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このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2019年9月2日付のプレスリリースにおいて、TEMが設置した2つのワーキンググループがそれぞれ作成した報告書として、原子力廃棄物管理に関する報告書、国家放射性廃棄物管理基金の運用に関する報告書を公表した。各々の報告書の概要は、以下の通りとなっている。

■原子力廃棄物管理に関するワーキンググループの報告書

雇用経済省は、原子力発電に伴って発生する原子力廃棄物のみならず、医療・産業・研究から発生する放射性廃棄物1 の全体について、安全で費用対効果の高い管理の目標、開発方法や可能な解決策を検討するため、2017年6月に雇用経済省、社会保健省、放射線・原子力安全センター(STUK)等の国の機関、処分実施主体のポシヴァ社、原子力発電事業者、大学の専門家などから構成されるワーキンググループ(原子力廃棄物管理に関する国家協力グループ)を設置していた。

本ワーキンググループは、フィンランドにおける原子力廃棄物管理の開発について、1983年の原子力廃棄物管理に係る政府原則決定に従って進められ、これまで着実に進展してきたとしている。今後、2020年代にオルキルオトに建設中の使用済燃料処分場が操業開始する予定であるほか、フィンランド技術研究センター(VTT)が保有している研究炉の廃止措置、原子炉新設に向けたプロジェクトを進めているフェノヴォイマ社による使用済燃料処分場のサイト選定等が予定されている。一方、フィンランドの現行の法規制では、原子力発電に伴って発生する原子力廃棄物は“原子力法”で規制されており、それ以外の医療・産業・研究から発生する放射性廃棄物管理は“放射線法”で規制されている。ワーキンググループは、廃棄物管理分野の法規制における重要な課題として、これらの2つの法律に基づく規制の一貫性を図るとともに、国際法の適切な反映、下位レベルの規制文書の策定などの作業を進めるよう、雇用経済省に提言した。

報告書においてワーキンググループは、既に発生した放射性廃棄物や将来発生する放射性廃棄物について、その発生場所や発生者、発生方法に関わらず、適切な管理を実施することが重要であると指摘している。また、報告書においてワーキンググループは、国の省庁や事業者等に対する勧告・提案を示しており、フィンランドで発生するあらゆる放射性廃棄物の管理における協力(例えば、既存の処分場へ他の事業者からの廃棄物を処分すること等)が可能となるような許認可手続や監督の実施方法を可能とする法整備のほか、フィンランドにおける放射性廃棄物管理における専門性維持や人材確保のために、実際のニーズの評価分析を行うよう勧告している。

さらに、ワーキンググループは、本報告書での勧告・提案への対応の実施状況を監督する監視グループを設置することも勧告している。

■国家放射性廃棄物管理基金の運用に関するワーキンググループの最終報告書

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力施設から発生する原子力廃棄物の処理・輸送・貯蔵・処分等に係る管理費用について、原子力発電事業者は、雇用経済省が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR、以下「基金」という)へ積み立てている。また、原子力法により、原子力発電事業者が基金から資金貸付を受けることが可能な制度となっている。

この基金の運用に関するワーキンググループ(以下「基金ワークンググループ」という)は、基金の運用方法を規制する法制度に対する評価を行い、必要な改善策を提案することを目的として、2018年4月にTEMにより設置された。

基金の運用は1988年の設置から30年以上続いており、2018年末時点の基金残高は約26億ユーロ(約3,250億円、1ユーロ=125円で換算)となっている。また、オルキルオト原子力発電所3号機が運転を開始すれば、基金残高は更に大きくなると見込まれている。

基金ワーキンググループは、今回の報告書において、基金の長期にわたる運用状況を改善しつつ、廃棄物管理に将来必要となる費用を賄うのに十分な資産を確保しつつ、基金の長期の運用状況を改善できるように運用方法を改善できるとの見解を示している。また、より高い運用益を得られるようにするための手段として、積み立てを行っている原子力発電事業者に対する基金からの貸付を制限することにとり、保有資金の運用先を拡大するとともに、拡大した運用先への貸付期間を長くする方法を提案している。さらに、報告書では、基金運用やそのリスクマネジメント及び貸付業務を行う組織や管理体制の変更案が提示されている。

【出典】


  1. フィンランドでは、原子力利用に伴い発生した廃棄物を「原子力廃棄物」と定義し、それ以外の「放射性廃棄物」と区別されている。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年6月25日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設を開始したことを公表した。本施設は、国内2カ所の原子力発電所から使用済燃料を輸送キャスクに収納して受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。乾燥させた使用済燃料は、キャニスタに収納され、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により、接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜて一体化することにより、使用済燃料が密封される。

ポシヴァ社は2012年12月に、地上のキャニスタ封入施設と地下の処分施設の建設許可申請書を政府に提出し、政府は2015年11月に建設許可を発給していた。地下の処分施設の建設は、2016年12月より開始されており、キャニスタ封入施設の建設開始とあわせて、処分施設との接続に必要なシステムも設置される予定である。

また、ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設と処分施設を合わせた処分場全体の建設費用が約5億ユーロ(625億円、1ユーロ=125円で換算)になるとしている。ポシヴァ社は、現在のところ2021年末に操業許可を申請し、2020年代に操業を開始する予定である

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

【出典】

 

 

【2019年7月2日追記】

ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設の建屋建設について、スウェーデンの大手建設会社であるSkanska社と工事契約を締結したことを公表した。ポシヴァ社のプレスリリースによると、キャニスタ封入施設は床面積約11,500m2、コンクリート使用量約16,000m3であり、工事契約額は約4,500万ユーロ(約56億3,000万円、1ユーロ=125円で換算)である。竣工は2022年夏の予定である。

Skanska社は、スウェーデンの首都ストックホルムに本社を置く建設・不動産開発企業である。原子力施設の建設にも携わっており、フィンランドのオルキルオトでも原子力関連事業を請け負った経験も有している。なお、今回の工事契約の締結に先立ってポシヴァ社とSkanska社とは、2018年11月にキャニスタ封入施設建設プロジェクトの準備に関する契約を締結していた。

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年5月3日付けプレスリリースにおいて、地下特性調査施設(ONKALO)の地下深度420mに掘削した実証坑道において2018年から開始している実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)の進捗状況を公表した。FISSTでは、実証坑道の床面に2本の試験処分孔を掘削し、銅製キャニスタ、ベントナイト緩衝材を定置した後、実証坑道を埋め戻し、最後に実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するまでの一連の作業が行われる。キャニスタには、使用済燃料からの発熱を模擬するヒーターを備え付けている。また、キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機(プロトタイプ)を使用している。

FISSTは2018年6月に開始され、これまでにキャニスタ、緩衝材の設置、長さ50mの実証坑道の埋め戻しが2018年末までに行われた。その後、実証坑道の止水や埋め戻し材の流出を防ぐため、プラグと呼ばれるコンクリート製の構造体の設置に向けた準備が進められ、2019年5月3日にプラグのコンクリート打設が行われた。

プラグのコンクリート打設が終了したことにより、人工バリア設置に係る段階は終了し、今後、FISSTはフォローアップ段階に移行し、緩衝材など人工バリアの状態のモニタリングを数年間継続する予定である。このモニタリングは2018年8月よりすでに開始しており、これまでのところ予期しない現象の発生はないとされている。

今後の予定

ポシヴァ社は、今回のFISSTの結果を踏まえて、2023年頃の開始を予定している統合作動試験(joint operation test)で使用するため、実用レベルの機器・装置の設計・製作を行うとともに、実際の処分場の操業で採用する人工バリアの詳細設計を進める計画である。実際の使用済燃料を取り扱う「原子力統合作動試験」は、政府からの処分場の操業許可発給を受けた2024年頃から開始される予定である。

フィンランドでは、地下特性調査施設(ONKALO)を拡張して、使用済燃料処分場の建設が2016年12月より開始されており、主要坑道の最初の部分の掘削、及び主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削、キャニスタ搬送リフト用の立坑の掘削などが行われている。また、使用済燃料を銅製キャニスタに封入する設備を収容する地上施設については、これまでに地表での地盤整備が行われており、地上施設本体の建設は2019年に開始予定である。処分場の建設以降、使用済燃料の処分作業を開始するには、別途、操業許可が必要であるが、ポシヴァ社は現在のところ2021年末に操業許可を申請する予定である。

Posiva

処分作業のイメージ(坑道の埋め戻し作業)(出典:ポシヴァ社)

【出典】

キャニスタ封入施設建設のための岩盤掘削作業の様子(写真:Posiva Oy)

キャニスタ封入施設建設のための岩盤掘削作業の様子
(写真:Posiva Oy)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017105日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の建設の進捗状況を公表した。同プレスリリースによれば、ポシヴァ社は、処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設準備作業として、地表からの岩盤掘削作業を完了したとしている。キャニスタ封入施設の建屋建設は、今後、規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による確認を受けた後に開始される予定である。

フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島内において建設中の使用済燃料処分場は、地上のキャニスタ封入施設と地下400450mに設置される処分場で構成される。使用済燃料の処分概念はKBS-3方式であり、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に使用済燃料を封入した上で、その周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保するものである。

フィンランド政府は201511月に、ポシヴァ社に対して使用済燃料処分場の建設許可を発給していた。ポシヴァ社が処分場の建設を実際に開始するためには、法令に基づいて、ポシヴァ社が建設許可に関連した安全要件及び安全規則を十分に検討しているかについて、STUKの確認を受ける必要がある。201611月のSTUKによる確認・決定を受けて、ポシヴァ社は地下の処分場の建設を開始していた 。今回のポシヴァ社のプレスリリースによれば、地下の処分場の建設については、現在、主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削作業を実施中であるとし、作業終了までには2年半を要するとしている。

今後、ポシヴァ社がキャニスタ封入施設の建設を開始するためには、地下の処分場と同様に、事前にSTUKによる確認が必要である。

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年6月16日付けプレスリリースにおいて、オルキルオトの地下特性調査施設(ONKALO)の深さ約420mでパイロットボーリングの掘削を4月に開始したことを公表した。パイロットボーリングは、処分場の主要坑道の掘削に先立って、ONKALOの地下部分から水平方向にボーリング孔を掘削するものであり、ボーリング孔と採取するボーリングコアサンプルを調査することにより、オルキルオトの地質と水理モデルを更新するための新たな情報が得られるとしている。これによって、岩盤の適合性が確認されれば、主要坑道の掘削を今夏の終わり頃から開始するとしている。

■統合作動試験を2022年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の操業許可申請前に、地下の実環境において、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置の統合作動試験(joint operation test)を2022年頃に行う計画である。この統合作動試験では、使用済燃料を収納したキャニスタは使用されない。プレスリリースによると、ポシヴァ社は統合作動試験に向けて、長さ60mの主要坑道と、長さ80mの処分坑道を掘削し、処分坑道において4本の処分孔を鉛直方向に掘削する計画である。

ポシヴァ社の現在の予定では、統合作動試験において、4つの処分孔へそれぞれ実物大の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングを実施するとしている。

■ONKALOでの実規模原位置システム試験を2018年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の統合作動試験に先だって、ONKALO内において、実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)を2018年に実施する計画である。FISSTは、2本の試験処分孔に銅キャニスタ、ヒーターと緩衝材とを定置し、実証坑道の埋め戻し、実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するものである。また、銅キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機を使用するとしている。FISSTの結果を踏まえて、統合作動試験や実際の処分操業で使用する人工バリアや機器・装置の設計・製作を行う計画としている。

 

(参考)統合作動試験について

ポシヴァ社が3年毎に公表している原子力廃棄物管理プログラム(YJH-2012、YJH-2015)によると、ポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道において、処分システムの部分的試験を実施し、機器、装置及び作業方法の詳細な運用を検証する。その後、処分システムの各段階をつなげて、部分的試験で承認される方法の適合性を分析するため、最終処分に関係する機器・装置及び作業方法の統合作動試験を実施する計画である。なお、統合作動試験は、地下の処分施設と地上のキャニスタ封入施設について、それぞれ個別に実施される。

YJH-2015報告書によると、2022年頃の開始を予定している統合作動試験では、地下の実環境で、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置を用いて、使用済燃料が封入されていない模擬の銅キャニスタを使用することを除いて、実際の操業条件で処分試験が行われるとしている。また、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)から使用済燃料の取扱いに関する許可を得た後、2023年頃に使用済燃料の取扱いを含めた「原子力統合作動試験」を実施するとしている。

 

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2016年11月29日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の建設を12月に開始することを公表した。また、2016年11月29日付の規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)のプレスリリースにおいて、STUKは11月25日にポシヴァ社が地下の処分場の建設を開始できることを確認・決定したことを明らかにした。

エウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている使用済燃料処分場について、フィンランド政府は2015年11月にポシヴァ社に対して処分場の建設許可を発給していた。しかし、ポシヴァ社が処分場の建設を実際に開始するためには、法令に基づき、STUKが建設許可に関連した安全関連要因及び安全規則をポシヴァ社が十分に検討したことを確認することが必要となっていた。

STUKのプレスリリースによるとSTUKは、ポシヴァ社からの提出資料やオルキルオトへの訪問を通じて、処分場に関連する文書や計画を評価し、発給された建設許可に従って、ポシヴァ社が処分場の建設を開始する準備ができていると評価したとしている。また、STUKは今回の結論を出す前の夏から秋にかけて、ポシヴァ社の人的資源、事業マネジメント、品質マネジメント、安全文化、設計活動、建設による影響のモニタリング、核物質防護・保障措置等の、処分場建設に係るポシヴァ社の準備状況について監視していたとしている。

なお、STUKのプレスリリースによると、STUKは建設期間中において、ポシヴァ社の活動を詳細に監督し、様々な段階においても技術計画が安全要件に従っていることについて確認するとしている。その一環として、地上のキャニスタ封入施設についても、ポシヴァ社が建設を開始する前にSTUKが計画を確認・決定するとしている。

処分場の最初の掘削作業

ポシヴァ社のプレスリリースによると、ポシヴァ社は処分場の最初の掘削作業について、YITコンストラクション社と契約したことを明らかにした。契約における作業内容は、主要坑道の最初の部分の掘削、及び主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削、キャニスタ搬送リフト用の立坑掘削作業のための予備掘削とその支保作業等が含まれるとしている。契約額は2,000万ユーロ(約23億円)であり、作業期間は約2年半が見込まれている。また、本契約によって雇用される人員は1年あたり100~125人(下請会社を含む)としている。

ポシヴァ社によると、次の地下の処分場建設に関しては、建設作業の進捗により契約がなされるとしている。

 

【出典】

 

【2016年12月22日追記】

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2016年12月21日付のプレスリリースにおいて、ポシヴァ社が使用済燃料処分場の建設を開始したことを受け、政府が2015年11月12日に発給した建設許可が発効したことを公表した。建設許可の許可条件には、処分場の建設が2年以内に開始されない場合には許可が無効となることが付されていたが、実際にポシヴァ社が建設を開始したことを受け、雇用経済省は許可条件が満足されたと確認したものである。

プレスリリースにおいて雇用経済省は、ポシヴァ社が2020年に操業許可の申請を行う予定であることについて言及し、実際にポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するには、別途、処分場の操業許可の発給を受けることが必要なことを指摘している。

【出典】

 

【2019年7月4日追記】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、フィンランドの南西部トゥルクに本社を置く建設会社Hartela Länsi-Suomi社を含む4社による共同企業体(コンソーシアム)との間で、使用済燃料処分場の地下施設の建設に関する契約を締結した。契約額は約4,000万ユーロ(約50億円、1ユーロ=125円で換算)であり、契約期間は2022年末までである。

今回の共同企業体との契約は、処分場の地下施設の建設工事の一部であり、処分坑道の掘削のほか、地下特性調査施設(ONKALO)内に掘削された機材室(Technical Rooms)や坑道のための電気・通信設備等の建設、エンジニアリング業務、処分場の操業を開始するために必要となる系統の設置、その他の準備作業が実施される。共同企業体を構成する企業には、ラウマ自治体などの処分場が建設されるエウラヨキ自治体近隣に本社を置く中小企業も含まれている。

【出典】

 

【2019年8月29日追記】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年8月28日付のプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地下の処分施設建設の第2期となる掘削作業について、フィンランドの建設業最大手のYIT社1 と契約を締結したことを明らかにした。

処分施設建設の第2期では、2本の主要坑道、主要坑道のうちの1本に連結する処分坑道5本の掘削が含まれる。契約額は約1,700万ユーロ(約21億円、1ユーロ=125円で換算)である。掘削作業は2019年末頃に開始し、約2年半の期間が見込まれている。

【出典】


  1. YITグループは、2016年末からの主要坑道の最初の部分の掘削等の、処分場建設の第一段階の作業についても担当していた。 []
フェノヴォイマ社が地質学的研究を行う2自治体の位置

フェノヴォイマ社が地質学的研究を行う2自治体の位置

フィンランドにおいて新たに原子力発電事業に参入し、原子炉新設に向けたプロジェクトを進めているフェノヴォイマ社は、2016年6月22日付のプレスリリースにおいて、新規原子炉から発生する使用済燃料の処分に向けた環境影響評価(EIA)計画書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。フェノヴォイマ社の使用済燃料処分事業のスケジュール(下図参照)によれば、同社は調査を2030年代半ばまで実施した後、環境影響評価書の作成を行い、2040年代に使用済燃料処分場のサイトを選定する計画である。

  • 使用済燃料処分場のサイトに関してフェノヴォイマ社は、原子炉建設プロジェクトを進めているピュハヨキ自治体と、ポシヴァ社が使用済燃料処分場を建設するエウラヨキ自治体の2カ所を対象として、今後、地質学的研究(Geological studies)を実施する。
  • フェノヴォイマ社は、ポシヴァ社の子会社ポシヴァ・ソリューションズ社と10年間の業務提携契約を締結した。ポシヴァ・ソリューションズ社は親会社のポシヴァ社が培ってきた専門性を活かして、フェノヴォイマ社の使用済燃料処分に向けた計画策定や研究開発、及びサイト選定の面で協力する。10年後には次のステップの実施に向けた別の協定を結ぶことも可能となっている。
フェノヴォイマ社の使用済燃料処分事業のスケジュール(フェノヴォイマ社環境影響評価計画書を基に作成)

フェノヴォイマ社の使用済燃料処分事業のスケジュール(フェノヴォイマ社環境影響評価計画書を基に作成)

雇用経済省の2016年6月22日付プレスリリースによると、同省のレーン経済大臣は、フェノヴォイマ社とポシヴァ・ソリューションズ社との協力により、フェノヴォイマ社の使用済燃料処分プロジェクトにおいてポシヴァ社が有する専門的知識が活用されるとして歓迎の意を表明した。また、フィンランドの原子力に関する安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)も2016年6月22日にプレスリリースを公表し、今回の両社の協力は、これまでのポシヴァ社の経験を活かすことによって、フェノヴォイマ社が計画している使用済燃料処分の安全性にとって好ましいとする見解を表明した。また、フェノヴォイマ社が今後実施する環境影響評価について、STUKは処分の計画の実施、処分概念、処分による放射線影響の評価に主に取り組んでいくこととしている。

フェノヴォイマ社の使用済燃料処分計画をめぐるこれまでの動向

フェノヴォイマ社は、フィンランドの原子力発電事業に新たに参入した企業であり、同社が新規原子炉建設事業に関して2009年に原則決定(詳細はこちら)の申請を行った際には、使用済燃料管理に関してはエウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている処分場に共同で処分する計画としていた。なお、その当時、フェノヴォイマ社はポシヴァ社やその親会社であるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)、フォルツゥム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)と経済的な面での協力関係はなかった。フェノヴォイマ社の原則決定申請に対して政府は2010年5月に原則決定を行い、2010年7月には国会が政府原則決定を承認していた。政府による原則決定文書では、フェノヴォイマ社は2016年6月30日までに、同社が既存の処分実施主体であるポシヴァ社と協力協定を締結するか、独自の使用済燃料最終処分場の建設に向けた環境影響評価計画書を雇用経済省に提出することにより、同社の使用済燃料最終処分に関する計画を策定することを付帯条件としていた。

フェノヴォイマ社は、ポシヴァ社及びその親会社2社(TVO社、FPH社)と使用済燃料処分に関して協力関係を構築するよう調整を行っていたが、ポシヴァ社はオルキルオトに建設予定の処分場は親会社が運転する原子炉から発生する使用済燃料のためのものであるとして、フェノヴォイマ社との協力関係を拒否し続けていた。

その後、FPH社の親会社であるフォルツム社が、2015年8月にフェノヴォイマ社のプロジェクトに出資し、フェノヴォイマ社のプロジェクトに参加することとなった。なお、フェノヴォイマ社は2015年に新規原子炉(ハンヒキヴィ1号機)の建設許可申請を行っている。

今回のポシヴァ社によるプレスリリースでは、ポシヴァ社は引き続き、親会社であるTVO社とFPH社の原子力発電所で発生する使用済燃料の処分場建設に集中していくものであり、フェノヴォイマ社との業務契約締結には、フェノヴォイマ社の原子力発電所で発生する使用済燃料をポシヴァ社が建設を進めているオルキルオトの地層処分場において処分することは含まれていないとしている。

フィンランドにおける環境影響評価について

フィンランドでは、1994年に環境影響評価手続法が制定されている。環境影響評価は、環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含むステークホルダーが情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的とした制度となっている。最終処分場を含む重要な原子力施設の建設事業に関しては、原子力法に基づく原則決定手続きの申請に先だって、事業者は環境影響評価(EIA)を実施し、その評価書を原則決定申請書に添付することが規定されている。

EIAは、狭い意味での自然環境に対する影響だけではなく、景観、社会生活への影響、経済的な影響を含めた総合的な評価をすることが規定されている。

また、環境影響評価(EIA)は、計画書の作成(EIA計画書)、評価の報告書(EIA報告書)をまとめる段階から構成されている。

原子力施設に係る事業に関しては雇用経済省が環境影響評価の監督官庁となり、対象地域住民を含めた関係者や関係省庁に意見を求めることとなっており、その一環としてこれまでの原子力施設に係る環境影響評価において、雇用経済省はSTUKにも意見書の提出を要求している。

【出典】

 

【2016年7月13日追記】

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2016年7月12日付のプレスリリースにおいて、フェノヴォイマ社が提出した使用済燃料の処分に向けた環境影響評価(EIA)計画書が、同社の新規原子炉建設事業に関する2010年の原則決定の付帯条件を満たしていることを承認したことを公表した。これにより、同社が2015年に提出していたハンヒキヴィ原子力発電所1号機の建設許可申請の審査が継続されることになる。

フェノヴォイマ社の新規原子炉建設に関する原則決定申請に対して、政府は2010年5月に原則決定を行っていた。原則決定文書では、フェノヴォイマ社が2016年6月30日までに、同社が既存の処分実施主体であるポシヴァ社と協力協定を締結するか、独自の使用済燃料最終処分場の建設に向けた環境影響評価(EIA)計画書を雇用経済省に提出することにより、同社の使用済燃料最終処分に関する計画を策定することを付帯条件としていた。

また、同プレスリリースによれば、今後、雇用経済省(TEM)は環境影響評価の調整機関として、関係行政機関や、候補サイトの自治体とされているエウラヨキ、ピュハヨキの両自治体にフェノヴォイマ社の環境影響評価(EIA)計画書に関する意見照会を行うほか、その一環として公聴会を開催する計画である。

【出典】

 

【2016年8月24日追記】

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2016年8月23日付のプレスリリースにおいて、フェノヴォイマ社が提出した使用済燃料の処分に向けた環境影響評価(EIA)計画書に関する公聴会を、エウラヨキ、ピュハヨキ両自治体において、それぞれ2016年9月21日、9月22日に開催することを公表した。

環境影響評価手続法に基づいてTEMは、環境影響評価の調整機関として、関係行政機関及び候補サイトの自治体にEIA計画書に関する意見照会を行うほか、公聴会を開催することが規定されている。同プレスリリースによると、EIA計画書に対する関係行政機関及び候補サイトの自治体から意見照会を行う期間は2016年9月12日から2016年11月9日とされ、収集した意見を踏まえて、TEMは2016年末までに見解書を公表する予定としている。

【出典】

 

【2016年12月19日追記】

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2016年12月16日付のプレスリリースにおいて、フェノヴォイマ社が2016年6月に提出していた使用済燃料の処分に向けた環境影響評価(EIA)計画書に対する意見書を公表した。TEMは意見書において、フェノヴォイマ社のEIA計画書は包括的であり、環境影響評価手続法の要件を満たしているとの見解を示している。

フェノヴォイマ社のEIA計画書について調整機関である雇用経済省(TEM)は、2016年9月12日から11月9日にかけて自治体や関係機関等、及び関係国に対して意見聴取を行った。その結果、合計で63の意見が寄せられたが、多かった意見としては、EIA評価の期間が非常に長いこと、事業に関するコミュニケーションが重要であることなどのほか、EIA評価の期間中における評価プログラムに関する最新情報の提供についての要求があったとしている。

雇用経済省(TEM)は、今回の意見書においてフェノヴォイマ社に対し、現時点で放射性廃棄物管理義務を有している原子力発電事業者との協力を継続すること、及び2018年1月31日までに使用済燃料処分プロジェクトのより詳細なスケジュールを示した計画書を追加で提示するよう求めている。フェノヴォイマ社が追加で提出する計画書では、エウラヨキ自治体で実施する調査の対象となる地域の選定方法と選定時期のほか、エウラヨキ・ピュハヨキ両自治体の調査地域での調査の実施方法、及び公衆参加の枠組みに関する詳細を示さなければならないとしている。そのほか、雇用経済省(TEM)は、フェノヴォイマ社の原子炉から発生する使用済燃料については、商業契約に基づく協力により、ポシヴァ社の処分場で処分するのが最も望ましい解決策であり、フェノヴォイマ社がそのための努力をすべきであるとの見解を示している。

【出典】

 

【2018年2月2日追記】

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2018年1月30日付のプレスリリースにおいて、フェノヴォイマ社が2016年6月に提出していた使用済燃料の処分に向けた環境影響評価(EIA)計画書について、追加説明資料を雇用経済省に提出したことを公表した。雇用経済省は2016年12月にフェノヴォイマ社のEIA計画書に対する意見書を発出しており、その中で、2018年1月31日までに使用済燃料処分プロジェクトのより詳細なスケジュールを示した計画書を追加で提示するよう求めていた。

雇用経済省のプレスリリースによれば、フェノヴォイマ社は、ピュハヨキ自治体のシュデネバ(Sydänneva)と呼ばれる森林地帯で処分場設置の適合性確認を目的とした地質調査を実施するとしている。また、エウラヨキ自治体では、地質調査を実施する地区を選定するに至っていないが、調査地区選定の検討を自治体全域を対象として実施しているとしている。また、フェノヴォイマ社は、予備的な調査計画をすでに作成しており、エウラヨキ自治体の調査地区を選定した後、エウラヨキとピュハヨキの両自治体の調査地区において同時に、表層地質調査等の追加的な調査を実施する予定としている。

 

【出典】

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、「原子力廃棄物の最終処分の安全性」を含め、原子力施設の安全性等に関する5件の安全規則を策定し、2016年1月1日より施行した。

フィンランドでは、2015年5月22日に原子力法が改正1 され、同法で規定された27の技術的項目ごとにSTUKが規則を策定し、従来、政令として定められていた一般安全規則を置き換えることとなっていた。今回、27の技術的項目を含むものとして、以下の5件の安全規則が策定された2

  1. 原子力発電所の安全性の確保 STUK Y/1/2016
  2. 原子力発電所の緊急時の救護活動 STUK Y/2/2016
  3. 原子力利用時の核物質防護 STUK Y/3/2016
  4. 原子力廃棄物の最終処分の安全性 STUK Y/4/2016
  5. ウランまたはトリウム採掘や鉱石処理作業の安全性 STUK Y/5/2016

STUKの2016年1月7日付プレスリリースによれば、今回策定された原子力廃棄物の最終処分の安全性に関する規則では、使用済燃料処分場の建設を計画しているポシヴァ社が2012年に提出していた処分場建設許可申請書に対する安全審査や、その他の原子力廃棄物処分場の規制経験などを基に、従来の規則では不十分であった部分の補足や重複部分の単一化などを行ったとしている。また、これまで原子力発電所に対する重大事故に関する詳細な規則が存在している一方で、使用済燃料処分場における重大事故に関する詳細な規則が存在しておらず、今回策定された規則では重大事故に関する規則を導入したとしている。

【出典】


  1. 2015年の原子力法改正ではSTUKの規制権限と独立性が一層強化された。これは、原子力及び放射線防護の分野における規制の枠組みのレビューを目的として、2012年に国際原子力機関(IAEA)によって実施されたピアレビュー(総合的規制評価サービス、IRRS(Integrated Regulatory Review Service))における、STUKの独立性を強化すべきとの勧告等に対応したものである。 []
  2. 今回STUKが策定したのは、「原子力廃棄物の最終処分の安全性」以外に、原子力発電所の安全性の確保、原子力発電所の緊急時の救護活動、原子力利用時の物理的防護、及びウランまたはトリウム採掘や鉱石処理作業の安全性に関する、合計5件の規則である。原子力発電所の安全性、緊急時の救護活動、核物質防護といった点に関する項目については、従来の政令から内容が大きく変化していない一方で、ウランやトリウムの採掘に関する規則については以前には存在していなかった全く新しい規則となっている。 []
使用済燃料処分場のイメージ図

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

フィンランド政府は2015年11月12日付のプレスリリースにおいて、同日、エウラヨキ自治体オルキルオトに計画されている使用済燃料処分場について、処分実施主体のポシヴァ社に処分場の建設許可を発給したことを公表した。使用済燃料処分場に対する建設許可の発給はフィンランドが世界初となる。

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島内に建設される予定であり、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。使用済燃料の処分は、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に封入した上で、その周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保するものである。

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

フィンランド政府のプレスリリースによれば、建設許可を発給した処分場において最大6,500トン(ウラン換算)の使用済燃料を処分することを認めている1 。また、建設許可には許可条件として、今後予定されている処分場の操業許可の申請において、申請書に以下の事項を含めるよう求めている。

  • 処分施設が環境に及ぼす影響に関する解析
  • 使用済燃料の回収可能性
  • 輸送リスク
  • 事業に影響を及ぼす可能性のある要因

フィンランドにおける使用済燃料の処分実施主体であるポシヴァ社は、2012年12月に使用済燃料処分場の建設許可申請書を政府に提出していた。原子力に関する監督機関である雇用経済省は建設許可申請を受け、原子力法・原子力令に規定されている意見聴取手続きに従って、エウラヨキ自治体及び周辺自治体などに対して意見書の提出を求めていた。その一環として、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年2月に処分場を安全に建設することができるとする審査意見書を雇用経済省に提出していた。雇用経済省は提出された意見書を元に、政府による発給に向けて、建設許可の許可条件に関する検討を行っていた。
 建設許可の発給を受けてポシヴァ社は、2015年11月12日のプレスリリースにおいて、今後、処分場の建設段階に進むこと、使用済燃料の処分を2020年代初めに開始できるよう計画していることを明らかにした。

フィンランドにおける使用済燃料処分の経緯

フィンランドでは原子力発電から生じる使用済燃料を再処理せず、高レベル放射性廃棄物として地層処分する方針としている。使用済燃料の処分場のサイト選定は1983年に開始され、ポシヴァ社は1999年にオルキルオトを処分地として選定し、同年、原子力施設の建設がフィンランド社会全体の利益に合致することを政府が判断する「原則決定」と呼ばれる原子力法の手続きに基づいて(詳しくはこちら)、オルキルオトに使用済燃料の処分場を建設することについて、政府へ原則決定の申請を行った。政府はポシヴァ社の申請に対して2000年に原則決定を行い、翌2001年に国会が政府の原則決定を承認したことにより、オルキルオトが処分地として決定していた。

ポシヴァ社が使用済燃料の処分を開始するためには、原則決定の後に政府から処分場の建設許可、及び操業許可の発給をそれぞれ受ける必要がある。ポシヴァ社は建設許可の申請に向けて2004年には地下特性調査施設(ONKALO)の建設を開始し、並行して建設許可申請に必要な岩盤や地下水等のデータ取得や、坑道の掘削による地質環境への影響等について調査をしてきた。これまで調査施設として利用されてきたONKALOは、今後は処分場の一部として利用される予定である。

【出典】


  1. ポシヴァ社が2012年12月に提出した建設許可申請書では、フィンランドで現在、テオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が運転している4基の原子炉、及びTVO社が建設中の1基と計画段階の1基を含む、合計6基の原子炉から発生する最大で9,000トン(ウラン換算)の使用済燃料を処分する計画としていた。しかし、TVO社は計画していた新規原子炉について建設許可の申請を断念したため、政府による建設許可で認められた処分量は、計画を取りやめた原子炉から発生する見込みであった量に相当する分だけ減少している。 []

フィンランドの安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)は、2015年5月22日付のプレスリリースにおいて、同日付けで原子力法及び放射線法の改正が大統領により承認されたことを公表した。今回の法改正は、一部を除き2015年7月1日に発効し、これにより、STUKの規制権限と独立性が一層強化されることとなる1

今回の法改正により、STUKに対して、原子力安全に関して法的拘束力を有する技術的な安全要件を定める権限が付与された。フィンランドの原子力安全に関する規制体系は一般安全規則と詳細安全規則で構成されるが、従来は一般安全規則を政府(雇用経済省)が政令として定め、一般安全規則の規定を満たすための指針としてSTUKが詳細安全規則を策定していた。法改正後は、一般安全規則と詳細安全規則の両方をSTUKが策定することになる。今回改正された原子力法では、STUKが安全要件として定めるべき27の技術的項目が規定された。

また、今回の原子力法の改正では、原子力施設の許可発給プロセスにおけるSTUKの意見が重視されるようになる。従来どおり原子力発電所、放射性廃棄物処分場などの重大な原子力施設の建設・操業等に係る許可発給は政府が行うが、法改正により、STUKが意見書で提示する許可条件を政府が考慮しなければならないことが明確化された。改正前の原子力法では、重大な原子力施設の許可手続きにおいて、STUKの意見書が必要と規定されているのみであった。

なお、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関しては、政府による許可発給に向けて、現在、雇用経済省が建設許可の発給に関する検討を行っている。STUKは、2015年2月11日に、ポシヴァ社による使用済燃料処分場の建設許可申請書に関する審査意見書を雇用経済省に提出している。この審査意見書においてSTUKは、原子力法第19条で許可発給の基準とする10の項目について審査結果を示している。今回の法改正により、政府による許可発給におけるSTUKの意見の考慮について法的な担保がされたことになる。

【出典】


  1. フィンランドでは、原子力及び放射線防護の分野における規制の枠組みのレビューを目的として、2012年に国際原子力機関(IAEA)によるピアレビュー(総合的規制評価サービス、IRRS(Integrated Regulatory Review Service))が実施され、IRRSはSTUKの独立性を強化すべきことを勧告していた。IRRSの勧告を受け、原子力法及び放射線法の改正に向けた取り組みが進められ、2015年3月には改正法案が国会を通過していた。 []