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《フィンランド》使用済燃料処分場の建設状況:ポシヴァ社が処分坑道の掘削を開始

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

使用済燃料の処分概念(出典:Posiva Oy)

フィンランドにおける高レベル放射性廃棄物(使用済燃料)の処分実施主体であるポシヴァ社は、2021年5月7日付けプレスリリースにおいて、2016年12月に開始した使用済燃料処分場の建設状況に関して、地下約450メートルにおいて最初の処分坑道5本の掘削工事を開始したことを公表した。処分坑道は、高さ4.5m、幅3.5m、最長350mであり、1本の処分坑道に使用済燃料を収納したキャニスタ約30体(使用済燃料約65トンに相当)を定置することができる。ポシヴァ社は、処分坑道5本の掘削に約18ヶ月を要すると見込んでいる1

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

使用済燃料処分場のイメージ図(出典:Posiva Oy)

使用済燃料処分場は、フィンランド南西部のエウラヨキ自治体オルキルオト島に位置しており、地上のキャニスタ封入施設と地下400~450mに設置される最終処分場で構成される。今回の処分坑道の掘削開始にあたってポシヴァ社は、安全規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)による事前確認を受けており、STUKは掘削作業を開始するための規定された前提条件が満たされていることを確認している。ポシヴァ社が実際に使用済燃料を処分するには、別途、政府による処分場の操業許可を取得する必要がある。

 

EKAプロジェクト

ポシヴァ社は使用済料処分場の操業開始を2020年代半ばに予定しており、これに向けてEKAプロジェクトと呼ばれるプロジェクトを2019年に開始している。EKAプロジェクトの作業項目には、地上のキャニスタ封入施設の建設、地下の処分施設への最終処分用システムの設置、最終処分方法や施設とそのシステムに必要な許可の取得、処分場整備に必要なサプライチェーンの準備などが含まれており、プロジェクト費用は約5億ユーロ(約620億円、1ユーロ=124円で換算)と見積もられている。また、EKAプロジェクトの雇用効果としては、最大約500人が雇用され、エウラヨキ自治体を含むサタクンタ地域において約2,500人年の雇用が生まれると推定されている。プレスリリースによれば、現在、地下の処分施設エリアでは約数十社の下請け業者が参加して300人が働いている。

【出典】

  1. ポシヴァ社は、使用済燃料を最大6,500トンの受け入れに対応可能な処分場を計画しており、処分場の操業期間100年間にわたって処分坑道を100本掘削する予定であり、処分坑道の総延長は約35kmになる。 []

(post by t-yoshida , last modified: 2023-10-17 )