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ドイツ

ドイツ連邦政府は2016年10月19日に、「原子力バックエンドの責任分担刷新法案」を閣議決定した。同法案には、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)が2016年4月27日に提出した最終報告書において示した勧告 を実施するための規定が含まれている。同法案は今後、2016年内の発効を目指し、連邦議会での審議が行われる予定である。

原子力バックエンドの責任分担刷新法案には、二つの新法――①放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律、②原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律――を制定及び関連法令の改正を行う内容が盛り込まれている。同法案に含まれる法律案及び関係法令の改正案の概要は以下の通りである。

放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律案〔基金設置法案〕

ドイツでの原子力発電事業者は、放射性廃棄物管理の将来費用を引当金として内部留保してきた。放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律案(以下「基金設置法案」という)では、新たな公的基金を設置し、連邦政府が責任を負う放射性廃棄物管理(中間貯蔵から最終処分場閉鎖まで、後述)について、必要な資金を基金に拠出して管理するための規定が含まれている。なお、この基金は、連邦経済・エネルギー省(BMWi)が所管する。

○基金の構成

新たに設置される基金は、監査組織である「管理委員会」と基金を運営する「運営委員会」から構成される。管理委員会は、連邦財務省、BMWi及び連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の代表者の計3名で構成される。運営委員会の委員は、管理委員会によって、資金管理経験者3名が指名される。

○原子力発電事業者による基金への払い込み

原子力発電事業者による基金への払込金は、放射性廃棄物管理の将来費用(基本払込金)と、リスクに備えるための保険料(基本払込金の35.47%)で構成される。原子力発電事業者は、基本払込金約174億ユーロ(約1兆9,700億円)に保険料約62億ユーロ(約7,000億円)を上乗せした合計約236億ユーロ(約2兆6,700億円)を基金に払い込むこととされている。これらの金額は、概ね2016年4月の検討委員会の勧告と同様である(下表参照)。

原子力発電事業者は、法律発効から7カ月後までに基本払込金、2022年末までに保険料を払い込むことが規定されている。ただし、連邦財務省同意の上でBMWiと合意すれば、基本払込金とリスク保険料の合計額を2026年末までに分割で支払うことも可能とされている。

表:原子力事業者による放射性廃棄物管理基金への払い込み金額

基金設置法
(払込時点で再調整可能性あり)
検討委員会勧告
(2014年価格)
 A. 基本払込金  約174億ユーロ(1兆9,700億円)  a. 引当金から基金への資金移管額  約172億ユーロ(約1兆9,400億円)
 B. 保険料(Aの35.47%)  62億ユーロ(約7,000億円)  b. 保険料(aの約35%)  約61億ユーロ(6,900億円)
 C. 払込総額
(A+B)
 236億ユーロ(約2兆6,700億円)  c. 払込総額
(a+b)
 約233億ユーロ(2兆6,300億円)

 

原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律案〔義務移管法案〕

原子力バックエンドの責任分担刷新法案には、原子力発電事業者と連邦政府の間での放射性廃棄物管理に関する責任分担を変更する新法を制定する条文が含まれている。「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律案」(以下「義務移管法案」という)の概要は以下の通りである。

○中間貯蔵と処分の実施・資金管理責任の変更

義務移管法案では、放射性廃棄物の中間貯蔵の実施責任者を従来の原子力発電事業者から連邦政府に変更するとともに、資金管理責任についても連邦政府の責任とする規定が設けられている(下表参照)。なお、廃止措置に関しては引き続き、実施・資金確保ともに原子力発電事業者が責任を有する。

保険料を含む基金への払い込み完了により、資金確保を含め、中間貯蔵以降の放射性廃棄物管理に関する責任は連邦政府に移行することになる。したがって、払い込み完了後は、最終処分場の操業開始遅延などに伴い費用が増大した場合でも、原子力発電事業者が追加の負担を求められることはない。

表:放射性廃棄物管理における原子力発電事業者と連邦政府の責任分担

 

現在の責任分担

移管法による責任分担

中間貯蔵

最終処分

中間貯蔵

最終処分

実施

事業者

連邦政府

連邦政府

資金

事業者(各自費用を引当)

連邦政府(ただし基金への払い込み完了後)

○連邦政府への中間貯蔵の移管時期及び実施主体

義務移管法案によれば、原子力事業者から連邦政府への中間貯蔵の実施責任の移行時期は次の通りである。

  • 発熱性放射性廃棄物(使用済燃料及びガラス固化体等):2019年1月1日
  • 非発熱性放射性廃棄物(発熱性放射性廃棄物以外):2020年1月1日

なお、中間貯蔵施設は原子力発電事業者が費用を負担して設置したものであるが、上記期日を以て、無償で連邦政府に引き渡されることとされている。

放射性廃棄物の中間貯蔵に関する実際の活動は、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の監督下に置かれる「連邦政府が100%所有する私法上の組織」によって実施される。放射性廃棄物の最終処分についてはすでに、「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」(2016年7月30日発効)による原子力法改正がなされており、連邦政府が100%所有する実施主体として、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が新たな処分実施主体となることが決まっている。中間貯蔵の実施主体についても、今後新たな組織が設置されることになる。

 

その他の法令の改正案など

「原子力バックエンドの責任分担刷新法案」による「基金設置法案」及び「義務移管法案」の2件の新法制定に伴い、放射性廃棄物管理に係る各種料金や分担金の支払い方法の変更に関係する法令の改正がなされる。関係する法令には以下のものがある。

  • 原子力法
  • 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律(サイト選定法)
  • 最終処分場設置の前払金令
  • 放射線防護令

 

【出典】

【2016年12月20日追記】

ドイツの連邦議会は2016年12月15日に、放射性廃棄物管理のための公的基金設置等を定める「原子力バックエンドの責任分担刷新法案」を賛成516、反対58で可決した。また、連邦参議院が12月16日に、同法案への同意1 を決議したことにより成立した。

なお、発効日については、別途、連邦官報に公示されることが規定されている。

【出典】

【2017年5月11日追記】

ドイツでは、2016年12月に成立した「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務の移管に関する法律」(以下「義務移管法」という)に基づいて、今後2020年1月までに、放射性廃棄物の中間貯蔵の実施義務を、従来の原子力発電事業者から連邦政府に段階的に移管する方針である。使用済燃料や放射性廃棄物の処分前に行われる中間貯蔵は、連邦政府が100%所有する私法上の組織が実施することになっている。

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)と原子力サービス社(GNS社)とは2017年5月8日に、GNS社の所有する中間貯蔵の新たな実施主体「連邦中間貯蔵機関」(BGZ)の株式及びGNS社が所有・操業しているゴアレーベン及びア―ハウスの集中中間貯蔵施設について、2017年8月1日に連邦政府に引き渡すことで合意したことを公表した。現在、BGZはBMUBとGNS社が共同出資した合弁会社として存在しているが2  、引き渡しにより連邦政府が100%所有する組織となる。

GNS社は原子力事業者が共同出資して設立された民間会社である。ドイツ北部のニーダーザクセン州にあるゴアレーベン中間貯蔵施設においては、原子力発電所から発生した放射性廃棄物や使用済燃料のほか、フランスと英国に委託した再処理からの返還ガラス固化体の中間貯蔵を実施している3 。ドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州にあるアーハウス中間貯蔵施設では、原子力発電所から発生した放射性廃棄物の中間貯蔵のほか、主として研究炉や高温ガス炉(実験炉と実証炉、いずれも1980年代に廃止)の使用済燃料を乾式貯蔵している4 。

今夏に行われるBGZの株式、ゴアレーベン及びア―ハウスの集中中間貯蔵施設の連邦政府への移管は、義務移管法に規定された中間貯蔵の実施責任移管の第一段階である。義務移管法では次の段階として、原子力事業者が各原子力発電所構内に設置している使用済燃料等の中間貯蔵施設12カ所を2019年1月1日までに、また、原子力発電所の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の中間貯蔵施設12カ所を2020年1月1日までに連邦政府へ移管することが規定されている。

【出典】

【2017年6月20日追記】

ドイツの連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、2017年6月19日に、放射性廃棄物管理のための「放射性廃棄物管理基金」が正式に設置されたことを公表した。これは、「放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律」(基金設置法)及び「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律」(義務移管法)を定める「原子力バックエンドの責任分担刷新法」が2017年6月16日付で発効したことを受け、6月19日に基金の監査組織である管理委員会の設置会合が開催されたことによるものである。

放射性廃棄物管理基金には2017年7月1日付で、原子力発電事業者から約236億ユーロ(約2兆7,800億円)の拠出金が払い込まれる予定である。今後、組織・職員構成を整備するとともに、払い込まれた資金の長期安定運用に関する戦略等の検討が進められることになっている。

【出典】

 

【2017年6月27日追記】

ドイツの連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、2017年6月16日に発効した「放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律」(基金設置法)及び「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律」(義務移管法)の規定内容の実施について、連邦政府と原子力発電事業者との合意事項を定めた「脱原子力に係る費用確保に関する協定」が2017年6月26日に締結されたことを公表した。

この協定締結により、原子力発電事業者が、総額約236億ユーロ(約2兆7,800億円)の拠出金を放射性廃棄物管理のための公的基金に対して、2017年7月1日付けで払い込むことが確定した。

【出典】

【2017年7月4日追記】

ドイツの連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、2017年7月3日に原子力発電事業者が放射性廃棄物管理のための公的基金に対して、基本拠出金約179億ユーロ(約2兆2,200億円)5 、及びリスク保険料約62億ユーロ(約7,700億円)の合計約241億ユーロ(約2兆9,900億円)を一括で払い込んだことを公表した。義務移管法の規定に基づいて、基本拠出金の払い込み完了に伴い、原子力発電事業者による放射性廃棄物の中間貯蔵の実施義務及び資金確保義務、最終処分の資金確保義務については、連邦政府に移管されたこととなる。

公的基金の運営委員会は、基金全体の資金運用戦略の策定を進めつつ、一部の資金については、ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行の協力のもとで近日中に投資運用を開始するとしている。

【出典】

【2017年8月2日追記】

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)及び原子力サービス社(GNS社)は、2017年8月1日付で、ゴアレーベン及びアーハウスの使用済燃料等の集中中間貯蔵施設が連邦政府に移管されるとともに、GNS社が所有していた連邦中間貯蔵機関(BGZ)の株式が連邦政府に無償譲渡されることにより、BGZが100%連邦政府所有の組織となったことを公表した。これらの中間貯蔵施設等の移管・譲渡は、2016年12月に成立した「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務の移管に関する法律」(以下「義務移管法」という)に基づいて行われたものである。これに伴って、ゴアレーベン及びアーハウスの集中中間貯蔵施設やGNS本社で中間貯蔵業務に従事していた約150名の従業員もBGZに移籍した。

さらに、今後は、義務移管法に基づいて、以下の中間貯蔵施設が連邦政府に移管される予定である。

  • 2019年1月1日までに連邦政府に移管:原子力発電事業者が各原子力発電所内に設置している使用済燃料等の中間貯蔵施設12カ所
  • 2020年1月1日までに連邦政府に移管:原子力発電事業者が各原子力発電所内に設置している原子力発電所の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の中間貯蔵施設12カ所

【出典】


  1. ドイツの国会は二院制であり、連邦議会と連邦参議院がある。連邦参議院は直接選挙で選出されるのではなく、州が代表を送って構成される。ドイツ基本法では、連邦法は連邦議会が議決すると規定しているが、法律の内容によっては連邦参議院の同意が必要となる。 []
  2. ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)と原子力サービス社(GNS社)は、義務移管法の2016年12月成立を受けて、2017年3月1日に共同出資によるベンチャー企業として「連邦中間貯蔵機関(BGZ)」を設立していた。 []
  3. ゴアレーベン中間貯施設は、GNS社の子会社であるゴアレーベン燃料貯蔵会社(BLG)が実施している。1995年から返還ガラス固化体の受け入れを開始したが、2013年の連邦政府とニーダーザクセン州の合意に基づく原子力法の改正により、現在は受け入れが行われていない。今後返還されるガラス固化体は、原子力発電所サイトで中間貯蔵することが計画されている。 []
  4. アーハウス中間貯蔵施設は、GNS社の子会社であるアーハウス燃料貯蔵会社(BZA)が操業している。 []
  5. 基金設置法に規定された金額に加え、同法の規定により、2017年1月1日以降の利息が加算されている []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は2016年7月5日に、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づくサイト選定手続きに関する最終報告書「将来への責任-最終処分場選定のための公正かつ透明性の高い手続き」(以下「最終報告書」という)を連邦議会議長に提出するとともに、処分委員会ウェブサイトにおいて最終報告書を公開した。

最終報告書は、報告書全体の主要な結論及び勧告をまとめた「パートA」と、報告書本体部分である「パートB」で構成されている。パートAでは、第1章及び第2章で可能な限り安全性の高い処分が可能なサイトを選ぶという処分場のサイト選定の基本方針を示すと共に、サイト選定に係る過去の経験や処分委員会の使命及び取り組み方法等を総括した上で、第3章から第5章に処分委員会の勧告をまとめている。各章では、以下の分野に関する勧告が示されている。

  • 第1章:可能な限り安全性の高い処分場サイト
  • 第2章:サイト選定の主要な前提条件
  • 第3章:処分オプションに関する勧告(回収可能性を有する地層処分)
  • 第4章:サイト選定手続きに関する勧告(サイト選定プロセス及び公衆参加)
  • 第5章:政治・社会的側面に関する勧告(処分実施体制、連邦議会に対する勧告)

サイト選定プロセス

処分委員会は2015年3月に、現行の連邦放射線防護庁(BfS)に代わる新たな処分実施主体として「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」の設置を勧告しており、サイト選定の作業もBGEが主体となって進められる。サイト選定手続きの監督は、連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が所管する1

サイト選定プロセスは、下表の3段階で行われ、各段階において公衆参加の手続きが実施される。公衆参加の形態としては、公聴会等に加え、連邦、地域横断、地域の3つのレベルでそれぞれ委員会等が設置され、BGEによる選定手続き及びBfEによる審査の状況について評価・監視が行われる

 

段階

各段階での取り組み

段階の終了

第1段階

ドイツ全土を対象にサイト選定プロセスを開始。除外基準及び最低要件に基づき、対象外となる地域を除外。地質学的な評価基準及び項目を限定した予備的安全評価(第1次予備的安全評価)に基づき、主に連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)や州の地質調査所が保有する既存のデータを元に地域間の比較を実施し、候補地域と地上探査の対象サイト地域を選定。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の提案に基づき、候補地域と地上探査の対象サイト地域を連邦法によって決定。

第2段階

地上からの探査を実施。地質学的な除外基準、最低要件、評価基準及び第1段階より範囲を拡大した予備的安全評価(第2次予備的安全評価)に基づき、サイト間の比較を実施し、地下探査の対象サイトを選定。

BGEの提案に基づき、地下探査の対象サイトを連邦法によって決定。

第3段階

地下探査などの処分の安全性の観点からの詳細な調査を実施。包括的な予備的安全評価を実施し可能な限り安全性の高いサイトの特定に向け、サイトの比較を実施し、処分場サイトを選定。

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)の提案に基づき、処分場サイトを連邦法によって確定。

 

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の反応

処分委員会から最終報告書の提出を受けた連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)のヘンドリクス大臣は、原子力発電に対する各委員の姿勢が異なる中で、処分委員会が最終処分の将来に向けた共通の結論を出すに至ったことを評価した。同大臣は、サイト選定の対象からゴアレーベンを予め除外することを求める意見が一部の州から出ていることについて、旧処分場候補地であるゴアレーベンを含め、ドイツ全土を同じ条件で取り扱う原則を強調した。

今後、連邦政府及び連邦議会・連邦参議院において、処分委員会の最終報告書に示された勧告を踏まえて、サイト選定法の改正に向けた検討などが行われる。

 

【出典】

 

【2016年7月20日追記】

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年7月18日、高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)が2016年7月5日に連邦政府及び連邦議会へ提出した最終報告書「将来への責任-最終処分場選定のための公正かつ透明性の高い手続き」(以下「最終報告書」という)に対するインターネット上での意見募集を開始した。意見募集は、2016年9月11日まで実施される。

意見募集用に設置された専用ウェブサイト(https://www.endlagerbericht.de/ja/)では、処分委員会の最終報告書の各節、各段落について、「賛成」、「反対」の投票が可能であるほか、コメントを記入できるようになっている2

意見募集の結果は、処分委員会の委員参加の下、2016年9月28日に開催予定となっている連邦議会の環境委員会で検討され、最終報告書の勧告を受けて実施されるサイト選定法の改正作業等において考慮される。

【出典】

【2016年9月30日追記】

ドイツ連邦議会(下院)の環境委員会は2016年9月28日に、高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)が2016年7月5日に連邦政府及び連邦議会へ提出した最終報告書「将来への責任-最終処分場選定のための公正かつ透明性の高い手続き」(以下「最終報告書」という)について、サイト選定法の改定などを検討するための会合を開催した。

本会合において連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、最終報告書に示された勧告を実施に移すための法整備について、2016年内に法律原案を取りまとめる意向であること、その場合、2017年の連邦議会の夏季休会前に法律の成立が可能との見方を示した。また、最終報告書の勧告の法制化の手続きは、州の代表で構成される連邦参議院(上院)との協力が重要であるとの意見が出された。

さらに、本会合では、2016年7月上旬から9月18日まで(当初予定より1週間延長)実施された、処分委員会の最終報告書に対するインターネット上での意見募集の結果について報告が行われた。意見募集のための専用ウェブサイトには、11名が参加し、800件を超えるコメントが寄せられており、コメントの大半は技術的内容に関するものであったとされている。

【出典】


  1. 2016年6月に名称を「連邦放射性廃棄物処分安全庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgungssicherheit, BfE)」に変更する法案が連邦議会で可決されている []
  2. 意見表明するには、ソーシャルネットワークサービスのユーザ登録情報を利用した本人確認が必要となっている []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2016年6月27日に開催された第33回会合において、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づくサイト選定手続きに関する最終報告書を採択した。最終報告書は2016年7月5日に、連邦政府及び連邦議会に提出されると同時に処分委員会ウェブサイトにおいて公開される予定である。また、処分委員会は7月5日に、最終会合となる第34回会合を開催し、公衆に向けて最終報告書の勧告などの説明を行うとしている。

処分委員会は32名の委員(委員長2名除く)で構成されるが、このうち最終報告書に関する議決権を持つのは、学術界代表及び社会グループ代表の各8名の計16名である。最終報告書の採決は、16名の全員一致、もしくは、これらの16名の委員のうち3分の2以上の賛成が必要とサイト選定法に規定されているが、14名が賛成し、環境団体代表の1名が反対した(1名は欠席)。

最終報告書の主な勧告内容

処分委員会は2016年6月28日付のプレスリリースにおいて、採択した最終報告書は500ページを超えるものとなり、ドイツにおいて可能な限り高い安全性を有する高レベル放射性廃棄物処分場サイトを選定するための勧告・基準、及び公衆参加を組み込んだ公正で透明性の高いサイト選定手続きが含まれているとしている。

連邦議会のウェブサイトによると、最終報告書には、主に以下の勧告が示されている。

  • 放射性廃棄物は地層処分場に最終処分する。その際には、欠陥が認識された際に是正が可能となるよう、意思決定の可逆性及び定置された廃棄物の回収可能性を重視する。
  • 可能な限り高い安全性を有する処分場サイトを3段階の手続で絞り込み、連邦法で確定する。
  • 連邦、地域横断、地域の各レベルで委員会・合議体を設置し、包括的な公衆参加のもとでサイト選定を実施する
  • 岩塩、粘土層、結晶質岩を候補母岩として検討対象とする。
  • 旧処分場候補地であるゴアレーベン・サイトを、今後実施されるサイト選定手続きから除外しない。

【出典】

ドイツの連邦議会は2016年6月23日に、「最終処分分野における組織体制刷新のための法案」(以下「法案」という)を可決した。法案の発効後は、ドイツにおいて放射性廃棄物処分場のサイト選定から建設・操業・廃止措置を、単一の国営組織が担う体制が構築されることになる。また、放射性廃棄物処分関連の安全規制機関の名称変更が行われる。本法案は、2016年6月24日付で連邦参議院に回付されており、今後、連邦参議院の同意を得たのち、連邦官報に公示され、発効する見込みである1 。

本法案は、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)が提案した、放射性廃棄物処分の新たな実施主体の設置 や、放射性廃棄物処分場のサイト選定プロセスを中立的な立場から監視する「社会諮問委員会」の早期設置などを目的として策定されたものであり、原子力法やサイト選定法をはじめとする計15の関係法令を改正する条文で構成されている。

放射性廃棄物処分の新たな実施主体の設置

本法案には原子力法とサイト選定法の改正が含まれている。改正原子力法には、放射性廃棄物処分事業の実施責任を、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の監督下に置かれる「連邦が100%所有する私法上の組織」に一任するとの規定が盛り込まれる。同様に、改正サイト選定法では、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の実施責任者が、現在の連邦放射線防護庁(BfS)から、「連邦が100%所有する私法上の組織」に変更される。

なお、処分委員会は2015年3月の決議において、処分実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として新たに設置することを提案しており、本法案は処分委員会の決議を反映したものである

放射性廃棄物処分の実施責任に関する現行法上の体制と、関係法令の改正後における体制を整理すると、下表のとおりとなる。

実施責任範囲

現行法上の体制

改正案による新体制

放射性廃棄物処分場のサイト選定・建設・操業・廃止措置

連邦放射線防護庁(BfS)

(実際の処分場の建設・操業等の作業については、ドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社:民間会社)及びアッセ有限会社(国有会社)に業務委託)

連邦が100%所有する私法上の組織(※)。監督官庁は連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)。

(※連邦放射性廃棄物機関(BGE)として設置される見込み)

 

放射性廃棄物処分場のサイト選定プロセスを監視する社会諮問委員会の早期設置

現行のサイト選定法において社会諮問委員会は、サイト選定手続きへの公衆参加を実現するための組織と位置づけられているが、具体的な役割、委員構成等に関する規定は含まれていなかった。本法案の発効後は、社会諮問委員会の設置時期が、現行の「連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後」から、「2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後」に前倒しされる。社会諮問委員会は、処分委員会の活動終了後からサイト選定の開始までの期間においても、関連機関の諸活動に関与することになる。また、社会諮問委員会の役割が明確化され、処分場サイトの決定に至るまでの公衆参加の実施状況も含めて、サイト選定手続きを中立的な立場から監視するとともに、関係者間の調整を行うことになる。

なお、処分委員会は、最終報告書提出後に公衆参加の空白期間が生じることを回避する目的で、社会諮問委員会の設置を早めることを提案していた。

社会諮問委員会の設置時期と体制、役割について、現行法と改正案における規定内容を整理すると、下表のようになる。

項目

現行法

改正案

設置時期

連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に設置。

2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後に設置。

委員構成

委員構成は多元性に配慮しなければならない

設置時(9名):連邦議会・連邦参議院から6名、市民代表2名、若年層代表1名。

連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に見直しを実施。

委員任期

規定なし。

3年(再選2回まで)。

主な役割

サイト選定手続きへの公衆参加を実現。

  • サイト選定手続きを公衆参加の実施状況も含めて中立的な立場から監視及び関係者間の調整
  • 処分委員会の活動終了後からサイト選定の開始までの期間の諸活動に関与

 

放射性廃棄物処分関連の安全規制機関の名称変更

処分場サイト選定手続全体の監督、調整を担う規制機関として、2014年9月に連邦放射性廃棄物処分庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgung, BfE)が設置されている。本法案の発効後は、同機関の名称が「連邦放射性廃棄物処分安全庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgungssicherheit, BfE)」に変更される。また、放射性廃棄物の貯蔵や輸送に関する許可発給権限は、連邦放射線防護庁(BfS)からBfEに移管される。

連邦放射線防護庁(BfS)の反応

連邦放射線防護庁(BfS)長官は、本法案の連邦議会通過を受けて公表された2016年6月24日付の声明において、最終処分関連の組織体制変更は、最終処分事業のこれまでの経験に照らして、理に適ったものであると評価しており、その上で、組織体制の刷新は、高レベル放射性廃棄物処分場の新たなサイト選定にとって必要であり、体制の重複を避け、外部から見て責任の所在がわかりやすい構造とする必要があると述べている。

【出典】

 

【2016年7月13日追記】

ドイツの連邦参議院は2016年7月8日に、連邦議会が可決した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」について、同法の内容に異議を申し立てないことを決議した2 。今回の連邦参議院の決議により、同法に関する議会両院の手続が終了して法律として成立した。同法は今後、連邦官報に公示され、発効する見込みである。

【出典】


  1. ドイツの国会は二院制であり、連邦議会と連邦参議院がある。連邦参議院は直接選挙で選出されるのではなく、州が代表を送って構成される。ドイツ基本法では、連邦法は連邦議会が議決すると規定しているが、法律の内容によっては連邦参議院の同意が必要となる。 []
  2. ドイツの法律制定過程における連邦参議院の関与には2通りあり、連邦参議院の同意が必要なものと、異議権限が認められるものがある。連邦参議院が異議を唱えた場合、両院協議会が設置され協議が行われるが、連邦議会は異議を覆すことが可能である。 []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2016年6月15日に開催された第31回会合において、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の各段階における公衆参加の枠組みや流れについて決定した。今回合意された内容は、2016年6月30日までに連邦政府及び連邦議会に提出される予定の最終報告書の「7.3節 関係者、委員会」及び「7.4節 公衆参加の手順」に組み込まれる。

処分委員会は、探査サイトの地元住民がサイト選定の早期から対話に参加し、サイト選定における決定に関与することを実現するためには、新しい公衆参加形態が必要であるとの認識から、広範な公衆参加の枠組みを決定したとしている。これらの公衆参加形態については、処分委員会の最終報告書に基づき、連邦政府による法令への反映が想定されている。

公衆参加手続きの概要

2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) では、地質学的な除外要件及び最低要件の適用により提示される複数のサイト地域から、地上探査サイト地域の選定(第1段階)、地下探査サイトの選定(第2段階)、最終的なサイトの提案・合意(第3段階)へと段階的に絞り込みが行われることが規定されている。

今回、処分委員会において決定された公衆参加手続きでは、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定における公衆参加を目的として、サイト選定法に基づく選定手続の各段階に対応し、連邦、地域横断、地域の3つのレベルで委員会や合議体を設置する方針である(下表参照)。

 

サイト選定プロセス

委員会・合議体の設置レベル

第1段階
地上探査サイト地域の選定

第2段階
地下探査サイトの選定

第3段階
処分場サイトの提案・合意

サイト区域選定

地上からの探査サイト地域選定

地上からの探査の実施

地下探査サイト選定

地下探査の実施

サイト提案・合意

連邦

社会諮問委員会

地域横断

サイト区域専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域

地域会議(多数)

地域会議(多数)

地域会議(複数)

地域会議(複数)

地域会議(1カ所)

 

公衆参加のための枠組みの詳細

連邦レベルでは中立的な立場から、サイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスを監視するため、「社会諮問委員会」が設置される。サイト選定プロセス第1段階では、処分実施主体が提案する「地上からの探査サイト地域」の地元では、地域レベルの合議体である「地域会議」が設置される。

サイト選定プロセス第1段階において、各地元に「地域会議」が設置される前段階では、地域横断レベルの合議体として「サイト区域専門会議」が設置される。この合議体の役割は、処分実施主体が第1段階の中間において「地上からの探査サイト地域」を提案した以降は、各地域会議から同数の代表者が参加する合議体「地域代表者専門会議」に引き継がれる。

これらの委員会・合議体は、サイト選定プロセスの各段階において、公衆参加の結果を報告書としてとりまとめ、提出することとされている1連邦、地域横断及び地域の各レベルにおいて設置される委員会・合議体の設置時期、構成、及び役割を以下に示す。

<連邦レベル>

社会諮問委員会

  • 設置: 2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後、選定プロセス開始に先立ち、9名の委員で暫定的に設置される。選定プロセス開始に伴い18名の委員で本格的に活動を開始する。
  • 構成:国民を代表する18名の委員で構成される。このうち12名は連邦議会と連邦参議院が半数ずつ選出し、残る6名は性別年齢を考慮した上で無作為に抽出された全国の市民から選出する。市民代表のうち2名は16歳から27歳の若年層から選出する。委員指名は連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)により行われる。
  • 役割:中立的な立場から、サイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスにおいて、手続き全体を監視すると共に、関係者間の調整を行う。

社会諮問委員会については、サイト選定法において、連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に設置することが規定されている。しかし、処分委員会は、最終報告書提出後に公衆参加の空白期間が生じることを回避する目的で、これを前倒しで設置することを提案している。すでに超党派の議員がサイト選定法の改正案を議会に提出している。

<地域横断レベル>

サイト区域専門会議

  • 設置:連邦放射性廃棄物機関(BGE)によるサイト選定の第1段階の中間報告書作成後に連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が設置する。
  • 構成:BGEによる第1段階の中間報告書において、提示される「サイト区域」の代表者を中心に構成される。該当するサイト区域内の自治体や各種社会組織及び市民の代表者に加え、該当区域外の専門家も参加することが望ましいとしている。
  • 役割:選定プロセスにおける利害関係者となる区域が特定され、地域会議が設置される前の段階において、公衆が参加する機会を提供する。BGEによる第1段階の中間報告書提示後、6カ月間に3回にわたり会議を開催し、中間報告書を評価する。

地域代表者専門会議

  • 設置:地域会議の設置後に、サイト区域専門会議に代わり設置される。
  • 構成:各地域会議から同数の代表者が参加する。総数は30名を超えないものとされている。
  • 役割: 連邦放射性廃棄物機関(BGE)及び連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)のサイト選定・審査結果を検証するとともに、各地域会議におけるプロセスを比較する。また、探査サイトにおける地域開発促進のための包括的な戦略を検討する。会議の頻度は選定プロセスの進捗によるが、最低でも年3回は開催する。

<地域レベル>

地域会議

  • 設置:新たな処分実施主体として処分委員会が設置を提案している連邦放射性廃棄物機関(BGE)による第1段階の地上からの探査サイト地域の提案を受けて、サイト選定を監督する役割を有す連邦放射性廃棄物処分庁(BfE) が提案されたサイト地域ごとに設置する。
  • 構成:処分委員会が提示している地域会議の概念モデルには、「代表者グループ」、「総会」、「公衆」の3つの層が含まれる。「代表者グループ」は地域内の自治体、経済・環境団体等の各界、並びに市民の代表者から成り、総数は30名を超えない規模とされる。「総会」には、当該地域の全有権者が参加可能であり、代表者グループの任命権限があるほか、代表者グループに対して要望や提案を提示することが可能である。「公衆」はその他を含む公衆一般であり、代表者グループが、これら公衆に対し、BfEが運営するインターネット上の情報プラットフォームを通じた情報提供に加え、地域会議の枠組みによる公衆参加機会の提供を行う。
  • 役割:サイト選定プロセスに密接に関与し、重要な提案、決定の正当性や実証可能性を検証するとともに、関心を持つ全ての市民がサイト選定プロセスに参加しやすくなるように配慮する。また、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が提示する処分場設置に伴う社会経済的影響について議論を行う。処分場サイトの最終提案が行われる第3段階では、サイトの提案の検証を行うと共に、立地地域の地域開発に関する合意の策定に取り組む。

【出典】


  1. ただし、サイト区域専門会議を除く。サイト区域専門会議の関与は、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が第1段階の提案に向けて作成する中間報告書の評価に限られる。 []

連邦経済エネルギー省(BMWi)は2016年4月27日に、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)が、原子力発電所の廃止措置及び使用済燃料を含めた放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)確保のあり方に関する勧告をとりまとめた最終報告書を提出したことを公表した。検討委員会は、バックエンド資金を長期的に維持できる資金確保方策の検討を目的として、連邦政府により2015年10月に設置された。当初、2016年1月末までに最終報告書を提出する予定であったが、原子力発電事業者との協議に時間を要したことなどから、2016年4月末の報告書提出となった。

ドイツでは原子力法に基づき、放射性廃棄物処分場のサイト選定、建設及び操業の責任は連邦政府にある。一方、放射性廃棄物管理費用は、発生者責任の原則に基づいて原子力発電事業者が負担しているが、現在のところ公的な基金制度はなく、各原子力発電事業者は、将来に発生が見込まれる費用を引当金として計上している。

放射性廃棄物管理のための資金確保に関する検討委員会の勧告

検討委員会は、中間貯蔵以降の放射性廃棄物の管理に関係する実施責任及び資金確保・管理責任を、原則として連邦政府に集中することを勧告している。これに伴い、新たに公的基金を設置すること、また、現在、原子力発電事業者が引当金として計上しているバックエンド資金のうち、放射性廃棄物の管理資金(約172億ユーロ、約1兆5,500億円)に加えて、リスクに備えるために35%の保険料を上乗せした総額約233億ユーロ(約2兆9,100億円)を同基金に払い込むことなどを勧告している(下表参照)。引当金の基金への移管は、基金設置後直ちに実施される。一方、リスクに対応するための保険料は全ての原子力発電所が運転を終了する2022年までに基金に払い込むこととされている1

この勧告が実行された場合、2022年に基金へのすべての払い込みを終えた後は、最終処分場の操業開始遅延等に伴い費用が増大した場合でも、原子力発電事業者が基金への払込金額を超える負担を求められることはないとされている。

表: 原子力発電所由来の放射性廃棄物の管理・処分における
原子力発電事業者と連邦政府の責任分担

  

現状の責任分担 検討委員会勧告による責任分担 事業者引当金から基金への資金移管額
(2014年価格)

放射性廃棄物のコンディショニング

事業者

連邦政府:今後発生する使用済燃料及び再処理廃棄物(ガラス固化体)の処分のためのコンディショニング

事業者:その他の廃棄物

①約47億ユーロ
(約5,900億円)

中間貯蔵及び輸送

事業者

事業者:中間貯蔵施設の設置まで

連邦政府:中間貯蔵施設操業開始以降、最終処分場への輸送までの全工程

最終処分

事業者:資金確保・管理

連邦政府:処分場サイト選定、設置、操業、廃止措置

連邦政府

②約124億ユーロ
(約1兆5,500億円)

基金に移管される引当金の額(①+②)

③約172億ユーロ
(約2兆1,500億円)

リスクに対応するための保険料(③の約35%)

④約61億ユーロ
(約7,600億円)

基金への払い込み総額(③+④)

約233億ユーロ
(約2兆9,100億円)

原子力発電所の廃止措置に関する検討委員会の勧告

原子力発電所の廃止措置に関する検討委員会の主な勧告は以下のとおりである。

  • 廃止措置に関しては引き続き、原子力発電事業者が実施責任及び資金・財務面で無限責任を負う。この責任について法的な根拠を与える法律を制定する。
  • 現状では廃止措置オプションとして、「安全貯蔵」と「即時解体」のいずれかを選択できるが、これを即時解体に限定する。連邦政府及び州は、廃止措置の許可を迅速かつ効率的に発給できるように準備を整える。

検討委員会の勧告に関する今後の動き

検討委員会は、連邦政府と原子力発電事業者に対し、同委員会が勧告した内容に関して合意書を締結するよう求めている。また、検討委員会の勧告を実行に移すには、原子力法及び関係法令の改正のほか、新たな法令の制定が必要である。今後、連邦政府は関係省庁の政務次官等で構成される「原子力発電に関する政務次官委員会」において、検討委員会の最終報告書をレビューし、勧告された措置の実施について検討することとなっている。

【出典】

 

【2016年6月6日追記】

ドイツ連邦政府は2016年6月1日のプレスリリースにおいて、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)が2016年4月27日に行った勧告の実施に関して閣議決定したことを公表した。

連邦政府は、放射性廃棄物の管理・処分資金に関する新たな公的基金の設置などを盛り込んだ検討委員会の勧告について、合意可能かつ実現可能な解決策を示したと評価している。また、連邦政府は現在、検討委員会の勧告の詳細なレビューを行っている段階であるが、これと並行して勧告内容の実施に必要な関連法令の策定準備を進める方針を示している。

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。 []

ドイツ連邦政府は2015年10月14日に、原子力発電からの撤退1 に関連して、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理のための資金(以下「バックエンド資金」という)について、資金確保のあり方を検討する「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)の設置を決定した。検討委員会は、原子力発電事業者がバックエンド資金に係る費用負担の責任を果たすため、十分なバックエンド資金を長期的に維持できるような資金確保方策を検討するとされている。

脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会

2015年10月14日付で設置された検討委員会は、3名の共同委員長及び委員16名の合計19名で構成される。

共同委員長は以下の3名である。

  • マティアス・プラツェク(元ブランデンブルク州首相、社会民主党(SPD))
  • オーレ・フォン・ボイスト(元ハンブルク市長、キリスト教民主同盟(CDU))
  • ユルゲン・トリッティン(元連邦環境大臣、緑の党)

16名の委員には、州首相経験者を含む政治家、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の原子力安全局長、会計監査、法律の専門家の他、経済団体、環境団体、労働組合、大学、宗教団体などに所属する委員が含まれている。

ドイツには現在、バックエンド資金確保に関して公的な基金制度などはなく、原子力発電事業者が独自に引当金として資金確保を行っている。しかし、資金確保のあり方については、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」に基づき設置された「高レベル放射性廃棄物処分委員会」の市民対話集会などにおいても、基金や財団を設置して管理すべきとの意見が出されていた

検討委員会は2016年1月までに検討結果を勧告にとりまとめ、「原子力発電に関する政務次官委員会」に提出する。同政務次官委員会は、今回の閣議決定によって検討委員会と同時に設置された関係省庁の次官級組織であり、連邦経済エネルギー省(BMWi)、BMUB、連邦財務省(BMF)、連邦運輸・デジタルインフラ省(BMVI)の次官や連邦内閣官房長官等で構成され、検討委員会の活動に協力すると共に、検討委員会から提出された勧告のレビューを行う。

原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステスト

検討委員会の設置に先立ち、連邦経済エネルギー省(BMWi)は2015年10月10日に、原子力発電事業者のバックエンド資金に係る費用負担能力に関するストレステストの結果を公表した。本ストレステストは、BMWiが会計監査法人に委託して実施したものであり、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者がバックエンド資金に係る費用負担に耐えうるかの観点で財務状況を評価したものである。

本ストレステストでは、原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積りの総額は、475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円、2014年価格)と算出されている。また、バックエンド費用見積りの内訳が、5種類の費用区分で示されている。費用区分ごとの見積額を下表に示す。

ドイツ原子力発電所の廃止措置及び放射性廃棄物管理費用を含むバックエンド費用見積り(2014年価格)

廃止措置と解体

197億1,900万ユーロ(約2兆6,818億円)

キャスク・輸送・運転廃棄物 99億1,500万ユーロ(約1兆3,480億円)
中間貯蔵 58億2,300万ユーロ(約7,919億円)
コンラッド処分場 37億5,000万ユーロ(約5,100億円)
高レベル放射性廃棄物処分場 83億2,100万ユーロ(約1兆1,320億円)
総額 475億2,700万ユーロ(約6兆4,637億円)

 

バックエンド費用見積り総額を基に、金利、インフレ率などのパラメータを変動させたシナリオにより、事業者によって確保されるべきバックエンド費用総額が計算されており、その幅を約299億ユーロ(約4兆700億円)から約774億ユーロ(約10兆5,000億円)と評価している。これに対し、2015年8月現在でのバックエンド資金として利用可能な対象事業者の資産総額は約830億ユーロ(約11兆3,000億円)であり、うち約383億ユーロ(約5兆2,100億円)が引当金として確保されている。このため、バックエンド費用が最も高額となるシナリオの場合でも、原子力発電事業者を傘下に持つ事業者はバックエンド資金に係る費用負担に対応できるとの評価結果を示している。

なお、本ストレステストの結果は、検討委員会に資料として提示されることとなっている。

 

【出典】


  1. ドイツ政府は2022年末までにすべての原子力発電所の営業運転を停止することを決定している。 []

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2015年8月12日付けプレスリリースにおいて、BMUBが策定した「使用済燃料及び放射性廃棄物の責任ある安全な管理のための計画」(以下「国家放射性廃棄物管理計画」という)について、連邦政府が承認したことを公表した。今回、連邦政府が承認した国家放射性廃棄物管理計画は、欧州連合(EU)理事会が2011年7月に採択した「使用済燃料及び放射性廃棄物の責任ある安全な管理に関する、共同体(EURATOM)の枠組みを構築する理事会指令」(2011/70/Euratom)(以下「EU指令」という)に基づき、ドイツを含むEU加盟国が2015年8月23日までに欧州委員会(EC)に提出することが義務付けられている「使用済燃料及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」に相当するものである 。連邦政府は、今回承認した国家放射性廃棄物管理計画を欧州委員会に提出する予定である。

EU指令に基づいて、EU加盟国は、「使用済燃料及び放射性廃棄物の管理に関する国家計画」において、使用済燃料及び放射性廃棄物管理に関する全体的な目標、スケジュール、インベントリ及び将来の発生量、関連研究、放射性廃棄物管理費用の見積り、資金確保の枠組み等を示すことになっている。また、EU加盟国は、国家計画を定期的に改訂することも義務付けられている。

国家放射性廃棄物管理計画によれば、ドイツ国内で2080年までに発生が見込まれる放射性廃棄物量は、既発生分を含めて以下の通りである。

○発熱性放射性廃棄物1

  • 原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料:キャスク約1,100体分(約1万500トン)
  • 使用済燃料の海外再処理に伴う返還廃棄物(ガラス固化体やハル・エンドピースの圧縮体など):キャスク約300体分
  • 研究炉、実証炉等の運転に伴う使用済燃料:キャスク約300体分

○非発熱性放射性廃棄物

  • 原子力施設の運転・解体に伴い発生する放射性廃棄物、医療・産業等における放射線利用に伴い発生する放射性廃棄物等:約60万m3(アッセⅡ研究鉱山から回収される放射性廃棄物約20万m3、及びウラン濃縮施設で発生する放射性廃棄物約10万m3を含む)

■放射性廃棄物の管理計画

ドイツでの放射性廃棄物の処分方針として、非発熱性放射性廃棄物と発熱性放射性廃棄物のために1カ所ずつ、合計2カ所の処分場を設置するとしている。このうち1カ所は、非発熱性放射性廃棄物の処分を行うコンラッド処分場であり、すでにサイトが確定し、建設・操業等の許認可も発給されており、現在は操業に向けた準備が進められている。国家放射性廃棄物管理計画によれば、コンラッド処分場は2022年の操業開始が見込まれている。

発熱性放射性廃棄物処分場については、現在、2013年7月制定の「発熱性放射性廃棄物の処分場サイト選定に関する法律」(サイト選定法)に基づいて、サイト選定に向けた取り組みが行われており 、2031年までに処分場サイトを確定し、2050年までに操業を開始する計画が示されている。

なお、アッセⅡ研究鉱山は、閉鎖のためにすでに処分された放射性廃棄物を回収する方針が決定している。国家放射性廃棄物管理計画では、回収される廃棄物量を約20万m3と見込んでいる。このアッセⅡ研究鉱山から回収される放射性廃棄物及びウラン濃縮施設から発生する放射性廃棄物については、非発熱性放射性廃棄物の処分場であるコンラッド処分場を拡張2 して処分するオプションも完全には排除していないが、基本的には発熱性放射性廃棄物処分場に処分することを想定していることが示されている。

■放射性廃棄物管理費用

放射性廃棄物の管理費用の見積りについては、国家放射性廃棄物管理計画の添付文書として欧州委員会に提出される「使用済燃料及び放射性廃棄物管理に係る費用及び資金確保に関する報告書」に示されている。放射性廃棄物管理費用のうち、非発熱性放射性廃棄物及び発熱性放射性廃棄物の処分場の建設・操業・閉鎖に係る費用は、以下のように見積られている。

  • 非発熱性放射性廃棄物処分場(コンラッド処分場):約75億ユーロ(約1兆200億円。2007年までに支出した計画や探査作業等の費用約9.3億ユーロ(約1,260億円)を含む)
  • 発熱性放射性廃棄物処分場(サイト未定):約77億ユーロ(約1兆500億円)

【出典】


  1. ドイツでは発熱による処分空洞壁面の温度上昇が3℃以下である放射性廃棄物を「非発熱性放射性廃棄物」と定義している。それ以外が「発熱性放射性廃棄物」に分類され、使用済燃料や海外再処理に伴い返還されるガラス固化体やハル・エンドピースの圧縮体などがこれに該当する。 []
  2. 現在計画されているコンラッド処分場の処分容量は約30万m3であり、国家放射性廃棄物計画で示されている非発熱性放射性廃棄物の発生量60万m3(2080年まで)より小さい。 []

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2015年6月19日のプレスリリースにおいて、使用済燃料の海外再処理に伴って発生した発熱性放射性廃棄物の高レベルガラス固化体及び中レベルガラス固化体を収納したキャスク(貯蔵・輸送容器)のうち、ドイツへの返還が完了していない26基のキャスクの貯蔵先に関する提案を示した。BMUBは、4か所の原子力発電所サイトにおいて、26基のキャスクを分散して貯蔵することを提案している。

ドイツでは原子力法の規定により、2005年7月1日以降、再処理を目的とした使用済燃料の海外輸送が禁止されているが、これ以前にフランスに5,379トン、英国に851トンの使用済燃料が輸送された。これらの使用済燃料の再処理に伴って発生した放射性廃棄物のうち、フランスからの高レベルガラス固化体の返還は2011年11月までに完了し、ゴアレーベン(ニーダ―ザクセン州)に存在する集中中間貯蔵施設において108基のキャスク(高レベルガラス固化体で3,024本)が貯蔵されている。フランスからはさらに、中レベルガラス固化体〔CSD-B〕(わが国では「低レベル放射性廃棄物ガラス固化体(CSD-B)」と呼称)を収納した5基のキャスクが返還されることになっている。また、英国からの返還は開始されておらず、再処理により発生する中低レベル放射性廃棄物については等価交換が行われるため、今後、高レベルガラス固化体を収納した21基のキャスクのみが返還される。

これらの今後返還されることになる放射性廃棄物については当初、フランスからの高レベルガラス固化体と同様に、ゴアレーベンの集中中間貯蔵施設において貯蔵することが計画されていた。しかし、2013年7月の原子力法の改正において、海外から返還されるガラス固化体については、原子力発電所サイト内外の中間貯蔵施設での貯蔵に配慮することが規定された。このため、ゴアレーベン中間貯蔵施設に代わる貯蔵先の検討が進められてきた。

プレスリリースによるとBMUBは、原子力利用に伴う負担の公平性、及び技術的、法的、政治的、また手続的な側面を考慮した結果、異なる4つの州に所在する以下の4カ所の原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設が、返還されるガラス固化体の貯蔵先として最適であるとしている。

  • フランスから返還される中レベルガラス固化体(キャスク5基)の貯蔵先
    • フィリップスブルク原子力発電所サイト(バーデン・ビュルテンベルク州)
  • 英国から返還される高レベルガラス固化体(キャスク21基)の貯蔵先
    • ビブリス原子力発電所サイト(ヘッセン州)
    • ブロックドルフ原子力発電所サイト(シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州)
    • イザール原子力発電所サイト(バイエルン州)

プレスリリースによると、BMUBと廃棄物発生者である電気事業者4社は、今後、共同の作業グループを設置して、貯蔵先及び各貯蔵先に貯蔵する廃棄体キャスク数を決定することなどで合意したとしている。また、フランスからの返還は2017年に、英国からの返還は2018~2020年に行われることが予定されている。これらの原子力発電所サイト内の中間貯蔵施設において返還されるガラス固化体を貯蔵するためには、別途、連邦放射線防護庁(BfS)から許可を取得する必要がある。

なお、フランスからは、固型物収納体〔CSD-C〕1 も返還されるが、この廃棄物については、アーハウス集中中間貯蔵施設(ノルトラインヴェストファーレン州)における貯蔵が計画されている。

 

【出典】


  1. 燃料棒のせん断片(ハル)等を圧縮して高レベルガラス固化体と同型の容器に収納したもの []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2014年5月22日の正式発足以降 、2015年5月18日までの約1年間に、合計12回の会合を開催している。処分委員会では、1年目を情報取得フェーズ、2年目を実施フェーズと位置づけて活動を行ってきており1、2015年4月及び5月に行われた第11、12回会合において、2016年6月を予定している最終報告書の取りまとめに向け、3つの常設作業グループに分かれて検討している事項のうち、今後の処分オプションの検討方針及び公衆参加に関する方針について決議を行った。

2015年4月20日に開催された第11回会合では、今後の処分オプションに関する検討方針として、すでに知見のある「岩塩、粘土層、結晶質岩への坑道内処分」を今後の処分委員会において詳細に検討する処分オプションとすることを決議した。この決議は、処分委員会の下に設置された常設作業グループの1つである、作業グループ3「社会・科学技術上の意思決定基準ならびに欠陥是正措置に関する基準」の提案に基づくものである。また、処分委員会は、作業グループ3に対して、この処分オプションについてさらに検討を進めるよう指示した。

2015年5月18日に開催された第12回会合では、作業グループ1「社会対話、公衆参加、透明性」の検討結果として、処分委員会による連邦政府に対する提案の取りまとめに向けた活動への公衆参加の形式・タイミングに関する提案を決議した。この提案には、公衆参加の形式として、市民対話集会、ワークショップの開催、ドキュメンタリー映像の制作、書面・オンラインでの意見表明、最終報告書の採択会合への招聘などが含まれている。このうち、2015年6月20日に開催する市民対話集会では、参加者がテーマ別のグループに分かれて議論するフォーカスグループ・セッションや、参加者がテーブルを巡回して関心のある議論に参加するワールドカフェ形式のセッションが企画されている2。市民対話集会への参加者は200名程度を公募するとしており、議論の結果は処分委員会の最終報告書の取りまとめにおいて考慮する予定である。

なお、処分委員会は、2015年3月2日に行われた第10回会合において、処分委員会事務局が提示した最終報告書の構成案も承認している。その上で処分委員会は全作業グループに対し、この構成案に従いさらに議論を進めるよう指示した。処分委員会は今後、報告書案の改訂状況を随時公開していくとしている。

 

【出典】

 

【2015年6月26日追記】

高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年6月20日に、ベルリンで市民対話集会を同日に開催し、事前に申し込みを行った200名以上の市民が参加したことを公表した。市民対話集会では、処分委員会から委員会の活動等に関する情報提供が行われたほか、フォーカスグループやワールドカフェ形式による議論が行われたとしている。

フォーカスグループのセッションは、以下の5つのテーマ別のグループに分かれて実施された。

  • 社会的合意に基づくサイト選定のあり方
  • 公衆がサイト選定手続きに及ぼす影響
  • 地層処分の代替オプション
  • 発生者負担の原則に則った放射性廃棄物管理費用の適正な負担
  • 連邦政府による処分場建設・操業・管理のための新たな体制構築の是非

フォーカスグループのセッションでは、サイト選定手続きへの公衆参加について、より幅広く、早い段階からの参加が望ましいとする意見や、公衆にわかりやすい情報提供を行うとともに、公衆が参加しやすい環境の整備が必要との意見が出された。また、定置した廃棄体の回収可能性を維持すべきとの意見のほか、現在、原子力発電事業者が引当金で個別に確保している放射性廃棄物管理資金について、新たに基金か財団を設置して管理すべきという意見なども出された。

一方、ワールドカフェ形式のセッションでは、処分委員会が第12回会合で決議した、処分委員会活動への公衆参加の形式・タイミングに関する方針について、参加者が話し合いを行った。参加者は処分委員会の方針について概ね肯定的であったが、過去のサイト選定手続きの分析が必要といった意見も出された。

【出典】

 

【2015年7月7日追記】

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2015年7月3日及び4日に、第13、14回会合を開催した。処分委員会は、最終報告書の採択期限を半年間延長して2016年6月30日とすることを正式に決議したほか、最終報告書の作成に向けたスケジュールを決定した。

2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)では、サイト選定法に基づいて設置する処分委員会の最終報告書の採択期限を2015年12月31日としているが、この期限は委員の3分の2以上の賛成により、1度に限り6カ月間延長できることが規定されている。

処分委員会は当初、2013年中の発足が見込まれていたが、委員選定の難航などにより設置が遅れて2014年5月22日に正式に発足した。このため、活動期間の確保を目的として期限延長が検討されていた。

また、処分委員会の最終報告書の作成スケジュールについては、次のように決定した。

  • 2016年1月初頭までにドラフト報告書を作成
  • ドラフト報告書について公衆協議を行い、必要に応じて修正を実施
  • 2016年6月30日までに最終報告書を採択して連邦政府・連邦議会に提出

【出典】


  1. 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律(サイト選定法)では、2015年末までに最終報告書を提出することが規定されているが、1回に限り半年間(すなわち2016年6月末まで)の延長が可能とされている。委員会発足が遅れたことなどから、最終報告書の提出期限は半年間延長される方針が示されている。 []
  2. フォーカスグループによる議論では、モデレータの調整・進行のもと、少人数の参加者により特定のテーマについて議論が行われる。ワールドカフェ形式は、会議での討論の一方式であり、複数のテーブルが用意され、テーブルホスト以外の参加者が各テーブルを移動しながら議論を繰り返し、最後に各テーブルホストが自分のテーブルに置ける議論を取りまとめ、参加者全員に対して報告する。 []