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このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


フィンランド国有の有限責任会社で研究開発機関であるフィンランド技術研究センター(VTT)は、2021617日付のプレスリリースにおいて、VTTが所有する研究炉FiR1の廃止措置に関して、フィンランド政府が許可を発給したことを公表した。廃止措置に伴い発生する低中レベル放射性廃棄物は、ロヴィーサ原子力発電所を所有・運転するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が今後、ロヴィーサで貯蔵・処分する計画である。なお、FiR1の廃止措置に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物の総放射能量は5テラベクレル(TBq)以下であり、中間貯蔵用容器へ収納した場合は140トン、100m3程度になると推定されている。

研究炉FiR1は、首都ヘルシンキの西隣のエスポー市にある旧ヘルシンキ工科大学(現在のアールト大学)に置かれ1962年に運転を開始し、1971年にVTTへ移管された。これまで原子力に関する教育訓練や放射線治療などで活用されてきたが、VTT2015年にFiR1の運転を停止し、2017年に政府へ廃止措置に係る許可を申請した。なお、FiR1は、フィンランドで廃止措置される初めての原子力施設となる。

研究炉由来の放射性廃棄物管理について

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力利用に伴い発生する放射性廃棄物については発生者がその管理・費用に対して責任を有することが定められている。VTTは、研究炉FiR1の運転及び廃止措置で発生する放射性廃棄物について、その処分を含めた管理の計画・実施に関する責任を有している。これまでのFiR1の運転で発生した放射性廃棄物は、研究炉の施設内において貯蔵されている。また、VTTは原子力法に基づいて、雇用経済省(TEM)が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR)に廃棄物管理費用を積み立てている。

VTTは放射性廃棄物処分場を有していないため、国内の原子力発電事業者と交渉を行い、20203月にFPH社と研究炉の廃止措置に係る協力協定を締結した。FPH社は、協力協定に基づき廃止措置に係る計画策定、原子炉の解体、低中レベル放射性廃棄物の貯蔵・処分を実施することとなる。今後FPH社は、それらの放射性廃棄物をロヴィーサ原子力発電所において貯蔵・処分するために必要な許可を取得する予定である。VTTは、2017年に政府へ提出した廃止措置に係る許可申請書において、自社が責任を有する放射性廃棄物について、それらが処分される処分施設が閉鎖されるまで、引き続き管理責任を全うすることを記している。

なお、研究炉で使用していた燃料は米国から供給されたものであり、米国との協定に基づいて20211月に使用済燃料は米国へ返還されており、研究炉に由来する高レベル放射性廃棄物はフィンランドに存在しない。フィンランドでは原子力法により使用済燃料の輸出入は禁止されているが、研究炉の使用済燃料については例外扱いとなっている。

今後の予定

VTTは、廃止措置に向けた準備を既に開始するとともに、並行してFPH社と協力して廃止措置計画書の最終化を進めている。放射性物質を含む構造物の解体を開始するには放射線・原子力安全センター(STUK)の許可を受ける必要があるため、VTT2022年初頭に廃止措置計画書を提出し、審査を受ける計画である。2022年末にはFPH社が解体作業を開始し、解体には約1年を要する見通しである。廃止措置の完了後、原子炉が設置されていた建屋は所有者であるアールト大学に返還されることとなっている。

【出典】

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2021年5月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分に関する環境影響評価(EIA)報告書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。TVO社は、オルキルオト原子力発電所の保守・点検作業等で発生した防護服やプラスチック製養生シート等の放射能レベルが極めて低い放射性廃棄物について、今後、地表埋立て処分を行う計画である。

TVO社による極低レベル放射性廃棄物処分計画の概要

オルキルオト原子力発電所では、原子炉2基がそれぞれ1978年と1980年に運転を開始しているほか、欧州加圧水型炉(EPR)である3号機が2022年に運転を開始する予定である。TVO社は、原子炉の運転に伴って発生する低中レベル放射性廃棄物を、同発電所サイト内の地下60~100mの岩盤空洞中に建設された処分場(サイロ型の地下空洞処分場)において、1992年から処分している。所定のクリアランスレベルを満足する廃棄物は、発電所に隣接する自社敷地内の埋立て地で産業廃棄物として処分している。しかし、放射能レベルが極めて低いがクリアランスできない廃棄物については、低レベル放射性廃棄物として地下空洞処分場で処分していた。

フィンランドでは原子力令の2015年改正により、「極低レベル放射性廃棄物」(1kgあたりの放射能量が10万Bq未満)が定義され、これに該当する廃棄物は地表での埋立て処分が可能となった。TVO社は、今後発生する廃棄物については極低レベル放射性廃棄物を分別し、それらを地表埋立て処分することにより、既存の地下空洞処分場の処分容量を有効に活用したい考えである。

TVO社が検討している地表埋立て処分場の概念は、地表地盤上にシーリング層を構築し、その上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものである。地表埋立て処分場の大きさは80m×110mを予定されている。廃棄物パッケージの処分は5~10年毎のキャンペーン方式で実施され、2090年代まで続く見通しである。地表埋立て処分場の底部に設置された排水/集水システムにより、浸出水の水質をモニタリングする。最終的に処分される極低レベル放射性廃棄物の総放射能量は1TBq未満である。

環境影響評価手続きの流れと予定

TVO社は、今回の環境影響評価(EIA)報告書の提出に先立ち、2020年8月に雇用経済省に極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分事業に関するEIA計画書を提出していた 。TVO社はEIA計画書に対する公衆の意見や監督官庁の意見書を踏まえて、地表埋立て処分による環境影響の評価を実施し、EIA報告書を取りまとめている。当初、EIA計画書で示された地表埋立て処分の説明では、クリアランスされた廃棄物用の埋立て地(既存)を転用する案が残されていたが、EIA報告書ではその案が削除されている。

雇用経済省(TEM)は、TVO社から提出を受けたEIA報告書について、2021年6月1日から7月31日にかけて公衆などからの意見募集を行うほか、2021年6月17日に公衆向けのオンラインセミナーを開催する予定である。

なお、TVO社はEIA報告書において、地表埋立て処分場は重大な原子力施設には該当しないため、原子力法に基づく政府による原則決定、建設・操業許可の申請手続きは不要であるものの、極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分を実施するためには、原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の処分を2023~2024年頃に開始する予定である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

また、EIA報告書が提出された後に雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】

 

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年5月7日付けプレスリリースにおいて、2016年12月に開始した使用済燃料処分場の建設状況に関して、地下約450メートルにおいて最初の処分坑道5本の掘削工事を開始したことを公表した。処分坑道は、高さ4.5m、幅3.5m、最長350mであり、1本の処分坑道に使用済燃料を収納したキャニスタ約30体(使用済燃料約65トンに相当)を定置することができる。ポシヴァ社は、処分坑道5本の掘削に約18ヶ月を要すると見込んでいる1

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島に位置しており、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。今回の処分坑道の掘削開始にあたってポシヴァ社は、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による事前確認を受けており、STUKは掘削作業を開始するための規定された前提条件が満たされていることを確認している。ポシヴァ社が実際に使用済燃料を処分するには、別途、政府による処分場の操業許可を取得する必要がある。

 

EKAプロジェクト

ポシヴァ社は使用済料処分場の操業開始を2020年代半ばに予定しており、これに向けてEKAプロジェクトと呼ばれるプロジェクトを2019年に開始している。EKAプロジェクトの作業項目には、地上のキャニスタ封入施設の建設、地下の処分施設への最終処分用システムの設置、最終処分方法や施設とそのシステムに必要な許可の取得、処分場整備に必要なサプライチェーンの準備などが含まれており、プロジェクト費用は約5億ユーロ(約620億円、1ユーロ=124円で換算)と見積もられている。また、EKAプロジェクトの雇用効果としては、最大約500人が雇用され、エウラヨキ自治体を含むサタクンタ地域において約2,500人年の雇用が生まれると推定されている。プレスリリースによれば、現在、地下の処分施設エリアでは約数十社の下請け業者が参加して300人が働いている。

【出典】


  1. ポシヴァ社は、使用済燃料を最大6,500トンの受け入れに対応可能な処分場を計画しており、処分場の操業期間100年間にわたって処分坑道を100本掘削する予定であり、処分坑道の総延長は約35kmになる。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年2月26日付けプレスリリースにおいて、地下特性調査施設(ONKALO)において、統合機能試験(Joint Functional test(フィンランド語の略称はYTK))1 と呼ばれる試験のための試験用坑道の掘削を開始していることを公表した。統合機能試験は、処分施設の試運転(コミッショニング)の一部と位置付けられ、使用済燃料を収納していないキャニスタを用いて、処分環境下で実際に使用される機器・装置を用いて小規模スケールで模擬的な処分を実施する。Posiva社は、統合機能試験により、最終処分作業に関連する作業工程を計画どおりに実施可能であることを実証したいとしている。

ONKALOでは、地下約420mにおいて、処分場を構成する主要坑道の一部(約60m分)が掘削済である。ポシヴァ社は統合機能試験の開始に向けて、この主要坑道から側面方向に分岐する長さ80mの処分坑道の掘削を今冬から開始しており、2021年2月時点で48m分の掘削を完了させている。ポシヴァ社は現在、掘削が完了した処分坑道のうち19m~48mの区間において、掘削に伴う亀裂や水みちの発生状況や岩盤への影響を確認する調査を実施している。この調査の後に残る32m分の掘削を再開し、2021年4月から5月頃には、全長約80mの処分坑道を完成させる予定である。なお、実際の処分坑道の典型的な長さは350mであり、統合機能試験のために掘削される処分坑道はこれより短いものとなっている。

■統合機能試験は2023年に開始予定

統合機能試験(YTK)では、今回掘削している処分坑道の床面に4つの処分孔を掘削し、実規模の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。処分坑道の埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングは実施する予定である

統合機能試験に使用される処分坑道は実際の処分坑道と同等であることから、ポシヴァ社は、今回の坑道掘削作業の計画段階から、規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)と協力して実施している。STUKは、将来の操業許可申請に伴う安全審査を視野に入れて、統合機能試験を監督することになっている。

ポシヴァ社は、統合機能試験のための処分坑道が完成した後に、実際の最終処分に使用する最初の5本の処分坑道の掘削を開始する予定であり、処分施設の操業許可を得た後に、使用済燃料を収納したキャニスタを用いた最終処分を行う予定である。ポシヴァ社は、今回のプレスリリースにおいて、この5本の処分坑道のうちの1本での最終処分が2025年頃に始まる見通しを明らかにしている。

【出典】


  1. ポシヴァ社は、以前は統合作動試験(Joint operation test)と表現していた。 []

フィンランドでオルキルオト原子力発電所を運転するテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)は、2020年8月14日付のプレスリリースにおいて、TVO社がエウラヨキ自治体にある同発電所エリアで計画している極低レベル放射性廃棄物1 の地表埋立て処分事業について、環境影響評価(EIA)手続きの最初のステップとなるEIA計画書を雇用経済省(TEM)に提出したことを公表した。雇用経済省は、2020年8月21日から9月21日の期間、TVO社のEIA計画書について、地表埋立て処分事業によって影響を受ける組織や企業、自治体、公衆からの意見募集を行った後、必要に応じてEIA計画書の変更などを指示することになっている。

TVO社のEIA計画書によれば、同社が1992年から操業している低中レベル放射性廃棄物処分場(地下60~100mに建設されているサイロ型の地下空洞処分場)で処分している廃棄物のかなりの割合は、極低レベル放射性廃棄物(1kgあたり10万Bq未満)に相当する。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物の放射能レベルが低いことを考慮すると、現行の低中レベル放射性廃棄物処分場への処分は過剰な方法であり、適したものではないとしている。また、2021年に操業開始予定のオルキルオト原子力発電所3号機の運転に伴って、今後も極低レベル放射性廃棄物の発生が継続するため、将来必要となる低中レベル放射性廃棄物処分場の拡張を抑制するために、地表埋立て処分事業の計画を開始したとしている。

計画している地表埋立て処分場の処分概念は、地表地盤に構築するシーリング層の上に廃棄物パッケージを積み上げた後、雨水の浸入を防止する上部シーリング層を施工して覆土するものであり、広さは90m×115mである。また、底部に排水/集水システムを設置し、浸出水の水質をモニタリングする予定である。廃棄物パッケージは5年毎に処分され、廃棄物が処分された区画は一時的に密閉する。処分される極低レベル放射性廃棄物は、原子力発電所の定期点検中に利用される防護服やプラスチック製の養生シート等である。

極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分は、スウェーデン等の世界各国で実施されており、フィンランドでも法律上はそのような処分が可能となっているものの、これまでフィンランド国内での実施例はなかった。

今後の予定

雇用経済省(TEM)は、TVO社のEIA計画書について、約1ヶ月間の公衆意見募集を行うほか、新型コロナウイルス感染症の状況を勘案しつつ、2020年9月8日にエウラヨキ自治体において公聴会を開催する予定である。なお、TVO社は、EIA計画書において、極低レベル放射性廃棄物の地表埋立て処分場は重大な原子力施設ではないため、政府による原則決定、建設・操業許可は必要としないものの、TVO社が地表埋立て処分場を操業するためには原子力法に基づき放射線・原子力安全センター(STUK)が発給する許可が必要となると説明している。TVO社は、極低レベル放射性廃棄物処分を2023~2024年頃に開始し、2090年頃まで継続する計画である。

<参考>環境影響評価(EIA)

フィンランドでは環境に重大な影響が生じる可能性がある事業について、市民を含む利害関係者が情報を事前に入手し、計画策定や意思決定に参加する機会を増やすことを目的として、環境影響評価制度が設けられている。

EIAは、①EIA計画書の作成段階と、②EIAを実施して報告書にまとめる段階から構成されている。事業者がEIA計画書を監督官庁(原子力施設の場合は雇用経済省)に提出し、監督官庁が対象地域住民を含めた利害関係者に意見を求め、寄せられた意見を踏まえて、監督官庁は、必要に応じて計画書に変更を指示することとなっている。

雇用経済省は、原子力法の規定に基づき、地元自治体で公聴会を開催するとともに、公告を通じた意見募集で寄せられた意見を踏まえ、実施されたEIAの適切さについての判断を意見書として取りまとめることとなっている。

環境影響評価(EIA)手続きの概要

環境影響評価(EIA)手続きの概要

【出典】


  1. フィンランドでは原子力利用に伴い発生する廃棄物を「原子力廃棄物」と定義しており、その他の放射線利用で発生する放射性廃棄物と区別している。原子力廃棄物は使用済燃料以外に放射能濃度に基づき「中レベル廃棄物(intermediate-level waste: ILW)」、「低レベル廃棄物(low-level waste: LLW)」、「極低レベル廃棄物(very low-level waste: VLLW)」と区分しているが、この記事ではVLLWについて、わが国でも使用されている「極低レベル放射性廃棄物」の表記を用いる。 []

フィンランドの雇用経済省(TEM)は、2019年9月2日付のプレスリリースにおいて、TEMが設置した2つのワーキンググループがそれぞれ作成した報告書として、原子力廃棄物管理に関する報告書、国家放射性廃棄物管理基金の運用に関する報告書を公表した。各々の報告書の概要は、以下の通りとなっている。

■原子力廃棄物管理に関するワーキンググループの報告書

雇用経済省は、原子力発電に伴って発生する原子力廃棄物のみならず、医療・産業・研究から発生する放射性廃棄物1 の全体について、安全で費用対効果の高い管理の目標、開発方法や可能な解決策を検討するため、2017年6月に雇用経済省、社会保健省、放射線・原子力安全センター(STUK)等の国の機関、処分実施主体のポシヴァ社、原子力発電事業者、大学の専門家などから構成されるワーキンググループ(原子力廃棄物管理に関する国家協力グループ)を設置していた。

本ワーキンググループは、フィンランドにおける原子力廃棄物管理の開発について、1983年の原子力廃棄物管理に係る政府原則決定に従って進められ、これまで着実に進展してきたとしている。今後、2020年代にオルキルオトに建設中の使用済燃料処分場が操業開始する予定であるほか、フィンランド技術研究センター(VTT)が保有している研究炉の廃止措置、原子炉新設に向けたプロジェクトを進めているフェノヴォイマ社による使用済燃料処分場のサイト選定等が予定されている。一方、フィンランドの現行の法規制では、原子力発電に伴って発生する原子力廃棄物は“原子力法”で規制されており、それ以外の医療・産業・研究から発生する放射性廃棄物管理は“放射線法”で規制されている。ワーキンググループは、廃棄物管理分野の法規制における重要な課題として、これらの2つの法律に基づく規制の一貫性を図るとともに、国際法の適切な反映、下位レベルの規制文書の策定などの作業を進めるよう、雇用経済省に提言した。

報告書においてワーキンググループは、既に発生した放射性廃棄物や将来発生する放射性廃棄物について、その発生場所や発生者、発生方法に関わらず、適切な管理を実施することが重要であると指摘している。また、報告書においてワーキンググループは、国の省庁や事業者等に対する勧告・提案を示しており、フィンランドで発生するあらゆる放射性廃棄物の管理における協力(例えば、既存の処分場へ他の事業者からの廃棄物を処分すること等)が可能となるような許認可手続や監督の実施方法を可能とする法整備のほか、フィンランドにおける放射性廃棄物管理における専門性維持や人材確保のために、実際のニーズの評価分析を行うよう勧告している。

さらに、ワーキンググループは、本報告書での勧告・提案への対応の実施状況を監督する監視グループを設置することも勧告している。

■国家放射性廃棄物管理基金の運用に関するワーキンググループの最終報告書

フィンランドでは原子力法に基づいて、原子力施設から発生する原子力廃棄物の処理・輸送・貯蔵・処分等に係る管理費用について、原子力発電事業者は、雇用経済省が所管する国家放射性廃棄物管理基金(VYR、以下「基金」という)へ積み立てている。また、原子力法により、原子力発電事業者が基金から資金貸付を受けることが可能な制度となっている。

この基金の運用に関するワーキンググループ(以下「基金ワークンググループ」という)は、基金の運用方法を規制する法制度に対する評価を行い、必要な改善策を提案することを目的として、2018年4月にTEMにより設置された。

基金の運用は1988年の設置から30年以上続いており、2018年末時点の基金残高は約26億ユーロ(約3,250億円、1ユーロ=125円で換算)となっている。また、オルキルオト原子力発電所3号機が運転を開始すれば、基金残高は更に大きくなると見込まれている。

基金ワーキンググループは、今回の報告書において、基金の長期にわたる運用状況を改善しつつ、廃棄物管理に将来必要となる費用を賄うのに十分な資産を確保しつつ、基金の長期の運用状況を改善できるように運用方法を改善できるとの見解を示している。また、より高い運用益を得られるようにするための手段として、積み立てを行っている原子力発電事業者に対する基金からの貸付を制限することにとり、保有資金の運用先を拡大するとともに、拡大した運用先への貸付期間を長くする方法を提案している。さらに、報告書では、基金運用やそのリスクマネジメント及び貸付業務を行う組織や管理体制の変更案が提示されている。

【出典】


  1. フィンランドでは、原子力利用に伴い発生した廃棄物を「原子力廃棄物」と定義し、それ以外の「放射性廃棄物」と区別されている。 []

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年6月25日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設を開始したことを公表した。本施設は、国内2カ所の原子力発電所から使用済燃料を輸送キャスクに収納して受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。乾燥させた使用済燃料は、キャニスタに収納され、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により、接合部周辺を塑性流動させて練り混ぜて一体化することにより、使用済燃料が密封される。

ポシヴァ社は2012年12月に、地上のキャニスタ封入施設と地下の処分施設の建設許可申請書を政府に提出し、政府は2015年11月に建設許可を発給していた。地下の処分施設の建設は、2016年12月より開始されており、キャニスタ封入施設の建設開始とあわせて、処分施設との接続に必要なシステムも設置される予定である。

また、ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設と処分施設を合わせた処分場全体の建設費用が約5億ユーロ(625億円、1ユーロ=125円で換算)になるとしている。ポシヴァ社は、現在のところ2021年末に操業許可を申請し、2020年代に操業を開始する予定である

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

キャニスタ封入施設のイメージ図(ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

銅-鋳鉄キャニスタ(写真:ポシヴァ社ウェブサイトより引用)

【出典】

 

 

【2019年7月2日追記】

ポシヴァ社は、キャニスタ封入施設の建屋建設について、スウェーデンの大手建設会社であるSkanska社と工事契約を締結したことを公表した。ポシヴァ社のプレスリリースによると、キャニスタ封入施設は床面積約11,500m2、コンクリート使用量約16,000m3であり、工事契約額は約4,500万ユーロ(約56億3,000万円、1ユーロ=125円で換算)である。竣工は2022年夏の予定である。

Skanska社は、スウェーデンの首都ストックホルムに本社を置く建設・不動産開発企業である。原子力施設の建設にも携わっており、フィンランドのオルキルオトでも原子力関連事業を請け負った経験も有している。なお、今回の工事契約の締結に先立ってポシヴァ社とSkanska社とは、2018年11月にキャニスタ封入施設建設プロジェクトの準備に関する契約を締結していた。

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2019年5月3日付けプレスリリースにおいて、地下特性調査施設(ONKALO)の地下深度420mに掘削した実証坑道において2018年から開始している実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)の進捗状況を公表した。FISSTでは、実証坑道の床面に2本の試験処分孔を掘削し、銅製キャニスタ、ベントナイト緩衝材を定置した後、実証坑道を埋め戻し、最後に実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するまでの一連の作業が行われる。キャニスタには、使用済燃料からの発熱を模擬するヒーターを備え付けている。また、キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機(プロトタイプ)を使用している。

FISSTは2018年6月に開始され、これまでにキャニスタ、緩衝材の設置、長さ50mの実証坑道の埋め戻しが2018年末までに行われた。その後、実証坑道の止水や埋め戻し材の流出を防ぐため、プラグと呼ばれるコンクリート製の構造体の設置に向けた準備が進められ、2019年5月3日にプラグのコンクリート打設が行われた。

プラグのコンクリート打設が終了したことにより、人工バリア設置に係る段階は終了し、今後、FISSTはフォローアップ段階に移行し、緩衝材など人工バリアの状態のモニタリングを数年間継続する予定である。このモニタリングは2018年8月よりすでに開始しており、これまでのところ予期しない現象の発生はないとされている。

今後の予定

ポシヴァ社は、今回のFISSTの結果を踏まえて、2023年頃の開始を予定している統合作動試験(joint operation test)で使用するため、実用レベルの機器・装置の設計・製作を行うとともに、実際の処分場の操業で採用する人工バリアの詳細設計を進める計画である。実際の使用済燃料を取り扱う「原子力統合作動試験」は、政府からの処分場の操業許可発給を受けた2024年頃から開始される予定である。

フィンランドでは、地下特性調査施設(ONKALO)を拡張して、使用済燃料処分場の建設が2016年12月より開始されており、主要坑道の最初の部分の掘削、及び主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削、キャニスタ搬送リフト用の立坑の掘削などが行われている。また、使用済燃料を銅製キャニスタに封入する設備を収容する地上施設については、これまでに地表での地盤整備が行われており、地上施設本体の建設は2019年に開始予定である。処分場の建設以降、使用済燃料の処分作業を開始するには、別途、操業許可が必要であるが、ポシヴァ社は現在のところ2021年末に操業許可を申請する予定である。

Posiva

処分作業のイメージ(坑道の埋め戻し作業)(出典:ポシヴァ社)

【出典】

キャニスタ封入施設建設のための岩盤掘削作業の様子(写真:Posiva Oy)

キャニスタ封入施設建設のための岩盤掘削作業の様子
(写真:Posiva Oy)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017105日付けプレスリリースにおいて、使用済燃料処分場の建設の進捗状況を公表した。同プレスリリースによれば、ポシヴァ社は、処分場の地上施設を構成するキャニスタ封入施設の建設準備作業として、地表からの岩盤掘削作業を完了したとしている。キャニスタ封入施設の建屋建設は、今後、規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による確認を受けた後に開始される予定である。

フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島内において建設中の使用済燃料処分場は、地上のキャニスタ封入施設と地下400450mに設置される処分場で構成される。使用済燃料の処分概念はKBS-3方式であり、外側が銅製で、内側が鋳鉄製の2重構造の容器(キャニスタ)に使用済燃料を封入した上で、その周囲を緩衝材(ベントナイト)と岩盤からなる多重バリアによって安全性を確保するものである。

フィンランド政府は201511月に、ポシヴァ社に対して使用済燃料処分場の建設許可を発給していた。ポシヴァ社が処分場の建設を実際に開始するためには、法令に基づいて、ポシヴァ社が建設許可に関連した安全要件及び安全規則を十分に検討しているかについて、STUKの確認を受ける必要がある。201611月のSTUKによる確認・決定を受けて、ポシヴァ社は地下の処分場の建設を開始していた 。今回のポシヴァ社のプレスリリースによれば、地下の処分場の建設については、現在、主要坑道までの車両アクセス坑道の掘削作業を実施中であるとし、作業終了までには2年半を要するとしている。

今後、ポシヴァ社がキャニスタ封入施設の建設を開始するためには、地下の処分場と同様に、事前にSTUKによる確認が必要である。

【出典】

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2017年6月16日付けプレスリリースにおいて、オルキルオトの地下特性調査施設(ONKALO)の深さ約420mでパイロットボーリングの掘削を4月に開始したことを公表した。パイロットボーリングは、処分場の主要坑道の掘削に先立って、ONKALOの地下部分から水平方向にボーリング孔を掘削するものであり、ボーリング孔と採取するボーリングコアサンプルを調査することにより、オルキルオトの地質と水理モデルを更新するための新たな情報が得られるとしている。これによって、岩盤の適合性が確認されれば、主要坑道の掘削を今夏の終わり頃から開始するとしている。

■統合作動試験を2022年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の操業許可申請前に、地下の実環境において、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置の統合作動試験(joint operation test)を2022年頃に行う計画である。この統合作動試験では、使用済燃料を収納したキャニスタは使用されない。プレスリリースによると、ポシヴァ社は統合作動試験に向けて、長さ60mの主要坑道と、長さ80mの処分坑道を掘削し、処分坑道において4本の処分孔を鉛直方向に掘削する計画である。

ポシヴァ社の現在の予定では、統合作動試験において、4つの処分孔へそれぞれ実物大の模擬キャニスタを定置し、その周囲に緩衝材(ベントナイト)を設置した後、処分坑道を埋め戻すまでの一連の運用性を試験し、検証する。埋め戻し後においては、処分孔を対象としたモニタリングは行わないが、処分孔周辺の地下水流動等のモニタリングを実施するとしている。

■ONKALOでの実規模原位置システム試験を2018年頃に実施

ポシヴァ社は、処分場の統合作動試験に先だって、ONKALO内において、実規模原位置システム試験(FISST:Full-scale In-Situ System Test)を2018年に実施する計画である。FISSTは、2本の試験処分孔に銅キャニスタ、ヒーターと緩衝材とを定置し、実証坑道の埋め戻し、実証坑道の入り口を塞ぐプラグを設置するものである。また、銅キャニスタ・緩衝材の設置、実証坑道埋め戻し等の作業には、機器・装置の試作機を使用するとしている。FISSTの結果を踏まえて、統合作動試験や実際の処分操業で使用する人工バリアや機器・装置の設計・製作を行う計画としている。

 

(参考)統合作動試験について

ポシヴァ社が3年毎に公表している原子力廃棄物管理プログラム(YJH-2012、YJH-2015)によると、ポシヴァ社は、地下特性調査施設(ONKALO)の実証坑道において、処分システムの部分的試験を実施し、機器、装置及び作業方法の詳細な運用を検証する。その後、処分システムの各段階をつなげて、部分的試験で承認される方法の適合性を分析するため、最終処分に関係する機器・装置及び作業方法の統合作動試験を実施する計画である。なお、統合作動試験は、地下の処分施設と地上のキャニスタ封入施設について、それぞれ個別に実施される。

YJH-2015報告書によると、2022年頃の開始を予定している統合作動試験では、地下の実環境で、実際の処分操業で使用するキャニスタ搬送・定置装置、緩衝材定置装置等の機器・装置を用いて、使用済燃料が封入されていない模擬の銅キャニスタを使用することを除いて、実際の操業条件で処分試験が行われるとしている。また、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)から使用済燃料の取扱いに関する許可を得た後、2023年頃に使用済燃料の取扱いを含めた「原子力統合作動試験」を実施するとしている。

 

【出典】