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《米国》放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)が性能確認モニタリングと回収可能性に係る報告書を公表

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2018年6月18日に、「地層処分場:性能確認モニタリング及び定置後の高レベル放射性廃棄物・使用済燃料の回収可能性」と題する報告書(以下「性能確認・回収可能性報告書」という。)を公表した。NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価することを職務として設置された独立の評価組織であり、性能確認・回収可能性報告書も連邦議会及びエネルギー長官に宛てられたものである。

性能確認・回収可能性報告書では、性能確認モニタリングと回収可能性に内在する課題等について、2018年3月27日に開催された放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)ミーティング(以下「NWTRB春期会合」という。)において、フランス、スイス、ベルギー、ドイツ、国際機関などの専門家からの見解をまとめるとともに、NWTRB春期会合での議論を踏まえたNWTRBとしての所見が示されている。NWTRBは、NWTRB春期会合の報告者に対して、以下の3つの質問に対応するよう求めていた。

  1. 操業時や性能確認のモニタリング及び回収可能性のために必要な要件は何か。
  2. これらの活動の実施において、技術的・制度的な課題となり得るものは何か。
  3. 国際的プログラムの教訓から、米国の地層処分場プログラムに適用可能なものは何か。

性能確認・回収可能性報告書では、NWTRB春期会合での見解や議論に基づくものとして、以下の所見が示されている。

  • 回収可能性は、処分場の初期設計における重要な検討事項であり、処分場開発費用への増加度合いは小さいにもかかわらず、仮に回収を考慮していなかった状態で回収が必要と決定された場合には、コスト及びスケジュールに対してより大きな影響を与えるものと考えられる。
  • 処分場の操業について評価し、操業や廃棄物回収に関する意思決定を支援するためのモニタリングも、処分場開発に不可分のものである。
  • モニタリングの目的と制約が理解され、方針変更や回収の必要性を示唆する指標が透明性を持ち、収集されたデータが実施主体と他のステークホルダーによる性能確認モデルでの使用や公衆の信任強化のために広く利用可能であることが重要である。
  • 地下研究所や処分場パイロット施設は、モニタリング技術や将来の回収可能性に対する信認及び技術的基盤を改善するものであり、社会的受容性の構築の実証サイトとして貢献し得る。
  • 現在の技術的な制約に対応するためには、モニタリング及びセンサー技術の長期的研究・開発・実証が必要である。
  • 処分場プログラムの実施及び意思決定に係る段階的アプローチは、意思決定を再評価して将来計画を修正する機会を提供するものとして重要である。
  • モニタリングデータの入手と解釈のための専門的な技術が利用可能となるように、将来世代への知識継承を図る方策が必要である。

性能確認・回収可能性報告書の結論では、他国における処分プログラムが処分場のモニタリングや廃棄物の回収可能性に係る教訓となることは明白であるとして、エネルギー省(DOE)が米国の地層処分場プログラムを推進する際に有益な情報を提供する目的で性能確認・回収可能性報告書を取りまとめたとしている。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-10 )