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《ドイツ》サイト区域専門会議のキックオフ会合が開催-サイト選定手続きにおける公衆参加の開始-

ドイツでは、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場のサイト選定に関する法律」(以下「サイト選定法」という)に基づき、処分実施主体である連邦放射性廃棄物機関(BGE)が、2017年9月からサイト選定手続きの第1段階である「地上探査の対象サイト地域の選定」を進めている。BGEは2020年9月28日に、ドイツ全土から地質学的な基準・要件を満たす「サイト区域」の選定結果を盛り込んだ『サイト選定手続き第1段階の中間報告書』(以下「中間報告書」という)を、連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)に提出した 。中間報告書の提出を受けたBASEは、サイト選定手続きにおける地域横断レベルの公衆参加の場となる「サイト区域専門会議」(下記コラム参照)の立ち上げに向けたキックオフ会合を2020年10月17日と18日の2日間にわたって開催した。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、キックオフ会合はオンライン形式で開催された。

■サイト区域専門家会議のキックオフ会合の概要と参加方式

今回の2日間のキックオフ会合は、今後本格的な検討を行う「サイト区域専門会議」の活動のあり方について議論し、方向性を決定するため、公衆参加を推進する役割を担う連邦放射性廃棄物処分安全庁(BASE)が開催したものである。1日目にサイト選定手続きやBGEが提出した中間報告書に関する説明が行われた後、2日目にサイト区域専門会議の今後の活動のあり方について議論が行われた。

BASEは、サイト選定法においてサイト区域専門会議の構成者と規定されているサイト区域内の自治体、各種社会組織、学術関係者の各種組織に対してキックオフ会合への参加登録を促す招請を行ったほか、2020年8月からドイツの一般市民に対して参加登録を促すキャンペーンを行っている。キックオフ会合への参加者は、オンラインで意見や質問を提示するだけでなく、事務局であるBASEが提示する議案への投票に参加できることが事前に明らかにされていた。なお、BGEが取りまとめた中間報告書では、最終処分に好適な可能性が高いとBGEが判断しているサイト区域は、ドイツ全土の約54%(約194,000km2)に及んでいる。BASEによると、最終的なキックオフ会合への参加登録者数は830名であり、1日目開始時点の参加者は334名、2日目開始時点の参加者は293名であった。

■サイト区域専門会議本格活動に向けて準備作業部会を設置

サイト選定法の規定によると、BASEが事務局として招集するサイト区域専門会議は、処分実施主体であるBGEが取りまとめた「中間報告書」に関する諮問組織として、最大3回の審査会議を開催し、その結果をBGEに答申することをもって解散することになっている(下記コラム参照)。

BASEは、サイト区域専門会議の具体的な活動の進め方は、サイト区域専門会議自体が今後決めていくべきとの考えであり、サイト区域専門会議の規約案や活動スケジュールのほか、第1回のサイト区域専門会議に向けた準備作業を行うための準備作業部会の設置を提案した。キックオフ会合の参加者全員による投票による採決が行われ、参加者の中から立候補した16名のうち、市民、サイト区域自治体、学術関係者、社会組織のカテゴリーあたり3名の代表者で構成される計12名を準備作業部会メンバーとして選出した。また、第1回のサイト区域専門会議の日程を2021年2月4日から7日に開催する予定とし、この参加者についてもキックオフ会合同様に、BASEからサイト選定法に規定された各種組織等に参加招請を行うことを決定した。

■今後の予定

今後、キックオフ会合で設置された準備作業部会が、全3回のサイト区域専門会議でのテーマやその他の作業部会の設置といった構成、及び2021年2月に開催される第1回のサイト区域専門会議のプログラムなどについて、事務局であるBASEと共に検討していくことになっている。

 

サイト区域専門会議(Fachkonferenz Teilgebiete)の位置づけ

サイト選定法では、サイト選定手続きにおける公衆参加の枠組みとして、連邦レベル、地域横断レベル、地域レベルの各レベルで委員会や合議体を設置することを規定している。このうち、連邦レベルの社会諮問委員会は、2016年に委員が選定され活動を行っている。今後、地域レベルの地域会議、地域横断レベルの地域代表者専門会議が、地上からの探査が行われるサイト地域の選定後に設置される予定である

サイト区域専門会議は、サイト地域が選定され、地域の関心が重要となる前の段階に設置される地域横断レベルの会議であり、公衆参加意欲を促進し、専門家の助言を提供する緩やかな話し合いの場と位置付けられている。サイト選定法では、サイト区域専門会議の参加者の数、サイト区域の代表性などについては規定されていないが、サイト区域内の自治体、各種社会組織、市民、学術関係者の代表者を参加者とすることが規定されている。また、サイト区域専門会議は、6カ月間の活動期間中に最大3回にわたりBGEの中間報告書について検討し、協議結果をとりまとめBGEに提示することが規定されている。このサイト区域専門会議の協議結果については、BGEが地上探査サイト地域の提案作成において考慮することとされている。

ドイツのサイト選定手続きにおける公衆参加の枠組み

 

 

【出典】

(post by tokushima.hideyuki , last modified: 2023-10-17 )