから付託を受けた独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)が地層処分プロジェクトに関する国家討論会を2013年5月から約7カ月間にわたって開催していた。CNDPは、2014年2月12日に公開討論会の総括報告書等を公開しており、この報告書等を受けてANDRAは、地層処分場プロジェクトの継続に関する方針を決定し、公開討論会で寄せられた市民からの要望等に応えるための提案を政府に提出するとしていた

■地層処分プロジェクト継続に向けた4つの改善案

ANDRAは、CNDPが取りまとめた公開討論会の総括報告書で示された見解・勧告等を踏まえ、地層処分プロジェクトの継続に当たって、市民の要望等に応えるために次の4つの改善事項の導入を政府に提案するとしている。

①「パイロット操業フェーズ」の導入

ANDRAは地層処分場の操業について、政府による承認を得られることを前提として、「パイロット操業フェーズ」を導入する考えである。パイロット操業フェーズの導入については、公開討論会の総括報告書の勧告に含まれていたものである。パイロット操業フェーズを導入する意図についてANDRAは、処分場操業に関するリスク管理のための技術的措置、定置後の放射性廃棄物パッケージの回収能力、モニタリング・センサー、坑道等のシール技術等、地層処分場のあらゆる機能について、実際の環境で試験を行うことを可能にするためとしている。ANDRAは通常の操業フェーズに移行する前に、パイロット操業フェーズの総括を行う意向である。

②地層処分場の「処分操業基本計画」に対する定期レビュープロセスの導入

ANDRAは、地層処分場の「処分操業基本計画」をステークホルダーと協議して新たに策定し、定期レビューを受ける制度の導入を提案している。公開討論会の総括報告書において、ANDRAとは独立した安全性の立証などを求める仕組みの強い要望があったことが背景となっている。処分操業基本計画は政府の承認を得る必要があるものと位置付け、地層処分場の操業期間を通じて、プロジェクトの遂行ツールとしたい考えである。

③地層処分場の設置許可申請の審査プロセスとスケジュールに関する提案

ANDRAは、当初の2015年に設置許可申請を行う計画を変更し、次のような2段階とすることを提案している。

  • 2015年:「処分操業基本計画」を政府に提出し、規制機関である原子力安全機関(ASN)に地層処分場の安全オプションと回収可能性の技術オプションに関する資料を提出
  • 2017年末:全ての設置許可申請書の完成

このような提示がされた背景には、2006年放射性廃棄物等管理計画法において、2015年に設置許可申請を行うことが規定されているが、「パイロット操業フェーズ」の導入によって当初の設置許可申請の提出スケジュールに余裕がないことが公開討論会において指摘され、当初のスケジュールの修正を含めた検討がなされていたことが挙げられる。

2006年放射性廃棄物等管理計画法において、設置許可の発給は、可逆性が保証される場合にのみ発給されることとなっているため、設置許可申請後に予定される可逆性の条件を定める法律の制定以降となる。また、ANDRAは、可逆性を担保するため、段階的なアプローチを採用する方針である。これに従って、定置後の放射性廃棄物パッケージの回収能力に根拠を与えうる主要な技術オプションを2015年に原子力安全機関(ASN)に提示するとしている。なお、「可逆性」と「回収可能性」の用語について、以下のような定義を提案している。

可逆性:
処分場の閉鎖、または放射性廃棄物パッケージの回収も含めた長期的な放射性廃棄物管理について、次世代に選択の機会を与えることができること。このような可能性は、段階的で柔軟な地層処分場開発によって担保することができる。
回収可能性:
地層処分された放射性廃棄物パッケージを回収できること。

ANDRAは、2020年に設置許可が発給されるとした場合、地層処分場の操業開始までのスケジュールは次のようになるとしている。

  • 2015年以降:変電所の設置、道路整備等、地域レベルでの建設・操業準備の開始
  • 2020年:地層処分場の建設開始
  • 2025年:パイロット操業フェーズの開始

④市民社会の参画機会の提供

公開討論会では、市民の信頼を得るために、国内外の独立した専門知見も活用するガバナンス体制を再構築する必要性が提起された。ANDRAは、それを受け、「処分操業基本計画」の策定及びその見直しに際して、市民社会との協議を行うこと、放射性廃棄物管理に関する多元的な専門的知見を導入してプロジェクトの発展に貢献していくことを決定した。

 

■ANDRAの責務

ANDRAは、プロジェクトを継続するに当たって、次のような3つの責務を果たしていくとしている。

  • 安全確保の最優先
    2006年放射性廃棄物等管理計画法により、地層処分場の設置は、原子力安全機関(ASN)及び放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)に対して、 ANDRAのリスク管理能力を立証しなければ許可されないこととなっている。ANDRAは、管理能力の立証に関連して、2015年に地層処分場の主要な技術オプション及び放射性廃棄物パッケージの受入基準案をASNに提示する予定である。
  • 立地地域の保全・地層処分関連施設の開発
    ANDRAは、地層処分場の設置許可が発給された後、ムーズ県及びオート=マルヌ県を中心とする立地地域における地層処分場建設に必要な土地の整備計画の策定、地層処分プロジェクトによる社会経済的影響の評価等に積極的に関与する方針である。なお、放射性廃棄物パッケージの輸送に関しては、ANDRAは鉄道によって地層処分場に輸送する方針を決定した。ANDRAは放射性廃棄物の輸送に関する情報提供を強化するため、地層処分場の設置許可申請に先立って輸送基本計画を事業者と協力して策定する方針である。
  • コスト管理
    ANDRAは、安全性を損なうことなくコストを最適化するための検討を、地層処分場のパイロット操業フェーズ中も継続する。また、現在ANDRAは、公開討論会が終了する以前の2013年12月27日のデクレ(政令)により、公開討論会の結果及びコスト最適化の検討状況を踏まえたコスト評価を2014年6 月末までに提出するよう指示を受けている。新たなコスト評価の結果は、エネルギー担当大臣の評価を受けた後、公表される予定である。

 

【出典】

フランスの公開討論国家委員会(CNDP)は2014212日に、地層処分場の設置に関する公開討論会について、総括報告書、議事録1 及び市民パネルの見解書(201423日付け)を公表した。

この公開討論会は、2015年に予定される地層処分場の設置許可申請に先立って、国民からの意見収集を行うために2013523日から20131215日の7カ月間にわたって開催されており、フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が、独立した行政委員会である公開討論国家委員会(CNDP)に国会討論会の開催を付託していたものである。公開討論会の初期において、集会形式の公開討論会が反対派の妨害により中止を余儀なくされたため、意見収集方法を小規模な地元会合やインターネット会議に代え、公開討論会の期間を当初予定より2カ月間延長されていた。また、この期間の終了後に、締め括りとして、無作為に選出された17名の市民パネルによる市民会議が201312月~20142月に企画・開催された。公開討論会の終了までに、公開討論会の専用ウェブサイトには76,000件を超える接続があり、1,508件の質問、497件の意見表明がされたとしている。

CNDPは、総括報告書に以下のような「結論と提言」をまとめている。

  • 公開討論会の間に表明された見解は数多く、よく議論された内容であった。集会形式の公開討論会が一部の参加者によって妨害されたことは遺憾であるが、討論会は適切に実施されたと言える。
  •  多くの市民は、意見を表明することへの無力感や、自分の意見が軽視されたと感じていることが明らかとなった。これらの市民は、20052006年の放射性廃棄物管理に関する公開討論会で示された、地層処分オプションと長期貯蔵オプションを並行して検討すべきであるとの結論等が政府によって考慮されなかったと考えている。さらに、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が公開討論に付されている地層処分プロジェクトに関する契約を締結したことは、地層処分場の設置が規定路線であるかのような印象を抱かせてしまっている。これにより、公開討論会において表明される市民の意見・見解は重要性がなく、プロジェクトは十分な時間をかけずに急いで実施されるとの市民の感情を強めることになった。
  • 公開討論会において損なわれた市民、専門家、ANDRA及び政府関係機関の間の信頼関係を再構築することが急務であり、必要不可欠である。
  • 信頼回復のためには、政府関係機関やANDRAは、公開討論会において市民から寄せられた疑問に耳を傾け、真実を伝え、責任を持ち、慎重に地層処分プロジェクトあるいはその他の代替プロジェクトを実施することが必要である。
  • 公開討論会の参加者や専門家の多くは、2006年放射性廃棄物等管理計画法に規定された現行のスケジュールはタイトであり、地層処分プロジェクトの安全性に関する追加的な証明がなされるべきであるとの見解で一致している。この場合、サイトにおける地層処分場の安全性を立証する重要な要素を確認できるのは設置許可申請が予定されている2015年以降になるため、複数の専門家は2025年の操業開始というスケジュールとも相容れないとしている。
  • 地層処分場のパイロット操業期間を考慮した新たなスケジュールに基づいてプロジェクトを実施するため、現行の法規制の変更措置が必要である。公開討論会において、地層処分場のパイロット操業期間を考慮した新たなスケジュールが提示されたことは大きな前進である。このパイロット操業段階は、リスクの管理が可能であることを確認し、パイロット操業が失敗した場合には、定置された廃棄物パッケージを回収することも可能とするものである。このようなパイロット操業期間を経た後で初めて、地層処分場の建設・操業を最終決定できるようになる。
  • 政府が策定を進めているエネルギー政策転換に関する計画法案2 において可逆性の問題を扱う方針は、より長い時間枠で新たなスケジュールを設定しようとする公開討論会で示された目標と矛盾している。
  • 地層処分場に処分される放射性廃棄物インベントリに関しては、現時点では使用済燃料は含まれていないが、将来的な政策転換によって使用済燃料を処分する必要性が生じる複数のシナリオを想定して検討する必要がある。また、原子力安全機関(ASN)の要請の如何に関わらず、地層処分場の設置許可申請には、使用済燃料の処分に関する補完的な安全証明も提出することが重要である。
  • 地層処分場に処分される放射性廃棄物に関する火災リスクについて検討することが必要である。その検討には、100年後に様々なリスク、機能不全、ヒューマンエラーが同時発生する可能性も考慮する必要がある。
  • 複雑な研究活動の全ての内容を一般公衆が理解できるようにするための取組みを継続すべきである。市民からは、ANDRAの知見に基づくものではなく、別に独立した安全性の立証などを求める強い要望があったためである。また、それを担保するため、専門家や市民から提起されたプロジェクトの安全性に関する重要なテーマについては、全ての関係者によって、透明性が確保された形で議論が行われるべきである。
  • 市民の信頼を得るために、国内外の独立した専門知見も活用するガバナンス体制を再構築する必要がある。現在、原子力安全機関(ASN)、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)、地域情報フォローアップ委員会(CLIS3 、地域情報委員会全国協会(ANCCLI4 、国家評価委員会(CNE)、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)などによる充実した組織体制が存在するが、組織内外の知見の活用が不十分である。この再構築は、必要な資金が与えられた上で、CLISANCCLIを中心に実施することが可能であると考えられる。より多元的な専門的知見を確保することは市民の信頼回復に不可欠である。
  • 規制機関や政策決定機関は、地元の環境保護団体等の意見聴取を公開で実施すべきである。
  • 公衆に対して、可逆性の費用も含めた地層処分プロジェクトに関する費用と資金確保方法についての情報を提供することが必要不可欠である。
  • 市民会議を開催した結果、専門的な知識を持たない一般市民でも、多様な観点を反映した情報提供を受けることで、複雑なテーマについて政策決定者が考慮に値する的確な意見・見解を示すことができることが証明された。なお、市民パネルが公開討論会の結論と近い見解を示したことは注目に値する。

 なお、ANDRAは、総括報告書の公表を受けて、地層処分場プロジェクトの継続に関する方針を決定し、公開討論会で寄せられた市民からの要望等に応えるための提案を政府に提出予定であり、その内容は2014515日までに公開されることとなっている。

【出典】

 


  1. 議事録は地層処分場の設置に関する公開討論会を主導する特別委員会(CPDP)が取りまとめたものである。 []
  2. 2012年に発足した現社会党政権は、原子力発電の縮減、再生可能エネルギー開発の促進、省エネルギーの実現等を目標に掲げており、201211月~2013年7月にかけてエネルギー転換に関する全国規模の討論会を実施した。その結果をふまえ、現在エネルギー転換に関する法案を策定している。 []
  3. 2006年放射性廃棄物等管理計画法で設置され、地下研究所または地層処分場のある地域において、実施主体と地元住民との間の情報の仲介、放射性廃棄物処分に関する研究の監視、情報提供、協議に関する全般的な使命を担う組織である。 []
  4. ANCCLIは、地域情報委員会(CLI)の全国組織であり、CLI相互あるいは政府機関に対するCLIの代表としての役割を担っている。CLIは原子力施設ごとに設置され、事業者、政府機関、地元住民などの原子力施設の立地地域におけるステークホルダー間のコミュニケーションを仲介している。CLIは1981年の首相通達によって導入された制度であるが、2006年の原子力安全情報開示法に基づいて設置や活動の枠組みが整備された。 []

フランスにおける地層処分場の設置に関する公開討論会の一環として開催されていた「市民会議」は、その最終回に当たる第3回の2014年2月3日に、市民パネルによるプロジェクトに関する見解を取りまとめて公表した。この市民会議は、公開討論国家委員会(CNDP)が実施している公開討論会の強化策の一つであり、参加する17名のパネリストは、選挙人名簿などに基づいて無作為に抽出・選任されており、うち8名はプロジェクトから直接影響を受ける可能性のあるムーズ県及びオート=マルヌ県の住民である。

市民会議は、2013年12月~2014年2月の計3回で、各回とも土日をはさんで3日間で開催された。第1回(2013年12月開催)と第2回(2014年1月開催)の会議において、対立的な意見も含む多様な観点での情報提供を受け、第3回の市民会議では、パネリストが得た情報をもとに話し合い、地層処分場の設置に関する市民パネルとしての見解を報告書(全11ページ)に取りまとめた。地層処分プロジェクトに関する広範なテーマについて、市民パネルは、以下のような見解を示している。

○地層処分プロジェクトのスケジュール・条件

- 我々の考えでは、地層処分プロジェクトの実施を早急に決定する必要は無い。高レベル放射性廃棄物を処分する場合には少なくとも60年間は冷却しなければならない。この冷却期間を待つ間に、代替案を検討したり、実規模での地層処分場開発の試験を実施できると考えられる。

- 実規模での地層処分場開発の試験を実施し、回収可能性に係る問題などが解決できる見通しがあるならば、市民パネルは地層処分プロジェクトに反対しない。

- 地層処分場の設置のための現行の許認可手続きに係るスケジュールは、実規模での試験のフェーズを考慮したものとなっておらず、非現実的と考えられる。

○地層処分場に特有なリスク

- 火災、作業安全、換気、空気中への有害物質の拡散など、地層処分場に特有なリスクについては、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によって研究が行われているが、さらなる検討が必要である。また、放射性廃棄物の安全な輸送方法については、地層処分場のサイト内まで鉄道で輸送する方法が適切であると提言する。

○回収可能性と可逆性

- 可逆性については、回収可能性の概念も含めて検討を行うべきである。回収可能性は可逆性の前提となるため、可能な限り長期にわたって回収可能性を確保することは、可逆性を考慮するための必須事項である。また、回収可能性の要件は、技術の進展等に伴って変更される可能性があり、地層処分場に定置後の廃棄物パッケージについても将来的に回収して要件の変更に対応できるようにすることが望ましい。

○地層処分プロジェクトと地層処分場の記憶

- ANDRAは地層処分場の設置場所に関する記憶を伝承していくため、人の手による芸術作品を設置することを検討しているが、作品がどの程度の期間残るのかが疑問である。プロジェクトに関する文書も残していく必要があるが、文書保管庫やそれを管理する組織も維持していくことも必要であるほか、文書を複数の場所・国に分散して保存すべきである。なお、プロジェクトの記憶の伝承形態とその実現性については、再評価・アップデートが必要である。

○地熱資源開発の可能性

- 規制機関である原子力安全機関(ASN)の地層処分に関する安全指針に従うと、地層処分場の候補サイトは地下資源を有するなどの特別な地域を避けて選定しなければならない。しかし、地層処分場の候補サイト地域における地熱資源開発の可能性については、様々な調査機関の見解が分かれている。ANDRAは資源量が経済的に開発に値するほど多くないとする一方で、地域情報フォローアップ委員会(CLIS)1 の委託により実施された調査では、資源量は開発可能な水準で存在するという見方もある。市民パネルは、候補サイト地域の周辺が地下資源を有する地域にあたるのか否かについて、さらなる調査を実施するよう提言する。

○人の健康や環境のモニタリングの重要性

- 地層処分場の周辺住民を対象としたモニタリングプログラムを導入し、年齢、サイトからの距離、サイトから放出される放射性物質を考慮し対象者を分類し、それぞれの区分に応じた明確な疫学的研究を行うべきである。

○地域開発への貢献

- 地層処分プロジェクトは、人口の減少や産業の衰退に直面しているムーズ県及びオート=マルヌ県における地域開発に貢献するものである。市民パネルは、交通・通信インフラ整備による地域開発、地層処分プロジェクト関連の人材育成・研究拠点開発、住宅や文化施設の整備等による生活環境の改善、将来性のある事業開発という4つの方向性に沿って、地層処分プロジェクトから得られるリソースを配分するのが妥当であると考える。

○地層処分プロジェクトの費用と資金確保

- 現時点では現実に即したプロジェクトの包括的な費用を把握できないため、市民パネルは費用については見解を示すことができない。なお、地層処分プロジェクトの費用については、今後、政府により正式に試算されることになっている。

 

今後、公開討論国家委員会(CNDP)は、今回の市民会議の終了を受けて、2013年5月から開始した公開討論会の全体の議事録及び総括報告書を2014年2月15日頃に取りまとめ、公開討論会の開催を付託したANDRAに提出する予定である

今回の市民パネルの見解の公表を受けて、地層処分プロジェクトを実施するANDRAは、2014年2月3日に、市民パネルに対するコメントをプレスリリースとして公表した。その中でANDRAは、実規模での地層処分場開発の試験を実施すべきとの市民パネルの指摘について、ANDRAが提示した地層処分場の段階的な開発の方針を補完するものであると評価している。ANDRAは、公開討論国家委員会(CNDP)からの公開討論会の総括報告書を受領した後、2014年5月15日頃までに地層処分プロジェクトへの反映内容を決定する方針である。

 

【出典】


  1. 2006年放射性廃棄物等管理計画法で設置され、地下研究所または地層処分場のある地域において、実施主体と地元住民との間の情報の仲介、放射性廃棄物処分に関する研究の監視、情報提供、協議に関する全般的な使命を担う組織である。 []

フランスの公開討論国家委員会(CNDP)は、地層処分場の設置に関する公開討論会の一環として実施している「市民会議」について、これまでの2回の開催状況に関する情報をCNDPのウェブサイト上で公表した。CNDPは、2013年5月から開始した公開討論会の初期において、集会形式の公開討論会が反対派の妨害により中止を余儀なくされたことから、2013年7月に、それに代わる強化策として小規模な地元会合やインターネット会議によって公開討論会を実施し、その締め括りとして市民会議を開催することを決定していた

市民会議は1970年代からフランスを含む複数の国で導入されている手法であり、異なる地理的、社会・職業的背景を持つ10名程度の市民が、あるテーマについて事前に多様な観点を反映した情報を得たうえで、考えをまとめて見解を表明する仕組みである。通常のステークホルダーのような、積極的に意見表明をする立場にある人の意見だけでなく、一般市民の意見を直接吸い上げることを狙いとしている。

地層処分場の設置に関する市民会議の独立性を確保するため、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)のプロジェクトとは独立の立場にある専門家、有識者からなる運営委員会及び評価委員会が設置された。運営委員会が、市民会議に参加する市民パネリスト17名を選出している。市民パネリストは、選挙人名簿または世論調査機関Ipsosが調査用途に使用している名簿から無作為に抽出・選任されている。市民パネリストの選任においては、プロジェクトから直接影響を受ける可能性のある市民を含めるため、8名をムーズ県及びオート=マルヌ県の住民から選出している。

市民会議は2013年12月~2014年2月の週末を利用して全3回で開催する計画であり、第1回と第2回の市民会議が以下の日程・テーマで開催されている1 

 

第1回市民会議

2013年12月13日

  • 市民会議の実施方法、スケジュール、参加者の紹介

2013年12月14日

  • 放射性廃棄物に関する政策決定プロセス
  • 放射性廃棄物の種類
  • エネルギーミックスが変更された場合のシナリオがプロジェクトに与える影響
  • 高レベル放射性廃棄物管理について検討された3つの可能性について;特に中間貯蔵に関する詳細
  • 地層処分場に処分される放射性廃棄物の範囲

2013年12月15日

  • 安全性、研究所から商業規模の施設に発展する過程での困難等、地層処分プロジェクトに関する様々な問題
  • 可逆性に関する異なる見方

第2回市民会議

2014年1月10日

  • リスク評価

2014年1月11日

  • 処分場の建設と操業に関するリスクの特定と安全技術
  • 火災リスクと爆発リスク
  • 放射性廃棄物の輸送
  • 処分場の閉鎖
  • 長期のリスク:地質的、社会的観点から
  • 地域レベルでの政治、経済分野の組織、その他ステークホルダー組織によるプロジェクトのガバナンス

2014年1月12日

  • 国レベルでの政治・科学分野の組織、その他ステークホルダー組織によるプロジェクトのガバナンス
  • 国レベルの問題を特定地域が引き受けることに関する考え方
  • 地層処分に関する責任の内容と範囲

 

今後開催予定の第3回の市民会議では、これまでの市民会議で情報提供されたテーマのうち、市民パネルがさらなる議論を希望するものについて、関係者や専門家等からの意見収集を行ったうえで、市民パネルがプロジェクトに関する見解を取りまとめ、2014年2月3日に予定されている記者会見の場で公表するとしている。

 

なお、市民会議の運営委員会及び評価委員会のメンバーは以下の通りである。

運営委員会

  • 委員長:マリー=アンジェル・エルミット …法学博士、国立科学研究センター(CNRS)研究責任者、社会科学高等研究院(EHESS)研究責任者
  • Ÿ委員:クレモンス・ベデュ …社会学博士、ストラスブール国立水理・環境工学学校(ENGEES)-フランス国立環境・農学技術研究所(Irstea)共同研究プロジェクト研究者
  • 委員:フランソワ・ベスニュ …科学博士、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)廃棄物・地圏部長
  • 委員:ジャン=マリ・ブロム …ユベール・キュリアン学際的研究所(CNRS/ストラスブール大学)研究責任者
  • 委員:ベルン・グランボウ …放射線化学者、ナント国立高等鉱業学校教授、素粒子物理学・関連技術研究所責任者
  • 委員:アンドレアス・ルダンジェ …パリ政治学院持続可能開発・国際関係研究所(IDDRI)エネルギー・気候部門研究者

評価委員会

  • 委員:ジャン=ミシェル・フルニオー …フランス運輸・整備・ネットワーク科学技術研究所(IFSTTAR)研究責任者
  • 委員:ルイジ・ボッビオ …イタリア・トリノ大学政治科学教授
  • 委員:セシル・ブラトリクス …生活・環境科学産業研究所(AgroParisTech)政治科学教授

 

【出典】

  • CNDPウェブサイト

http://www.debatpublic.fr/debat-public/conference-citoyens-projet-cigeo.html


  1. 各々のテーマについて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、政府、規制機関である原子力安全機関(ASN)の代表、大学等研究機関の専門家が発表を行っ ているが、複数のテーマについては、原子力に否定的な立場をとる世界エネルギー情報サービス(WISE)やグローバル・チャンスの代表も発表を行ってい る。 []