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《英国》NDAが地層処分スケジュールの前倒し検討結果を公表

原子力廃止措置機関(NDA)は、2011年12月22日付プレスリリースにおいて、地層処分スケジュールを前倒しする可能性について、暫定的な検討結果を報告書として取りまとめたことを公表した。この検討は、エネルギー・気候変動省(DECC)が2011年6月に、地層処分の開始目標を2029年末とすることが可能かどうかなど、処分スケジュール全体の前倒しについて検討するよう指示していたことを受けて実施されたものである。

英国における現行の地層処分スケジュールは、2008年の白書「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み」及びその後の検討経過を踏まえたものであり、中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物 1 の処分開始を2040年頃、高レベル放射性廃棄物や使用済燃料の処分開始を2075年頃と想定されている。また、新規の原子炉が導入される場合、その使用済燃料の処分は、既存の原子炉からの高レベル放射性廃棄物等の処分が完了する2130年以降から開始することになっている。

今回NDAが取りまとめた報告書は、地層処分場に放射性廃棄物を定置する時期を、技術的観点から可能な限り前倒しするオプションを検討したものである。今後の議論のため、NDAは、これらのオプションを組み合わせた3つのシナリオに整理している。

  • シナリオ1
    サイト調査作業の開始時期を早めるとともに、廃棄物のパッケージ方法を変更することにより、輸送面の合理化や処分場の地下空間の利用率向上を図るシナリオ。
  • シナリオ2
    サイト調査作業の開始時期を早めるとともに、処分する廃棄物の総量が明確な廃棄物(高レベル放射性廃棄物、短寿命中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物)を対象として地層処分場を建設・操業し、残りの放射性廃棄物(使用済燃料、長寿命中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物)の処分場区画については別途の許可プロセスにより、建設・操業するシナリオ。
  • シナリオ3
    シナリオ2で採用するものとは異なる処分方法を用いるシナリオ。高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)については、大深度ボーリング孔内処分を採用する案を提示している。使用済燃料については、処分場の地下施設で中間貯蔵を実施し、発熱量が低減するのを待って具体的な処分方法を検討するとしている。短寿命中レベル放射性廃棄物及び一部の低レベル放射性廃棄物については、浅地中(深度200メートル以浅)で処分する可能性も考慮するとしている。

NDAは、地層処分事業を前倒しすることによるメリットについて、地上で実施されている放射性廃棄物管理に伴う危険性を早期に低減できるほか、地層処分事業の実施に伴う地元での便益も早くから発生することになることを挙げている。地層処分場への最初の廃棄物の定置開始を2029年とするためには、シナリオ1のような現行計画の工程の組み直しだけでは対応できず、より革新的なアプローチが必要であるとの見方を示している。

いずれのシナリオにも、地層処分場のサイト選定プロセスの変更、規制基準等の整備を急ぐ必要があるなど、NDA以外が担当・実施する作業の見直しが必要なため、関係機関との議論が必要であるとしている。シナリオ2と3では、処分場の建設・操業に関する許可プロセスが2段階に分かれるため、地元自治体が処分事業からの撤退権を行使できるタイミングに関わる問題があることも挙げている。このため、NDAが「信用できるオプション」を提示するためには、主要なステークホルダーとの議論や多くの技術的課題の解決が必要であるとしている。

NDAは、スケジュールの前倒しに伴って地層処分事業に生じるリスクはシナリオ1が最も少ないことから、不確実性への対応や追加の支援情報を提供するため、当面はシナリオ1のオプション開発に集中し、シナリオ2と3に関する開発は進めない考えである。

NDAのプレスリリースによると、政府は、今後、NDAの報告書のピアレビューを実施するとともに、同報告書についての放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)の見解を求める予定としている。

【出典】


  1. 一部の低レベル放射性廃棄物とは、浅地中処分に適さない低レベル放射性廃棄物のことを示す。例えば、半減期の非常に長い放射性核種を含む低レベル放射性廃棄物など。[]

(post by f-yamada , last modified: 2023-10-11 )