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《フランス》放射性廃棄物管理機関(ANDRA)が地層処分場の設置許可申請の1年先送りを発表

フランスの放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2017年7月18日付けのプレスリリースにおいて、地層処分場の設置許可申請書の提出が2019年半ばの見込みであることを公表した。これまでANDRAは、2016年7月に制定された「長寿命高・中レベル放射性廃棄物の可逆性のある深地層処分施設の設置方法を明確にした2016年7月25日付法律」に基づいて、設置許可申請を2018年中に行う方針であった。ANDRAは設置許可申請時期の先送りについて、安全要件を満たしつつ大幅なコスト削減を実現するための最適化や変動要因へ対処するためであり、計画変更以外の部分では、地元自治体や住民との協議など含め、プロジェクトは順調に進捗しているとしている。

今回のプレスリリースにおいてANDRAは、放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)から指摘を受けていた処分坑道での火災時の安全確保への対応について、2016~2018年を対象とした「放射性物質及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」(PNGMDR)に基づいて、補完的な安全性の実証に既に着手しており、IRSNの指摘にも対応できると説明している。ANDRAは2016年4月に地層処分場の「安全オプション意見請求書」1 を原子力安全機関(ASN)に提出しており、ASNの要請により評価を行った放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)は、2017年7月に、地層処分場の安全確保について全体として肯定的な評価を示した一方で、ビチューメン(アスファルト)固化体について、処分坑道で火災が発生した場合の安全確保が不十分であることを指摘していた

また、今回のプレスリリースにおいてANDRAは、ムーズ県、オート=マルヌ県の両県にまたがるサイトにおける地層処分場の建設について、一部の反対運動が激化し、ANDRAの施設だけでなく、周辺の企業や住人等にも被害が及んでいることについて遺憾の意を表明している。ANDRAは2017年6月22日付のプレスリリースにおいて、周辺の企業や住人等に被害をもたらすような反対活動は許容しがたいとして、関係当局に被害状況を報告するとともに、周辺住民等に対する国の支援を要請するとしている。

 

 

【出典】

  1. 原子力基本施設及び原子力安全・放射性物質輸送管理に関する2007年11月2日のデクレ(2007-1557)の第6条に基づいて、事業者(ANDRA)は、処分施設の安全を確保するために採用したオプションの全部または一部に関する意見を原子力安全機関(ASN)に請求することができる []

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-10 )