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§ 2018年7月20日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が放射性物質及び放射性廃棄物の国家インベントリレポートの2018年版を公表

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フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2018年7月13日に、「放射性物質及び放射性廃棄物の国家インベントリレポート」(以下「インベントリレポート」という)の2018年版を公表した。ANDRAは2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、3年毎にインベントリレポートを改訂しており、前回のインベントリレポートの改訂は2015年に行われていた

インベントリレポートにおいては、2016年末時点でフランス国内に存在する放射性廃棄物の総量は約154万m3であり、前回2013年末時点から約8.5万m3増加していることが示されている。この増加の理由としてANDRAは、原子力発電利用、研究、産業・医療分野などでの通常の放射性廃棄物の発生に加えて、原子力施設の解体による極低レベル放射性廃棄物や短寿命低中レベル放射性廃棄物の発生を主な要因としている。

今回の2018年版インベントリレポートの公表に先立ち、フランスにおいて放射性廃棄物等の管理計画に関する調査研究の進捗状況を評価する国家評価委員会(CNE)は、2018年6月21日に公表した第12回評価報告書において、今後のフランスでの原子力・燃料サイクル政策が取りうる戦略オプションは以下の3つであると指摘している。

  • 中長期的に高速炉開発も含めて原子力発電利用を継続するオプション 
  • 高速炉開発を想定せずに原子力発電利用を継続するオプション 
  • 運転寿命を迎える既存炉のリプレースも増設も行わずに原子力発電から撤退するオプション 

2018年版インベントリレポートでは、将来のインベントリ予測として、CNEが指摘した戦略オプションに合致した形で以下の3つのシナリオを設定し、それぞれ、既存炉58基の運転と解体による廃棄物発生量の予測が示されている。なお、既存炉をリプレースした新規炉から発生する廃棄物量は予測に含められていない。

  • シナリオ1:既存炉を50~60年間運転した後に、欧州加圧水型原子炉(EPR)、さらには高速炉(FR)によってリプレースしていく。使用済燃料は全量再処理し、分離した核物質をMOX燃料として既存炉とEPRで再利用し、さらに高速炉においてマルチリサイクルを実施する。 
  • シナリオ2:既存炉を50~60年間運転した後に、EPRによってリプレースする。高速炉は導入しない。使用済のウラン燃料は全量再処理し、分離した核物質をMOX燃料として既存炉とEPRで再利用する。 
  • シナリオ3:既存炉は40年間、フラマンヴィル3号機(EPR)は60年間運転した後に閉鎖し、リプレースは行わない。使用済みのウラン燃料のみを再処理し、分離した核物質のMOX燃料としての再利用は、既にMOX燃料の装荷許可を受けている既存炉のみに限定し、その後中止する。使用済のMOX燃料や回収ウラン燃料は再処理しない。 

これら3つのシナリオにおける、地層処分対象となる放射性廃棄物の発生量の予測は以下の表のとおりである。シナリオ2と3では、使用済燃料を直接処分する必要性が生じるほか、高速炉を導入しないことにより、ウラン濃縮によってU-235が減損した劣化ウランが長寿命低レベル放射性廃棄物として、それぞれ470,000tHM及び400,000tHM発生するとしている。

 

シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3

原子力発電

既設炉(PWR)

50~60年

50~60年

40年

EPRによるリプレース

実施

実施

1基のみ

高速炉

導入あり

導入なし

導入なし

再処理

ウラン燃料

全量

全量

限定

MOX燃料

全量

高レベル放射性廃棄物

使用済のウラン燃料

3,700tHM

25,000tHM

使用済の
MOX燃料、FR燃料

5,400tHM

3,300tHM

ガラス固化体

12,000m3

9,400m3

4,200m3

長寿命中レベル放射性廃棄物

72,000m3

70,000m3

61,000m3

【出典】

(post by eto.jiro , last modified: 2018-07-20 )