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《英国》規制機関が地層処分場の一般的な条件でのセーフティケースに対するレビュー結果を公表

イングランドとウェールズの環境規制機関(EA)は、2011年12月21日、地層処分事業の実施主体となるNDAの内部組織である放射性廃棄物管理局(RWMD)が作成した、高レベル放射性廃棄物等の地層処分場に関する『一般的な条件での“処分システム・セーフティケース”』(gDSSC)1 に対するレビュー報告書を公表した。このレビューは、原子力規制局(ONR)とEAが合同で実施したものである。レビュー報告書において、将来RWMDが作成を計画している、実際の地層処分場に対して作成される輸送、操業及び環境のセーフティケースが、規制要件を満たさなくなるような問題点は見当たらなかったとの評価結果を述べている。

『gDSSC』(一般的な条件でのDSSC)は、英国で見つけられるような地質環境を想定し、サイトを特定しないで作成したセーフティケースであり、放射性廃棄物の輸送、処分場の操業及び数十万年にわたる環境保護に関連した安全性について、処分実施主体のRWMDがどのように対応するかを示すものとして、2011年2月にNDAが公表していた

今回のレビューは、EA及びONR(以下、両者を合わせて「規制機関」という)とNDA/RWMDとの自主的な協定のもと、RWMDの要請を受けて実施されたものである。レビュー報告書には、RWMDがレビューを要請した際に、以下の点について、特に、規制機関がコメントするように依頼を受けたことが記されている。

  • 地層処分場のセーフティケースの作成を妨げるような、本質的な問題点の有無
  • 今後、RWMDが特定のサイトを対象としたDSSCを作成することになるが、それに向けての助言及びガイダンスの提供
  • RWMDが注力すべき特定分野

『gDSSC』に対するレビューは、輸送と処分施設操業の安全性についてはONRが、環境についてはEAが担当しており、規制機関の内部専門家により実施されている。レビュー報告書において、規制機関は次のような結論を示している。

  • 『gDSSC』を構成する報告書について、対象範囲や文書間のリンクの全体的な構成は受理可能なものであり、文書は全般的に品質の高いものである。
  • 評価すべきサイトが選定され、RWMDが規制機関の懸念事項などに対応し、今後も継続して協力することを前提にすると、地層処分場に対して作成される輸送、操業及び環境のセーフティケースが、規制要件を満たさなくなるような問題点は見当たらなかった。

また、規制機関は、RWMDに対し、以下の5つの勧告を示している。

  • 一般的な条件でのDSSCを今後どのように活用していくかを説明し、DSSCをサイト固有なものへと発展させるかを示したルートマップを作成すべきである。
  • 一般的な条件でのDSSCを構成する複数の文書を通して見た場合、多くの繰り返しや重複が見られる。RWMDは、様々な読者のニーズに対応しつつ、文書の構成が確たるものとしてセーフティケース文書を作成できるように、バランスを検討すべきである。
  • 幅広い読者が合理的にセーフティケース文書を入手できるように努力を続けるべきである。
  • セーフティケースの構成及び文書の変更管理を行う方法を明確化すべきである。
  • 一般的な条件でのDSSCの今後の改訂において、廃棄物インベントリの不確実性について、より詳細な調査をすべきである。

規制機関のレビュー報告書の公表を受けて、NDA/RWMDは、2011年12月21日のプレスリリースにおいて、RWMDの要請による規制当局のレビュー作業に感謝の意を表すとともに、今後RWMDが規制機関の要件に沿ってDSSCを開発していく上で、規制機関の勧告を役立てる意向を表明している。

【出典】

  1. gDSSC: generic Disposal System Safety Case []

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )