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フィンランド政府は2023年3月30日に、ロヴィーサ原子力発電所の敷地内に設置している低中レベル放射性廃棄物処分場について、操業期間延長と施設拡張計画を含む操業許可条件の変更を承認した。同発電所及び処分場を操業するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(以下「FPH社」という)は、1号機と2号機の運転期間を2050年まで延長するとともに1、低中レベル放射性廃棄物処分場の操業期間を従来の2055年から35年間延長して2090年とする申請を2022年3月に行っていた。FPH社の親会社であるフォルツム社によれば、今回の操業許可条件の変更は、フィンランドと欧州のカーボンニュートラルの目標達成を支援し、信頼性が高く、競争力があり、持続可能なエネルギーシステムの構築を目的としている。原子炉の運転期間延長についてはすでに、フィンランド政府が2023年2月16日に承認していた。

 

■ロヴィーサ低中レベル放射性廃棄物処分場の施設拡張計画

図:ロヴィーサ原子力発電所・低中レベル放射性廃棄物処分場イメージ図(出典:フォルツム社(Source: Fortum)灰色部分は既設、緑色の部分は今後拡張される処分空洞を示す。)

ロヴィーサ原子力発電所の低中レベル放射性廃棄物処分場は、発電所敷地内の地下110mの岩盤中に設けられており、1998年に操業が開始された。地下施設は、中レベル放射性廃棄物用の処分空洞が1つ、低レベル放射性廃棄物用の処分空洞が3つで構成されており、既設の4つの処分空洞の容量は約2万9千立方メートルである(右図参照)。低中レベル放射性廃棄物処分場では、これまで同発電所1号機と2号機(いずれもロシア型加圧式原子炉(VVER)であり、それぞれ1977年と1981年に営業運転を開始)の運転で発生した低中レベル放射性廃棄物が処分されてきた。

FPH社は、低中レベル放射性廃棄物処分場の操業期間延長とともに、運転期間を延長した原子炉と将来の廃止措置で発生する廃棄物のほか、国内の他施設で発生する放射性廃棄物も受け入れる計画を申請していた。今回の操業許可条件の変更の承認により、同発電所の運転及び廃止措置で生じる低中レベル放射性廃棄物については5万立方メートルまで、廃止措置で生じる極低レベル放射性廃棄物については5万立方メートルまで、同発電所外から受け入れる放射性廃棄物については2千立法メートルまでの処分計画が認められた2。廃止措置廃棄物を処分する処分空洞の拡張は2040年代後半頃となる計画であるが、処分場の拡張作業は安全規制機関の放射線・原子力安全センター(STUK)による安全確認を受けるまで実施できない。

フォルツム社は、研究炉の廃止措置を実施するフィンランド技術研究センター(VTT)との間で、放射性廃棄物の処理・貯蔵・処分に関する協力協定を締結している。今回の操業許可条件の変更によって、研究炉の廃止措置で発生した放射性廃棄物についても、ロヴィーサ原子力発電所の低中レベル放射性廃棄物処分場で処分される見込みである。

【出典】


  1. ロヴィーサ原子力発電所の運転が2050年まで継続する場合、1号機と2号機の運転期間はそれぞれ73年間と69年間となる。 []
  2. フォルツム社が許可で求めている処分量は、発電所プラントの改造などの特殊な状況に対応するために裕度を持たせており、また、廃止措置廃棄物の正確な特性や量は6年毎に提出することが規定されている廃止措置計画で更新されるとしている []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、エウラヨキ自治体オルキルオトにおいて、2016年12月から使用済燃料処分場の建設を開始している。着工から丸6年を迎えた2022年12月5日付けの同社プレスリリースにおいて、処分場建設の進捗状況を公表した。

図1:使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

図1:使用済燃料処分場のイメージ図(出典:ポシヴァ社(Source: Posiva))

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のバルト海沿岸部にあるオルキルオト島にあり、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。

地下の最終処分場では、2021年5月から実際の処分に使用する5本の処分坑道の掘削が行われていたが、本年2022年6月に掘削が完了した。5本の処分坑道の総延長は1,700mであり、これらの坑道の床面から鉛直方向に掘削する180本の処分孔を設置できる長さにあたる。この処分孔の掘削に使用する掘削装置がドイツの企業から2022年6月に納入された。ポシヴァ社は2023年から、一連の処分操業での作業を検証するため、模擬廃棄体を用いた統合機能試験を実施する予定であるが、ドイツ製の処分孔掘削装置により、地下での統合機能試験が行われる坑道において試験用処分孔の掘削も行われていた。

図2:銅-鋳鉄キャニスタ(出典:ポシヴァ社(Source: Posiva))

また、地上のキャニスタ封入施設については、2019年6月より建屋の建設が開始されていたが、2022年5月に予定通りに建屋が完成し、建設会社からポシヴァ社に引き渡された。キャニスタ封入施設は、原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料を輸送キャスクに収納された状態で受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。キャニスタ封入施設では、使用済燃料を乾燥した後に処分用キャニスタに収納し、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により溶接され、放射性核種が漏洩しないように使用済燃料が処分用キャニスタ内に密封される。

ポシヴァ社は建屋の引き渡しを受けた後、キャニスタ封入施設内の操業で用いられる機械・装置類の設置等を進めている。2022年10月には使用済燃料の乾燥装置がキャニスタ封入施設内に据え付けられ、試運転が完了している。また、2022年11月にはキャニスタ溶接装置の搬入・据え付けが行われた。その他、放射線量が高い使用済燃料を遠隔操作するためのマニピュレータもキャニスタ封入施設内に設置されている。

■今後の予定

ポシヴァ社は、実際の使用済燃料を収納したキャニスタの処分開始を2020年代半ばに開始する意向であり、まずは2023年に予定している総合機能試験を完了させた後、2021年末に提出した使用済燃料処分場の操業許可申請書を更新する予定である。ポシヴァ社は、同社を共同出資によって設立した2つの電力会社であるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が現在運転している計4基の原子炉から発生する使用済燃料4,000トン(ウラン換算)を処分するとしており、2023年に商業運転を開始予定のTVO社のオルキルオト原子力発電所3号機から発生する使用済燃料の処分については、2070年以降にポシヴァ社が別途の操業許可申請を行う予定である。

【出典】

使用済燃料処分場のイメージ図(ポシヴァ社操業許可申請書より引用(Source:Posiva))。黄色矢印は地上のキャニスタ封入施設の位置を示す(現在建設中)

使用済燃料処分場のイメージ図(ポシヴァ社操業許可申請書より引用(Source: Posiva))。黄色矢印は地上のキャニスタ封入施設の位置を示す(現在建設中)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年12月30日付けプレスリリースにおいて、フィンランド南西部エウラヨキ自治体のオルキルオトにおいて建設中の使用済燃料処分場に関して、操業許可申請書をフィンランド政府に提出したことを公表した。使用済燃料処分場は、地上部に設置されるキャニスタ封入施設と、地下400~450mに設置される最終処分場(地下施設)で構成される。高レベル放射性廃棄物処分場の操業許可申請が行われるのはフィンランドが世界初となる。

ポシヴァ社は、2015年に政府から使用済燃料処分場の建設許可発給を受けた後、2016年12月から地下施設の建設を開始しており、キャニスタ封入施設も2019年6月から建設が進められている。2021年5月からは、地下約450メートルにおいて、実際の使用済燃料を収納したキャニスタを定置する最初の処分坑道5本の掘削工事が開始されていた

ポシヴァ社は、今回の操業許可申請書において、同社を共同出資によって設立した2つの電力会社であるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が現在運転している計4基の原子炉から発生する使用済燃料4,000トン(ウラン換算)を処分するとしている。2022年に商業運転が開始される予定のTVO社のオルキルオト3号機から発生する使用済燃料の処分については、2070年以降にポシヴァ社が別途の操業許可申請を行う予定であり、最終的に2120年代までに合計で6,500トンの使用済燃料(キャニスタ数は3,304体)を処分する計画である 1

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:ポシヴァ社[Source:Posiva])

使用済燃料は地上のキャニスタ封入施設において、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に封入した上で、深度400~450mの地下の最終処分場にてキャニスタ周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保した上で処分される。ポシヴァ社は今回の申請書で対象としている4,000トンの使用済燃料(キャニスタ数は2,129体)を2024年3月から2070年末までの約45年間にわたって処分する計画である。

 

■今後の予定

フィンランドの原子力に関する管理・監督を所管する雇用経済省は、2021年12月30日付けのプレスリリースにおいて、処分場の操業許可発給に関する政府の意思決定の準備のために、原子力法令に規定されている意見聴取手続きに従って、原子力安全に係る規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)、環境省、内務省、原子力施設の立地自治体または近隣自治体を管轄する県行政庁、経済開発・交通・環境整備センター2 等の国の行政機関、並びにエウラヨキ自治体とその周辺自治体に意見書の提出を求めるほか、一般市民や地域社会にも処分事業に対する意見を求める予定を明らかにした。

今回のポシヴァ社による操業許可申請を受けてSTUKは、使用済燃料処分場の操業許可の発給条件に係る安全性に関する審査を実施するほか、ポシヴァ社が操業許可申請書とともに提出が求められた、実際の地下施設の建設で得られた情報に基づいて更新したセーフティケースを評価する。これらの評価結果は審査意見書として雇用経済省に提出される予定である。

ポシヴァ社は、建設中の地下施設において、2023年から試運転(コミッショニング)の一部として、使用済燃料を収納していないキャニスタを用いて、処分環境下で実際に使用される機器・装置を用いて小規模スケールで模擬的な処分を実施する統合機能試験を実施する予定である。使用済燃料を収納したキャニスタの処分開始は、政府から操業許可発給を受けた後の2020年代半ば以降になる見込みである。

(参考)フィンランドにおける使用済燃料処分の経緯

フィンランドでは原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物として地層処分する方針としている。使用済燃料の処分場のサイト選定は1983年に開始され、ポシヴァ社は1999年にオルキルオトを処分地として選定し、同年、原子力施設の建設がフィンランド社会全体の利益に合致することを政府が判断する「原則決定」と呼ばれる原子力法の手続きに基づいて(詳しくはこちら)、オルキルオトに使用済燃料の処分場を建設することについて、政府へ原則決定の申請を行った。政府はポシヴァ社の申請に対して2000年に原則決定を行い、翌2001年に国会が政府の原則決定を承認したことにより、オルキルオトが処分地として決定していた。

ポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するためには、原則決定の後に政府から処分場の建設許可、及び操業許可の発給をそれぞれ受ける必要がある。ポシヴァ社は建設許可の申請に向けて2004年には地下特性調査施設(ONKALO)の建設を開始し、並行して建設許可申請に必要な岩盤や地下水等のデータ取得や、坑道の掘削による地質環境への影響等について調査をしてきた。

ポシヴァ社は2012年に使用済燃料処分場の建設許可申請書を政府へ提出した。雇用経済省は原子力法・原子力令に規定されている意見聴取手続きに従って、関係省庁、エウラヨキ自治体及び周辺自治体などに対して意見書の提出を求め、その一環としてSTUKは2015年2月に処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出した。これらの意見を踏まえて政府は2015年11月に処分場の建設許可を発給した。ポシヴァ社は2016年から使用済燃料処分場の建設を進めてきた。

 

【出典】


  1. オルキルオト3号機から発生する2,500トン分の使用済燃料をオルキルオトに建設される使用済燃料処分場において処分する計画は、2002年の政府の原則決定により、すでに認められている。 []
  2. 経済開発・交通・環境整備センター(ELYセンター)は、広域レベルの経済開発・交通・環境整備を促進するために、フィンランドに15箇所設置されている。 []

フィンランド国有の有限責任会社で研究開発機関であるフィンランド技術研究センター(VTT)は、2021617日付のプレスリリースにおいて、VTTが所有する研究炉FiR1の廃止措置に関して、フィンランド政府が許可を発給したことを公表した。廃止措置に伴い発生する低中レベル放射性廃棄物は、ロヴィーサ原子力発電所を所有・運転するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が今後、ロヴィーサで貯蔵・処分する計画である。なお、FiR1の廃止措置に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物の総放射能量は5テラベクレル(TBq)以下であり、中間貯蔵用容器へ収納した場合は140トン、100m3程度になると推定されている。

研究炉FiR1は、首都ヘルシンキの西隣のエスポー市にある旧ヘルシンキ工科大学(現在のアールト大学)に置かれ1962年に運転を開始し、1971年にVTTへ移管された。これまで原子力に関する教育訓練や放射線治療などで活用されてきたが、VTT2015年にFiR1の運転を停止し、2017年に政府へ廃止措置に係る許可を申請した。なお、FiR1は、フィンランドで廃止措置される初めての原子力施設となる。

研究炉由来の放射性廃棄物管理について

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力利用に伴い発生する放射性廃棄物については発生者がその管理・費用に対して責任を有することが定められている。VTTは、研究炉FiR1の運転及び廃止措置で発生する放射性廃棄物について、その処分を含めた管理の計画・実施に関する責任を有している。これまでのFiR1の運転で発生した放射性廃棄物は、研究炉の施設内において貯蔵されている。また、VTTは原子力法に基づいて、雇用経済省(TEM)が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR)に廃棄物管理費用を積み立てている。

VTTは放射性廃棄物処分場を有していないため、国内の原子力発電事業者と交渉を行い、20203月にFPH社と研究炉の廃止措置に係る協力協定を締結した。FPH社は、協力協定に基づき廃止措置に係る計画策定、原子炉の解体、低中レベル放射性廃棄物の貯蔵・処分を実施することとなる。今後FPH社は、それらの放射性廃棄物をロヴィーサ原子力発電所において貯蔵・処分するために必要な許可を取得する予定である。VTTは、2017年に政府へ提出した廃止措置に係る許可申請書において、自社が責任を有する放射性廃棄物について、それらが処分される処分施設が閉鎖されるまで、引き続き管理責任を全うすることを記している。

なお、研究炉で使用していた燃料は米国から供給されたものであり、米国との協定に基づいて20211月に使用済燃料は米国へ返還されており、研究炉に由来する高レベル放射性廃棄物はフィンランドに存在しない。フィンランドでは原子力法により使用済燃料の輸出入は禁止されているが、研究炉の使用済燃料については例外扱いとなっている。

今後の予定

VTTは、廃止措置に向けた準備を既に開始するとともに、並行してFPH社と協力して廃止措置計画書の最終化を進めている。放射性物質を含む構造物の解体を開始するには放射線・原子力安全センター(STUK)の許可を受ける必要があるため、VTT2022年初頭に廃止措置計画書を提出し、審査を受ける計画である。2022年末にはFPH社が解体作業を開始し、解体には約1年を要する見通しである。廃止措置の完了後、原子炉が設置されていた建屋は所有者であるアールト大学に返還されることとなっている。

【出典】

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2021年5月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分に関する環境影響評価(EIA)報告書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。TVO社は、オルキルオト原子力発電所の保守・点検作業等で発生した防護服やプラスチック製養生シート等の放射能レベルが極めて低い放射性廃棄物について、今後、地表埋立て処分を行う計画である。

TVO社による極低レベル放射性廃棄物処分計画の概要

オルキルオト原子力発電所では、原子炉2基がそれぞれ1978年と1980年に運転を開始しているほか、欧州加圧水型炉(EPR)である3号機が2022年に運転を開始する予定である。TVO社は、原子炉の運転に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物を、同発電所サイト内の地下60~100mの岩盤空洞中に建設された処分場(サイロ型の地下空洞処分場)において、1992年から処分している。所定のクリアランスレベルを満足する廃棄物は、発電所に隣接する自社敷地内の埋立て地で産業廃棄物として処分している。しかし、放射能レベルが極めて低いがクリアランスできない廃棄物については、低レベル放射性廃棄物として地下空洞処分場で処分していた。

フィンランドでは原子力令の2015年改正により、「極低レベル放射性廃棄物」(1kgあたりの放射能量が10万Bq未満)が定義され、これに該当する廃棄物は地表での埋立て処分が可能となった。TVO社は、今後発生する廃棄物については極低レベル放射性廃棄物を分別し、それらを地表埋立て処分することにより、既存の地下空洞処分場の処分容量を有効に活用したい考えである。

TVO社が検討している地表埋立て処分場の概念は、地表地盤上にシーリング層を構築し、その上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものである。地表埋立て処分場の大きさは80m×110mを予定されている。廃棄物パッケージの処分は5~10年毎のキャンペーン方式で実施され、2090年代まで続く見通しである。地表埋立て処分場の底部に設置された排水/集水システムにより、浸出水の水質をモニタリングする。最終的に処分される極低レベル放射性廃棄物の総放射能量は1TBq未満である。

環境影響評価手続きの流れと予定

TVO社は、今回の環境影響評価(EIA)報告書の提出に先立ち、2020年8月に雇用経済省に極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分事業に関するEIA計画書を提出していた 。TVO社はEIA計画書に対する公衆の意見や監督官庁の意見書を踏まえて、地表埋立て処分による環境影響の評価を実施し、EIA報告書を取りまとめている。当初、EIA計画書で示された地表埋立て処分の説明では、クリアランスされた廃棄物用の埋立て地(既存)を転用する案が残されていたが、EIA報告書ではその案が削除されている。

雇用経済省(TEM)は、TVO社から提出を受けたEIA報告書について、2021年6月1日から7月31日にかけて公衆などからの意見募集を行うほか、2021年6月17日に公衆向けのオンラインセミナーを開催する予定である。

なお、TVO社はEIA報告書において、地表埋立て処分場は重大な原子力施設には該当しないため、原子力法に基づく政府による原則決定、建設・操業許可の申請手続きは不要であるものの、極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分を実施するためには、原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の処分を2023~2024年頃に開始する予定である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

また、EIA報告書が提出された後に雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】

 

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年5月7日付けプレスリリースにおいて、2016年12月に開始した使用済燃料処分場の建設状況に関して、地下約450メートルにおいて最初の処分坑道5本の掘削工事を開始したことを公表した。処分坑道は、高さ4.5m、幅3.5m、最長350mであり、1本の処分坑道に使用済燃料を収納したキャニスタ約30体(使用済燃料約65トンに相当)を定置することができる。ポシヴァ社は、処分坑道5本の掘削に約18ヶ月を要すると見込んでいる1

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島に位置しており、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。今回の処分坑道の掘削開始にあたってポシヴァ社は、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による事前確認を受けており、STUKは掘削作業を開始するための規定された前提条件が満たされていることを確認している。ポシヴァ社が実際に使用済燃料を処分するには、別途、政府による処分場の操業許可を取得する必要がある。

 

EKAプロジェクト

ポシヴァ社は使用済料処分場の操業開始を2020年代半ばに予定しており、これに向けてEKAプロジェクトと呼ばれるプロジェクトを2019年に開始している。EKAプロジェクトの作業項目には、地上のキャニスタ封入施設の建設、地下の処分施設への最終処分用システムの設置、最終処分方法や施設とそのシステムに必要な許可の取得、処分場整備に必要なサプライチェーンの準備などが含まれており、プロジェクト費用は約5億ユーロ(約620億円、1ユーロ=124円で換算)と見積もられている。また、EKAプロジェクトの雇用効果としては、最大約500人が雇用され、エウラヨキ自治体を含むサタクンタ地域において約2,500人年の雇用が生まれると推定されている。プレスリリースによれば、現在、地下の処分施設エリアでは約数十社の下請け業者が参加して300人が働いている。

【出典】


  1. ポシヴァ社は、使用済燃料を最大6,500トンの受け入れに対応可能な処分場を計画しており、処分場の操業期間100年間にわたって処分坑道を100本掘削する予定であり、処分坑道の総延長は約35kmになる。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年2月26日付けプレスリリースにおいて、地下特性調査施設(ONKALO)において、統合機能試験(Joint Functional test(フィンランド語の略称はYTK))1 と呼ばれる試験のための試験用坑道の掘削を開始していることを公表した。統合機能試験は、処分施設の試運転(コミッショニング)の一部と位置付けられ、使用済燃料を収納していないキャニスタを用いて、処分環境下で実際に使用される機器・装置を用いて小規模スケールで模擬的な処分を実施する。Posiva社は、統合機能試験により、最終処分作業に関連する作業工程を計画どおりに実施可能であることを実証したいとしている。

ONKALOでは、地下約420mにおいて、処分場を構成する主要坑道の一部(約60m分)が掘削済である。ポシヴァ社は統合機能試験の開始に向けて、この主要坑道から側面方向に分岐する長さ80mの処分坑道の掘削を今冬から開始しており、2021年2月時点で48m分の掘削を完了させている。ポシヴァ社は現在、掘削が完了した処分坑道のうち19m~48mの区間において、掘削に伴う亀裂や水みちの発生状況や岩盤への影響を確認する調査を実施している。この調査の後に残る32m分の掘削を再開し、2021年4月から5月頃には、全長約80mの処分坑道を完成させる予定である。なお、実際の処分坑道の典型的な長さは350mであり、統合機能試験のために掘削される処分坑道はこれより短いものとなっている。

■統合機能試験は2023年に開始予定

統合機能試験(YTK)では、今回掘削している処分坑道の床面に4つの処分孔を掘削し、実規模の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。処分坑道の埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングは実施する予定である

統合機能試験に使用される処分坑道は実際の処分坑道と同等であることから、ポシヴァ社は、今回の坑道掘削作業の計画段階から、規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)と協力して実施している。STUKは、将来の操業許可申請に伴う安全審査を視野に入れて、統合機能試験を監督することになっている。

ポシヴァ社は、統合機能試験のための処分坑道が完成した後に、実際の最終処分に使用する最初の5本の処分坑道の掘削を開始する予定であり、処分施設の操業許可を得た後に、使用済燃料を収納したキャニスタを用いた最終処分を行う予定である。ポシヴァ社は、今回のプレスリリースにおいて、この5本の処分坑道のうちの1本での最終処分が2025年頃に始まる見通しを明らかにしている。

【出典】


  1. ポシヴァ社は、以前は統合作動試験(Joint operation test)と表現していた。 []

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2020年8月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物1 の地表埋立て処分事業について、環境影響評価(EIA)手続きの最初のステップとなるEIA計画書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。雇用経済省は、2020年8月21日から9月21日の期間、TVO社のEIA計画書について、地表埋立て処分事業によって影響を受ける組織や企業、自治体、公衆からの意見募集を行った後、必要に応じてEIA計画書の変更などを指示することになっている。

TVO社のEIA計画書によれば、同社が1992年から操業している低中レベル放射性廃棄物処分場(地下60~100mに建設されているサイロ型の地下空洞処分場)で処分している廃棄物のかなりの割合は、極低レベル放射性廃棄物(1kgあたり10万Bq未満)に相当する。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の放射能レベルが低いことを考慮すると、現行の低中レベル放射性廃棄物処分場への処分は過剰な方法であり、適したものではないとしている。また、2021年に操業開始予定のオルキルオト原子力発電所3号機の運転に伴って、今後も極低レベル放射性廃棄物の発生が継続するため、将来必要となる低中レベル放射性廃棄物処分場の拡張を抑制するために、地表埋立て処分事業の計画を開始したとしている。

計画している地表埋立て処分場の処分概念は、地表地盤に構築するシーリング層の上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものであり、広さは90m×115mである。また、底部に排水/集水システムを設置し、浸出水の水質をモニタリングする予定である。廃棄物パッケージは5年毎に処分され、廃棄物が処分された区画は一時的に密閉する。処分される極低レベル放射性廃棄物は、原子力発電所の定期点検中に利用される防護服やプラスチック製の養生シート等である。

極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分は、スウェーデン等の世界各国で実施されており、フィンランドでも法律上はそのような処分が可能となっているものの、これまでフィンランド国内での実施例はなかった。

今後の予定

雇用経済省(TEM)は、TVO社のEIA計画書について、約1ヶ月間の公衆意見募集を行うほか、新型コロナウイルス感染症の状況を勘案しつつ、2020年9月8日にエウラヨキ自治体において公聴会を開催する予定である。なお、TVO社は、EIA計画書において、極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分場は重大な原子力施設ではないため、政府による原則決定、建設・操業許可は必要としないものの、TVO社が地表埋立て処分場を操業するためには原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物処分を2023~2024年頃に開始し、2090年頃まで継続する計画である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】


  1. フィンランドでは原子力利用に伴い発生する廃棄物を「原子力廃棄物」と定義しており、その他の放射線利用で発生する放射性廃棄物と区別している。原子力廃棄物は使用済燃料以外に放射能濃度に基づき「中レベル廃棄物(intermediate-level waste: ILW)」、「低レベル廃棄物(low-level waste: LLW)」、「極低レベル廃棄物(very low-level waste: VLLW)」と区分しているが、この記事ではVLLWについて、わが国でも使用されている「極低レベル放射性廃棄物」の表記を用いる。 []

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2019年9月2日付のプレスリリースにおいて、TEMが設置した2つのワーキンググループがそれぞれ作成した報告書として、原子力廃棄物管理に関する報告書、国家放射性廃棄物管理基金の運用に関する報告書を公表した。各々の報告書の概要は、以下の通りとなっている。

■原子力廃棄物管理に関するワーキンググループの報告書

雇用経済省は、原子力発電に伴って発生する原子力廃棄物のみならず、医療・産業・研究から発生する放射性廃棄物1 の全体について、安全で費用対効果の高い管理の目標、開発方法や可能な解決策を検討するため、2017年6月に雇用経済省、社会保健省、放射線・原子力安全センター(STUK)等の国の機関、処分実施主体のポシヴァ社、原子力発電事業者、大学の専門家などから構成されるワーキンググループ(原子力廃棄物管理に関する国家協力グループ)を設置していた。

本ワーキンググループは、フィンランドにおける原子力廃棄物管理の開発について、1983年の原子力廃棄物管理に係る政府原則決定に従って進められ、これまで着実に進展してきたとしている。今後、2020年代にオルキルオトに建設中の使用済燃料処分場が操業開始する予定であるほか、フィンランド技術研究センター(VTT)が保有している研究炉の廃止措置、原子炉新設に向けたプロジェクトを進めているフェノヴォイマ社による使用済燃料処分場のサイト選定等が予定されている。一方、フィンランドの現行の法規制では、原子力発電に伴って発生する原子力廃棄物は“原子力法”で規制されており、それ以外の医療・産業・研究から発生する放射性廃棄物管理は“放射線法”で規制されている。ワーキンググループは、廃棄物管理分野の法規制における重要な課題として、これらの2つの法律に基づく規制の一貫性を図るとともに、国際法の適切な反映、下位レベルの規制文書の策定などの作業を進めるよう、雇用経済省に提言した。

報告書においてワーキンググループは、既に発生した放射性廃棄物や将来発生する放射性廃棄物について、その発生場所や発生者、発生方法に関わらず、適切な管理を実施することが重要であると指摘している。また、報告書においてワーキンググループは、国の省庁や事業者等に対する勧告・提案を示しており、フィンランドで発生するあらゆる放射性廃棄物の管理における協力(例えば、既存の処分場へ他の事業者からの廃棄物を処分すること等)が可能となるような許認可手続や監督の実施方法を可能とする法整備のほか、フィンランドにおける放射性廃棄物管理における専門性維持や人材確保のために、実際のニーズの評価分析を行うよう勧告している。

さらに、ワーキンググループは、本報告書での勧告・提案への対応の実施状況を監督する監視グループを設置することも勧告している。

■国家放射性廃棄物管理基金の運用に関するワーキンググループの最終報告書

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力施設から発生する原子力廃棄物の処理・輸送・貯蔵・処分等に係る管理費用について、原子力発電事業者は、雇用経済省が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR、以下「基金」という)へ積み立てている。また、原子力法により、原子力発電事業者が基金から資金貸付を受けることが可能な制度となっている。

この基金の運用に関するワーキンググループ(以下「基金ワークンググループ」という)は、基金の運用方法を規制する法制度に対する評価を行い、必要な改善策を提案することを目的として、2018年4月にTEMにより設置された。

基金の運用は1988年の設置から30年以上続いており、2018年末時点の基金残高は約26億ユーロ(約3,250億円、1ユーロ=125円で換算)となっている。また、オルキルオト原子力発電所3号機が運転を開始すれば、基金残高は更に大きくなると見込まれている。

基金ワーキンググループは、今回の報告書において、基金の長期にわたる運用状況を改善しつつ、廃棄物管理に将来必要となる費用を賄うのに十分な資産を確保しつつ、基金の長期の運用状況を改善できるように運用方法を改善できるとの見解を示している。また、より高い運用益を得られるようにするための手段として、積み立てを行っている原子力発電事業者に対する基金からの貸付を制限することにとり、保有資金の運用先を拡大するとともに、拡大した運用先への貸付期間を長くする方法を提案している。さらに、報告書では、基金運用やそのリスクマネジメント及び貸付業務を行う組織や管理体制の変更案が提示されている。

【出典】


  1. フィンランドでは、原子力利用に伴い発生した廃棄物を「原子力廃棄物」と定義し、それ以外の「放射性廃棄物」と区別されている。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年6月25日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設を開始したことを公表した。本施設は、国内2カ所の原子力発電所から使用済燃料を輸送キャスクに収納して受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。乾燥させた使用済燃料は、キャニスタに収納され、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により、接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜて一体化することにより、使用済燃料が密封される。

ポシヴァ社は2012年12月に、地上のキャニスタ封入施設と地下の処分施設の建設許可申請書を政府に提出し、政府は2015年11月に建設許可を発給していた。地下の処分施設の建設は、2016年12月より開始されており、キャニスタ封入施設の建設開始とあわせて、処分施設との接続に必要なシステムも設置される予定である。

また、ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設と処分施設を合わせた処分場全体の建設費用が約5億ユーロ(625億円、1ユーロ=125円で換算)になるとしている。ポシヴァ社は、現在のところ2021年末に操業許可を申請し、2020年代に操業を開始する予定である

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

【出典】

 

 

【2019年7月2日追記】

ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設の建屋建設について、スウェーデンの大手建設会社であるSkanska社と工事契約を締結したことを公表した。ポシヴァ社のプレスリリースによると、キャニスタ封入施設は床面積約11,500m2、コンクリート使用量約16,000m3であり、工事契約額は約4,500万ユーロ(約56億3,000万円、1ユーロ=125円で換算)である。竣工は2022年夏の予定である。

Skanska社は、スウェーデンの首都ストックホルムに本社を置く建設・不動産開発企業である。原子力施設の建設にも携わっており、フィンランドのオルキルオトでも原子力関連事業を請け負った経験も有している。なお、今回の工事契約の締結に先立ってポシヴァ社とSkanska社とは、2018年11月にキャニスタ封入施設建設プロジェクトの準備に関する契約を締結していた。

【出典】