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《フランス》国家評価委員会(CNE)が第11回評価報告書を公表

フランスの国家評価委員会(CNE)は、2017年11月23日に、放射性廃棄物等の管理計画に関する研究・調査の進捗状況を評価した第11回評価報告書を議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEウェブサイトで公表した。CNEは2006年の放射性廃棄物等管理計画法に基づいて、放射性廃棄物等管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。なお、前回の第10回報告書は、2016年5月25日に公表されている

CNEの第11回評価報告書では、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)による高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクトの他、特に、ビチューメン(アスファルト)固化体や極低レベル放射性廃棄物の管理研究について、以下のような見解が示されている。

高レベル放射性廃棄物及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分プロジェクト

  • 地層処分場とその操業の複雑さを考慮して、CNEは、ANDRAがインタラクティブな3次元デジタルモデルを作成し、作業員の育成等に活用するよう勧告する。
  • 地層処分プロジェクトはパイロット操業フェーズから開始されるが、この段階において、将来設置する様々なプラグ1 の適性を確認すべきである。
  • 高レベル放射性廃棄物の処分区画での廃棄物の定置作業が終了するまで、廃棄物を定置した処分孔を開放したままにしておくことは望ましくない。操業期間中、廃棄物の定置作業が完了した処分孔を段階的に隔離していくためにプラグを設置し、地質媒体による受動的安全性を確保できるようにすべきである。また、これらの処分孔を継続的にモニタリングすべきである。
  • 地層処分場の設置許可申請後に、地層処分事業に係る新たなコスト評価を行わなければならない2 。特に、パイロット操業フェーズのコストを詳細化すべきである。資金需要が長期にわたることを考慮して、試算には資金調達コストも含めなければならない。
  • 2016年の「長寿命高・中レベル放射性廃棄物の可逆性のある深地層処分施設の設置方法を明確にした法律」に基づき、CNEは、地層処分プロジェクトの進捗を透明性のある方法で監督する機関の設置を提言する。当該機関は、ANDRAが策定する地層処分プロジェクトの「操業基本計画」の進捗を毎年レビューする。

放射性廃棄物の管理研究

  • ビチューメン(アスファルト)固化体の処分について、原子力・代替エネルギー庁(CEA)が研究結果を提示しているが、火災発生の可能性、さらに火災が処分区域全体に広がる可能性をさらに検証する必要がある。CNEは、本問題に関する試験を継続するよう勧告する。
  • 極低レベル放射性廃棄物の発生量は膨大であるが、ANDRAはその半分はより簡略化された処分場において処分可能と考えている。CNEは、原子力産業からの廃棄物であるか否かに関わらず、廃棄物の毒性に基づいて管理政策を決定すべきであると考える。本問題に関して、フランスでは現在、クリアランス制度3 が導入されていないが、欧州レベルあるいは国際レベルでの協調的な行動が取られることが望ましいと考えられる。CNEは、クリアランス制度の導入に関するフランスとしての詳細な検討を行うよう、改めて勧告する。

 

【出典】

  1. 坑道や処分孔に設置し密閉する構造物 []
  2. ANDRAは2014年にコスト評価書を取りまとめている []
  3. 放射性廃棄物のうち、放射性物質の放射能濃度が低く、人の健康への影響がほとんどないものについて、普通の廃棄物として再利用又は処分できる制度 []

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-10 )