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《ドイツ》サイト選定手続きにおける社会諮問委員会への市民代表委員選出のための市民フォーラムを開催

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年10月21日、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて設置される連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」について、市民代表委員を選出するための市民フォーラムを全国5カ所で順次開催することを公表した。

市民フォーラムの参加者は各開催地とも24名であり、ドイツ全国から無作為に選ばれ、賛同の意思を表明した計120名が最も近い開催地での市民フォーラムに出席する。市民フォーラムの開催地と期間は、以下の通りである。

  • ミュンヘン(2016年10月21~23日)
  • ライプツィヒ(2016年10月28~30日)
  • ハンブルク(2016年10月28~30日)
  • デュッセルドルフ(2016年10月28~30日)
  • カッセル(若年層を対象。2016年10月28~30日)

ドイツでは、最終処分場のサイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスを中立的な立場から監視し、関係者間の調整を行う組織として社会諮問委員会の設置が定められている。選定プロセス開始に先立って暫定的に設置される社会諮問委員会は、連邦議会及び連邦参議院により指名される6名の委員に加えて、市民代表委員3名の合計9名で構成されることになっており、市民代表委員のうち1名は、16歳~27歳の若年層という条件がある。今回の5カ所で開催される市民フォーラムは、段階的に市民代表委員の3名を選出するプロセスの一環である。

市民代表委員の選出プロセス

市民代表委員の選出プロセス

市民代表委員の選出手続き

社会諮問委員会の市民代表委員は以下の3段階の手続きで選出される。

◯第1段階:市民の招請(2016年9月14日~)

ドイツ全国から無作為抽出された電話番号に電話し、若年層(16歳~27歳)を含む市民に対し、「市民フォーラム」参加への関心の有無を確認し、関心があると答えた市民が市民フォーラムへ参加する。この手続きは、市民フォーラム参加者が年齢層、性別ごとの定員に達するまで実施され、合計120名の市民が登録される。市民フォーラムへの参加者を集める無作為抽出プロセスは、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)から委託を受けたバンベルク大学が民間のコンサルティング会社と協力し実施している。

◯第2段階:市民フォーラム(2016年10月21~23日及び28~30日)

市民フォーラムは、全国5カ所の各開催地で24名、合計120名の第1段階で決定した市民が参加して開催される。フォーラム参加者は、年齢層(18歳~34歳、35歳~50歳、51歳~64歳、65歳以上の4つ)、性別ごとの参加者数がほぼ同数となるよう調整されている。ただし、5カ所の開催地の一つであるカッセルでは、16歳~27歳の若年層が参加する市民フォーラムとして企画されている。

市民フォーラムでは、市民が最終処分場のサイト選定に関する課題、今後の選定手続きや社会諮問委員会の役割について学ぶ取り組みが行われ、市民の質問に対して専門家が回答する。また、各地の市民フォーラムでは、市民代表委員の今後の活動に向けた勧告を取りまとめるとともに、次の第3段階で決定される市民代表委員の活動を支援する「助言ネットワーク」のメンバー(合計30名)が選出される。市民代表委員は、助言ネットワークのメンバーから選ばれる。

◯第3段階:助言ネットワークの初会合及び市民代表委員の決定(2016年11月5~6日)

第2段階で選ばれた「助言ネットワーク」のメンバーは、2016年11月5日及び6日の2日間、ベルリンで初会合を行い、5カ所の市民フォーラムにおいて取りまとめられた勧告を評価し、社会諮問委員会の市民代表委員として当初3年間活動する3名(うち1名は若年層)及び委員代理3名(1名は若年層)を選出する。

なお、助言ネットワークは市民代表委員の決定後も引き続き存続し、社会諮問委員会における市民代表委員の活動を支援する役割を担うこととなっている。

【出典】

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-10 )