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《フランス》放射性物質及び放射性廃棄物管理計画法の法案を公表 -高レベル・長寿命放射性廃棄物は可逆性のある地層処分に

2006年3月22日、フランス産業省はプレスリリースにおいて、放射性物質及び放射性廃棄物の管理計画に関する法律(以下、放射性廃棄物等管理計画法という)の法案を閣議に提出したことを公表し、併せて法案及び関連資料を同省のウェブサイトで公表した。同法案は1991年放射性廃棄物管理研究法(詳しくは こちら)のもとで、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)と原子力庁(CEA)が実施した15年にわたる研究成果、国内外の専門機関による研究成果の評価、議会科学技術選択評価委員会(OPECST)の報告書、また公開討論会の総括報告書及び経済社会評議会の見解に基づいて作成されたとしている。法案では、高レベル・長寿命放射性廃棄物を可逆性のある地層処分場に処分する方針が示されている。処分場の建設は、原子力安全当局(ASN)の検証、公開討論や公衆及び関係地方公共団体の意見聴取の後、2015年を目途に法令により許可されるとのことである。なお、法案は2006年4月6日から国民議会で審議される予定とされている。

プレスリリースによると、放射性廃棄物等管理計画法により、放射性物質及び放射性廃棄物に関する管理計画が定められるとしている。同日行われた産業担当大臣の声明によれば、この管理計画では、高レベル・長寿命放射性廃棄物の他、原子力活動から発生する全ての放射性物質も織り込まれるとされている。なお、この管理計画と放射性廃棄物及び再利用可能な物質に関するインベントリは定期的に改訂され、議会に提出、公開されるとしている。

また、管理計画の基礎となる次の3原則を定めることで、安全な管理を行うとしている。

  1. 使用済燃料の再処理
  2. 放射性廃棄物のコンディショニング及び冷却のための中間貯蔵
  3. 中間貯蔵後の可逆性のある地層処分

産業担当大臣の声明によると、放射性廃棄物等管理計画法では、放射性廃棄物管理研究の実施プログラムがスケジュール付きで定められるとのことである。これまで実施されてきた放射性廃棄物管理研究が引き続き実施され、処分場建設に至るまでの研究調査の推進に関する基本方針も定められるとされている。また、放射性廃棄物等管理計画法では計画の各段階を管理するため、研究に関する厳正中立な評価についての手続が定められ、これまで研究成果の評価を実施してきた国家評価委員会(CNE)の中立性が再確認されるとともに、組織が拡大され、権限が強化されるとのことである。CNEは研究成果に関する評価報告書を引き続き毎年提出するとされている。

また、産業担当大臣の声明よると、国民への情報提供及び事前協議などの具体的な手続の他、ビュール地下研究所サイトに設置されている地域情報監視委員会(CLIS)の役割も放射性廃棄物等管理計画法で定められ、県議会議長をCLIS委員長とし、財源も廃棄物発生者による資金とは独立したものになるとされている。

プレスリリースによれば、放射性廃棄物等管理計画法により放射性廃棄物管理に関する資金確保方法も定められるとされている。管理研究と関係各県の経済開発の財源は、原子力事業者に対する課税により確保されるとのことである。原子力施設の廃止措置及び放射性廃棄物管理の資金確保については、フランス電力株式会社(EDF)をはじめとする原子力事業者が引当金を設定し、資産を割当て安全に運用しなければならないとされている。

 

【出典】

  • 産業省プレスリリース、2006年3月22日、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/comm.php?comm_id=6959
  • 産業担当大臣の声明、2006年3月22日、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=http://www.industrie.gouv.fr/portail/ministre/decl.php?decl_id=3448
  • 産業省によって公表された放射性廃棄物等管理計画法の関連資料、http://www.industrie.gouv.fr/portail/index.php?url=/infopres/presse/somnucleair.html

 

【2006年6月6日追記】

上院のウェブサイトにおいて、国民議会(下院)で2006年4月12日に可決されて上院に送られた放射性廃棄物管理計画法案が2006年5月31日に修正・可決されたことが公表された。また、国民議会のウェブサイトによると、上院で可決された同法案が国民議会の経済・環境・領域問題委員会に送られた。今後、国民議会での第2読会が行われ 2006年の夏の間には成立する予定とされている。

  • 上院ウェブサイト、http://www.senat.fr/dossierleg/pjl05-315.html
  • 国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/12/dossiers/gestion_dechets_radioactifs_programme.asp#ESP
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)情報

【2006年6月16日追記】

国民議会(下院)のウェブサイトにおいて、放射性廃棄物管理計画法案が2006年6月15日に国民議会の第2読会において可決されたことが公表された。なお、同ウェブサイトで公表されている国民議会の可決法案では、2006年5月31日に上院で可決された法案からの内容的な変更はなされていない。

  • 国民議会ウェブサイト、http://www.assemblee-nationale.fr/12/dossiers/gestion_dechets_radioactifs_programme.asp#ESP

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )