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英国

英国では2004年7月22日にエネルギー法が成立し、同法に基づき原子力遺産と称される英国の過去の原子力債務を管理するための機関である原子力廃止措置機関(NDA)が設置されることとなっている。一方、同時期に環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、放射性廃棄物の処理とパッケージ基準の設定などを現在は行っているNirex社を原子力産業界から独立させる方針を発表するなど、バックエンド事業推進に向けた準備が進められている。以下では、英国におけるバックエンド事業の最近の動向として、NDAの活動準備状況とNirex社の独立についての情報をまとめた。


NDAの活動準備状況

NDA長の任命

2004年7月27日、エネルギー担当大臣のステファン・ティムズ氏はNDA長にアンソニー・クリーバー氏を任命した。同氏は1994年まで英国IBM社、1993年から2001年まで英国原子力公社(UKAEA)の社長を歴任している。

人員募集

原子力廃止措置対象サイトとNDAの4つの活動地域(NDAウェブサイトより引用)

NDAはウェブサイトを立ち上げ、人員の募集の第一段階を開始しており、2004年秋には採用を終了する予定である。人員の募集は、20の原子力廃止措置対象サイトをNDAの本部が置かれるウェスト・カンブリア、オックスフォードシャー支部、チェシャー支部、ケースネス支部の4地域に分けて行われている(右図参照)。

活動資金

財務省は2004年歳出レビュー白書において、NDAの年間予算を約20億ポンド(約3,780億円)とすることを決定した。これは政府支出と商業活動からの収入によって賄われる。また、このうちの年間10億ポンド(約1,890億円)以上が、原子力廃止措置の重要性を鑑みて、貿易産業省(DTI)から支出されることになっている。なお、NDAは2005年4月1日から政府外公共機関(NDPB)として活動を開始する予定である。


Nirex社の原子力産業界からの独立

2004年7月21日、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、貿易産業省(DTI)とともに新たに設立する保証有限会社(CLG)1 にNirex社の株式を譲渡し、同社の事業を監視させることを発表した。Nirex社は放射性廃棄物発生者によって1982年に設立、1995年に株式会社とされ、同社の株式は、現在、英国核燃料公社(BNFL)、BNFLの一部であるマグノックス・エレクトリック社、英国原子力公社(UKAEA)、ブリティッシュ・エナジー(BE)社などによって所有されている。また、今回の政府決定は2003年7月のDEFRAによって発表されていた方針に沿ったものであるとされている。なお、放射性廃棄物管理オプションについてのレビューを実施している放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)が政府へ勧告を行う2006年に、政府は、放射性廃棄物管理方針及びNirex社の長期展望を決定するとされている。

新体制においてのNirex社の活動資金は、NDAとの契約及び放射性廃棄物処理とパッケージ基準についての原子力産業界との契約を通して、その大部分が賄われることになる。なお、Nirex社はNDAとは別の独立した会社とされる。

DEFRAのマーガレット・ベケット大臣によると、2004年10、11月には詳細を詰め、2005年4月1日から新体制に移行したいとのことである。また、Nirex社のプレスリリースによると、同社のクリス・マーレイ取締役は今回設立される新会社によるNirex社の株式取得と原子力産業界からのNirex社の分離についての政府決定を、英国における放射性廃棄物管理の透明性の向上と説明責任を果たすための必要かつ重要な一歩としている。


【出典】

  • 貿易産業省(DTI)の7月27日付けプレスリリース
    http://www.gnn.gov.uk/environment/detail.asp?ReleaseID=124855&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=False
  • 貿易産業(DTI)のウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/wn.htm#recruitment、2004年8月
  • 原子力廃止措置機関(NDA)のウェブサイト、http://www.ndajobs.co.uk/、2004年8月
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の7月21日付のプレスリリース、http://www.defra.gov.uk/news/2004/040721b.htm
  • Nirex社の7月21日付のプレスリリース、http://www.nirex.co.uk/news/na40721.htm
  • 総務省、法人制度研究会報告書、平成11年9月、http://www.moj.go.jp/PRESS/990903/990903-1.html
  • 中央経済社、英和会計経理用語辞典[第2版]

  1. 保証有限会社(CLG)とは、1985年会社法に基いた会社形態で、非営利事業などに用いられる。また、会社法上、会社が清算手続きに入った場合、社員は会社の負債について、定款に定めた保証額の限度で責任を負う。なお、1980年12月以降に設立された保証有限会社は株式を発行することができないとされている。 []

2004年7月22日の貿易産業省(DTI)のプレスリリースで、2003年11月27日に上院に上程されて以降、議会で審議されていたエネルギー法が成立したことが発表された。同法は、原子力遺産と称される英国の原子力債務を管理するために設立される原子力廃止措置機関(NDA)に関する規定を主とした第1部「民間原子力産業」、沖合風力やその他の海洋再生可能エネルギー源の開発についての第2部「持続可能性と再生可能エネルギー源」、英国電力取引送電協定(BETTA)の実施についての第3部「エネルギー規制」の3部構成となっている。

NDAについての規定が記されているエネルギー法の第1部「民間原子力産業」は、以下の5つの章から構成されている。

  • 第1章 原子力廃止措置
  • 第2章 原子力債務引受けの移管
  • 第3章 民間原子力警察隊
  • 第4章 放射性廃棄物に関する承認
  • 第5章 原子力産業に関する諸規定

NDAの設立については、第1章において取り扱われており、同章ではNDAの設置、義務・権限、活動戦略・計画・報告、財政などについての規定がなされている。

当初、原子力債務管理機関(LMA)と呼ばれていたNDAの構想については、2001年11月に貿易産業省(DTI)によって設立方針が示された後、2002年7月のコマンドペーパー「原子力遺産の管理」(Cm5552)において具体的な提案がなされた。2003年6月には「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案が出され、NDA設立のための法整備に向けて関係機関などで協議された。最終的には、同草案に対する協議結果を反映したものがエネルギー法案に組み込まれ、上院に上程されていた

なお、DTIのウェブサイトによると、NDAは以下の点について政府に代わって機能することが求められている。

  • 原子力債務の戦略的なプログラム管理者として、サイト管理方法を決定する。
  • 最も効果的かつ安全な方法で債務を処理するために、NDAはサイトの許認可取得者(UKAEAおよびBNFL)および、安全、保安、環境規制当局と協力して作業を進める。
  • 競争原理の導入と促進によって、英国内の原子力債務管理および処理についての市場を拡大させる。
  • 管理効率を確保するための枠組みを構築する。
  • 英国の公的機関の商業用原子力債務の管理に対する公衆の信頼感を高める。

また、NDAは2005年4月1日までに政府外公共機関(NDPB)として設立されるとされている。

【出典】

  • Energy Act 2004
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2004年7月22日付けのニュースリリース、 http://www.gnn.gov.uk/environment/detail.asp?ReleaseID=124405&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=False
  • 貿易産業省(DTI)の過去の原子力債務の管理に関するウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm、2004年7月

2004年6月28日、英国政府の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2004年3月から5月における活動についての報告書を第2四半期報告書としてウェブサイト上で公表した。また、CoRWMはこの報告書の中で、2004年3月31日付けで環境担当大臣1 に提出した活動プログラムで示した最終的な活動完了時期を、同大臣らからの要請を受けて、2006年11月から同年7月へと改訂したとしている。

CoRWMは、設置当初に規約として定められていた2005年末の勧告期限では、公衆との協議が十分に実施できず、公衆からの信頼も得られないとし、活動プログラムの完了時期を2006年11月としていた。しかし、CoRWMは2004年4月から5月にかけて、環境担当大臣などと会合を持った結果、2006年夏季に勧告を行うことができるか否かについての検討を行うこととなっていた。今回改訂された活動プログラムは、この検討が反映されたものとなっており(以下の表の期日の部分を参照)、CoRWMのウェブサイト上で公表されている。

段階 活動プログラム内容 期日
(第1段階)
第2段階以降に向けた準備
暫定報告項目


  • CoRWMの意思決定プロセス
  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 廃棄物インベントリ
  • 廃棄物管理オプションの定義
  • 管理オプションの選別・評価基準

最終報告項目

  • 第2~5段階におけるプログラムの詳細
  • 第1段階における検討報告書
2004年9月
(変更無し)
(第2段階)
放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定
中間報告項目


  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 廃棄物インベントリ
  • 廃棄物管理オプション候補リスト
  • 管理オプションの選別・評価基準

最終報告項目

  • 廃棄物管理オプション検討のための枠組
  • CoRWMの意思決定プロセス
2005年3月
(4月)*
(第3段階)
放射性廃棄物管理オプションの評価基準と管理オプション候補の確定
最終報告項目


  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 廃棄物インベントリ
  • 廃棄物管理オプション候補リスト
  • 管理オプションの選別・評価基準
2005年9月
(11月)*
(第4段階)
放射性廃棄物管理オプション候補の評価
放射性廃棄物管理オプション評価結果の報告(草案) 2006年5月
(7月)*
(第5段階)
最終報告
放射性廃棄物管理オプションについての環境担当大臣への勧告 2006年7月
(11月)*

*)期日の欄の括弧内は、2004年3月31日付けの活動プログラムにおいて提示されていた期日

今回公表された第2四半期報告書によると、CoRWMの情報収集活動に関しては、2004年3月にグリーンピース、国防省、原子力施設検査官室(NII)・イングランドとウェールズの環境規制機関(EA)・スコットランド環境保護機関(SEPA)などの主な原子力規制当局との非公式会合を持ち、各機関の業務内容や懸念などについての情報を入手したとしている。また、2004年4月にCoRWMは、カンブリア州セラフィールドにある英国の主な原子力及び放射性廃棄物関連施設を訪問するとともに、英国核燃料公社(BNFL)、カンブリア州評議会、コープランド郡評議会、サイト規制当局、地元組織と非公式会合、公衆ならびに地元教区評議会が参加した会合を持ったとのことである。さらに、今後は、ケースネス州ドーンレイを訪問し、英国原子力公社(UKAEA)や地元組織・住民と会合を持つとしている。

また、同報告書では、委員長が任命された2003年7月以来、CoRWMの活動に要した費用総額が約45万ポンド(約8,505万円、1ポンド=189円で換算)であることが報告されている。この費用の内訳は以下のとおりである。

  • 委員への報酬、交通費、雑費=17万ポンド(3,213万円)
  • 公衆・利害関係者関与のためのウェブサイトの開発・保守費=6万5千ポンド(約1,229万円)
  • 放射性廃棄物管理や公衆・利害関係者の関与についての海外事例などの研究・情報収集費=4万5千ポンド(約851万円)
  • 活動プログラム設計、プロジェクト管理についての忠告など、専門家による支援費=9万5千ポンド(約1,796万円)
  • 委員会公開のための調整・宣伝費などの委員会開催費=6万ポンド(1,134万円)
  • 委員が即時に情報を入手、交換できるようにするためのパソコンなどのIT関連費=1万5千ポンド(約284万円)

なお、CoRWMは、英国政府に対して放射性廃棄物の長期管理オプションに関する勧告を行う責任を有する組織として2003年に設置され、同年11月から活動を開始している。2004年3月には、CoRWMの2003年11月から2004年2月での活動に関する報告書が第1四半期報告書として公表されている

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)のウェブサイト、http://www.corwm.org、2004年6月

  1. 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 []

英国政府の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)などが設置した放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、2004年3月31日付けで環境担当大臣1 に提出した活動プログラムをウェブサイト上で公表した。この活動プログラムは、環境担当大臣の合意を得る必要があり、CoRWMの最初の重要な作業とされている。今回公表された活動プログラムの完了時期は2006年11月とされているが、CoRWMはその設置当初に規約として定められていた2005年末の勧告期限では、公衆との協議が十分に実施できず、公衆からの信頼も得られないとしている。

CoRWMは、この活動プログラムは公衆及び利害関係者の懸念などに関連する全ての事項を特定し、数十年間にわたる政府方針の基礎となりうるよう、包括的で、信頼ができ、明確なものでなければならないとしている。また、2001年9月の協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」など、1999年の議会特別委員会の報告書の時期以降になされた様々な検討を反映するともしている。
なお、同プログラムは5つの段階に区分されており、その内容は以下のとおりとなっている。

段階 活動プログラム内容 期日
(第1段階)
第2段階以降に向けた準備
暫定報告項目

  • CoRWMの意思決定プロセス
  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 廃棄物インベントリ
  • 廃棄物管理オプションの定義
  • 管理オプションの選別・評価基準

最終報告項目

  • 第2~5段階におけるプログラムの詳細
  • 第1段階における検討報告書
2004年
 9月
(第2段階)
放射性廃棄物管理オプション検討のための枠組策定
中間報告項目

  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 廃棄物インベントリ
  • 廃棄物管理オプション候補リスト
  • 管理オプションの選別・評価基準

最終報告項目

  • 廃棄物管理オプション検討のための枠組
  • CoRWMの意思決定プロセス
2005年4月
(第3段階)
放射性廃棄物管理オプションの評価基準と管理オプション候補の確定
最終報告項目

  • 放射性廃棄物管理オプション評価手法
  • 廃棄物インベントリ
  • 廃棄物管理オプション候補リスト
  • 管理オプションの選別・評価基準
2005年11月
(第4段階)
放射性廃棄物管理オプション候補の評価
放射性廃棄物管理オプション評価結果の報告(草案) 2006年7月
(第5段階)
最終報告
放射性廃棄物管理オプションについての環境担当大臣への勧告 2006年11月

なお、CoRWMは、英国政府に対して放射性廃棄物の長期管理オプションについての勧告を行う責任を有する組織として2003年に設置され、同年11月から活動を開始している。2004年3月には、CoRWMの2003年11月から2004年2月での活動に関する報告書が四半期報告書として公表されている

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)から2004年3月31日付で環境担当大臣に提出された「Programme for work 2004-2006」、http://www.corwm.org/PDF/Programme%20of%20work%20-%20for%20presentation%20to%20Ministers.pdf、2004年4月

  1. 環境担当大臣とは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)大臣、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各行政府における環境大臣とされている。 []

放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)は、英国政府に対して2005年末までに放射性廃棄物の長期管理オプションについての勧告を行う責任を有する組織として2003年に設置され、同年11月から活動を開始していたが、2003年11月から2004年2月での活動に関する報告書を四半期報告書として公表した。CoRWMの規約においては、政府との作業プログラムについての合意、6ヵ月毎の進捗報告、年次報告書の提出、四半期ごとの報告書の提出が求められており、今回がその最初の報告となっている。なお、これらの報告書については全て公開されることとなっている。

今回の報告書によると、この約3カ月間の活動について以下のことが報告されている。

(1)委員長の交替

2003年7月、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)から委員長として指名されたキャサリン・ブライアン女史が新しい任務に就くため、2003年12月に現委員長のゴードン・マッケロン氏と交替した。

(2)活動状況

委員会の活動は2003年11月に委員の指名によって開始され、同月に初回の会合が開催された。以降、委員会は毎月行われている。初回の会合では、政府がCoRWMに期待していることがDEFRAによって示されるとともに、CoRWMの支援のためにDEFRAの委託のもとロンドン大学によって準備された作業プログラムの概要についての検討が行われた。2004年2月の第4回目の会合以降、委員会は公開となっており、第4回目の会合では50名の一般の参加があった。

委員会は2003年11月の最初の会合において、重要な問題点を理解することと2004年3月の委員会後の政府への詳細作業プログラムの報告という2つの主要課題を確認した。まず、委員会は文献収集や政府の原子力債務管理部門(LMU)(英国の原子力債務については こちらを参照)とNirex社を訪問し、放射性廃棄物管理についての説明を受けるなどを行った。その後、公衆と利害関係者の関与プロセスを中心とした作業プログラムの作成を、2004年3月末の政府への提出に向けて開始した。

委員会は、作業内容や将来行う政府への勧告について公衆から信頼を得るため、透明性を高める方針に合意し、国家機密事項や商業または個人情報について重大な懸念が示されるような例外を除いて、様々な文書などを公開し、一般に入手可能とすることとした。

(3)今後の活動

2004年3月以降、委員会はマンチェスター・タウンホールのような英国各地において開催されることが多くなるとされている。また、環境団体、原子力規制当局、国防省、主な放射性廃棄物発生者である英国核燃料公社(BNFL)や英国原子力公社(UKAEA)から説明を受けたり、カンブリア州セラフィールド及びケースネス州ドーンレイなどの原子力施設のある地域を訪れ、地元組織や住民と会合を持つことになっている。
今後の活動報告書は2004年6月、9月、12月(年次報告書)に公表される予定である。

なお、政府は2005年末までに提出されるCoRWMによる放射性廃棄物の長期管理オプションについての勧告を受けた後、その実施方法についての判断を2006年頃に行うとしている

【出典】

  • 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)ウェブサイト、http://www.corwm.org、2004年4月

2004年1月30日、英国貿易産業省(DTI)は「中レベル放射性廃棄物の等価交換のための提案についての協議文書」を発表した。この協議文書は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物を返還する際に、中レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することについての意見を求めるためのものである。なお、意見の提出期限は2004年4月30日迄とされている。

英国政府は1990年代始めに、この等価交換問題を詳細に検討しており、現在の政府方針は1995年に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー」(Cm2919)において示されている。同コマンドペーパーにおいて政府は、海外から受け入れた使用済燃料の再処理によって発生する放射性廃棄物は返還すべきであり、また高レベル放射性廃棄物はガラス固化した後、可能な限り早く返還すべきであるという方針を示している。また政府は、この方針は英国における広い範囲での環境への影響に差が無いことを担保する放射性廃棄物の等価交換によっても実施可能であると認めているが、国内での適切な処分体制が無い時点においては、最終的判断は慎重に下すべきであるとしている。なお、既にドリッグに低レベル放射性廃棄物処分場が存在することから、政府は低レベル放射性廃棄物を高レベル放射性廃棄物に等価交換することは認めている。

1995年の方針発表後も政府は放射性廃棄物処分方法の決定に先立って、等価交換の利点を検討し続けてきた。2003年、政府は海外顧客との既存の再処理契約にもとづいて返還する中レベル放射性廃棄物の等価交換を英国核燃料公社(BNFL)が実施することについて評価する調査を独立コンサルティング会社に委託した。今回の協議文書の本文では等価交換の利点などについての要約が簡単に記され、独立コンサルティング会社の報告書が添付されている。

政府はこの等価交換についての決定に向け、特に次の点に関して意見を求めている。

  • 放射性廃棄物に含まれる放射性核種の危険性の測定方法として示されている総合毒性ポテンシャル(ITP:Integrated Toxic Potential)が廃棄物の等価性を評価する最良の手法であるか否か、またはその他の良い手法が存在するかについて。
  • 英国における環境への影響評価について。
  • 放射性廃棄物の海外へのより少ない輸送回数、早期返還による便益、等価交換実施費用の徴収による英国にとっての収入増などの恩恵について。
  • 今後の英国の等価交換方針についての決定に関するもので、今回の協議文書には記述されていないその他の点について。

【参考】英国における放射性廃棄物区分と処分方策

 放射性廃棄物区分  区分の考え方  処分方策
 低レベル放射性廃棄物  一般廃棄物と一緒の処分が許容されない放射性物質を含む廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えないもの。  ドリッグにおいて処分中。
 中レベル放射性廃棄物  比較的に放射能濃度が低く、貯蔵・処分施設の設計時に、その発熱量を考慮する必要のない廃棄物で、α放射体の場合が 4 GBq/t、β-γ放射体の場合が 12 GBq/t を超えるもの。  現在、処分方策を検討中。
 高レベル放射性廃棄物  廃棄物の持つ放射能濃度により、かなりの発熱を伴う廃棄物で、貯蔵・処分施設の設計時に、この要因を考慮する必要のあるもの。  現在、処分方策を検討中。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2004年1月30日付けのニュースリリース、http://www.wired-gov.net/EDP8203R7W/cgi-bin/frameset.pl?Id=22402
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/pdfs/radioactivewaste.pdf、2004年2月
  • コマンドペーパー「放射性廃棄物管理政策レビュー 最終結論」(Cm2919)、1995年7月
  • Nirex社、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)の協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」に対するNirex社の返答、2002年3月
  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)、協議文書「放射性廃棄物の安全な管理」、2001年9月

2003年11月27日、原子力廃止措置機関(NDA)の設立条項を含むエネルギー法案が上院に上程され、議会での審議が2003年12月11日から開始された。同法案は、民間原子力産業、再生可能エネルギー源、エネルギー規制の3部構成となっており、コマンドペーパー「我々のエネルギーの将来」(Cm5761、2003年2月)とコマンドペーパー「原子力遺産の管理」(Cm5552、2002年7月)で示された政府方針を実施するためのものである。

NDAは原子力遺産と称される英国の原子力債務を管理するために設立が予定されている政府外公共機関(NDPB)である。2003年6月24日にはNDA設立に向けた「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案が発表され、下院の貿易産業委員会において、その内容についての審議が行われていた。同委員会の報告書は2003年10月29日に公表されている。今回のエネルギー法案には、同草案の内容の多くが組み入れられている。

エネルギー法案の中では、NDAの管理対象となる英国核燃料公社(BNFL)の資産・負債がNDAに移管されることが謳われている。貿易産業省(DTI)大臣は同法案の上院への上程時に、NDAへの移管後にBNFLに残った資産・負債を所有する親会社を2005年4月に設立すること、この親会社は英国の原子力サイトのクリーンアップに主に注力していくことなどを柱とするBNFLの構造改革についての結論を公表した。BNFLは同結論に合意すると発表している。

またエネルギー法案の上院への上程時の発表においては、DIT大臣によってウェスト・カンブリア1 に対する戦略的特別対策本部を設置することも提案された。この本部は北西部開発機関(NWDA)2 によって運営され、中央政府、地方政府、民間部門、社会部門(social sector)によって構成される。同本部にはウェスト・カンブリアの長期的な経済・社会の再生のため、持続可能な展望と計画を策定することが課せられることになる。DTI大臣は、NDAの本部をウェスト・カンブリアに置く意向も示している。

今後の予定では、NDAの設立は2004年の秋となり、2005年4月には本格的な活動が開始される見通し(既報)である。

  • NDA:Nuclear Decommissioning Authority
  • NDPB:Non Departmental Public Body
  • BNFL:British Nuclear Fuels plc
  • DTI:Department of Trade and Industry
  • NWDA:North West Development Agency

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの2003年11月28日付けのニュースリリース、 http://213.38.88.221/gnn/national.nsf/TI/411FA1FE6586D43780256DEC004220E9?opendocument
  • エネルギー法案 説明書、2003年11月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/wn.htm、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、 http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/ach/reviewpn.doc、2003年12月
  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイト、http://www.dti.gov.uk/rda/info/index.htm、2003年12月
  • 下院貿易産業委員会ウェブサイト、2003年10月29日付プレスリリース、http://www.parliament.uk/parliamentary_committees/trade_and_industry/t_i_press_notice_98_28_october_2003.cfm
  • 英国核燃料公社(BNFL)ウェブサイト、2003年12月11日付けのプレスリリース、http://www.bnfl.com/website.nsf

  1. ウェスト・カンブリアには、NDAの管理対象となる原子力施設が多数存在するセラフィールド・サイトがある。 []
  2. NWDAは、1998年の地域開発機関法によって設立された地域経済開発の戦略的な先導者となることを主な目的としたNDPBである。 []

2003年11月17日、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のマーガレット・ベケット大臣は、スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各環境大臣とともに、放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の委員12名を指名したことを発表した。同委員会の委員長については2003年7月16日にキャサリン・ブライアン女史が既に指名されている。CoRWMは『放射性廃棄物管理に関する協議文書』で示された協議プロセスの下に、英国の放射性廃棄物の長期的な管理を最良の方法で行うために、政府に勧告を行う責任を有する組織として設置されるものであり、今回の委員の指名により、その活動が開始されることとなった。

DEFRAのプレスリリースによると、CoRWMの委員長と12名の委員については、2003年3月末に全国紙に募集広告が掲載され、400件を超える応募があった。その候補者の多くが高い資質の持ち主であり、英国が直面している環境と安全についての大きな問題に挑む手助けをしたいという熱意と意志を持った人々だったとのことである。

CoRWMへの委任事項は、2005年末までに政府に勧告を行うことである。CoRWMに期待することとして、特に最も現実的でない長期管理オプションを除外し、最も有望なオプションに注力できるような報告を行うことがあげられている。これは、大臣が長期管理オプションを特定し、実施する準備を行うまでに、原子力廃止措置機関(NDA)、原子力操業者、規制機関、その他の関連機関が廃棄物を安全に処理し貯蔵することに注力することを助けることにもなる。また、そのために作業計画を準備し、早い段階で政府の同意を得ること、6ヵ月毎に政府と会合を持ち、議会に提出する年次進捗報告書を作成することが求められている。

政府はCoRWMによる勧告を受けて、それらをいかに実施するかについての判断を2006年頃に行うとしている。

なお、今回指名されたCoRWMの委員12名は以下の通りである。

  • メアリー・アラン:ノース・ハイランド大学講師
  • ディヴィッド・ボール:ミドルセックス大学教授(リスク管理学)
  • フレッド・バーカー:コンサルタント(原子力政策分析・利害者合意)
  • キース・ベイヴァーストック:化学博士、クオピオ大学講師(環境科学)
  • アンドリュー・ブロウワーズ:大学教授、Nirex社役員
  • ブライアン・D・クラーク:大学教授(環境管理・計画)、スコットランド環境保護機関
  • ウイン・ディヴィス:元ロンドン大学講師(物理学・放射線生物学)
  • マーク・ダットン:物理学者、放射線防護・放射性廃棄物管理専門家
  • ゴードン・マックケロン:経済学者、エネルギー政策コンサルタント(NERA)
  • リンダ・ウォーレン:動物学者、ウェールズ大学名誉教授(環境法)、イングランドとウェールズの環境規制機関
  • ジェニー・ワトソン:機会均等委員会 副委員長
  • ピート・ウィルキンソン:ウィルキンソン環境コンサルタント会社社長、元英国グリーンピース代表、国際グリーンピース代表、フレンズ・オブ・アース共同創始者
  • 【出典】

    • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)ウェブサイトの2003年11月17日付けのニュースリリース http://www.defra.gov.uk/news/2003/031117a.htm

2003年7月16日、環境・食糧・農村地域省(DEFRA)のマーガレット・ベケット大臣は、新たに設置される放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の委員長として、キャサリン・ブライアン女史を指名したことを明らかにした。CoRWMは「放射性廃棄物管理に関する協議文書」で示された協議プロセスの下に、英国の放射性廃棄物の長期的な管理を最良の方法で行うために、政府に勧告を行う責任を有する組織として設置されることが決定されていた

CoRWMの委員長と12名の委員については、3月末に全国紙に募集広告が掲載され、400件を超える応募があった。他の委員の選定には委員長自身も参加することになっており、2003年10月までには残りの委員の選定を終え、CoRWMの活動を開始させる見通しが示されている。CoRWMへの委任事項として、2005年末までに政府に勧告を行うこと、そのために作業計画を準備し、早い段階で政府の同意を得ること、6ヵ月毎に政府と会合を持ち、議会に提出する年次進捗報告書を作成することが求められている。政府はCoRWMによる勧告を受けて、それらをいかに実施するかについての判断を2006年頃に行うとしている。

今回、3年間の任期でCoRWMの委員長に指名されたキャサリン・ブライアン女史は、2002年10月より政府の野生生物に関する諮問機関である自然保護合同委員会の委員長を務めている。ブライアン女史は、植物学、地理学の学士号、生物学で修士号を取得しており、以前にはイングランドとウェールズの環境規制機関(Environment Agency)とその前身の機関の上級職、スコットランド北部水道局の最高幹部を歴任している。

また、ベケット大臣は、英国Nirex社の将来に関する政府の意向も表明しており、この中で、政府は、Nirex社を放射性廃棄物のコンディショニングとパッケージングに関する基準についての重要な役割を担っていることに加えて、CoRWMが検討する放射性廃棄物の管理方法についての広範な知見を有する組織として位置づけている。さらに、Nirex社が、CoRWMが見解をまとめて管理方法を勧告する際に、支援を行うことができる組織にすることが重要であるとしている。政府は、Nirex社の原子力産業界からの独立と政府による管理の強化に向けた最良の方策を模索するため、英国核燃料公社(BNFL)、英国原子力公社(UKAEA)、英国エネルギー社(BE)等のNirex社の株主と協議を行い、今秋にも適切な方法を確立し、公表したいとの考えを示している。

今回のNirex社の将来に関する政府発表について、Nirex社は同日声明を発表し、Nirex社を原子力産業界から独立させた組織とするという政府の意向に対して全面的な歓迎の意を示した。Nirex社の取締役のクリス・マレー氏は、独立したNirex社は、持続可能な長期政策の策定に対して、より正当な形での寄与が可能になると述べている。また、今回のNirex社に関する政府の意向表明は、CoRWMの委員長の指名、6月の原子力廃止措置機関(NDA)設立に向けた法案の草案発表とともに、政府が放射性廃棄物管理問題について、今の世代が責任を持って対処するという決断を下したことを示しているとの見解を述べている。

【出典】

  • 環境・食糧・農村地域省(DEFRA)ウェブサイトの7月16日付けのニュースリリース (http://www.defra.gov.uk/news/2003/030716d.htm)
  • 英国Nirex社ウェブサイトの7月16日付けのニュースリリース (http://www.nirex.co.uk/news/na30716.htm)

2003年6月24日、英国政府は、公的機関の商業用原子力債務の処理を目的とした原子力廃止措置機関(NDA)の設立を規定する「原子力サイトおよび放射性物質法案」の草案を発表した。同草案の発表は、2002年11月の議会開会時において1年間の会期内の実施が予告されていたものであり、政府としての情報公開および透明性についての公約および利害関係者との約束を履行したものである。今回の発表では、NDAの設立に関連する文書類も同時に公開され、同草案については、2003年9月16日を期限としてコメントの募集が行われている。

通称「原子力遺産」とも呼ばれている商業用原子力債務の管理に責任を有する新しい組織の設立については、2001年9月に発表されたコマンドペーパー「放射性廃棄物の安全な管理」の中で原子力債務管理機関(LMA)という名称で、検討オプションの1つとして言及されていた。その後、2001年11月28日に貿易産業相が下院に対して声明を発表し、LMA設立に関する政府の意向を表明した。2002年7月4日にはコマンドペーパー「原子力遺産の管理-実行のための戦略」が発表され、新しい管理計画を実施するための政府提案の詳細が公表され、2002年10月18日までの期間、コメントの募集が行われていた。今回の発表はこの流れを受けたもので、組織の名称をNDAに変更し、設立に向けた法整備への第一歩となっている。

NDAが最初に対象とする商業用原子力債務として、以下のものが挙げられている。

  • 英国原子力公社(UKAEA)と英国核燃料公社(BNFL)によって現在管理・運営されている、1940~60年代に政府の研究計画を支援するために開発された原子力サイトおよび施設、またそれらの計画によって発生した放射性廃棄物、放射性物質、使用済燃料
  • 現在、政府に代わってBNFLが管理・運営している、1960~70年代に設計および建設されたマグノックス炉、マグノックス燃料の再処理のために使用されるプラントや施設および関連する全ての放射性廃棄物および放射性物質

これらの歴史的債務は英国全体の原子力債務の約85%を占め、割引なしの総費用は、2002年3月末の段階で479億ポンド(約8兆9,094億円、1ポンド=186円で換算)と見積もられている。

NDAは、法律に基づくNDPB(政府外公共機関)として、以下の点について政府に代わって機能することが求められている。

  • 原子力債務の戦略的なプログラム管理者として、サイト管理方法を決定する。
  • 最も効果的かつ安全な方法で債務を処理するために、NDAはサイトの許認可取得者(UKAEAおよびBNFL)および、安全、保安、環境規制当局と協力して作業を進める。
  • 競争原理の導入と促進によって、英国内の原子力債務管理および処理についての市場を拡大させる。
  • 管理効率を確保するための枠組みを構築する。
  • 英国の公的機関の商業用原子力債務の管理に対する公衆の信頼感を高める。

今回の草案では、NDAの法的枠組みの確立の他に、最高の技術で最良の結果を得るための競争原理の導入と促進、NDAへの資産と債務の移転と、それに伴うBNFLの再編、処理計画を進めるために必要な権限のNDAへの付与、第三者原子力損害賠償責任に関するパリおよびブラッセル条約に対する変更の履行、1993年放射性物質法の修正による、放射性物質の排出に関する許認可移転プロセスの迅速化等が盛り込まれている。なお、BNFL、UKAEAなどの対象となる機関は、今回の草案の発表について一様に歓迎の意向を示している。

同法案の議会への提出は2003年/2004年の会期中になると予想されている。今後の予定では、NDAの設立は2004年の秋となり、2005年4月には本格的な活動が開始される見通しである。

【出典】

  • 貿易産業省(DTI)ウェブサイトの6/24付けの新着情報 (http://www.gnn.gov.uk/gnn/national.nsf/TI/0980487C8BF0FD3E80256D4F00332B2D?opendocument)
  • 原子力サイトおよび放射性物質法案の草案 (http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/pdfs/print-05publication.pdf)
  • DTIの過去の原子力債務の管理に関するウェブサイト (http://www.dti.gov.uk/nuclearcleanup/index.htm)
  • BNFLウェブサイトの6/24付けの新着情報 (http://www.bnfl.com/website.nsf)