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《フランス》規制機関がANDRAによる地層処分場の「安全オプション意見請求書」に関する見解書を公表

フランスの原子力安全機関(ASN)は2018年1月15日に、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が2016年4月にASNへ提出していた地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 に関する見解書を公表した。ASNは、2016年11月の国際レビューチームの見解及び2017年5月の放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の見解、2017年8月1日~9月15日までの意見募集を踏まえ、今回の見解を取りまとめている。

今回公表されたASNの見解書は、2017年8月の意見募集時に付された見解書案と大きな違いは見られず、ANDRAの地層処分プロジェクトが、安全オプション意見請求書の段階としては技術的に十分に高いレベルに達しており、過去にANDRAが提出したプロジェクトの進捗報告書に比べて、大きな進展が見られたと評価している。一方でASNは以下のような課題を指摘している。

廃棄物インベントリについて

ANDRAが安全オプション意見請求書で示した廃棄物インベントリについて、2019年に予定されている地層処分場の設置許可申請においては、将来における燃料サイクル政策やエネルギー政策の変化に伴う不確実性を考慮した予備的なインベントリも提出すべきである。

地層処分場の設計変更の可能性について

  • 地層処分場の閉じ込め機能を強化するため、放射性廃棄物の処分エリアと地上へ通じる坑道の位置関係等の設計を検討する必要がある。設置許可申請において採用される設計については、長期にわたる操業期間中の原子力安全や放射線防護を考慮し、異なるオプションの長所と短所に関する研究成果を提示して妥当性を立証しなければならない。
  • 操業中から閉鎖後に至るまで、地層処分場において想定される自然災害リスク(特に、地震)のレベル及びそのリスクに関係する機器や構造物の要件や挙動の解析方法を設置許可申請書に記載し、設計の妥当性を立証する必要がある。
  • 設置許可申請書の作成に際しては、廃棄物に影響を与える程度の火災が地上施設において発生することを想定する必要がある。
  • 安全オプション意見請求書においては、処分場の操業中及び閉鎖後の安全性に関わるモニタリングに関する情報が限定的である。設置許可申請書においては、地層処分場のモニタリング戦略とその実施方法を記載し、妥当性を立証する必要がある。
  • 設置許可申請書における地層処分場の設計に関する記載内容に関して、想定した事故の発生後における処分場の機能回復など、長期にわたる地層処分場の操業の安全上の課題を提示し、以下のような点を考慮していることを説明する必要がある。
  • 地層処分場の操業を継続できること
  • 事故により影響を受けた廃棄物を回収できること
  • 地層処分場の閉鎖作業を実施できること

ビチューメン(アスファルト)固化体について

ビチューメン固化体の特性を廃棄物発生者が速やかに明確化したうえで、処分坑道における火災を想定した対策として、以下の研究を実施すべきである。

1.ビチューメン固化体の発熱反応を抑えるための研究を優先的に実施すべきである。

2.上記の研究と並行して、ビチューメン固化体の発熱反応が過剰に進行する恐れを排除できるよう、地層処分場の設計変更を意図した研究も実施すべきである2

 

ASNの見解書の公表を受けたANDRAのコメント

安全オプション意見請求書に対するASNの見解書の公表を受けて、ANDRAは2018年1月15日に、地層処分場に関する安全オプション意見請求書に対する見解の総括を文書として公表した。ANDRAは、今回公表されたASNの見解書は概ね肯定的なものであったとした上で、ASNの見解を今後の研究等の方向性を示すものと位置づけ、2019年に予定されている地層処分場の設置許可申請に向けて、以下のような研究を進めるとしている。

  • 地層処分場において想定される自然災害のリスク・レベルの特定のための条件設定の詳細化
  • 詳細なモニタリング計画の提示に向けたモニタリング戦略のさらなる検討
  • ビチューメン固化体の火災リスクを管理できるような設計オプションの検討

 

【出典】

  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に対する見解を原子力安全機関(ASN)に請求することができる []
  2. ビチューメン固化体に関する2番目の意見は、当初2017年8月に公表されたASNの見解書案には含まれていなかったが、今回の最終的な見解書において追加されたものである。 []

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-10 )