2006年6月29日付のフランス官報にて高レベル・長寿命放射性廃棄物を含む放射性廃棄物全般の管理に関する「放射性物質及び放射性廃棄物の持続可能な管理計画法」(以下「放射性廃棄物等管理計画法」という)が公布された。同法は2006年4月から議会において「放射性物質及び放射性廃棄物の管理計画法案」という名称で審議が行われていたものである。議会審議においては法律名の変更、地層処分場の可逆性についての条件の法定化及び地層処分場の建設・操業等のための基金設置に関する項目などの追加がなされ、2006年6月15日に修正案が国民議会(下院)を通過していた。
公布された放射性廃棄物等管理計画法における高レベル・長寿命放射性廃棄物の管理に関する主な規定は以下の通りである。
- 長寿命放射性核種の分離・変換については、新世代の原子炉及び放射性廃棄物の核変換を専用に行う加速器駆動炉に関する研究及び調査との関連において研究・調査を実施(第3条)
- 可逆性のある地層処分場については、2015年に処分場の設置許可申請、2025年に操業開始ができるよう研究・調査を実施(第3条)
- 中間貯蔵については、中間貯蔵施設を2015年までに設置できるよう研究・調査を実施(第3条)
- 処分場の設置許可申請は、地下研究所による研究の対象となった地層に関するものに限定(第12条)
- 可逆性についての条件を定める法律の制定後にデクレによって処分場設置許可を発給(第12条)
- 処分場の閉鎖許可発給は法律の制定によるものとし、設置許可において100年以上の可逆性を確保する期間を設定(第12条)
- 管理研究の評価を2007年以降毎年行う国家委員会を設置(第9条)
- 政府が管理計画を2006年末までに策定し、以後3年毎に改訂するとともに、議会に提出、公開(第6条)
- 原子力安全・情報開示法に基づいて原子力安全に関する情報公開と情報提供のために設置される高等委員会は管理に関する協議・討論を定期的に実施(第10条)
- 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)によるインベントリの作成(3年毎に改訂)(第14条)
- ANDRAによる管理費用の見積と公表(第14条)
- 中間貯蔵施設及び地層処分場に関する調査及び研究活動に必要な資金確保のため、『研究税』を資金源とする基金をANDRA内に設置(第15条)
- 中間貯蔵施設及び地層処分場の建設・操業等に必要な資金確保のため、事業者からの拠出による基金をANDRA内に設置(第16条)
- 地下研究所区域に地域情報フォローアップ委員会(CLIS)の位置づけ、構成、活動財源を変更(第18条)
- 地層処分場区域のある各県に公益事業共同体を設置(第13条)
- 地層処分場などの原子力基本施設(INB)に対して、ANDRAによる研究活動の財源となる『研究税』、公益事業共同体の活動の財源となる『連帯税』と『技術普及税』の3つの新たな税を導入(第21条)
なお、放射性廃棄物等管理計画法は、環境法典に組入れられている1991年放射性廃棄物管理研究法を主に修正する形が取られている。
【出典】
- 上院ウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl05-315.html
- LOI n° 2006-739 du 28 juin 2006 de programme relative à la gestion durable des matières et déchets radioactifs(2006年6月28日の放射性廃棄物及び放射性物質の持続可能な管理に関する計画法第2006-739号)
(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )