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カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2019年5月のプレスリリースにおいて、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズにおけるフィールド調査の実施に向けた土地利用に関する説明等を行うため、オンタリオ州南部のヒューロン=キンロス・タウンシップ及びサウスブルース自治体を訪問することを公表した。NWMOは2017年に、南部2自治体でボーリング調査を行う計画を表明していたが、現在も土地所有者や先住民からボーリング調査の許可を得るに至っていない。このためNWMOは、ボーリング調査の結果によって、将来、当該エリアが使用済燃料処分場の好ましいサイトとして選定された場合には、当該エリアの土地を割り増し価格で購入する合意文書を事前に取り交わすことで、土地所有者などからボーリング調査の許可を得たいとの意向を明らかにしている。

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向
(2017年12月時点)

使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズにある5自治体のうち、オンタリオ州北部の3自治体で特定されているフィールド調査エリアは州管轄地(クラウンランド)にあって土地所有構造が単純であるのに対し、南部2自治体の場合は複数の土地所有者が関係する複雑な構造となっている1 。NWMOは、南部2自治体において当面必要なフィールド調査を円滑に進められるように「土地アクセスプロセス」(Land Access Process)を明らかにしたうえで、土地所有者とNWMOとの双方に有益な関係の構築を目指すとしている。

土地アクセスプロセス

今回NWMOは、土地所有者からフィールド調査を行う許可を得るとともに、将来的にNWMOがその土地を購入する可能性を見越して、土地所有者との間で事前に以下の内容の合意文書を取り交わす「土地アクセスプロセス」を提案している。

  • NWMOは、土地所有者と合意文書を取り交わすことで、フィールド調査を実施する権利、さらには、将来的にサイトが選定された際に土地を購入する権利を得る。
  • NWMOがフィールド調査に利用する土地の所有者は、NWMOと合意文書を取り交わすことよって、土地所有者が行っている活動への影響に対する補償を受けることができる。
  • 土地所有者が合意時点で受け取ることができる補償内容には、土地の市場価格の10%の金額、並びに土地所有者が外部専門家から地価の評価額や法的助言を得るために使用できる費用として1万カナダドル(83万円、1カナダドル=83円で換算)が含まれる。
  • 土地所有者とNWMOとが合意文書を取り交わした場合でも、実際にフィールド調査に使用されない土地の部分は、土地所有者が継続して利用可能である。
  • 将来、NWMOが使用済燃料処分場の好ましいサイトを選定した後、当該土地の購入を決定した場合、土地の市場価格に25%を上乗せした金額をNWMOが土地所有者に支払う。

 NWMOは、土地所有者との間で上記の合意文書を取り交わしたい意向であるが、土地所有者が希望する場合には、当該土地を直ちに購入する選択肢も検討するとしている。また、土地所有者が土地アクセスプロセスに関してNWMOと合意文書を取り交わした場合でも、そのことをもって処分場の受け入れに同意したことにはならないことを明らかにしている。

 

【出典】

 


  1. 第3段階第2フェーズにあるオンタリオ州北部3自治体の一つであるイグナス・タウンシップは、2011年11月にNWMOとボーリング調査に関する合意文書を取り交している。NWMOは州政府の承認を得て初期ボーリング調査を2018年11月に開始している   []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら))の実施に関して、2019年から2023年までの5カ年の実施計画書を公表した。NWMOは、毎年、今後5年間の行動計画をまとめた実施計画書を公表している。今回の実施計画書の対象期間には、NWMOが1カ所の好ましいサイトの特定を予定する2023年が含まれている。なお、2019年4月現在、NWMOは5つの自治体において、サイト選定プロセスの第3段階「使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的調査」の第2フェーズとして現地調査を実施している

NWMOは、今回公表した実施計画書において、2023年を重要なマイルストーンと位置付け、それに向けた取り組みとして下記の7つの優先事項を挙げ、それぞれにおける実施内容を示している。

  1. 工学技術:工学的設計をさらに発展させ、その有効性を実証する。
    • プロトタイプの処分容器、緩衝材、定置システムの設計、製造、試験を完了する。
    • ボーリング調査、予備的な環境ベースライン調査で得られたデータを活用したサイト固有の概念的な処分場設計の整備を行う。
    • 人工バリアの評価のためのプロトタイプ試験及び実証施設を維持する。
    • 必要に応じてAPMの概念設計とコスト見積りを更新するとともに、使用済燃料取扱システムの設計と開発を開始する。
  1. サイト評価:候補サイトにおける詳細な現地調査を継続し、社会的・技術的両面でのサイト評価を実施していく。
    • ボーリング調査を継続するとともに、プロジェクトの要件に合致する可能性が高い地域における地球科学的、工学的、環境的及び安全性の要因と先住民の有識者や地域社会によって特定された要因の評価について情報提供するために現地調査を拡大する。
    • 地域社会との調査結果の再検討を通じて、調査対象地域の絞り込みを継続する。
  1. 安全性:サイト固有の予備的なセーフティケースを構築し、長期安全性を確認する取り組みを強化する。また、国際機関や諸外国の実施主体との協力に基づく研究を継続する。
    • カナダ国内外の大学との共同研究を通じてプロジェクトの科学的側面の理解を深め、その結果を学術誌、会議論文、技術報告書で提示する。
    • IAEA「使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約」に基づくカナダの国際的義務を継続する。
    • 諸外国の研究者とともに、スイスのモン・テリ岩盤研究所プロジェクト及びグリムゼル試験サイトでの研究に引き続き協力する。
    • カナダ原子力学会、OECD/NEAやIAEAなどが主催する国内及び国際会議、ワークショップ、国際共同研究への参加を継続する。
    • 学術界と産業界の研究者による地球科学セミナーの開催を継続する。
    • カナダ自然科学・工学研究会議(NSERC)の奨学金プログラムを通じて、大学院生を支援する。
    • 地域住民の安全に対する理解を深めるための討論の場を構築・支援する。
    • 地下水の流れ、閉じ込め容器からの放出と移行及び熱-水-力学連成プロセスの評価を含めて、安全評価モデルを整備・改良する。
    • 処分場の安全性に影響を与える可能性があるプロセスについて科学的理解を促進する。
    • 地層処分場閉鎖後の安全評価のサイト固有のじ実例を通して、技術的安全性の考慮事項の調査を継続する。
  1. 人材の確保:2023年のサイト特定以降の段階に備え、NWMOの要員確保などに関する戦略を立案するとともに、地域における雇用の促進に向けた取り組みを強化する。
    • 将来の許認可申請をサポートするため、選定された地域の詳細なサイト特性調査、環境アセスメント、工学的設計及びセーフティケースの開発を進めるためのワークプランを検討し、要員の要件を評価する。
    • 選定された地域に建設される専門技術センターの概念等を検討する。
    • 潜在的なサイトでの現地スタッフのプレゼンスを構築し、プロジェクトに関する現地契約の機会を提供する。
    • 地方自治体の青少年及び住民の能力向上を支援するとともに、先住民がAPMプロジェクトやその地域の他の大規模プロジェクトに関連する就業機会を確保するためにサイト選定プロセスに関与を促す。
  1. 許認可:許認可や規制上の承認を得るための戦略を立案・実施するとともに、持続可能性の確保のための、自然環境、健康及び社会福祉の変化を特定するための調査を行う。
    • 立地地域と協力して影響評価手法を開発する。
    • 地域の持続可能な開発へのプロジェクトの貢献のために必要な情報を提供するプログラムを開発する。
    • 地域住民や先住民の有識者と連携して、潜在的なサイトにおけるベースライン環境モニタリングを確立する。
    • カナダ原子力安全委員会(CNSC)などの規制当局と協力して、規制プロセスの要件を理解することにより、NWMOの戦略を説明できるようにする。
    • 潜在的な受入地域と協力して、規制プロセスにおける役割を明確にし、プロセスに参加できるよう関与を促進する。
    • 地元の伝統的な知識を評価に織り込むための先住民との共同作業など、地域社会などの人々と協力しながら地域の自然環境に対する理解を深める機会を創出する。
  1. 輸送:関心のある自治体、個人及びグループの関与を促進し、輸送計画に対する信頼構築のための技術的作業(リスク評価、輸送方法の検討等)を行う。
  1. 公衆の関与:2023年にサイトを特定するために、地域での関与や現地調査を進め、自治体とのパートナーシップ協定締結に向けた取り組みを行う。
    • 「適応性のある段階的管理」(APM)の実施、サイト選定プロセス、サイト選定後の取り組み及びNWMOに対するカナダ国民の認識を高めるとともに、受け取った情報を一般に報告する。
    • プロジェクトに対する若年層の認識と理解を深め、APMに関連する将来の意思決定能力を高める。
    • 核燃料の最終的な輸送の計画を含むAPMの進捗状況について、カナダの原子力立地地域に説明する。
    • 以下との関係を構築し維持する。
      • サイト選定プロセスへの参加を選択した関心のある地域、その地域の先住民及びその周辺地域
      • APM及びサイト選定プロセスの進捗状況を共有するための国、州及び地域レベルに設けられている先住民組織
      • 地方自治体が重要と考える観点をより良く理解し、協力してAPMを実施していくために設けられている自治体連合体(複数州にまたがる連合体)
      • 連邦、州、地方自治体
    • 先住民地域の文化や言語、慣習、取り組みは多様であることを認識しつつ、先住民の有識者を含む潜在的に影響を受ける先住民との協力を続ける。
    • より具体的に「社会的受容(social acceptance)」及び「喜んで受け入れる(willing host)」という用語を定義し、どのように立証できるか理解するために、サイト選定プロセスに関与する自治体、地域、先住民と協働する。
    • 地域などでの議論をサポートするための展示やわかりやすいコミュニケーション資料、視聴覚ツールの開発を継続する。
    • NWMOのWebサイト及びソーシャルネットワークサービス(SNS)を通じた関与を拡大する。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2018年12月14日、放射性廃棄物管理及び廃止措置に関する規制の枠組みを示した規制文書「REGDOC-2.11 廃棄物管理 カナダにおける放射性廃棄物管理及び廃止措置の枠組み」(以下「REGDOC-2.11」という。)を公表した。REGDOC-2.11は、放射性廃棄物管理及び廃止措置の規制に対するCNSCの取り組みの基本的考え方と原則を示す文書であり、放射性廃棄物管理の国の枠組み、放射性廃棄物管理及び廃止措置に関するCNSCの規制の枠組みと監督、国際的義務などが記されている。

CNSCは、原子力産業に対する規制に関する情報を、事業者及びカナダ国民に明瞭かつ論理的な形で提供することを目的として、規制文書の再編成を進めている。従来は、規制文書の位置づけや拘束力に応じて、規制方針(P)、規制基準(S)、規制指針(G)、規制通知(N)の4シリーズに区分していたが、これを規制対象分野で区分した階層番号形式に変更し、規制文書へのアクセス性を改善している。

廃棄物管理に関する規制文書REGDOC-2.11シリーズは、今回公表された最上位の文書のほか、下位の3巻の文書で構成されている。

文書名

策定状況

備考

REGDOC-2.11 廃棄物管理 カナダにおける放射性廃棄物管理及び廃止措置の枠組み

2018年12月発行

 

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第1巻:放射性廃棄物の管理

未策定

 

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第2巻:ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理

2018年11月発行

従来の「ウラン鉱山廃棄物の岩石及び鉱さいの管理 RD/GD-370」及び「放射性廃棄物の管理 規制方針P-290」を置き換え

REGDOC-2.11.1 廃棄物管理 第3巻:放射性廃棄物管理の長期安全性の評価

2018年5月発行

従来の「放射性廃棄物管理の長期安全性の評価 規制指針G-320」及び「放射性廃棄物の管理 規制方針P-290」を置き換え

CNSCの規制文書のREGDOC-2.11シリーズへの再編では、従来の「規制方針P-290 放射性廃棄物の管理」(2004年)及び「規制指針G-320 放射性廃棄物管理の長期安全性の評価」(2006年)は、形式的な変更はされているものの、内容的な変更はされずに取り込まれている。

なお、CNSCは別途の規制文書として、「REGDOC-1.2.1地層処分場のサイト特性調査に関するガイダンス」の策定に向けた取り組みを進めており、2018年10月19日にREGDOC-1.2.1の案を公表し、2018年12月17日を期限として公衆からの意見募集を行っている

【出典】

カナダ原子力安全委員会(CNSC)は、2018年10月19日に、「地層処分場のサイト特性調査に関するガイダンス」(REGDOC-1.2.1)の案1 を公表し、2018年12月17日を期限として公衆からの意見募集を開始した。カナダでは、2010年から、カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)が使用済燃料の地層処分場のサイト選定プロセスを進めており、2018年10月現在、オンタリオ州内の5つの自治体がサイト選定プロセスに残っている。いずれの自治体も、サイト選定プロセスの第3段階にあり、空中物理探査や地表踏査などの現地調査が行われており、一部の自治体では限定的なボーリング調査が実施されている。NWMOは、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うと見込んでおり、選定される1カ所において、サイト選定プロセス第4段階としてサイト特性調査を行う計画である。CNSCは、サイト選定プロセスにおいて、サイト特性調査のために収集された情報が、今後の許認可申請に使用されるため、サイト特性調査段階に関するガイダンスを策定するとしている。

今回のガイダンス案においてCNSCは、サイト選定プロセスの一部として、許認可申請者は、サイトの現在及び将来の変遷に関する一般的な理解を裏付ける十分な情報や、セーフティケースに関する長期間にわたる進展への期待を提供できるような「サイト特性調査プログラム」を策定すべきであるとしている。特に、地質環境に関してサイト特性調査で得られたデータは、地層処分場の長期安全評価及びセーフティケースの重要な構成要素になると説明しており、サイト特性調査において収集するデータの具体的な項目を提示している。

また、CNSCはガイダンス案で、現行の原子力安全管理法に基づく許認可プロセスにおいては、「地層処分場のサイトの選定に適用される規制プロセスがない」という認識を示している。しかし、現実には、原子力安全管理法に基づく段階的な許認可の最初のものとなる「サイト準備許可」の発給前に、候補サイトにおいて何らかの調査活動が実施されることになると認識している。CNSCは、許認可前に実施される調査活動に対して、本来必要な規制手続を開始できるようにするため、規制当局と議論すべきであると述べている。

さらに、CNSCは、規制の独立性を確保しつつ許認可申請者に対して適切なガイダンスを与えるため、CNSCと許認可申請者との間で業務委託契約(service agreement)を締結すべきであり、この枠内において、CNSCが非公式な検査や評価を行う機会を持てるよう勧告している。また、CNSCは、サイト特性調査の作業に関して、許認可申請者がCNSCに予め通知した主要マイルストーンの維持に努めるよう勧告するとともに、サイト特性調査プログラムなどに対するCNSCによる事前レビューの要請を早期に行うことを勧告している。

【出典】


  1. カナダ原子力安全委員会(CNSC)の前身である原子力管理委員会(AECB、2000年に廃止)が策定していた規制文書「R-72 高レベル放射性廃棄物の地層処分のための処分場立地における地質学的配慮」(1987年)は、今後REGDOC-1.2.1の策定によって廃止されることになる。 []

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、自身のウェブサイトにおいて、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら)の実施に関して、2018年から5カ年の実施計画書を公表した。NWMOは2008年以降毎年、今後5年間の行動計画をまとめた実施計画書の案を公表し、広く国民から意見を聴取した上で最終化する手順を踏んでいる。NWMOは、今回の2018年からの実施計画書の公表に先がけて、2017年9月末から11月末までの約2ヶ月間にわたり意見募集を行っていた。2018~2022年の実施計画書では、今後5年間の戦略的目標として以下の8点を挙げている。

  • 国民や地元住民との持続的な関係の構築、及び社会の期待や価値観の変化等に対応した計画の変更
  • コミュニティとの協力によるサイト選定プロセスの前進
  • 処分場及び人工バリアシステムの安全性と実現可能性の実証
  • 建設及び操業の計画立案
  • 技術的知見の向上
  • 輸送計画の策定
  • 資金面での安定性の確保
  • ガバナンスの確保と説明責任の履行

今回公表された実施計画書からは、これらの戦略的目標や、その実現のための活動の適切性について、2018年7月20日まで意見を求める巻末アンケートが添付されており、NWMOは国民からの意見募集をより長い期間にわたって実施する意向を表明している。

候補サイト選定後、操業開始までの参照スケジュール

カナダでは現在、サイト選定プロセス第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”が進められており、2017年末時点において、5つの自治体がサイト選定プロセスに残っている。NWMOは、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うこと見込んでおり、サイト選定プロセスに参加している自治体や関係組織に対して、NWMOの最新の情報に基づく最良のリファレンスとなるスケジュールを提示していく意向である。2018~2022年の実施計画書においてNWMOは、使用済燃料処分場プロジェクトのスケジュールは以下のように見込んでいることを明らかにしている。

2023年 1カ所の好ましいサイトを特定
2024年 サイト特性調査及び専門技術センター建設を開始
2028年 許可申請書の提出
2032年 建設許可の発給(推定)
2040~2045年 地層処分場の操業開始
 

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

カナダサイト選定状況201712

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2017年12月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2017年12月、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のエリオットレイク市、ブラインドリバー町(右上図13番及び12番)を、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは除外理由として、この地域において、潜在的に適性があると考えられる複数の対象エリアが地質学的に複雑であるほか、地形の起伏が激しいために調査対象エリアへのアクセスが困難であることを挙げている。また、この地域の調査対象エリアは先住民の権利が認められている領域に位置している。NWMOは、既に一部の先住民とは良好な関係にあるものの、その他の先住民を含めたパートナーシップへ拡大できる見通しが低いことも、この地域を除外した理由の一つとしている。

NWMOは、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズの初期において空中物理探査などの調査を実施している。NWMOは、地域の地質に関する理解の向上を図るため、ボーリング調査を進める計画であり、サイト選定プロセスに残っていた7自治体の地理的な近さに応じて4グループにまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定などを進めている。今回NWMOは、より高精度な地質データの取得が完了した「エリオットレイク/ブラインドリバー地域」と「ホーンペイン/マニトウェッジ地域」の結果に基づいて2つの自治体を除外した。これで、サイト選定プロセスに残っている自治体は5つとなった。

NWMOは、地層処分場のサイト選定プロセスに対する地域のこれまでの貢献を高く評価するとともに、地元の持続的開発と福祉向上のために独自に利用できる資金として、エリオットレイク市、ブラインドリバー町、先住民であるサガモク・アニシュナウベック・ファースト・ネーション(Sagamok Anishnawbek First Nation)にそれそれ60万カナダドル(5,400万円)、近隣自治体でありサイト選定プロセスから除外された後も前向きな協力を続けていたスパニッシュ町とノースショア・タウンシップにそれぞれ30万カナダドル(2,700万円)を提供するとしている。

なお、NWMOが2017年12月に公表した資料によれば、サイト選定プロセスに残っている地域や自治体における調査やパートナーシップの構築等の状況は以下の通りである。

  • ホーンペイン/マニトウェッジ地域(図中9番と8番):技術的調査の結果、岩石学的・構造的に好ましい特性を持つ潜在的な処分場エリアが特定されている。これらのエリアは、処分場の設置に好ましい地質学特性を備えている可能性があるが、今後実施するボーリング孔の掘削によって不確実性に対応する必要がある。なお、NWMOは、現時点ではホーンペイン/マニトウェッジ地域近傍の潜在的な処分場エリアにおける詳細調査に注力する意向である。
  • イグナス地域(図中5番):プロジェクトの実施のための技術的要件を満たし、プロジェクトを前進させる協力的なパートナーシップ構築の可能性が高い。なお、イグナス地域では、既に初期ボーリング調査が開始されている
  • ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域(図中19番と20番):カナダ楯状地の結晶質岩と異なり、この地域のミシガン盆地の堆積岩は、広い地域にわたって均質であると理解されている。パートナーシップロードマップに基づく取組みにより、地域における協力的なパートナーシップの構築が進められている。なお、この地域の近傍のセントラルヒューロン自治体は、既にサイト選定プロセスから除外されている

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

 

【出典】

 

カナダサイト選定状況201706

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2017年6月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2017年6月23日付で、サイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のセントラルヒューロン自治体(右上図21番)とホワイトリバー・タウンシップ(右上図10番)を、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。NWMOは、これら2地域ではプロジェクトに対する関心はあるものの、それぞれの地域内で地質工学的な調査を進める上で、十分な信頼感を住民に与えられるほどには関心・学習を拡大することができなかったとしている。 NWMOは、使用済燃料処分場の立地に好ましい1カ所のサイトを選定するためには、安全要件に合致する可能性がより高く、プロジェクト実施に対して地元住民が関心を持ち続けるための基盤を有する地域に絞り込んでいく必要があるとしている。 NWMOは、サイト選定プロセスに残っている7自治体において、現在進行中の第3段階第2フェーズのフィールド調査の中でボーリング調査の実施を予定している。これら7自治体を地理的な近さに応じて以下の4グループにまとめ、ボーリング調査の実施に向けた計画の策定を進めるとしている。

  • ホーンペイン/マニトウェッジ地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられるボーリング調査地点1カ所の特定に向けて、このエリアの住民と協力する取組みを計画している。技術的な適性があり、社会的に受け入れられるボーリング調査地点1カ所を特定できた場合には、初期ボーリングの掘削を2018年に開始する。
  • ヒューロン=キンロス/サウスブルース地域:処分場の立地に潜在的に適すると考えられる地点でのボーリング調査の前に、この地域の地質に関する理解の向上を図るため、複数の地点でボーリング調査を行う計画である。ボーリング掘削の時期や詳細は検討中である。
  • イグナス地域:初期ボーリング調査を2017年に開始する計画であり、先住民等との協力の下、「レヴェル底盤」(Revell Batholith)として知られている深成岩の地層の一部を対象とする調査地点を特定済みである。この調査地点は、処分場サイトとして技術的な適性があり、社会的に受け入れられる可能性がある。
  • エリオットレイク/ブラインドリバー地域:先住民の助言と参加を得て、地質学的・環境学的なマッピング調査を実施中である。初期ボーリング調査に関する計画は、その実施に関する判断を含めて2018年初めに決定する予定である。

NWMOは、第3段階第2フェーズのフィールド調査の途中段階でも、得られた情報に基づいて、適性が低いと思われる地域を除外していく考えであり、2023年には1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うとしている。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

 

【2017年11月9日追記】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2017年11月6日に、イグナス・タウンシップにおいて初期ボーリング調査を開始したことを公表した。初期ボーリング調査は、潜在的な処分サイト、または、その近傍の地質環境の把握を目的としたサイト評価プログラムの一環として実施されるものであり、ボーリング掘削の実施には、オンタリオ州の天然資源・森林省(MNRF)の許可が必要となっている。カナダ楯状地の結晶質岩が分布するイグナス・タウンシップでは、地下約500mの深さまでボーリング孔を掘削し、円筒状の岩石試料(ポーリングコア)を採取する予定である。

NWMOはサイト選定プロセスに残っているオンタリオ州内の7自治体で初期ボーリング調査を実施する計画であり、各自治体と協力して準備を進めている。NWMOの資料によれば、オルドビス紀の堆積岩が分布するヒューロン=キンロス・タウンシップとサウスブルース自治体では深さ約1,000mまでのボーリング孔を掘削する計画である。

【出典】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら)の実施に関して、2017年~2021年の5年間における実施計画案を公表し、2016年10月31日までの期限で意見募集を開始した。NWMOは2008年以降毎年、向こう5年間の行動計画をまとめた実施計画案を事前に公表し、幅広く国民から意見を聞く機会を設けている。最終版の実施計画書は、2017年3月に公表する予定である。

サイト選定プロセスの参照スケジュールの提示

サイト選定プロセスに参加している9自治体

サイト選定プロセスに参加している9自治体(出典:NWMO、2017-2021年実施計画書案)

NWMOは今回意見募集を行っている実施計画案において、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスのリファレンスとなるスケジュールを示している。カナダでは現在、サイト選定プロセス第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”が進められている。NWMOは、机上調査を行う前期(第3段階第1フェーズ)と、現地調査を行う後期(第3段階第2フェーズ)とに分けており、サイト選定プロセスの第3段階第1フェーズが完了した21自治体のうち、9つの自治体が第3段階第2フェーズに進んでいる。NWMOは、これまでのサイト選定プロセスの進行状況に基づいて、第3段階第2フェーズを2022年までに完了できるとの見通しを明らかにした。第3段階第2フェーズの途中段階でも、現地調査等から得られた情報に基づいて、適性が低いと思われる地域を除外していくが、2023年にはNWMOが1カ所の好ましいサイトを選定する準備が整うとしている。この好ましいサイトの所在自治体がサイト選定プロセス第4段階に進むことを望む場合、NWMOが詳細なサイト調査を実施するほか、サイト調査をサポートする専門技術センターの建設が行われる。また、NWMOは将来の作業計画を立案するための前提条件として、処分場の操業開始を2040~45年と仮定していることを明らかにした。

NWMOは2010年に策定したサイト選定プロセス(下記《参考》コラムを参照)において、各段階で実施する調査の期限やスケジュールを意図的に設定せず、サイト選定プロセスに参加する自治体がプロセス自体に関与し、使用済燃料処分場プロジェクトの安全性と地元の福祉への貢献を確認するために必要な時間を確保する姿勢を明確にし、堅持してきた。NWMOは今回の実施計画案において、サイト選定プロセスに参加する自治体や関係組織がサイト選定プロセスの今後の進行見通しを必要としているとの理解から、NWMOが現在までに得た情報に基づく最良のリファレンスとなるスケジュールを提示すると説明している。

2017年から5年間の主要マイルストーン

NWMOは、今回公表した2017年~2021年の実施計画案において、期間中の主要なマイルストーンとして以下の点を示している。

  • 安全性の評価のための予備的な現地調査と技術的評価の実施、及び対象地域の絞り込みに向けた強固なパートナーシップの構築
  • 詳細サイト特性調査の対象となる好ましいサイトの特定に向けた予備的な現地調査と評価の実施、及び強固なパートナーシップの構築
  • これらの活動を、先住民族などを含む関係自治体と協力して実施することによる、パートナーシップを構築してプロジェクトを実施するための基礎固め
  • NWMOの試験施設における使用済燃料コンテナ及び輸送用コンテナの試作品の設計と製造
  • 処分環境で発生しうる微生物学的プロセスの統合的評価の完了
  • サイト選定プロセスに関与している自治体との議論を通じた、選定されたサイトに設置される専門技術センター(Centre of Expertise)の設計計画の推進
  • サイト選定プロセスに関与している自治体との協力による、地元雇用の機会の創出と、「適応性のある段階的管理(APM)」による処分場の建設と操業に関連する将来の雇用のために必要な能力・技能の形成の機会の創出
  • コンテナの設計と試験、及び計画の枠組みの開発に関する情報の提供による公衆の関与を通じた、輸送計画の策定
  • 現在、使用済燃料が貯蔵されている施設からの使用済燃料の輸送計画の立案における廃棄物所有者との協力

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】

 

【2017年4月3日追記】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、「適応性のある段階的管理」(APM詳細はこちら)の実施に関して、今後5年間の行動計画をまとめた実施計画書の最終版を公表した。本最終版では、2016年7月の実施計画書案で示されていた主要マイルストーンに変更はない。なお、これと併せて、2014年から2016年までの事業内容等を取りまとめた報告書(以下「3年次報告書」という。)も公表している1

今回公表された実施計画書においてNWMOは、早ければ2023年としている1カ所の好ましいサイトの選定に向けて、当該サイトに設置される専門技術センター(Centre of Expertise)の設計計画の立案などの取組について、サイト選定プロセスに関与している自治体との議論を通じて進めていく意向を示している。

【出典】


  1. 3年次報告書の作成については、核燃料廃棄物法第18条で規定されており、同条では3年次報告書において、今後5年間のAPMの実施に向けた計画を記載すべきことが規定されている。 []

カナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)は、2016年5月24日、カナダ原子力研究所(CNL)が計画している「チョークリバー研究所(CRL)における浅地中処分施設プロジェクト」の環境影響評価手続きのためのパブリックコメントの募集を開始した。今回のコメント募集は、カナダ原子力研究所が作成した『プロジェクト概要書』について、プロジェクト実施予定のサイトや環境影響評価のための情報を一般から幅広く収集する目的であり、書面によるコメントの受付締め切りは2016年6月24日(1ヶ月間)である。CNSCは、コメントの募集期間終了後、環境影響評価で検討すべき事項や範囲を決定するとしている。

カナダ原子力研究所(CNL)は、カナダ原子力公社(AECL)のCANDU炉開発部門が2011年に売却された後に残された原子力研究等の業務を継承した民間企業であり、AECLとの長期契約に基づき、AECLが所有する放射性廃棄物の管理を実施する。チョークリバー研究所(CRL)1 は、CNLに管理を託されているAECLの施設の一つであり、研究炉のほか、複数の原子力施設が存在している。

CNLの浅地中処分場プロジェクトの計画概要

図: カナダ原子力研究所(CNL)が計画している浅地中処分場の概念図

図: カナダ原子力研究所(CNL)が計画している浅地中処分場の概念図.低レベル放射性廃棄物をマウンド状に積み上げ、上部を覆土する。

カナダ原子力研究所(CNL)は、自社の活動で発生する低レベル放射性廃棄物を受け入れる浅地中処分施設(右図参照)をチョークリバー研究所(CRL)の敷地内に建設する計画である。当初は現時点で発生が見込まれている約50万m3の処分施設を建設し、最終的に100万m3に拡張する。カナダ原子力研究所は、処分施設の操業期間を2020~2070年の約50年間とし、施設閉鎖後の監視段階を2400年まで継続する計画としている。浅地中処分施設で処分する低レベル放射性廃棄物には、以下の3つの種類のものがある。

  1. カナダ原子力研究所(CNL)が過去に行った研究や廃止措置を通じて発生し、現在貯蔵されている廃棄物
  2. 既存のCNLの建屋や構造物の廃止措置、及び汚染された土地の環境修復を通じて発生する廃棄物
  3. CNLの今後の研究や商業活動、将来建設される建屋や構造物の廃止措置、サイトの最終的な閉鎖時に実施される土地の環境修復を通じて発生する廃棄物

カナダの環境影響評価プロセス

カナダにおける環境影響評価の根拠法であるカナダ環境評価法に基づくパブリックコメント募集は、計画されているプロジェクトに対して、関係する個人、団体、組織のほか、国・地方自治体のあらゆるレベルの行政当局から書面による意見を収集するプロセスである。提出された意見書は原則として、カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)のインターネットサイト(環境評価レジストリと呼ばれる)に登録・公開される。カナダ原子力研究所(CNL)が計画している浅地中処分施設プロジェクトの環境評価レジストリのURLは以下の通りである。

http://www.ceaa-acee.gc.ca/050/details-eng.cfm?evaluation=80122

またCNSCは今回のコメント募集の開始とともに、今後の環境影響評価プロセスにおいて、一般公衆やその他の関係者を支援するための参加団体の募集を開始している。この参加団体には、最大10万カナダドル(約920万円)の資金提供がなされることになっており、CNLが今後作成する環境影響評価書などのレビューや公聴会への参加するための費用に利用できるほか、評価プロセスにおいて独自の意見を提出することが期待されている。

【出典】

 

【2017年3月22日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)は、2017年3月17日付けの公告で、カナダ原子力研究所(CNL)が計画している「チョークリバー研究所(CRL)における浅地中処分施設プロジェクト」(NSDFプロジェクト)に関して、CNLが提出したドラフト環境影響評価書(EIS)を公開するとともに、カナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)が60日間の期限でドラフトEISに対するパブリックコメントの募集を開始したことを明らかにした。書面でのコメント提出期限は2017年5月17日とされている。

「カナダ環境評価法」では、環境影響評価書(EIS)において、事業者が申請するプロジェクトについて、技術的・経済的に実現可能な代替手段を説明し、その環境影響も検討するよう定めている。このためCNLはドラフトEISにおいて、施設の種類、設計、立地等の5項目について、実現可能性のある代替手段とNSDFプロジェクトで採用する手段を比較・分析した結果を提示している。このうち施設の設計に関してCNLは、「工学閉じ込めマウンド」(ECM)2 案と「地表コンクリートボールト」(AGCV)3 案を比較することにより、ECM案が好ましい選択であることを説明している。

NSDFプロジェクトの環境影響評価プロセスの今後の予定として、パブリックコメントの募集期間の終了後、CNSCはCNLが今回提出したドラフトEISの内容が十分かどうかを検討し、必要に応じて追加情報の提出を求める。また、CNSCは、今回のパブリックコメントで寄せられた意見書の全てに回答を提示する意向である。最終的な環境影響評価書の受領後、CNSCは環境アセスメント(EA)報告書を作成する。EA報告書は、2018年1月に開催予定のEAに関する公聴会の60日前に公表される予定である。

【出典】

 

【2017年9月5日追記】

カナダ原子力安全委員会(CNSC, Canadian Nuclear Safety Commission)は2017年8月31日付けのプレスリリースにおいて、カナダ原子力研究所(CNL)が計画している「チョークリバー研究所(CRL)における浅地中処分施設(NSDF)プロジェクト」に関して、CNLが提出したドラフト環境影響評価書(EIS)の技術的評価が終了したことを公表した。CNSCは、ドラフトEISに対するパブリックコメントの募集期間に寄せられた意見を含め、記載内容に関する情報の追加要求や意見を約200項目リストアップしている。

CNLは、ドラフト環境影響評価書(EIS)に対する情報の追加要求などを反映した最終的な環境影響評価書(EIS)を2018年1月にCNSCに提出する予定である。最終的なEISの受領後、CNSCは環境アセスメント(EA)報告書を作成する。CNSCは、2018年7月に開催予定の環境アセスメントに関する公聴会の60日前までに、EA報告書を公表するとしている。

【出典】

 

【2017年11月29日追記】

カナダ環境評価局(CEAA, Canadian Environmental Assessment Agency)及びカナダ原子力研究所(CNL)は、CNLが計画している「チョークリバー研究所(CRL)における浅地中処分施設(NSDF)プロジェクト」の環境影響評価手続きのスケジュールが遅延することを公表した。CNLは現在、2017年3月に公表したドラフト環境影響評価書(EIS)に対するパブリックコメントで寄せられた意見等への対応を進めており、そのために十分な時間が必要であるとしている。なお、新しいスケジュールは今後公表するとしている。

今回の公表に先立つ2017年10月にCNLは、NSDFプロジェクトで処分する廃棄物から中レベル放射性廃棄物を除外することを公表している。2017年3月に公表されたドラフトEISでは、処分対象廃棄物に体積で約1%の中レベル放射性廃棄物が含まれるとしていた4 。CNLは、中レベル放射性廃棄物については、処分方法が開発され承認されるまでの間、貯蔵を継続する方針に改め、これを最終環境影響評価書に反映するとしている。

【出典】


  1. CRLは、首都オタワから北西に約200km、ケベック州との州境のオンタリオ州側のレンフルー郡に位置している。 []
  2. Engineered Containment Mound []
  3. Above-ground Concrete Vaults []
  4. パブリックコメントで寄せられた意見等の中には、NSDFプロジェクトでの中レベル放射性廃棄物の処分に懸念を示すものが含まれていた。例えば、環境気候変動省(ECCC)は、オンタリオ・パワージェネレーション(OPG)社が低・中レベル放射性廃棄物の地層処分場プロジェクトを進めていることに言及し、中レベル放射性廃棄物の処分方法として浅地中処分が最も適していることの正当化が必要であると指摘している。 []
NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2015年10月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2015年10月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2015年10月29日付で、オンタリオ州セントラルヒューロン自治体(右上図21番)で実施していたサイト選定プロセスの第3段階第1フェーズの机上調査の結果を公表した。NWMOは、セントラルヒューロン自治体がサイト選定要件に合致する可能性が高いと評価し、今後、第3段階第2フェーズの現地での調査を実施するとしている。

セントラルヒューロン自治体は、2014年7月に、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階にあたる“使用済燃料処分場の潜在的な適合性の予備的評価”に進む意思をNWMOに伝え、これを受けてNWMOは第3段階第1フェーズとなる机上調査を実施していた。NWMOは第3段階第1フェーズで得られた知見として以下の3点を示している。

  • 予備的な地質学的机上調査によれば、同自治体の地質は、使用済燃料の地層処分場を受け入れるための多くの有利な地質学的特性を備えている。
  • 予備的な調査によれば、同自治体は、エンジニアリング、輸送、及び環境と安全性の観点から求められる要件を満たす可能性を備えている。
  • 「適応性のある段階的管理」(APM)(詳しくは こちら)の実施によって、自治体の福祉が向上する可能性がある。

今回のセントラルヒューロン自治体における第3段階第1フェーズの机上調査が完了したことにより、カナダの使用済燃料処分場のサイト選定プロセスにおいて、初期スクリーニングで良好と判断された全21自治体について、第3段階第1フェーズが完了したこととなる。その結果、11の自治体が第3段階第2フェーズでの現地調査に進んでいるが、このうち、空中物理探査などの初期フィールド調査により、2自治体は地層処分場に適切な場所を特定できる見通しが低いと判断され、サイト選定プロセスから除外されている。このため、2015年10月時点で9自治体がサイト選定プロセスに参画していることになる。

《参考》カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

カナダにおける核燃料廃棄物処分場のサイト選定プロセス

【参考出典】『連携して進む:カナダの使用済燃料の地層処分場選定プロセス』(NWMO, 2010年)

【出典】