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《カナダ》核燃料廃棄物法が成立

2002年6月13日、カナダにおける高レベル放射性廃棄物管理の枠組みを定めた「核燃料廃棄物の長期管理に関する法律(案)」(核燃料廃棄物法)がカナダ連邦議会の上院において可決され、同日、女王陛下の裁可1 が得られた。この法案は、2001年4月25日に連邦天然資源省(NRCan)のRalph Goodale大臣によって下院に提出されており、既に2002年2月26日に下院を通過していた。なお、本法律の施行日については現在確認中である。

核燃料廃棄物法は、法律の目的、適用、廃棄物管理組織、資金確保、廃棄物管理組織による研究、廃棄物管理組織による報告、アプローチの変更、受益権者による取消し、記録、会計帳簿および財務諸表、違反罰則、施行の各規定項目から構成されている。本法律の主なポイントは、原子力企業2 に対し、廃棄物管理プログラムを実施する主体として廃棄物管理機関(WMO)を設立すること、また、廃棄物管理のための資金確保の方策として信託基金を創設すること等を規定している点である。WMOは、以下の3つの核燃料廃棄物管理アプローチについての研究を実施し、連邦天然資源(NRCan)大臣に研究成果を提出しなければならないとされている。

  1. カナダ楯状地での深い地層中への処分。この処分方法は、1994年にAECLが作成した「カナダの核燃料廃棄物の処分概念に関する環境影響評価書」に記述された概念に基づくものであるとともに、1998年に環境評価パネルが公表した「核燃料廃棄物管理と処分概念の環境評価パネルの報告書」で説明されている見解を考慮したものである。
  2. 原子力発電所サイト内での貯蔵。
  3. 地上または地下での集中貯蔵。

さらに、WMOは核燃料廃棄物法に基づき、諮問会議を創設しなければならない。この諮問会議の役割は、廃棄物の長期管理に対し提案されたアプローチおよび要求された報告書を吟味しコメントすることである。

今後の予定として、新設されるWMOは、上述の3つの核燃料廃棄物管理アプローチについての研究を法律の施行後3年以内に連邦天然資源大臣に提出しなければならない。また、原子力企業は、法律の施行後10日以内に信託基金に第一回目の拠出金の納付を行うよう求められている。

【出典】

  • カナダ連邦議会ホームページ http://www.parl.gc.ca/common/Bills_ls.asp?lang=EParl=37&Ses=1&ls=C27&source=Bills_House_Government
  • 核燃料廃棄物の長期管理に関する法律(An act respecting the long-term management of nuclear fuel waste)
  1. 「女王陛下の裁可」とは、連邦議会を通過した法案に国王が法案に対して同意を与える行為のことを言い、カナダでは連邦議会を通過した後にこの裁可を得る手続きがとられている。 []
  2. 核燃料廃棄物法において原子力企業は、オンタリオ・パワージェネレーション社、ハイドロ=ケベック社、ニューブランズウィック社およびこれら の企業の譲受人、またAECLの譲受人であると定義されている。 []

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )