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《フィンランド》ロヴィーサ原子力発電所において低中レベル放射性廃棄物処分場の操業許可条件の変更を承認

フィンランド政府は2023年3月30日に、ロヴィーサ原子力発電所の敷地内に設置している低中レベル放射性廃棄物処分場について、操業期間延長と施設拡張計画を含む操業許可条件の変更を承認した。同発電所及び処分場を操業するフォルツム・パワー・アンド・ヒート社(以下「FPH社」という)は、1号機と2号機の運転期間を2050年まで延長するとともに1、低中レベル放射性廃棄物処分場の操業期間を従来の2055年から35年間延長して2090年とする申請を2022年3月に行っていた。FPH社の親会社であるフォルツム社によれば、今回の操業許可条件の変更は、フィンランドと欧州のカーボンニュートラルの目標達成を支援し、信頼性が高く、競争力があり、持続可能なエネルギーシステムの構築を目的としている。原子炉の運転期間延長についてはすでに、フィンランド政府が2023年2月16日に承認していた。

■ロヴィーサ低中レベル放射性廃棄物処分場の施設拡張計画

図:ロヴィーサ原子力発電所・低中レベル放射性廃棄物処分場イメージ図(出典:フォルツム社(Source: Fortum)灰色部分は既設、緑色の部分は今後拡張される処分空洞を示す。)

ロヴィーサ原子力発電所の低中レベル放射性廃棄物処分場は、発電所敷地内の地下110mの岩盤中に設けられており、1998年に操業が開始された。地下施設は、中レベル放射性廃棄物用の処分空洞が1つ、低レベル放射性廃棄物用の処分空洞が3つで構成されており、既設の4つの処分空洞の容量は約2万9千立方メートルである(右図参照)。低中レベル放射性廃棄物処分場では、これまで同発電所1号機と2号機(いずれもロシア型加圧式原子炉(VVER)であり、それぞれ1977年と1981年に営業運転を開始)の運転で発生した低中レベル放射性廃棄物が処分されてきた。

FPH社は、低中レベル放射性廃棄物処分場の操業期間延長とともに、運転期間を延長した原子炉と将来の廃止措置で発生する廃棄物のほか、国内の他施設で発生する放射性廃棄物も受け入れる計画を申請していた。今回の操業許可条件の変更の承認により、同発電所の運転及び廃止措置で生じる低中レベル放射性廃棄物については5万立方メートルまで、廃止措置で生じる極低レベル放射性廃棄物については5万立方メートルまで、同発電所外から受け入れる放射性廃棄物については2千立法メートルまでの処分計画が認められた2。廃止措置廃棄物を処分する処分空洞の拡張は2040年代後半頃となる計画であるが、処分場の拡張作業は安全規制機関の放射線・原子力安全センター(STUK)による安全確認を受けるまで実施できない。

フォルツム社は、研究炉の廃止措置を実施するフィンランド技術研究センター(VTT)との間で、放射性廃棄物の処理・貯蔵・処分に関する協力協定を締結している。今回の操業許可条件の変更によって、研究炉の廃止措置で発生した放射性廃棄物についても、ロヴィーサ原子力発電所の低中レベル放射性廃棄物処分場で処分される見込みである。

【出典】

  1. ロヴィーサ原子力発電所の運転が2050年まで継続する場合、1号機と2号機の運転期間はそれぞれ73年間と69年間となる。 []
  2. フォルツム社が許可で求めている処分量は、発電所プラントの改造などの特殊な状況に対応するために裕度を持たせており、また、廃止措置廃棄物の正確な特性や量は6年毎に提出することが規定されている廃止措置計画で更新されるとしている []

(post by t-yoshida , last modified: 2023-11-05 )