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§ 2018年6月25日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フランスで国家評価委員会(CNE)が第12回評価報告書を公表

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フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する研究・調査の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、第12回評価報告書を2018年6月21日に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。第1回評価報告書は2007年6月に取りまとめられている

CNEは、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトの他、長寿命低レベル放射性廃棄物や極低レベル放射性廃棄物の管理研究について、以下のような見解を示している。

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、地層処分場の設計を単純化し、掘削機械を活用した、より安全な工法を採用することによってコストを削減する方向で設計を進めている。ANDRAは地層処分プロジェクトのコスト試算をアップデートしたが、不確実性やリスクがコストに与える影響を明示すべきである。
  • ANDRAは、密閉構造物(プラグ)の性能についてより適切に評価し、閉鎖後の処分場の過渡的挙動を明らかにする研究を継続しているが、供用期間を通じた地層処分場の挙動のシミュレーションについては、サイトのパラメータの空間的分布の影響について詳細化しなければならない。なお、カロボ・オックスフォーディアン粘土層の境界部における放射性核種の長期的な移行について想定するための研究は十分である。
  • ビチューメン(アスファルト)固化体に関しては、長寿命中レベル放射性廃棄物の処分坑道における火災発生の可能性や、火災が発生した場合に、処分坑道全体への火災拡大に関する研究が実施されている1 。これまで得られた知見について多様な角度からの解釈が行われており、さらに補完的な研究も実施されている。この問題に関してCNEは、国際的な検証が行われるべきであるとの立場であり、2018年3月に地層処分プロジェクトに関する高レベル委員会(CHN)が設置を発表した、国際専門委員会による検討状況を注視する方針である。
  • ANDRAは、地層処分場開発計画を進めるのに十分な知見を蓄積してきている。政府は、廃棄物の貯蔵などの短期的方策を優先することのリスクを十分に認識し、全ての関係者を関与させて、ANDRAが2019年に設置許可申請書を提出できるように取り組むべきである。
  • 原子力施設の廃止措置等に伴って発生する長寿命低レベル放射性廃棄物に関しては、処分場がいまだ決定していないため、ANDRAと廃棄物発生責任者が緊密に連携し、これらの廃棄物の特性を踏まえた管理戦略を原子力安全機関(ASN)に提案すべきである。
  • 原子力施設の廃止措置に伴い、多量に発生する極低レベル放射性廃棄物については、現在の処分場の処分容量が2030年には飽和すると予測されている。それらの再利用を行うためには、クリアランス制度2 の制定に関する法改正が必要である。この問題については結論に至っていないが、問題解決のための政策は、廃棄物の有害性に関する研究と社会的な期待に基づくものとすべきである。

なお、CNEは第12回評価報告書において、フランスの原子力・燃料サイクル政策が不透明であることの問題を指摘し、フランスが取りうる戦略オプションは以下の3つであるとしている。

  • 中長期的に高速炉開発も含めて原子力発電利用を継続するオプション
  • 高速炉開発を想定せずに原子力発電利用を継続するオプション
  • 運転寿命を迎える既存炉のリプレースも増設も行わずに原子力発電から撤退するオプション

CNEは、選択するオプションによって、放射性廃棄物の発生量、さらには地層処分場の設計にも影響が及ぶことから、現在実施されている多年度エネルギー計画(PPE)の見直しに関する公開討論会の終了後に3 、政府が原子力・燃料サイクル政策に関する中長期的な戦略を明示することを勧告している。ただし、CNEは、どのようなオプションを選ぶとしても、既に発生した放射性廃棄物の量と既に得られた技術的知見に鑑み、地層処分場の設置に向けた手続きを遅延させるべきではないとしている。

【出典】


  1. 原子力安全機関(ASN)は2018年1月に公表した地層処分場の安全オプション意見請求書に関する見解書において、ビチューメン固化体の特性を廃棄物発生者が速やかに明確化したうえで、処分坑道における火災を想定した対策に関する研究を実施するようANDRAに要請している []
  2. 放射性廃棄物のうち、放射性物質の放射能濃度が低く、健康への影響がほとんどないものについて、普通の廃棄物として再利用又は処分できる制度 []
  3. 2015年8月に制定されたエネルギー転換法に基づき、フランス政府は、エネルギー供給保証、エネルギー効率、再生可能エネルギー利用促進、エネルギー価格の競争力維持等の観点から、連続する2期間(各5年)を対象としてPPEを策定する。PPEは第1期間の終了時点で見直されるが、第1次PPEは2018年が見直し時期にあたっており、3~6月末までの予定で公開討論会が実施されている。 []

(post by eto.jiro , last modified: 2018-06-25 )