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《スウェーデン》エストハンマル自治体議会が使用済燃料処分場の受け入れ意思を議決

スウェーデンの使用済燃料処分場の建設予定地フォルスマルクがあるエストハンマル自治体の議会は2020年10月13日、エストハンマル自治体における使用済燃料処分場の立地・建設の受け入れ意思に関する議決を行った。議員総数49名のうち48名が投票を行い、賛成38、反対7、棄権3で使用済燃料処分場の受け入れ意思を表明することを可決した。

エストハンマル自治体は、1995年にスウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB社)から使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの最初の段階である「フィージビリティ調査」(わが国の文献調査に相当)の申し入れを受諾した以降、25年にわたって処分場の立地に関わる地元や周辺自治体を含めた社会影響、処分技術の研究開発動向、スウェーデン政府の政策に対応する法整備の検討状況など、幅広い分野についての学習を続けている。SKB社は、2002年からエストハンマルとオスカーシャムの二つの自治体でサイト調査(わが国の概要調査に相当)を行い、2009年に使用済燃料処分場の建設予定地として、エストハンマル自治体のフォルスマルクを選定していた。

SKB社は、2011年3月に使用済燃料最終処分場の立地・建設許可申請書等を提出しており、環境法典及び原子力活動法の2つの法律に基づく審査が最終局面にあり、2020年10月現在は政府の判断を待つ状況にある。環境法典において地元の拒否権が規定されており、政府が許可発給の判断を行う前に、地元自治体に処分場の受け入れ意思を書面にて確認する手続きが必要になっている。

今回のエストハンマル自治体議会での議決は、政府から受け入れ意思の確認要請がなされていない状況において、自治体独自の判断で行われたものであり、今後、政府から処分場の受け入れ意思の確認要請がなされた場合、エストハンマル自治体は拒否権を行使しないことを政府に対して先行的に明らかにするものである。エストハンマル自治体は、今回の議決を行う上で十分な知識を備えているという認識を共有して議決を行った点を強調した上で、今後、政府(環境省)における審査手続きや法整備の検討が進むことを期待するとしている。

エストハンマル自治体は、自治体の最も重要な懸念事項として、処分場の閉鎖後における最終的な責任について、原子力活動の安全に関する責任を果たすことができる者がいない場合、その責任が国に移管されること等を規定した法改正パッケージ案「原子力活動に関する国の責任の明確化」(Ett förtydligat statligt ansvar för visa kärntekniska verksamheter)が2020年6月10日にスウェーデン議会(国会)で可決されたことによって解消されたものの、使用済燃料処分場の建設、操業、閉鎖などの「段階的な許認可」(step-wise licensing)手続きにおいて自治体が判断を行う必要があり、その手続きを法律において明確化するよう要望するとしている。

 

【出典】

 

(post by sahara.satoshi , last modified: 2023-10-17 )