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《フィンランド》使用済燃料処分場の建設状況:最初の処分坑道の掘削等が完了

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、エウラヨキ自治体オルキルオトにおいて、2016年12月から使用済燃料処分場の建設を開始している。着工から丸6年を迎えた2022年12月5日付けの同社プレスリリースにおいて、処分場建設の進捗状況を公表した。

図1:使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

図1:使用済燃料処分場のイメージ図(出典:ポシヴァ社(Source: Posiva))

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のバルト海沿岸部にあるオルキルオト島にあり、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。

地下の最終処分場では、2021年5月から実際の処分に使用する5本の処分坑道の掘削が行われていたが、本年2022年6月に掘削が完了した。5本の処分坑道の総延長は1,700mであり、これらの坑道の床面から鉛直方向に掘削する180本の処分孔を設置できる長さにあたる。この処分孔の掘削に使用する掘削装置がドイツの企業から2022年6月に納入された。ポシヴァ社は2023年から、一連の処分操業での作業を検証するため、模擬廃棄体を用いた統合機能試験を実施する予定であるが、ドイツ製の処分孔掘削装置により、地下での統合機能試験が行われる坑道において試験用処分孔の掘削も行われていた。

図2:銅-鋳鉄キャニスタ(出典:ポシヴァ社(Source: Posiva))

また、地上のキャニスタ封入施設については、2019年6月より建屋の建設が開始されていたが、2022年5月に予定通りに建屋が完成し、建設会社からポシヴァ社に引き渡された。キャニスタ封入施設は、原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料を輸送キャスクに収納された状態で受け入れ、処分用の銅-鋳鉄キャニスタ(外側が銅製、内側が鋳鉄製)に使用済燃料を移し替えて封入する施設である。キャニスタ封入施設では、使用済燃料を乾燥した後に処分用キャニスタに収納し、アルゴンガスが充填される。キャニスタの蓋部分は「摩擦撹拌溶接法」(friction stir welding、FSW)と呼ばれる方法により溶接され、放射性核種が漏洩しないように使用済燃料が処分用キャニスタ内に密封される。

ポシヴァ社は建屋の引き渡しを受けた後、キャニスタ封入施設内の操業で用いられる機械・装置類の設置等を進めている。2022年10月には使用済燃料の乾燥装置がキャニスタ封入施設内に据え付けられ、試運転が完了している。また、2022年11月にはキャニスタ溶接装置の搬入・据え付けが行われた。その他、放射線量が高い使用済燃料を遠隔操作するためのマニピュレータもキャニスタ封入施設内に設置されている。

■今後の予定

ポシヴァ社は、実際の使用済燃料を収納したキャニスタの処分開始を2020年代半ばに開始する意向であり、まずは2023年に予定している総合機能試験を完了させた後、2021年末に提出した使用済燃料処分場の操業許可申請書を更新する予定である。ポシヴァ社は、同社を共同出資によって設立した2つの電力会社であるテオリスーデン・ヴォイマ社(TVO社)とフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(FPH社)が現在運転している計4基の原子炉から発生する使用済燃料4,000トン(ウラン換算)を処分するとしており、2023年に商業運転を開始予定のTVO社のオルキルオト原子力発電所3号機から発生する使用済燃料の処分については、2070年以降にポシヴァ社が別途の操業許可申請を行う予定である。

【出典】

(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-11 )