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このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


ドイツの放射性廃棄物処分の実施主体である連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は2017年9月5日に、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づくサイト選定に関する情報提供イベントを首都ベルリンにて開催し、サイト選定手続きを正式に開始したことを公表した。このイベントでは、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の大臣が開会を行った後、処分実施主体であるBGE、サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)、サイト選定手続きにおける連邦レベルの公衆参加組織である社会諮問委員会の代表者などが、参加した聴衆に対して、これまでの経緯やサイト選定に関する現状などについて説明した。

BMUB大臣は、1970年代にゴアレーベンが高レベル放射性廃棄物処分場の候補地とされた当時と異なり、これから始まる新たなサイト選定手続きは、公衆参加手続きを伴って進められることを強調し、地元地域に事前に知らされることなく候補地が決定することはないと発言した。

また、BfEの長官は、サイト選定手続きの信頼性確保には、独立した規制機関の存在が不可欠であるとし、BfEがサイト選定手続きを通じて、実施主体であるBGEの活動を監視していくと述べた。

2017年4月に新たな処分実施主体として活動を開始したBGEの社長は、最近のBGEの活動として、2017年8月に、各州に要請して全国の地質学的データの収集を開始したことを報告した。BGEは今後さらなるデータの収集を進め、地球科学的な除外基準及び最低要件 を適用し、最終処分に好ましい地質学的な前提条件を満たす「サイト区域」を選定し、その結果を中間報告書に取りまとめる予定である。また、新たなサイト選定手続きやその他のBGEの取り組みを「学習するシステム」であると表現し、常に誤りを修正し、公衆と意見交換しながら進めていく意向であることを強調した。

 

【出典】

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は、2017年4月25日にウェブサイト(https://www.bge.de/)を開設し、これまで連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)傘下の連邦放射線防護庁(BfS)が担っていた放射性廃棄物処分の実施主体としての役割を引き継ぎ、活動を開始したことを公表した。BGEは、BMUBの監督下にある100%国有の有限会社として設立されており、原子力法に基づいて、連邦政府の委託を受けて放射性廃棄物処分場の設置・操業を行うこととなっている。

また、BGEは、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの実施者として、今後、候補地域及び探査サイトの提案、サイトの探査計画及び評価基準の策定、サイトでの探査の実施、予備的安全評価などを行う。

今回活動を開始した新たな実施主体であるBGEを含めた、ドイツの放射性廃棄物処分に関わる主な各機関の役割は下表・下図のようになっている。

ドイツの放射性廃棄物処分の実施体制

ドイツの放射性廃棄物処分の実施体制

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)

連邦放射性廃棄物機関(BGE)

最終処分分野における政策責任者であり、最高監督官庁。また、出資者としてBGEを監督する。

BMUB傘下の専門官庁として、放射性廃棄物処分に係る規制監督・許認可発給を行う。また、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの管理責任者である。

放射性廃棄物処分の実施主体であり、100%国有の有限会社。既存・建設中の処分場の操業者である。また、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定手続きの実施主体でもある。

 

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の設置の背景

サイト選定法に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)は2015年3月に、発生者の利害とは独立した形で放射性廃棄物の処分事業が実施されるようにするため、新たな実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として設置することを提案していた 。本提案は、2016年7月8日に成立した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」において法制化された。本法に含まれる原子力法を改正する条文では、放射性廃棄物処分事業の実施責任をBMUBの監督下に置かれる「連邦が100%所有する私法上の組織」に一任すると規定しており、BGEはこの組織に相当する。なお、BGEが設置される以前の実施主体であった連邦放射線防護庁(BfS)は、放射線防護・原子力防災に関する専門官庁として存続している。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の現状と今後の予定

BGEは、これまで放射性廃棄物処分の実施主体であった連邦放射線防護庁(BfS)の他、BfSの委託を受けて処分場の設置・操業などの作業を実施していたドイツ廃棄物処分場建設・運営会社(DBE社)及びアッセII研究鉱山の管理作業等を行っていたアッセ有限会社の役割のすべてを継承することになっている 。2017年4月25日時点では、これまでBfSが行っていた放射性廃棄物処分実施に係る業務が移管され、関係する職員がBGEに移籍した状態である。今後数カ月内には、DBE社及びアッセ有限会社もBGEに統合される予定であり、統合の完了により、BGEの実施主体としての体制が整うこととなる。

【出典】

 

【2017年8月14日追記】

ドイツの連邦放射性廃棄物機関(Bundesgesellschaft für Endlagerung, BGE)は2017年8月4日に、各州の地質調査所及び鉱山・水利関連官庁に対して、保有する地質学的データの提供を求める書簡を送付することにより、全国の地質学的データの収集を開始したことを公表した。

サイト選定法では、サイト選定手続きの最初のステップとして、BGEが地球科学的な除外基準及び最低要件を適用し、最終処分に好ましい地質学的な前提条件を満たす「サイト区域」を選定することが規定されている。今後BGEは、サイト区域の選定結果を中間報告書に取りまとめ、サイト選定手続きを監督する連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)に提出することになっている。

【出典】

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2016年12月21日に、2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)を改正する法案(以下「改正法案」という)が同日に閣議決定されたことを公表した。サイト選定法の改正法案は、高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)が、2016年7月5日に提出した最終報告書で示した勧告を反映したものであり、サイト選定法を全面改正する内容となっている。

サイト選定法の改正法案では、ドイツ全土から3段階のサイト選定手続き (下表参照)により候補サイトを絞り込むこと、公衆参加の枠組みとして、連邦、地域横断、地域の各レベルで委員会や合議体を設けてサイト選定手続きへの関与を図ることが具体的に規定されている。また、処分委員会の最終報告書で提示していたサイト選定における除外基準と最低要件、地質学的な評価基準といった技術的な要件も条文に組み込まれている(下記参照)。なお、処分委員会は、高レベル放射性廃棄物処分の安全要件もサイト選定法で規定することを求めていたが、今回の改正法案では処分の安全要件に関しては、別途政令で定めるとしている。

BMUBのウェブサイトによれば、サイト選定法の改正法案の議会審議は2017年第1四半期に終える見込みであり、その後、連邦官報公示の翌日に発効することになる。今後、今回の改正法案によって改正されたサイト選定法が発効した後に、実際のサイト選定手続きが開始される。なお、今回の改正法案では、2031年までに最終的な処分場サイトを決定するとしているサイト選定法での当初のスケジュールについては変更していない。

■サイト選定における地球科学的な除外基準と最低要件

処分委員会が最終報告書で提示していたサイト選定における除外基準と最低要件は、サイト選定手続きの各段階において適用されることになっており、除外基準に該当する、あるいは最低要件を満たさない地域やサイトは手続きから除外されることになる。処分委員会の最終報告書で示された除外基準及び最低要件には、以下の事項が含まれている。

〇地球科学的な除外基準

  • 一定以上の広域的な隆起が予想される
  • 活断層が存在する
  • 現在または過去の鉱山活動の影響が存在する
  • 一定以上の地震活動が予想される
  • 過去の火山活動が存在する、または将来予想される
  • 年代の新しい地下水が存在する

〇地球科学的な最低要件

  • 岩盤の透水係数が10-10m/s以下
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域1 の厚みが100m以上
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域の深度が300m以深
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域の広がりが処分場建設に可能な面積を有している
  • 閉じ込め機能を果たす岩盤領域の健全性が100万年にわたり維持されることが疑問視されていない
表 ドイツ全土から3段階のサイト選定手続き
段階

各段階での取り組み

段階の終了

第1段階

ドイツ全土を対象にサイト選定プロセスを開始。地質学的な除外基準及び最低要件に基づき、対象外となる地域を除外。地質学的な評価基準及び項目を限定した予備的安全評価(第1次予備的安全評価)に基づき、主に連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)や州の地質調査所が保有する既存のデータを元に地域間の比較を実施し、候補地域と地上探査の対象サイト地域を選定。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の提案に基づき、候補地域と地上探査の対象サイト地域を連邦法によって決定。

第2段階

地上からの探査を実施。地質学的な除外基準、最低要件、評価基準及び第1段階より範囲を拡大した予備的安全評価(第2次予備的安全評価)に基づき、サイト間の比較を実施し、地下探査の対象サイトを選定。

BGEの提案に基づき、地下探査の対象サイトを連邦法によって決定。

第3段階

地下探査などの処分の安全性の観点からの詳細な調査を実施。包括的な予備的安全評価を実施し可能な限り安全性の高いサイトの特定に向け、サイトの比較を実施し、処分場サイトを選定。

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)の提案に基づき、処分場サイトを連邦法によって確定。

【出典】

 

【2017年4月4日追記】

ドイツの連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、2017年3月31日に、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)を全面的に改正する法律(以下「改正法」という)が成立したことを公表した。改正法は、2017年3月23日に連邦議会で可決されており、3月31日に連邦参議院の同意を得たことにより成立した2

今回成立した改正法では、最終処分場のサイト決定の時期に関して、当初2013年7月に制定されたサイト選定法での「2031年までに決定する」という期限を定める条項が改正され、「2031年までの決定を目指す」という目標に変更された。また、2016年12月に閣議決定された改正法の法案では、別途政令で定めるとのみ規定されていた高レベル放射性廃棄物処分の安全要件に関して、改正法では以下の安全原則が示されるとともに、政令で安全要件を策定することなどが規定されている。

  • 放射性物質及びその他有害物質を生物圏から確実に隔離し、最終処分に伴う放射性物質の放出による影響から、100万年にわたり確実に防護すること
  • 国外における最終処分の人間と環境への影響が、国内で許容される影響を上回ることがないようにすること
  • 処分場操業中及び閉鎖後500年間は、定置した放射性廃棄物の回収を可能とすること
  • 処分場閉鎖後に人間の介入や維持作業を要しない処分場設計・操業を行うこと

改正法は、連邦官報に公示された翌日に発効するとされている。なお、改正法の発効により、2013年7月制定の現行のサイト選定法は廃止される。

【出典】


  1. 人工バリアや地質工学的なバリアとともに、隔離期間に廃棄物の閉じ込めを保証する地質バリアの一部 []
  2. ドイツの国会は二院制であり、連邦議会と連邦参議院がある。連邦参議院は直接選挙で選出されるのではなく、州が代表を送って構成される。ドイツ基本法では、連邦法は連邦議会が議決すると規定しているが、法律の内容によっては連邦参議院の同意が必要となる。 []

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年11月25日に、高レベル放射性廃棄物処分場の選定プロセスに関与する連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」の委員9名が決定したことを公表した。9名は、議会選出の6名及び市民代表の3名で構成されており、全体で女性が4名選出された。

社会諮問委員会は、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)において設置が規定されており、中立的な立場からサイト選定手続き全体を監視するとともに、関係者間の調整を行う。サイト選定法では、当初、サイト選定手続き等に関する高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)の最終報告書の評価後に設置することが規定されていた。しかし、処分委員会は、サイト選定手続への早期関与の必要性から、処分委員会の最終報告書の提出後に社会諮問委員会を委員9名で暫定的に設置して活動を開始し、その後、サイト選定プロセス開始時に委員18名の体制で本格化させることを勧告していた。この処分委員会の勧告を反映したサイト選定法の改正が2016年6月に行われ、社会諮問委員会の暫定設置のほか、暫定設置時の委員のうち、6名は連邦議会及び連邦参議院が選出し、3名は市民代表(うち1名は若年層を代表)で構成されることなどが規定された

議会選出委員(6名)

連邦議会と連邦参議院は、次の6名を議会選出委員として選出した。(※は女性)

  • クラウス・ブルンスマイヤー:ドイツ環境自然保護連盟(BUND)代表
  • アルミン・グルンヴァルト:ドイツ連邦議会技術評価局局長
  • モニカ・ミュラー:ロッカム・エヴァンゲリストアカデミー学術部長 ※
  • カイ・ニーベルト:ドイツ自然保護連合(DNR)代表
  • ミランダ・シュルールス:ミュンヒェン政治大学環境気候政策学部教授 ※
  • クラウス・テプファー:元連邦環境大臣

市民代表委員(3名)

市民代表委員は、ドイツ全国から無作為に選ばれた市民から、3段階のプロセスを経て選出された。選出プロセスの第2段階において、市民代表委員の活動を支援する「助言ネットワーク」(合計30名)が選出され、第3段階に相当する助言ネットワークの初回会合(2016年11月5日~6日)において、助言ネットワークのメンバーから市民代表委員として次の3名が選出された。3名のうち1名は、16歳~27歳の若年層を代表する委員である。(※は女性)

  • ベッティーナ・ゲーベル:ミュンヒェン近郊エーベンハウゼン在住 ※
  • ヘンドリク・ランブレヒト:カールスルーエ在住
  • ヨーリナ・ズッコウ:ハンブルク在住(若年層代表) ※

 

【出典】

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年10月21日、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づいて設置される連邦レベルの公衆参加組織である「社会諮問委員会」について、市民代表委員を選出するための市民フォーラムを全国5カ所で順次開催することを公表した。

市民フォーラムの参加者は各開催地とも24名であり、ドイツ全国から無作為に選ばれ、賛同の意思を表明した計120名が最も近い開催地での市民フォーラムに出席する。市民フォーラムの開催地と期間は、以下の通りである。

  • ミュンヘン(2016年10月21~23日)
  • ライプツィヒ(2016年10月28~30日)
  • ハンブルク(2016年10月28~30日)
  • デュッセルドルフ(2016年10月28~30日)
  • カッセル(若年層を対象。2016年10月28~30日)

ドイツでは、最終処分場のサイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスを中立的な立場から監視し、関係者間の調整を行う組織として社会諮問委員会の設置が定められている。選定プロセス開始に先立って暫定的に設置される社会諮問委員会は、連邦議会及び連邦参議院により指名される6名の委員に加えて、市民代表委員3名の合計9名で構成されることになっており、市民代表委員のうち1名は、16歳~27歳の若年層という条件がある。今回の5カ所で開催される市民フォーラムは、段階的に市民代表委員の3名を選出するプロセスの一環である。

市民代表委員の選出プロセス

市民代表委員の選出プロセス

市民代表委員の選出手続き

社会諮問委員会の市民代表委員は以下の3段階の手続きで選出される。

◯第1段階:市民の招請(2016年9月14日~)

ドイツ全国から無作為抽出された電話番号に電話し、若年層(16歳~27歳)を含む市民に対し、「市民フォーラム」参加への関心の有無を確認し、関心があると答えた市民が市民フォーラムへ参加する。この手続きは、市民フォーラム参加者が年齢層、性別ごとの定員に達するまで実施され、合計120名の市民が登録される。市民フォーラムへの参加者を集める無作為抽出プロセスは、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)から委託を受けたバンベルク大学が民間のコンサルティング会社と協力し実施している。

◯第2段階:市民フォーラム(2016年10月21~23日及び28~30日)

市民フォーラムは、全国5カ所の各開催地で24名、合計120名の第1段階で決定した市民が参加して開催される。フォーラム参加者は、年齢層(18歳~34歳、35歳~50歳、51歳~64歳、65歳以上の4つ)、性別ごとの参加者数がほぼ同数となるよう調整されている。ただし、5カ所の開催地の一つであるカッセルでは、16歳~27歳の若年層が参加する市民フォーラムとして企画されている。

市民フォーラムでは、市民が最終処分場のサイト選定に関する課題、今後の選定手続きや社会諮問委員会の役割について学ぶ取り組みが行われ、市民の質問に対して専門家が回答する。また、各地の市民フォーラムでは、市民代表委員の今後の活動に向けた勧告を取りまとめるとともに、次の第3段階で決定される市民代表委員の活動を支援する「助言ネットワーク」のメンバー(合計30名)が選出される。市民代表委員は、助言ネットワークのメンバーから選ばれる。

◯第3段階:助言ネットワークの初会合及び市民代表委員の決定(2016年11月5~6日)

第2段階で選ばれた「助言ネットワーク」のメンバーは、2016年11月5日及び6日の2日間、ベルリンで初会合を行い、5カ所の市民フォーラムにおいて取りまとめられた勧告を評価し、社会諮問委員会の市民代表委員として当初3年間活動する3名(うち1名は若年層)及び委員代理3名(1名は若年層)を選出する。

なお、助言ネットワークは市民代表委員の決定後も引き続き存続し、社会諮問委員会における市民代表委員の活動を支援する役割を担うこととなっている。

【出典】

ドイツ連邦政府は2016年10月19日に、「原子力バックエンドの責任分担刷新法案」を閣議決定した。同法案には、「脱原子力に係る資金確保に関する検討委員会」(以下「検討委員会」という)が2016年4月27日に提出した最終報告書において示した勧告 を実施するための規定が含まれている。同法案は今後、2016年内の発効を目指し、連邦議会での審議が行われる予定である。

原子力バックエンドの責任分担刷新法案には、二つの新法――①放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律、②原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律――を制定及び関連法令の改正を行う内容が盛り込まれている。同法案に含まれる法律案及び関係法令の改正案の概要は以下の通りである。

放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律案〔基金設置法案〕

ドイツでの原子力発電事業者は、放射性廃棄物管理の将来費用を引当金として内部留保してきた。放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律案(以下「基金設置法案」という)では、新たな公的基金を設置し、連邦政府が責任を負う放射性廃棄物管理(中間貯蔵から最終処分場閉鎖まで、後述)について、必要な資金を基金に拠出して管理するための規定が含まれている。なお、この基金は、連邦経済・エネルギー省(BMWi)が所管する。

○基金の構成

新たに設置される基金は、監査組織である「管理委員会」と基金を運営する「運営委員会」から構成される。管理委員会は、連邦財務省、BMWi及び連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の代表者の計3名で構成される。運営委員会の委員は、管理委員会によって、資金管理経験者3名が指名される。

○原子力発電事業者による基金への払い込み

原子力発電事業者による基金への払込金は、放射性廃棄物管理の将来費用(基本払込金)と、リスクに備えるための保険料(基本払込金の35.47%)で構成される。原子力発電事業者は、基本払込金約174億ユーロ(約1兆9,700億円)に保険料約62億ユーロ(約7,000億円)を上乗せした合計約236億ユーロ(約2兆6,700億円)を基金に払い込むこととされている。これらの金額は、概ね2016年4月の検討委員会の勧告と同様である(下表参照)。

原子力発電事業者は、法律発効から7カ月後までに基本払込金、2022年末までに保険料を払い込むことが規定されている。ただし、連邦財務省同意の上でBMWiと合意すれば、基本払込金とリスク保険料の合計額を2026年末までに分割で支払うことも可能とされている。

表:原子力事業者による放射性廃棄物管理基金への払い込み金額

基金設置法
(払込時点で再調整可能性あり)
検討委員会勧告
(2014年価格)
 A. 基本払込金  約174億ユーロ(1兆9,700億円)  a. 引当金から基金への資金移管額  約172億ユーロ(約1兆9,400億円)
 B. 保険料(Aの35.47%)  62億ユーロ(約7,000億円)  b. 保険料(aの約35%)  約61億ユーロ(6,900億円)
 C. 払込総額
(A+B)
 236億ユーロ(約2兆6,700億円)  c. 払込総額
(a+b)
 約233億ユーロ(2兆6,300億円)

 

原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律案〔義務移管法案〕

原子力バックエンドの責任分担刷新法案には、原子力発電事業者と連邦政府の間での放射性廃棄物管理に関する責任分担を変更する新法を制定する条文が含まれている。「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律案」(以下「義務移管法案」という)の概要は以下の通りである。

○中間貯蔵と処分の実施・資金管理責任の変更

義務移管法案では、放射性廃棄物の中間貯蔵の実施責任者を従来の原子力発電事業者から連邦政府に変更するとともに、資金管理責任についても連邦政府の責任とする規定が設けられている(下表参照)。なお、廃止措置に関しては引き続き、実施・資金確保ともに原子力発電事業者が責任を有する。

保険料を含む基金への払い込み完了により、資金確保を含め、中間貯蔵以降の放射性廃棄物管理に関する責任は連邦政府に移行することになる。したがって、払い込み完了後は、最終処分場の操業開始遅延などに伴い費用が増大した場合でも、原子力発電事業者が追加の負担を求められることはない。

表:放射性廃棄物管理における原子力発電事業者と連邦政府の責任分担

 

現在の責任分担

移管法による責任分担

中間貯蔵

最終処分

中間貯蔵

最終処分

実施

事業者

連邦政府

連邦政府

資金

事業者(各自費用を引当)

連邦政府(ただし基金への払い込み完了後)

○連邦政府への中間貯蔵の移管時期及び実施主体

義務移管法案によれば、原子力事業者から連邦政府への中間貯蔵の実施責任の移行時期は次の通りである。

  • 発熱性放射性廃棄物(使用済燃料及びガラス固化体等):2019年1月1日
  • 非発熱性放射性廃棄物(発熱性放射性廃棄物以外):2020年1月1日

なお、中間貯蔵施設は原子力発電事業者が費用を負担して設置したものであるが、上記期日を以て、無償で連邦政府に引き渡されることとされている。

放射性廃棄物の中間貯蔵に関する実際の活動は、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の監督下に置かれる「連邦政府が100%所有する私法上の組織」によって実施される。放射性廃棄物の最終処分についてはすでに、「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」(2016年7月30日発効)による原子力法改正がなされており、連邦政府が100%所有する実施主体として、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が新たな処分実施主体となることが決まっている。中間貯蔵の実施主体についても、今後新たな組織が設置されることになる。

 

その他の法令の改正案など

「原子力バックエンドの責任分担刷新法案」による「基金設置法案」及び「義務移管法案」の2件の新法制定に伴い、放射性廃棄物管理に係る各種料金や分担金の支払い方法の変更に関係する法令の改正がなされる。関係する法令には以下のものがある。

  • 原子力法
  • 発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律(サイト選定法)
  • 最終処分場設置の前払金令
  • 放射線防護令

 

【出典】

【2016年12月20日追記】

ドイツの連邦議会は2016年12月15日に、放射性廃棄物管理のための公的基金設置等を定める「原子力バックエンドの責任分担刷新法案」を賛成516、反対58で可決した。また、連邦参議院が12月16日に、同法案への同意1 を決議したことにより成立した。

なお、発効日については、別途、連邦官報に公示されることが規定されている。

【出典】

【2017年5月11日追記】

ドイツでは、2016年12月に成立した「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務の移管に関する法律」(以下「義務移管法」という)に基づいて、今後2020年1月までに、放射性廃棄物の中間貯蔵の実施義務を、従来の原子力発電事業者から連邦政府に段階的に移管する方針である。使用済燃料や放射性廃棄物の処分前に行われる中間貯蔵は、連邦政府が100%所有する私法上の組織が実施することになっている。

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)と原子力サービス社(GNS社)とは2017年5月8日に、GNS社の所有する中間貯蔵の新たな実施主体「連邦中間貯蔵機関」(BGZ)の株式及びGNS社が所有・操業しているゴアレーベン及びア―ハウスの集中中間貯蔵施設について、2017年8月1日に連邦政府に引き渡すことで合意したことを公表した。現在、BGZはBMUBとGNS社が共同出資した合弁会社として存在しているが2  、引き渡しにより連邦政府が100%所有する組織となる。

GNS社は原子力事業者が共同出資して設立された民間会社である。ドイツ北部のニーダーザクセン州にあるゴアレーベン中間貯蔵施設においては、原子力発電所から発生した放射性廃棄物や使用済燃料のほか、フランスと英国に委託した再処理からの返還ガラス固化体の中間貯蔵を実施している3 。ドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン州にあるアーハウス中間貯蔵施設では、原子力発電所から発生した放射性廃棄物の中間貯蔵のほか、主として研究炉や高温ガス炉(実験炉と実証炉、いずれも1980年代に廃止)の使用済燃料を乾式貯蔵している4 。

今夏に行われるBGZの株式、ゴアレーベン及びア―ハウスの集中中間貯蔵施設の連邦政府への移管は、義務移管法に規定された中間貯蔵の実施責任移管の第一段階である。義務移管法では次の段階として、原子力事業者が各原子力発電所構内に設置している使用済燃料等の中間貯蔵施設12カ所を2019年1月1日までに、また、原子力発電所の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の中間貯蔵施設12カ所を2020年1月1日までに連邦政府へ移管することが規定されている。

【出典】

【2017年6月20日追記】

ドイツの連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、2017年6月19日に、放射性廃棄物管理のための「放射性廃棄物管理基金」が正式に設置されたことを公表した。これは、「放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律」(基金設置法)及び「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律」(義務移管法)を定める「原子力バックエンドの責任分担刷新法」が2017年6月16日付で発効したことを受け、6月19日に基金の監査組織である管理委員会の設置会合が開催されたことによるものである。

放射性廃棄物管理基金には2017年7月1日付で、原子力発電事業者から約236億ユーロ(約2兆7,800億円)の拠出金が払い込まれる予定である。今後、組織・職員構成を整備するとともに、払い込まれた資金の長期安定運用に関する戦略等の検討が進められることになっている。

【出典】

 

【2017年6月27日追記】

ドイツの連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、2017年6月16日に発効した「放射性廃棄物管理のための公的基金の設置に関する法律」(基金設置法)及び「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務移管に関する法律」(義務移管法)の規定内容の実施について、連邦政府と原子力発電事業者との合意事項を定めた「脱原子力に係る費用確保に関する協定」が2017年6月26日に締結されたことを公表した。

この協定締結により、原子力発電事業者が、総額約236億ユーロ(約2兆7,800億円)の拠出金を放射性廃棄物管理のための公的基金に対して、2017年7月1日付けで払い込むことが確定した。

【出典】

【2017年7月4日追記】

ドイツの連邦経済・エネルギー省(BMWi)は、2017年7月3日に原子力発電事業者が放射性廃棄物管理のための公的基金に対して、基本拠出金約179億ユーロ(約2兆2,200億円)5 、及びリスク保険料約62億ユーロ(約7,700億円)の合計約241億ユーロ(約2兆9,900億円)を一括で払い込んだことを公表した。義務移管法の規定に基づいて、基本拠出金の払い込み完了に伴い、原子力発電事業者による放射性廃棄物の中間貯蔵の実施義務及び資金確保義務、最終処分の資金確保義務については、連邦政府に移管されたこととなる。

公的基金の運営委員会は、基金全体の資金運用戦略の策定を進めつつ、一部の資金については、ドイツの中央銀行であるドイツ連邦銀行の協力のもとで近日中に投資運用を開始するとしている。

【出典】

【2017年8月2日追記】

ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)及び原子力サービス社(GNS社)は、2017年8月1日付で、ゴアレーベン及びアーハウスの使用済燃料等の集中中間貯蔵施設が連邦政府に移管されるとともに、GNS社が所有していた連邦中間貯蔵機関(BGZ)の株式が連邦政府に無償譲渡されることにより、BGZが100%連邦政府所有の組織となったことを公表した。これらの中間貯蔵施設等の移管・譲渡は、2016年12月に成立した「原子力発電所運転者からの放射性廃棄物管理の資金及び実施に係る義務の移管に関する法律」(以下「義務移管法」という)に基づいて行われたものである。これに伴って、ゴアレーベン及びアーハウスの集中中間貯蔵施設やGNS本社で中間貯蔵業務に従事していた約150名の従業員もBGZに移籍した。

さらに、今後は、義務移管法に基づいて、以下の中間貯蔵施設が連邦政府に移管される予定である。

  • 2019年1月1日までに連邦政府に移管:原子力発電事業者が各原子力発電所内に設置している使用済燃料等の中間貯蔵施設12カ所
  • 2020年1月1日までに連邦政府に移管:原子力発電事業者が各原子力発電所内に設置している原子力発電所の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の中間貯蔵施設12カ所

【出典】


  1. ドイツの国会は二院制であり、連邦議会と連邦参議院がある。連邦参議院は直接選挙で選出されるのではなく、州が代表を送って構成される。ドイツ基本法では、連邦法は連邦議会が議決すると規定しているが、法律の内容によっては連邦参議院の同意が必要となる。 []
  2. ドイツ連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)と原子力サービス社(GNS社)は、義務移管法の2016年12月成立を受けて、2017年3月1日に共同出資によるベンチャー企業として「連邦中間貯蔵機関(BGZ)」を設立していた。 []
  3. ゴアレーベン中間貯施設は、GNS社の子会社であるゴアレーベン燃料貯蔵会社(BLG)が実施している。1995年から返還ガラス固化体の受け入れを開始したが、2013年の連邦政府とニーダーザクセン州の合意に基づく原子力法の改正により、現在は受け入れが行われていない。今後返還されるガラス固化体は、原子力発電所サイトで中間貯蔵することが計画されている。 []
  4. アーハウス中間貯蔵施設は、GNS社の子会社であるアーハウス燃料貯蔵会社(BZA)が操業している。 []
  5. 基金設置法に規定された金額に加え、同法の規定により、2017年1月1日以降の利息が加算されている []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は2016年7月5日に、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づくサイト選定手続きに関する最終報告書「将来への責任-最終処分場選定のための公正かつ透明性の高い手続き」(以下「最終報告書」という)を連邦議会議長に提出するとともに、処分委員会ウェブサイトにおいて最終報告書を公開した。

最終報告書は、報告書全体の主要な結論及び勧告をまとめた「パートA」と、報告書本体部分である「パートB」で構成されている。パートAでは、第1章及び第2章で可能な限り安全性の高い処分が可能なサイトを選ぶという処分場のサイト選定の基本方針を示すと共に、サイト選定に係る過去の経験や処分委員会の使命及び取り組み方法等を総括した上で、第3章から第5章に処分委員会の勧告をまとめている。各章では、以下の分野に関する勧告が示されている。

  • 第1章:可能な限り安全性の高い処分場サイト
  • 第2章:サイト選定の主要な前提条件
  • 第3章:処分オプションに関する勧告(回収可能性を有する地層処分)
  • 第4章:サイト選定手続きに関する勧告(サイト選定プロセス及び公衆参加)
  • 第5章:政治・社会的側面に関する勧告(処分実施体制、連邦議会に対する勧告)

サイト選定プロセス

処分委員会は2015年3月に、現行の連邦放射線防護庁(BfS)に代わる新たな処分実施主体として「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」の設置を勧告しており、サイト選定の作業もBGEが主体となって進められる。サイト選定手続きの監督は、連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が所管する1

サイト選定プロセスは、下表の3段階で行われ、各段階において公衆参加の手続きが実施される。公衆参加の形態としては、公聴会等に加え、連邦、地域横断、地域の3つのレベルでそれぞれ委員会等が設置され、BGEによる選定手続き及びBfEによる審査の状況について評価・監視が行われる

 

段階

各段階での取り組み

段階の終了

第1段階

ドイツ全土を対象にサイト選定プロセスを開始。除外基準及び最低要件に基づき、対象外となる地域を除外。地質学的な評価基準及び項目を限定した予備的安全評価(第1次予備的安全評価)に基づき、主に連邦地球科学・天然資源研究所(BGR)や州の地質調査所が保有する既存のデータを元に地域間の比較を実施し、候補地域と地上探査の対象サイト地域を選定。

連邦放射性廃棄物機関(BGE)の提案に基づき、候補地域と地上探査の対象サイト地域を連邦法によって決定。

第2段階

地上からの探査を実施。地質学的な除外基準、最低要件、評価基準及び第1段階より範囲を拡大した予備的安全評価(第2次予備的安全評価)に基づき、サイト間の比較を実施し、地下探査の対象サイトを選定。

BGEの提案に基づき、地下探査の対象サイトを連邦法によって決定。

第3段階

地下探査などの処分の安全性の観点からの詳細な調査を実施。包括的な予備的安全評価を実施し可能な限り安全性の高いサイトの特定に向け、サイトの比較を実施し、処分場サイトを選定。

連邦放射性廃棄物処分安全庁(BfE)の提案に基づき、処分場サイトを連邦法によって確定。

 

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の反応

処分委員会から最終報告書の提出を受けた連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)のヘンドリクス大臣は、原子力発電に対する各委員の姿勢が異なる中で、処分委員会が最終処分の将来に向けた共通の結論を出すに至ったことを評価した。同大臣は、サイト選定の対象からゴアレーベンを予め除外することを求める意見が一部の州から出ていることについて、旧処分場候補地であるゴアレーベンを含め、ドイツ全土を同じ条件で取り扱う原則を強調した。

今後、連邦政府及び連邦議会・連邦参議院において、処分委員会の最終報告書に示された勧告を踏まえて、サイト選定法の改正に向けた検討などが行われる。

 

【出典】

 

【2016年7月20日追記】

連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は2016年7月18日、高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)が2016年7月5日に連邦政府及び連邦議会へ提出した最終報告書「将来への責任-最終処分場選定のための公正かつ透明性の高い手続き」(以下「最終報告書」という)に対するインターネット上での意見募集を開始した。意見募集は、2016年9月11日まで実施される。

意見募集用に設置された専用ウェブサイト(https://www.endlagerbericht.de/ja/)では、処分委員会の最終報告書の各節、各段落について、「賛成」、「反対」の投票が可能であるほか、コメントを記入できるようになっている2

意見募集の結果は、処分委員会の委員参加の下、2016年9月28日に開催予定となっている連邦議会の環境委員会で検討され、最終報告書の勧告を受けて実施されるサイト選定法の改正作業等において考慮される。

【出典】

【2016年9月30日追記】

ドイツ連邦議会(下院)の環境委員会は2016年9月28日に、高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)が2016年7月5日に連邦政府及び連邦議会へ提出した最終報告書「将来への責任-最終処分場選定のための公正かつ透明性の高い手続き」(以下「最終報告書」という)について、サイト選定法の改定などを検討するための会合を開催した。

本会合において連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)は、最終報告書に示された勧告を実施に移すための法整備について、2016年内に法律原案を取りまとめる意向であること、その場合、2017年の連邦議会の夏季休会前に法律の成立が可能との見方を示した。また、最終報告書の勧告の法制化の手続きは、州の代表で構成される連邦参議院(上院)との協力が重要であるとの意見が出された。

さらに、本会合では、2016年7月上旬から9月18日まで(当初予定より1週間延長)実施された、処分委員会の最終報告書に対するインターネット上での意見募集の結果について報告が行われた。意見募集のための専用ウェブサイトには、11名が参加し、800件を超えるコメントが寄せられており、コメントの大半は技術的内容に関するものであったとされている。

【出典】


  1. 2016年6月に名称を「連邦放射性廃棄物処分安全庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgungssicherheit, BfE)」に変更する法案が連邦議会で可決されている []
  2. 意見表明するには、ソーシャルネットワークサービスのユーザ登録情報を利用した本人確認が必要となっている []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2016年6月27日に開催された第33回会合において、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づくサイト選定手続きに関する最終報告書を採択した。最終報告書は2016年7月5日に、連邦政府及び連邦議会に提出されると同時に処分委員会ウェブサイトにおいて公開される予定である。また、処分委員会は7月5日に、最終会合となる第34回会合を開催し、公衆に向けて最終報告書の勧告などの説明を行うとしている。

処分委員会は32名の委員(委員長2名除く)で構成されるが、このうち最終報告書に関する議決権を持つのは、学術界代表及び社会グループ代表の各8名の計16名である。最終報告書の採決は、16名の全員一致、もしくは、これらの16名の委員のうち3分の2以上の賛成が必要とサイト選定法に規定されているが、14名が賛成し、環境団体代表の1名が反対した(1名は欠席)。

最終報告書の主な勧告内容

処分委員会は2016年6月28日付のプレスリリースにおいて、採択した最終報告書は500ページを超えるものとなり、ドイツにおいて可能な限り高い安全性を有する高レベル放射性廃棄物処分場サイトを選定するための勧告・基準、及び公衆参加を組み込んだ公正で透明性の高いサイト選定手続きが含まれているとしている。

連邦議会のウェブサイトによると、最終報告書には、主に以下の勧告が示されている。

  • 放射性廃棄物は地層処分場に最終処分する。その際には、欠陥が認識された際に是正が可能となるよう、意思決定の可逆性及び定置された廃棄物の回収可能性を重視する。
  • 可能な限り高い安全性を有する処分場サイトを3段階の手続で絞り込み、連邦法で確定する。
  • 連邦、地域横断、地域の各レベルで委員会・合議体を設置し、包括的な公衆参加のもとでサイト選定を実施する
  • 岩塩、粘土層、結晶質岩を候補母岩として検討対象とする。
  • 旧処分場候補地であるゴアレーベン・サイトを、今後実施されるサイト選定手続きから除外しない。

【出典】

ドイツの連邦議会は2016年6月23日に、「最終処分分野における組織体制刷新のための法案」(以下「法案」という)を可決した。法案の発効後は、ドイツにおいて放射性廃棄物処分場のサイト選定から建設・操業・廃止措置を、単一の国営組織が担う体制が構築されることになる。また、放射性廃棄物処分関連の安全規制機関の名称変更が行われる。本法案は、2016年6月24日付で連邦参議院に回付されており、今後、連邦参議院の同意を得たのち、連邦官報に公示され、発効する見込みである1 。

本法案は、「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づく「高レベル放射性廃棄物処分委員会」(以下「処分委員会」という)が提案した、放射性廃棄物処分の新たな実施主体の設置 や、放射性廃棄物処分場のサイト選定プロセスを中立的な立場から監視する「社会諮問委員会」の早期設置などを目的として策定されたものであり、原子力法やサイト選定法をはじめとする計15の関係法令を改正する条文で構成されている。

放射性廃棄物処分の新たな実施主体の設置

本法案には原子力法とサイト選定法の改正が含まれている。改正原子力法には、放射性廃棄物処分事業の実施責任を、連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)の監督下に置かれる「連邦が100%所有する私法上の組織」に一任するとの規定が盛り込まれる。同様に、改正サイト選定法では、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の実施責任者が、現在の連邦放射線防護庁(BfS)から、「連邦が100%所有する私法上の組織」に変更される。

なお、処分委員会は2015年3月の決議において、処分実施主体となる「連邦放射性廃棄物機関(BGE)」を100%国営組織として新たに設置することを提案しており、本法案は処分委員会の決議を反映したものである

放射性廃棄物処分の実施責任に関する現行法上の体制と、関係法令の改正後における体制を整理すると、下表のとおりとなる。

実施責任範囲

現行法上の体制

改正案による新体制

放射性廃棄物処分場のサイト選定・建設・操業・廃止措置

連邦放射線防護庁(BfS)

(実際の処分場の建設・操業等の作業については、ドイツ廃棄物処分施設建設・運転会社(DBE社:民間会社)及びアッセ有限会社(国有会社)に業務委託)

連邦が100%所有する私法上の組織(※)。監督官庁は連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)。

(※連邦放射性廃棄物機関(BGE)として設置される見込み)

 

放射性廃棄物処分場のサイト選定プロセスを監視する社会諮問委員会の早期設置

現行のサイト選定法において社会諮問委員会は、サイト選定手続きへの公衆参加を実現するための組織と位置づけられているが、具体的な役割、委員構成等に関する規定は含まれていなかった。本法案の発効後は、社会諮問委員会の設置時期が、現行の「連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後」から、「2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後」に前倒しされる。社会諮問委員会は、処分委員会の活動終了後からサイト選定の開始までの期間においても、関連機関の諸活動に関与することになる。また、社会諮問委員会の役割が明確化され、処分場サイトの決定に至るまでの公衆参加の実施状況も含めて、サイト選定手続きを中立的な立場から監視するとともに、関係者間の調整を行うことになる。

なお、処分委員会は、最終報告書提出後に公衆参加の空白期間が生じることを回避する目的で、社会諮問委員会の設置を早めることを提案していた。

社会諮問委員会の設置時期と体制、役割について、現行法と改正案における規定内容を整理すると、下表のようになる。

項目

現行法

改正案

設置時期

連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に設置。

2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後に設置。

委員構成

委員構成は多元性に配慮しなければならない

設置時(9名):連邦議会・連邦参議院から6名、市民代表2名、若年層代表1名。

連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に見直しを実施。

委員任期

規定なし。

3年(再選2回まで)。

主な役割

サイト選定手続きへの公衆参加を実現。

  • サイト選定手続きを公衆参加の実施状況も含めて中立的な立場から監視及び関係者間の調整
  • 処分委員会の活動終了後からサイト選定の開始までの期間の諸活動に関与

 

放射性廃棄物処分関連の安全規制機関の名称変更

処分場サイト選定手続全体の監督、調整を担う規制機関として、2014年9月に連邦放射性廃棄物処分庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgung, BfE)が設置されている。本法案の発効後は、同機関の名称が「連邦放射性廃棄物処分安全庁(Bundesamt für kerntechnische Entsorgungssicherheit, BfE)」に変更される。また、放射性廃棄物の貯蔵や輸送に関する許可発給権限は、連邦放射線防護庁(BfS)からBfEに移管される。

連邦放射線防護庁(BfS)の反応

連邦放射線防護庁(BfS)長官は、本法案の連邦議会通過を受けて公表された2016年6月24日付の声明において、最終処分関連の組織体制変更は、最終処分事業のこれまでの経験に照らして、理に適ったものであると評価しており、その上で、組織体制の刷新は、高レベル放射性廃棄物処分場の新たなサイト選定にとって必要であり、体制の重複を避け、外部から見て責任の所在がわかりやすい構造とする必要があると述べている。

【出典】

 

【2016年7月13日追記】

ドイツの連邦参議院は2016年7月8日に、連邦議会が可決した「最終処分分野における組織体制刷新のための法律」について、同法の内容に異議を申し立てないことを決議した2 。今回の連邦参議院の決議により、同法に関する議会両院の手続が終了して法律として成立した。同法は今後、連邦官報に公示され、発効する見込みである。

【出典】


  1. ドイツの国会は二院制であり、連邦議会と連邦参議院がある。連邦参議院は直接選挙で選出されるのではなく、州が代表を送って構成される。ドイツ基本法では、連邦法は連邦議会が議決すると規定しているが、法律の内容によっては連邦参議院の同意が必要となる。 []
  2. ドイツの法律制定過程における連邦参議院の関与には2通りあり、連邦参議院の同意が必要なものと、異議権限が認められるものがある。連邦参議院が異議を唱えた場合、両院協議会が設置され協議が行われるが、連邦議会は異議を覆すことが可能である。 []

ドイツの高レベル放射性廃棄物処分委員会(以下「処分委員会」という)は、2016年6月15日に開催された第31回会合において、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定の各段階における公衆参加の枠組みや流れについて決定した。今回合意された内容は、2016年6月30日までに連邦政府及び連邦議会に提出される予定の最終報告書の「7.3節 関係者、委員会」及び「7.4節 公衆参加の手順」に組み込まれる。

処分委員会は、探査サイトの地元住民がサイト選定の早期から対話に参加し、サイト選定における決定に関与することを実現するためには、新しい公衆参加形態が必要であるとの認識から、広範な公衆参加の枠組みを決定したとしている。これらの公衆参加形態については、処分委員会の最終報告書に基づき、連邦政府による法令への反映が想定されている。

公衆参加手続きの概要

2013年7月に制定された「発熱性放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という) では、地質学的な除外要件及び最低要件の適用により提示される複数のサイト地域から、地上探査サイト地域の選定(第1段階)、地下探査サイトの選定(第2段階)、最終的なサイトの提案・合意(第3段階)へと段階的に絞り込みが行われることが規定されている。

今回、処分委員会において決定された公衆参加手続きでは、高レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定における公衆参加を目的として、サイト選定法に基づく選定手続の各段階に対応し、連邦、地域横断、地域の3つのレベルで委員会や合議体を設置する方針である(下表参照)。

 

サイト選定プロセス

委員会・合議体の設置レベル

第1段階
地上探査サイト地域の選定

第2段階
地下探査サイトの選定

第3段階
処分場サイトの提案・合意

サイト区域選定

地上からの探査サイト地域選定

地上からの探査の実施

地下探査サイト選定

地下探査の実施

サイト提案・合意

連邦

社会諮問委員会

地域横断

サイト区域専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域代表者専門会議

地域

地域会議(多数)

地域会議(多数)

地域会議(複数)

地域会議(複数)

地域会議(1カ所)

 

公衆参加のための枠組みの詳細

連邦レベルでは中立的な立場から、サイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスを監視するため、「社会諮問委員会」が設置される。サイト選定プロセス第1段階では、処分実施主体が提案する「地上からの探査サイト地域」の地元では、地域レベルの合議体である「地域会議」が設置される。

サイト選定プロセス第1段階において、各地元に「地域会議」が設置される前段階では、地域横断レベルの合議体として「サイト区域専門会議」が設置される。この合議体の役割は、処分実施主体が第1段階の中間において「地上からの探査サイト地域」を提案した以降は、各地域会議から同数の代表者が参加する合議体「地域代表者専門会議」に引き継がれる。

これらの委員会・合議体は、サイト選定プロセスの各段階において、公衆参加の結果を報告書としてとりまとめ、提出することとされている1連邦、地域横断及び地域の各レベルにおいて設置される委員会・合議体の設置時期、構成、及び役割を以下に示す。

<連邦レベル>

社会諮問委員会

  • 設置: 2016年6月30日の処分委員会の最終報告書提出後、選定プロセス開始に先立ち、9名の委員で暫定的に設置される。選定プロセス開始に伴い18名の委員で本格的に活動を開始する。
  • 構成:国民を代表する18名の委員で構成される。このうち12名は連邦議会と連邦参議院が半数ずつ選出し、残る6名は性別年齢を考慮した上で無作為に抽出された全国の市民から選出する。市民代表のうち2名は16歳から27歳の若年層から選出する。委員指名は連邦環境・自然保護・建設・原子炉安全省(BMUB)により行われる。
  • 役割:中立的な立場から、サイト選定手続きの開始から終了までの全プロセスにおいて、手続き全体を監視すると共に、関係者間の調整を行う。

社会諮問委員会については、サイト選定法において、連邦議会による処分委員会の最終報告書の評価後に設置することが規定されている。しかし、処分委員会は、最終報告書提出後に公衆参加の空白期間が生じることを回避する目的で、これを前倒しで設置することを提案している。すでに超党派の議員がサイト選定法の改正案を議会に提出している。

<地域横断レベル>

サイト区域専門会議

  • 設置:連邦放射性廃棄物機関(BGE)によるサイト選定の第1段階の中間報告書作成後に連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)が設置する。
  • 構成:BGEによる第1段階の中間報告書において、提示される「サイト区域」の代表者を中心に構成される。該当するサイト区域内の自治体や各種社会組織及び市民の代表者に加え、該当区域外の専門家も参加することが望ましいとしている。
  • 役割:選定プロセスにおける利害関係者となる区域が特定され、地域会議が設置される前の段階において、公衆が参加する機会を提供する。BGEによる第1段階の中間報告書提示後、6カ月間に3回にわたり会議を開催し、中間報告書を評価する。

地域代表者専門会議

  • 設置:地域会議の設置後に、サイト区域専門会議に代わり設置される。
  • 構成:各地域会議から同数の代表者が参加する。総数は30名を超えないものとされている。
  • 役割: 連邦放射性廃棄物機関(BGE)及び連邦放射性廃棄物処分庁(BfE)のサイト選定・審査結果を検証するとともに、各地域会議におけるプロセスを比較する。また、探査サイトにおける地域開発促進のための包括的な戦略を検討する。会議の頻度は選定プロセスの進捗によるが、最低でも年3回は開催する。

<地域レベル>

地域会議

  • 設置:新たな処分実施主体として処分委員会が設置を提案している連邦放射性廃棄物機関(BGE)による第1段階の地上からの探査サイト地域の提案を受けて、サイト選定を監督する役割を有す連邦放射性廃棄物処分庁(BfE) が提案されたサイト地域ごとに設置する。
  • 構成:処分委員会が提示している地域会議の概念モデルには、「代表者グループ」、「総会」、「公衆」の3つの層が含まれる。「代表者グループ」は地域内の自治体、経済・環境団体等の各界、並びに市民の代表者から成り、総数は30名を超えない規模とされる。「総会」には、当該地域の全有権者が参加可能であり、代表者グループの任命権限があるほか、代表者グループに対して要望や提案を提示することが可能である。「公衆」はその他を含む公衆一般であり、代表者グループが、これら公衆に対し、BfEが運営するインターネット上の情報プラットフォームを通じた情報提供に加え、地域会議の枠組みによる公衆参加機会の提供を行う。
  • 役割:サイト選定プロセスに密接に関与し、重要な提案、決定の正当性や実証可能性を検証するとともに、関心を持つ全ての市民がサイト選定プロセスに参加しやすくなるように配慮する。また、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が提示する処分場設置に伴う社会経済的影響について議論を行う。処分場サイトの最終提案が行われる第3段階では、サイトの提案の検証を行うと共に、立地地域の地域開発に関する合意の策定に取り組む。

【出典】


  1. ただし、サイト区域専門会議を除く。サイト区域専門会議の関与は、連邦放射性廃棄物機関(BGE)が第1段階の提案に向けて作成する中間報告書の評価に限られる。 []