Learn from foreign experiences in HLW management

《ドイツ》社会諮問委員会の委員が決定

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年11月25日に、高レベル放射性廃棄物処分場の選定プロセスに関与する連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」の委員9名が決定したことを公表した。9名は、議会選出の6名及び市民代表の3名で構成されており、全体で女性が4名選出された。

社会諮問委員会は、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)において設置が規定されており、中立的な立場からサイト選定手続き全体を監視するとともに、関係者間の調整を行う。サイト選定法では、当初、サイト選定手続き等に関する高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)の最終報告書の評価後に設置することが規定されていた。しかし、処分委員会は、サイト選定手続への早期関与の必要性から、処分委員会の最終報告書の提出後に社会諮問委員会を委員9名で暫定的に設置して活動を開始し、その後、サイト選定プロセス開始時に委員18名の体制で本格化させることを勧告していた。この処分委員会の勧告を反映したサイト選定法の改正が2016年6月に行われ、社会諮問委員会の暫定設置のほか、暫定設置時の委員のうち、6名は連邦議会及び連邦参議院が選出し、3名は市民代表(うち1名は若年層を代表)で構成されることなどが規定された

議会選出委員(6名)

連邦議会と連邦参議院は、次の6名を議会選出委員として選出した。(※は女性)

  • クラウス・ブルンスマイヤー:ドイツ環境自然保護連盟(BUND)代表
  • アルミン・グルンヴァルト:ドイツ連邦議会技術評価局局長
  • モニカ・ミュラー:ロッカム・エヴァンゲリストアカデミー学術部長 ※
  • カイ・ニーベルト:ドイツ自然保護連合(DNR)代表
  • ミランダ・シュルールス:ミュンヒェン政治大学環境気候政策学部教授 ※
  • クラウス・テプファー:元連邦環境大臣

市民代表委員(3名)

市民代表委員は、ドイツ全国から無作為に選ばれた市民から、3段階のプロセスを経て選出された。選出プロセスの第2段階において、市民代表委員の活動を支援する「助言ネットワーク」(合計30名)が選出され、第3段階に相当する助言ネットワークの初回会合(2016年11月5日~6日)において、助言ネットワークのメンバーから市民代表委員として次の3名が選出された。3名のうち1名は、16歳~27歳の若年層を代表する委員である。(※は女性)

  • ベッティーナ・ゲーベル:ミュンヒェン近郊エーベンハウゼン在住 ※
  • ヘンドリク・ランブレヒト:カールスルーエ在住
  • ヨーリナ・ズッコウ:ハンブルク在住(若年層代表) ※

 

【出典】

【2018年2月9日追記】

高レベル放射性廃棄物処分場の選定プロセスに関して、連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」は2018年2月3日に、ベルリンで市民対話集会を開催した。

今回開催された対話集会は、サイト選定法に基づく新たなサイト選定手続きが2017年9月に正式に開始されており、これに伴って行われたものである。対話集会では、放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)がサイト選定開始後の状況説明を行ったほか、サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)が、サイト選定における公衆参加手続きでのBfEの役割等について説明を行った。

説明の後、参加した市民が小人数のグループに分かれ、公衆参加のあり方や原子力発電や放射性廃棄物の歴史との向き合い方などのテーマ別の討論を行い、全体での議論の後、対話集会全体の総括が行われた。市民対話集会を開催した社会諮問委員会は、公衆参加のあり方に関する議論において、社会諮問委員会をはじめとするサイト選定法が定める公衆参加組織について、サイト選定プロセスにおいて決定権・拒否権を持たないことを批判する意見が一部の参加者から出されたことを紹介している。

【出典】

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-10 )