フランスの地層処分事業1 の実施主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2012年1月4日付プレスリリースで、同機関の地層処分事業を支援するコントラクターとして、エンジニアリング会社であるTechnip社及びIngérop社による合弁会社であるGaiya社を選定し、同日に契約を締結したことを公表した。
ANDRAと共に、2015年迄に予定される地層処分場の設置許可申請に向けた準備作業を行うコントラクターの選定手続き(入札手続き)は2011年5月に開始されており、選定されるコントラクターには、地層処分場の設計、地層処分事業の主導と実施、並びに、特に原子力及び地下工事の分野に関する専門性が要求される。また、今回選定される最初のコントラクターには、原子力関連施設及び一般施設としての地上施設や地下施設の分野における活動を担うサブ・コントラクターのコーディネーションといったプロジェクト設計者としての役割も要求される(サブ・コントラクターの選定は第2期の入札手続きとして2013年までに開始される予定である)。
今回締結されたGaiya社との契約期間は6年間であり、同契約によって地層処分事業は産業プロジェクトとして新たな段階に入り、地層処分場全体の設計の提案、全プロジェクト期間を通じた地層処分場の主要機能の特定、建設期間及び総費用の試算、更には、設置許可申請書類の作成に必要な技術的データの取得が行われる。
また、プレスリリースでは、上記と並行して2012年に行われる活動として、ANDRAが次のことを予定していることが示されている。
- 廃棄物発生者である、フランス電力株式会社(EDF)、AREVA社、並びに、原子力・代替エネルギー庁(CEA)と協力し、地層処分される廃棄物のインベントリを特定するとともに、これらの廃棄物の地層処分場への受入計画を立案する。
- ムーズ県及びオート=マルヌ県の関係者と協力し、地層処分場の地上施設として可能性のあるオプションを特定する。
- ムーズ県等が主導する、地層処分場受け入れに向けた開発準備に貢献する(電力系統の連係、都市計画、交通など、複数県に関わる地域計画等)
更に同リリースでは、当初予定したように、ANDRAがGaiya社の支援のもとで地層処分の事業草案の検討を行い、地層処分場の原子力分野、非原子力分野を担当する複数のサブ・コントラクターを選定するための入札手続きを2013年に開始するとしている。また、今後の予定として、次に示すイベントも示されている。
- 2013年:地層処分事業に関する公開討論の実施
- 2015年:設置許可申請に対する意見聴取等の手続きの開始
- 2016年:可逆性の条件を定める法律の制定
- 2025年:地層処分場の操業開始(許可申請の承認が前提)
【出典】
- 仏放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、2012年1月4日付プレスリリースhttp://www.andra.fr/download/site-principal/document/communque-de-presse/cp-moe.pdf
- ANDRA、2011年5月13日付プレスリリース
http://www.andra.fr/download/site-principal/document/communque-de-presse/13052011_ao_cigeo.pdf
- フランス語の Centre industriel de stockage géologique pour les déchets HA et MA-VL(高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の地層処分産業センター)から、“Cigéoプロジェクト”とも称される。 [↩]
(post by emori.minoru , last modified: 2023-10-11 )