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《カナダ》使用済燃料処分場のサイト選定の状況-NWMOがワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)及びイグナス・タウンシップを処分場の受け入れ地域として選定

イグナス・タウンシップの位置

イグナス・タウンシップの位置

カナダにおける使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は2024年11月28日付のプレスリリースにおいて、使用済燃料の地層処分場サイトの受け入れ地域として、ワビグーン・レイク・オジブウェイ・ネーション(WLON)及びイグナス・タウンシップを選定したことを公表した。NWMOは、さまざまな技術調査及び地域との関与を経て、安全に処分ができることだけでなく、受け入れ地域がプロジェクトを理解し、それを自らの地域の構成要素の一部とすることへのサポートが示されている地域を選定したとしている。

■カナダにおける地層処分サイト選定プロセス
NWMOは、2010年に地層処分場のサイトを選定するための9つの段階で構成されるプロセスを開始した。これは、NWMOが地層処分プロジェクトに関する情報を求める自治体や地域を公募するものであり、2012年までに22の地域が関心を表明した。このうち11の地域が予備的評価を実施するサイト選定第3段階に進み、机上調査、フィールド調査を経て、2020年にオンタリオ州北部の「WLON-イグナスエリア」と同州南部にある「ソーギン・オジブウェイ・ネーション(SON)-サウスブルースエリア」の2つのエリアがサイト選定プロセスに残っていた。なお、NWMOは2022年6月に、当該2つのエリアについて、いずれにおいても処分場を建設できる技術的な見通しがあるとの結論を示した技術報告書「安全性への信頼」を取りまとめている
また、NWMOは、2024年内には地層処分場のサイトとして好ましい地域を1カ所選定することとしていた  。
イグナス・タウンシップは、2010年8月26日にNWMOの地層処分プロジェクトへの関心表明を行い、初期スクリーニングを経て2011年11月にサイト選定第3段階へ進み、2017年からはボーリング調査等のフィールド調査が実施された。2024年7月10日に、同自治体の議会が、処分場を受け入れる「意欲(Willingness)のある地域」として継続して参加することを決議した。さらに、2024年11月18日はWLONが住民投票を行い、サイト選定プロセスに意欲のある地域として継続して携わることを決定していた
なお、SON-サウスブルースエリアの自治体であるサウスブルース自治体でも、2024年10月に地層処分場の意欲のある受け入れ地域になることに関する住民投票が実施され、賛成多数の結果となっていた

■関係するステークホルダーからの発信
連邦天然資源大臣は声明で、2002年の核燃料廃棄物法の制定以降における使用済燃料の安全な長期管理に向けたカナダの取組を振り返りつつ、NWMOの取組を称賛し、WLON及びイグナス・タウンシップや、サイト選定プロセスに参画したその他の地域に対する謝意を表明している。
イグナス・タウンシップはプレスリリースにおいて、地層処分場のサイトとして選定されたことは光栄であり、NWMOの発表は、地域の現在及び将来の住民にとって未来の始まりを意味するとし、近隣地域を含む住民や先住民、NWMOによる、これまでの10年以上の取り組みに感謝するとしている。
WLONは、プレスリリースにおいて、今後のNWMOとの協力に期待を表明するとともに、プロジェクトは環境や先住民の価値の保護の観点で安全な建設が可能であることが立証される場合にのみ前進が可能であるとしている。
なお、NWMOは、サウスブルース自治体に対して、WLON及びイグナス・タウンシップをサイトとして選定した旨を通知しており、同自治体はプレスリリースにおいて、NWMOのプロセス完了とWLON及びイグナス・タウンシップに対して祝意を表明している。また、サウスブルース自治体は、サイト選定プロセスへの参画に対するNWMOからの400万カナダドル(4億3,600万円、1カナダドル=109円として換算)の支払いを受けることを明らかにした。

■今後について
NWMOが今回の決定にあわせて公表したファクトシートでは、今後の予定が以下のとおりまとめられている。

建設に向けて

  • 2025年:
    WLON-イグナスエリアで追加的なサイト特性調査を実施
    連邦政府の影響評価及びカナダ原子力安全委員会(CNSC)による規制上の意思決定プロセスを開始
    輸送計画の枠組みの更新
  • 2028年:
    規制上の意思決定プロセスの一環として影響評価報告書を提出
    専門技術センター(Centre of Expertise)1 の開所
  • 2030年:影響評価に対する承認発給(想定)、サイト準備認可の発給(想定)
  • 2031年:CNSCに対して建設許可申請を提出
  • 2033年:建設許可の発給(想定)、建設開始
操業の開始

  • 2040~2045年:地層処分場の操業開始
    使用済燃料の処分場への輸送開始
モニタリング

  • 操業終了後:数十年にわたるモニタリングを開始

【出典】

  1. 専門技術センターは、サイト選定されたエリアに建設することが決められており、2022年にNWMOは、WLON-イグナスエリア及びSON-サウスブルースエリアのそれぞれで、同センターを建設する場合のコンセプトを公表している。 []

(post by nunome.reiko , last modified: 2024-11-29 )