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このWebサイトでは、諸外国における高レベル放射性廃棄物の最終処分や地層処分の計画の動きに注目し、 "海外情報ニュースフラッシュ"として 最新の正確な情報を迅速に提供しています。 ニュースフラッシュを発行した後も、記事トピックをフォローしています。必要に応じて、情報の"追記"を行っています。


韓国産業通商資源部(MOTIE)は、2019年5月29日のプレスリリースにおいて、「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)を設置し、使用済燃料の管理政策の見直しに本格的に着手したことを公表した。今後、再検討委員会は、2016年に策定された「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)について、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の漸進的な脱原子力政策に沿った場合の使用済燃料の発生量予測の変化などを踏まえて、使用済燃料の管理政策の枠組みに関する検討を行い、勧告書をMOTIEに提出する予定である。再検討委員会は当面の作業として、原子力発電所の立地地域住民を対象に使用済燃料の管理政策に対する意見を収集する。

2016年にMOTIEが前政権の下で策定した基本計画では、高レベル放射性廃棄物の管理の方針として、①最終処分施設の許認可取得を目的とした地下研究所(URL)、②使用済燃料の中間貯蔵施設、③最終処分施設の3施設を1カ所のサイトにおいて段階的に建設するとし、最終処分施設サイトの選定に12年間を掛けることなどの計画を示していた。MOTIEは、基本計画に沿った法案策定を進めていたが、2017年5月の政権交代を受けて、国会審議は無期限延期となっていた。

文政権の漸進的な脱原子力政策と使用済燃料管理政策の見直し

韓国で2017年10月に閣議決定された「エネルギー転換ロードマップ」では、原子力発電について、計画中の原子炉は建設せず、既設炉も設計寿命を超えた運転を認めない方針としていた。これを受けて、韓国産業通商資源部(MOTIE)は2018年5月に「高レベル放射性廃棄物管理政策の見直し準備団」(以下「準備団」という)を発足させ、基本計画の見直しのための再検討委員会の構成案、国民意見の収集方法などについて2018年11月まで検討を行っていた。

今回設置された再検討委員会の構成についてMOTIEは、韓国社会を代表するように、人文・社会、法律・科学、コミュニケーション・紛争管理、調査・統計などの中立的な専門家15名を集めるとともに、30代から60代の男女がバランスよく構成されるよう配慮したと説明している。

MOTIEは、再検討委員会の独立性を確保するとし、再検討委員会が勧告書を取りまとめる時期について言及していない。また、MOTIEは、再検討委員会が今後提出する勧告書を最大限尊重し、使用済燃料の管理政策を推進する考えを表明している。

表 使用済燃料管理政策再検討委員会委員
氏名 所属 専門分野
チェヒョンソン 明知大学 行政学科 教授

人文・社会

イヒョクウ 培材大学 行政学科 教授
キムジョンイン 水原大学 法・行政学部 教授
ユウォンソク 弁護士

法律・科学

シンヨンジェ 弁護士
キムスヨン KAIST 科学技術政策大学院 院長
チャンボヒェ 弁護士
キムミン 忠北大学 化学科 教授
チョンチョンファ 江原大学 公共行政学科 教授

コミュニケーション・紛争管理

イユンソク ソウル市立大学 都市社会学会 教授
キムドンヨン KDI国際政策大学院 教授
ユギョンハン 全北大学 新聞放送学科 教授
チョンジュジン 平和紛争研究所 所長
パクインギュ 高麗大学 統計学科 教授

調査・統計

キムソクホ ソウル大学 社会学科 教授

【出典】

 

【2019年11月18日追記】

韓国産業通商資源部(MOTIE)が設置した「使用済燃料管理政策再検討委員会」(以下「再検討委員会」という)は、2019年11月12日付けのプレスリリースにおいて、使用済燃料管理政策の再検討に関する意見の収集に向け、専門家検討グループを発足させたことを公表した。専門家検討グループは今後、再検討委員会が国民と原子力発電所の立地地域住民を対象に使用済燃料の管理政策に対する意見を収集する際、提示する専門的資料を作成するほか、再検討委員会が政府に提出する勧告書の作成にも参加する。専門家検討グループは、19名の技術グループと15名の政策グループの2つのサブグループで構成されており、原子力発電所の立地自治体、原子力業界及び再検討委員会からの推薦によってメンバーが選定された。

技術グループ及び政策グループは、それぞれ以下の課題について検討を行う。

・技術グループ:①使用済燃料の発生量と貯蔵施設の飽和時期の見通し、②使用済燃料管理の技術水準、③最終処分・中間貯蔵・一時貯蔵に関する課題

・政策グループ:④使用済燃料管理の原則、⑤使用済燃料政策の決定プロセス、⑥使用済燃料管理施設のサイト選定手順、⑦使用済燃料管理施設の地域支援の原則と方法

再検討委員会のプレスリリースによると、2019年11月8日に専門家検討グループの準備会合が開催され、上記の2つのサブグループの役割や今後の検討スケジュールについて確認が行われた。なお、専門家検討グループのメンバーの氏名や所属、今後の具体的な検討スケジュールは現時点で公表されていない。

【出典】

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)は、2016年5月26日のプレスリリースにおいて、「高レベル放射性廃棄物管理基本計画(案)」(以下「基本計画案」という)を公表し、パブリックコメントの募集を開始した。この基本計画案は、2015年6月末に使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)からMOTIE長官に提出された「使用済燃料の管理に関する勧告」 を踏まえて策定されたものである。MOTIEは、基本計画案を2016年6月17日までパブリックコメントに付した後、2016年6月中旬頃には公聴会等を通じて国民の意見聴取を行い、2016年7月頃、国務総理主宰の原子力振興委員会での審議を経て確定させる予定である。

韓国では、1978年に商業用の原子力発電所が運転を開始し、2015年12月時点で24基の原子炉が運転中である。このうち20基が加圧水型軽水炉(PWR)、4基がカナダ型重水炉(CANDU炉)である。原子力発電所で発生した使用済燃料は、原子力発電所内の使用済燃料プール及び乾式貯蔵施設に貯蔵されており、貯蔵量は2014年3月時点で約1.3万トン(ウラン換算)となっている。

■ 高レベル放射性廃棄物料管理に関する政策の方向性

MOTIEは基本計画案において、高レベル放射性廃棄物の管理について、国民の安全の最優先や現世代による管理責任の負担、廃棄物発生者による管理費用の負担等の原則を示した上で、政策の方向性として下記の事項を示している。

○ 許認可用の地下研究所(URL)、中間貯蔵施設、最終処分施設を1カ所のサイトにおいて段階的に確保する方向で推進する。

  • 科学的サイト調査と民主的方式によるサイト選定(約12年間)を行う。
  • サイト確保後、中間貯蔵施設の建設(約7年間)と許認可用の地下研究所の建設・実証研究(約14年間)を同時に推進する。
  • 許認可用の地下研究所における実証研究後、最終処分施設を建設(約10年間)する。
  • 中間貯蔵施設の操業までは、原子力発電所サイト内で使用済燃料を管理することは不可避である。

○国際協力により、国際共同貯蔵・処分施設の確保にも併行して取り組む。

○ 安全性と経済性の両方の達成を目指す重要な管理技術を適時に確保する。

○ 管理施設の操業に関する情報は常に公開し、地域住民との持続的にコミュニケーションを行う。

使用済燃料の処分施設等に関する所要期間の見込み(基本計画案より作表)

基本計画(案)

※注: 使用済燃料公論化委員会は、最終的な勧告「使用済燃料の管理に関する勧告」(2015年6月29日)において、2051年までに処分施設を建設し、操業を開始するよう勧告していたが、今回MOTIEが公開した基本計画案では、各工程の所要期間の見込みを示しているが、処分場の操業開始年は明示していない。

 

基本計画案では、この他に、処分方式としては、操業中の回収可能性を考慮した地層処分方式を優先して考慮するものの、超深孔処分等の代替研究も国際共同研究として推進すること、使用済燃料の管理・処分費用として約53.3兆ウォン(約4.9兆円)を見込むこと、基本計画の実施のための法令や諮問機関の整備を推進すること等が述べられている。

また、国際共同貯蔵・処分については、経済性と将来の不確実性を勘案して、国内でのサイト選定と並行して推進することとしている。その上で、国際共同貯蔵・処分施設の実現に積極的に対応できるよう、2017年より経済性、安全性、回収可能性等に対する分析と法的検討を推進するとともに、国内での管理施設のサイト選定の進捗度と海外動向を勘案し、推進の要否を決定するとしている。

■ 使用済燃料管理サイトの選定について

使用済燃料の中間貯蔵施設と処分施設の両方を立地するサイトの選定については、地質調査等によるサイトの適合性評価のための科学的な妥当性確保と、地域住民の意思を確認する手順の順守、サイト選定等に対する客観的で透明性の高い手続きと方式を規定する法制度を整備するとしている。MOTIEはサイト選定手続きを以下のステップで進めるとしており、(1)~(4)に8年間、(5)に4年間で、全体で12年間の所要期間を見込んでいる。

(1)不適合な地域の除外
(2)サイトの公募
(3)基本調査
(4)住民の意思の確認
(5)詳細調査

地下研究所については、処分施設と同一サイトにおける、処分施設の許認可申請データの取得のための地下研究所の建設に先立ち、別途、研究用の地下研究所(Generic URL)を建設し、処分施設のサイト選定、設計、建設、操業等のために処分システムの研究を行うとしている。研究用の地下研究所の確保と操業には約10年間、その後の許認可用の地下研究所の建設・操業には約14年間の所要期間を見込むことが示されている。また、許認可用の地下研究所での実証研究を10年間以上実施した後、処分施設へと拡大するとしている。

 

【出典】

【2016年8月25日追記】

韓国産業通商資源部(MOTIE)は、「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)の原子力振興委員会1 による審議・承認を受け、「高レベル放射性廃棄物管理手続きに関する法律」の法案を策定した。本法案は、2016年8月11日から9月19日までの間にパブリックコメントに付された後、国会審議等を経て、2016年内の制定が見込まれている。
「高レベル放射性廃棄物管理手続きに関する法律」は、高レベル放射性廃棄物管理委員会の設置、サイト選定手続き等を定めるものであり、基本計画に盛り込まれた政策を実施することを目的としたものである。法案の骨子は以下のとおりである。

第1章:総則
第2章:高レベル放射性廃棄物管理委員会
    委員会の設置、構成・運営等を規定
第3章:サイト適合性調査手続き
    適合性調査計画の策定、基本調査及び精密調査、サイト予定地の確定、
    誘致地域支援委員会の設置、構成・運営等を規定
第4章:管理施設の建設・操業
    管理施設の建設計画、操業時の管理基準等を規定
第5章:附則
第6章:罰則

なお、基本計画は、2016年7月25日の第6回原子力振興委員会において、審議・承認された。基本計画の承認に関する国務調整室(OPC)、韓国産業通商資源部(MOTIE)、韓国未来科学創造部(MSIP)による、2016年7月25日付の共同プレスリリースでは、「高レベル放射性廃棄物管理手続きに関する法律」の立法過程における地域説明会等を通じ、ステークホルダーとの継続的なコミュニケーションを図り、基本計画の5年毎の見直しに反映するとしている。

 

【出典】

 

【2018年5月15日追記】

韓国政府は、朴槿恵(パク・クネ)前政権当時の第6回原子力振興委員会(2016年7月25日開催)において審議・承認された「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)の見直しに着手した。

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)は2018年5月11日、「高レベル放射性廃棄物管理政策再検討準備団」(以下「準備団」という)を発足させ、基本計画の再検討のための委員会(以下「再検討委員会」という)の設置に向けた準備作業を開始することを発表した。

準備団のメンバーは、政府、環境団体、原子力業界、原子力発電施設立地地域それぞれの推薦による15名から構成され、合意形成分野の専門家や立地自治体の環境監視機関の代表者なども含まれる。準備団は今後、基本計画の再検討の目標、再検討委員会の構成案、再検討すべき議題の特定、国民の意見の収集方法について検討し、2018年8月頃、MOTIEに対して政策建議書を提出する予定である。

【出典】

 

【2018年9月14日追記】

韓国産業通商資源部(MOTIE)は、「高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)の見直しのために2018年5月11日に発足させた「高レベル放射性廃棄物管理政策再検討準備団」(以下「準備団」という)について、活動期間を2カ月延長することを発表した。準備団は、発足以降の約4カ月の活動の結果、基本計画の再検討のための委員会(以下「再検討委員会」という)の円滑な運営につなげるためには、さらに議論を深める必要があるとして、活動を2018年11月12日まで延長することを議決した。準備団は、当初は2018年8月頃としていた政策建議書の提出について、2018年11月末までにMOTIEへ提出するよう予定を変更した。

MOTIEは、準備団から提出される政策建議書を最大限尊重して再検討委員会の構成や運営方法を決定し、2018年内にはこれを公表する計画である。

【出典】


  1. 原子力振興委員会は、原子力振興法に基づいて設置される非常設の委員会であり、国務総理が主宰し、原子力の利用に関する重要事項を審議・議決するための政府の意思決定機関である。 []

韓国の中・低レベル放射性廃棄物処分場である「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の第1段階施設(地下空洞処分施設、処分量10万本)の竣工式が2015年8月28日に行われ、一般市民を含む1,000名以上が参加した1 。竣工式では、来賓による地下空洞処分施設の視察や、本事業の功労者44名の表彰が行われた。なお、本施設では2015年7月13日より廃棄物の処分を開始している

韓国では、中・低レベル放射性廃棄物処分場と使用済燃料の中間貯蔵施設を同一サイトに立地するとした当初の放射性廃棄物管理政策が見直され、2004年12月に、2つの施設の建設を分離して推進する政策が策定された。その後、地域振興策を含めたサイト選定に関する法制度が整備され、中・低レベル放射性廃棄物処分場の誘致に応じた4自治体の中から、住民投票で最も賛成率が高かった慶州市が、2005年11月に中・低レベル放射性廃棄物処分場のサイトとして決定された。第1段階施設の竣工までの経緯は以下に示すとおりである。当初は2010年6月の竣工(工期53か月)を予定していたが、2009年、2012年にそれぞれ竣工予定を延長し、総工期は最終的には90か月に及んでいる。総工費は1兆5,436億ウォンである。

なお、第2段階処分施設(浅地中処分、処分量12万5千本)の建設事業は2019年までの竣工を予定している。

月城原子力環境管理センター第1段階施設の竣工までの経緯
2007年7月 電源開発事業実施計画公示
2008年7月 中・低レベル放射性廃棄物処分施設建設・操業許可発給
2008年8月 工事着工
2009年6月 竣工予定を2010年6月から2012年12月に変更
2010年1月 処分事業主体が韓国水力原子力株式会社(KHNP)から韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)(現 韓国原子力環境公団(KORAD))に移管
2012年1月 竣工予定を2012年12月から2014年6月に再変更
2014年6月 施工完了
2014年12月 使用前検査承認
2015年7月 廃棄物処分を開始(2015年7月13日、ドラム缶16本を処分)

また、韓国政府は月城原子力環境管理センターの立地にあたり、一般支援事業として2007年から2035年までの間、55事業、総額3兆2,253億ウォンの支援を、さらに特別支援事業として3事業の実施および特別支援金3,000億ウォンの支給を約束している。支援事業はおおむね計画通りに推移しているが、遅れが生じている一部の大型事業6件については、「中低レベル放射性廃棄物処分場の誘致に関する特別法」により設置された誘致地域支援委員会に正常化計画を2015年末までに上程し、改善策を講じていくとしている。

一般支援事業の進捗状況(2015年8月時点)
総事業件数および総予算 完了済件数及び執行済予算 進行中件数及び状況

55件
3兆2,253億ウォン

28件
1兆7,165億ウォン

27件
うち6件の大型事業については2015年中に正常化計画を上程予定

特別支援事業の進捗状況(2014年末時点)
項目 状況

韓国水力原子力株式会社(KHNP)の本社移転

2015年末までに完了予定

特別支援金(3,000億ウォン)

2006年5月執行済

陽子加速器事業

総事業費3,143億ウォン(国庫1,836億ウォン、地方費1,067億ウォン、民間125億ウォン)のうち、国庫・民間支援分を執行済

放射性廃棄物搬入手数料

年間約46億ウォン(ドラム缶1本あたり637,500ウォン)

継続事業

 

【出典】

 

【2016年7月29日追記】

韓国原子力環境公団(KORAD)は2016年7月26日、中・低レベル放射性廃棄物処分場である「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の第2段階施設(浅地中処分)の建設に関して、産業通商資源部(MOTIE)から電源開発事業実施計画の承認を受けたことを公表した2

電源開発事業実施計画の承認により、処分施設の建設に必要な手続きのうち、国土開発事業、道路工事、農地転用等の関連法令に関する手続きが完了し、KORADは公共施設(道路、電気、水道施設等)の設置や処分施設建設予定地の整地工事などの基盤整備工事に着手する。なお、今後、KORADが第2段階処分施設自体を建設するには、別途、原子力安全委員会(NSSC)から原子力安全法に基づく建設許可を取得する必要がある。

【出典】
• 韓国原子力環境公団 2016年7月26日付プレスリリース、
https://www.korad.or.kr/krmc2011/user/community/report/report_main.jsp?mode=read&idx=250&rnumValue=248

• 電源開発促進法


  1. 韓国政府からは国務総理、産業通商資源部第二次官が、立地自治体からは慶尚北道(キョンサンプクド)知事、慶州(キョンジュ)市長が、また、電気事業者からは韓国水力原子力株式会社(KHNP)社長が参列している []
  2. 電源開発事業実施計画の承認手続きは、電源開発促進法に定められた原子力施設の建設に必要な手続きのひとつである。同法第3条等の規定により、放射性廃棄物管理事業者である韓国原子力環境公団(KORAD)が建設する放射性廃棄物処分施設は電源設備の付帯施設と位置づけられており、同法の適用を受ける []

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)が設置した使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2015年6月11日のプレスリリースにおいて、「使用済燃料管理勧告(案)」(以下「勧告案」という)を公表した。今回の勧告案は今後、国会での議論を反映させたのち、MOTIE長官に提出する予定としている。

韓国では、中低レベル放射性廃棄物処分場と使用済燃料の中間貯蔵施設を同一サイトに立地する放射性廃棄物管理政策を見直し、これらを分離して推進することとしており 、現在、使用済燃料の管理方策を検討する段階にある。公論化委員会は、使用済燃料の管理方策に対する様々なステークホルダー、一般市民、専門家などからの意見を取りまとめるため、放射性廃棄物管理法 に基づいて2013年11月に設置された政府から独立した民間諮問機関であり、人文社会・技術工学分野の専門家、原子力発電所立地地域の代表、市民社会団体の代表からなる15名により構成されている。

公論化委員会が2013年に策定した公論化実行計画 によれば、国民を使用済燃料から安全に保護する方策のすべてが議論の対象となりうるとしつつも、処分場サイト選定や地域振興など、使用済燃料の管理方策の決定後に議論すべき事項については基本的な原則程度の議論にとどめ、処分前の貯蔵など中・短期的な現実的解決手段について集中的に議論するとしていた。今回の勧告案は、これらの事項について、討論会、円卓会議、タウンミーティング、アンケート、インターネット等の方法を用いて、専門家、市民・環境団体、原子力発電所立地地域住民、一般国民から聴取した意見に加え、「使用済燃料管理方策の課題導出のための専門家検討グループ」による意見書 に基づいて進められた議論を取りまとめたものである。

「使用済燃料管理勧告(案)」において公論化委員会が提言した使用済燃料管理フロー

図1「使用済燃料管理勧告(案)」において公論化委員会が提言した使用済燃料管理フロー

今回の勧告案において公論化委員会は、韓国における使用済燃料管理方策に関する10項目の勧告を行っている。公論化委員会は、使用済燃料の処分施設の操業開始を2051年とすることを勧告しており、その実現に向けて、2020年までに処分施設のサイト、または処分施設のサイトと類似条件の地域を地下研究施設(URL)のサイトとして選定し、2030年には地下研究施設の操業・実証研究を開始(図1)するのが望ましいとしている。また、公論化委員会は、2020年から地下研究施設のサイトで「処分前貯蔵施設」の建設を開始し、現在は各原子力発電所で貯蔵されている使用済燃料を一カ所に集中して貯蔵可能にすることを勧告している。

今回の勧告案には、今後の使用済燃料管理方策の策定・実施に関するロードマップも含まれており、2015年中に韓国政府が「放射性廃棄物管理基本計画」を策定し、関係法令を整備した上で、2016年には政府、民間事業者、国民が共同で出資する「使用済燃料技術・管理公社(仮称)」を設立することが提案されている。

公論化委員会の勧告案に示された10か条の勧告は以下のとおりである。

  1. 使用済燃料の管理方策の最優先原則は国民の安全である。
  2. 現在、各原子力発電所のサイト内の臨時貯蔵施設に貯蔵されている使用済燃料は、貯蔵容量が上限を超えたり、操業許可期間が満了したりするよりも以前に、安定的な貯蔵施設を整備し、移転させることを原則とする。
  3. 政府は2051年までに処分施設を建設し、操業を開始すること。そのために、処分施設サイトまたは処分施設サイトと類似のサイト条件を持つ地域において、地下研究所(URL)用サイトを2020年までに選定して建設に着手し、2030年より実証研究を開始することが望ましい。
  4. 使用済燃料処分施設および地下研究施設が立地する地域に、地域住民のハザード監視のための住民参加型「環境監視センター(仮称)」を設置する。立地地域には、関連研究機関の設置による雇用創出と地域経済の活性化、使用済燃料処分手数料の自治体への納付、および地域都市開発計画策定を支援し、開発初期費用を特別支援金により負担するなどの支援を行うこと。
  5. 処分施設の操業までの間、地下研究施設サイトには処分前貯蔵施設を建設して処分前の使用済燃料を貯蔵可能とすること。ただし、やむを得ない場合には各原子力発電所サイト内に短期貯蔵施設を設置し、処分までの間は貯蔵することも許容する(図1参照)。また、国際共同管理施設の立ち上げのためには緊密な国際協力も必要である。
  6. 各原子力発電所サイト内に短期貯蔵施設を設置する場合には、地域に「使用済燃料貯蔵費用」を支払うこと。透明性が高く、効果的な資金の積み立てのため、住民財団(仮称)を設立・運営する。現在すでにサイト内に貯蔵されている使用済燃料についても、合理的な費用の支払いについて政府・立地自治体間で具体的な協議を行うこと。
  7. 使用済燃料貯蔵、輸送、処分、有害性の低減、減容のための技術開発の優先順位を定め、段階的な細部計画を策定して研究を進めること。このためには規制機関による規制基準策定が急がれる。技術開発を主導する仕組みとしての技術開発統合システムも必要である。
  8. 使用済燃料管理の安全性に加え、責任、安定性、効率性、透明性が担保されることが望ましい。このため、政府、民間事業者、国民が共同で出資する「使用済燃料技術・管理公社(仮称)」を設立することが適切である。
  9. 使用済燃料管理の透明性、安定性、持続可能性を担保し、政策の信頼性を確保するため、「使用済燃料特別法(仮称)」を速やかに制定し、必要に応じ現行関連法を改正すること。
  10. 使用済燃料管理政策を速やかに策定・実行するため、省庁横断的意思決定機関である「使用済燃料政策企画会議(仮称)」および実務推進機関である「使用済燃料政策企画団(仮称)」を政府組織内に設置・運営すること。

 

【出典】

使用済燃料公論化員会 2015年6月11日付プレスリリース、
https://www.pecos.go.kr/activity/news.asp?idx=2387&state=view&menu=10

【2015年7月3日追記】

使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2015年6月11日に公表した「使用済燃料管理勧告(案)」について、2015年6月16日に国会討論会を開催し、その結果を受けて最終案を取りまとめ、2015年6月29日に最終的な勧告「使用済燃料の管理に関する勧告」(以下「最終勧告」という)として産業通商資源部(MOTIE)長官に提出した。

最終勧告では、当初の勧告案(第10条)において政府組織内での設置が規定されていた2つの機関名が改められた。具体的には、省庁横断的意思決定機関の名称が「使用済燃料政策企画会議(仮称)」から「使用済燃料管理長官会議(仮称)」へ、実務推進機関の名称が「使用済燃料政策企画団(仮称)」から「使用済燃料管理対策推進団(仮称)」へとそれぞれ改められた。

公論化委員会は最終勧告において、「政府は使用済燃料管理政策を策定、推進する過程において、必要な情報を正確かつ迅速に提供し、健全なコミュニケーションを継続し、国民及び立地地域住民が関連政策について理解し、合理的に判断できる環境を整えなくてはならない」としている。また、政府が実質的な努力を速やかに進め、政策の推進に必要な信頼を確保することが重要だと強調している。

公論化委員会は、最終勧告の提出をもって20か月にわたる活動を終え、解散する。

【出典】

韓国産業通商資源部(Ministry of Trade, Industry and Energy, MOTIE)が設置した使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という)は、2014年8月11日のプレスリリースにおいて、使用済燃料管理方策の課題導出のための専門家検討グループ(以下「専門家検討グループ」という)から「使用済燃料管理方策に関する課題及び検討意見書」(以下「検討意見書」という)を受領したことを公表した。今後、公論化委員会は、検討意見書に基づいて、使用済燃料管理方策に関する具体的かつ詳細な議論を行う予定である。

専門家検討グループは、使用済燃料管理方策の課題を導出するために公論化委員会が設置した諮問会議であり、地質学、材料学、原子力、経済、社会、法律などの関連分野の15人の専門家で構成されている。今回作成された検討意見書は、このグループが、2014年2月から7月まで行った議論の成果を取りまとめたものである。

検討意見書では、使用済燃料は特別な管理を実施する必要性があることを前提に、現状及び当面の課題、並びに中・長期の管理方法を統合的に検討した上で、現時点で解決すべき課題とこれに対する検討の方向性を示す次の5つの事項を提言している。

1.法律上の用語の再整備

現在の法律で使われている用語の一部には、未定義もしくは適切な定義がされていないため、不必要な誤解と障害を引き起こしていると推測される。これらの用語の定義は、科学技術的基準(放射線量、発熱量、被ばく線量等)に基づいて明確にする必要がある。

  •  例:「一時貯蔵」及び「中間貯蔵」: 「一時」及び「中間」には特に期間は設定されていない。しかし、これらの用語を使って中・長期の管理方法が表現されている。

2.専門家の議論への参加を制度化

使用済燃料を含めた放射性廃棄物の管理方法を準備していく過程で、原子力分野はもとより、岩盤工学、地質学、コンクリート/材料学などのさまざまな分野の専門家が参加し、使用済燃料の貯蔵施設及び貯蔵プール/貯蔵容器の設計(臨界、遮へい、熱、構造などの要素を考慮)、管理などのための徹底的な議論を常時実施することを支援するシステムが必要である。

3.管理方法検討及び処分施設確保作業の継続

すべての中・長期管理方法(永久処分、リサイクル/再処理、長期中間貯蔵)を同時に検討する必要がある。また、許可された乾式貯蔵容器の確保と使用済燃料の貯蔵と処分施設の確保のための努力を同時に推進する必要がある。具体的には以下の事項を実施する必要がある。

  •  乾式貯蔵容器の材料、設計、製作に関する技術開発及び許認可関連基準の設定
  •  永久処分のための関連技術開発及び地質調査の実施

4.放射性廃棄物管理スケジュールの整合性の確保

2016年には既存の使用済燃料貯蔵施設は満杯となる見通しである。中・長期管理方策と整合させつつ直近の貯蔵容量確保を図る対応策も検討する必要がある。

5.複数の使用済燃料管理方法の検討

月城(ウォルソン)原子力発電所の重水炉1 4基から発生する使用済燃料は、他の原子力発電所で導入された軽水炉19基から発生する使用済燃料とは物理的特性が異なるため、工学的な観点からも別の方法で管理する必要がある。

【出典】


  1. 天然ウランを燃料として使用するカナダ型重水炉(CANDU) []

韓国産業通商資源部長官が設置した使用済燃料公論化委員会(以下「公論化委員会」という。)は、2014年1月29日に「公論化実行計画」を策定し、韓国産業通商資源部に提出した。公論化委員会は、放射性廃棄物管理法に基づいて設置された政府から独立した民間諮問機関であり、人文社会・技術工学分野の専門家、原子力発電所立地地域の代表、市民社会団体の代表により構成されている。公論化委員会では、2013年10月に設置された以降、公論化プログラムの第1段階となる実行計画の策定を進めていた。

公論化委員会は、公論化実行計画において「公論化の目的」、「議論の基本原則」、「議論のテーマ」、「議論の方法」及び「スケジュール」を定めたことを受け、第2段階として本格的な議論に着手するとしている。第2段階の初期では、懸案の導出を目的とした議論を行い、その後、多くの時間を国民の意見収集に当てる考えである。2014年10月からは第3段階となる勧告(報告書)の取りまとめ作業を開始し、2014年末に目標が設定されている政府への勧告書の提出を行う予定である。

<使用済燃料公論化のスケジュール>

公論化_スケジュール_小

 

2014年2月3日付の公論化委員会のプレスリリースでは、今回策定された「公論化実行計画」の前提となる、公論化の目的、議論の基本原則、テーマ、方法論について、以下のように説明している。

1.公論化の目的

「国民を保護し、国民が共感できる使用済燃料の管理計画を立案する」ことを公論化の最終的な目的とする。これまで使用済燃料管理の問題については、政府や韓国水力原子力発電株式会社(KHNP)、韓国原子力環境公団(KORAD)などが「どのような管理方策が最善か」という推進側中心の視点から提起していたが、公論化委員会は、国民の視点から「国民の安全」を最優先の課題として、使用済燃料の管理方策を議論するという立場から提起するとしている。公論化委員会は「国民の安全と国民の共感」に基づいた使用済燃料の管理方策を最終目標として提示し、活動の主要課題を「安全」と「共感」に置く。

 2.議論の基本原則

公論化プロセスへの参加者に対して、「責任」、「透明性」、「熟議」、「全体論指向」、「回帰」を公論化委員会の5大原則として提示する。これら公論化の基本原則は、使用済燃料公論化タスクフォース(2008年)が提示した8大原則を基に公論化委員会において再構築したものである。

<使用済燃料公論化のための議論の基本原則>

責任 世代間の公平性を考慮し、根拠のある意見を述べ、発言に伴う道徳的な責任を負う
透明性 公論化進行事項と関連資料を公開し、誰もが容易にアクセスできるようにする
熟議 参加者は同意的な公論を導出する意思を持ち、学習と討論に積極的に参加して熟考して十分に議論する
全体論指向 議論過程においては、技術的・工学的な側面と社会的・法制度的な側面を分離せず、それらを全体的に考慮する
回帰 議論の過程の途上、または意思決定後に重大な問題点が確認された場合には、原点に立ち戻って議論する

3.議論のテーマ

国民を使用済燃料から安全に保護する法案のテーマ全てが議論の対象となる。議論のテーマに対する先入観を排除し、議論の必要がある懸案を公論化プロセスで導出するという視点によるものである。議論の進行においては、使用済燃料管理政策の上位政策である国家エネルギー政策の関連事項を尊重するとともに、次の点に留意する。

  • サイト選定及び地域振興などの使用済燃料管理方策の決定後に議論すべき事項については、基本的な原則程度の議論にとどめる。
  • 使用済燃料公論化タスクフォース(2008年)、使用済燃料政策フォーラム(2011年)などで議論された内容について、可能な限り対応することを議論の原則として提示する。

 4.議論の方法

公論化における議論は、段階的な方法で進める。

議論の最初の段階では、これまでの学習と現場視察を通じて把握された使用済燃料管理の現状を基に、公論化委員会や専門家が参加した議論を通じて懸案(公論化委員会において重視すべき事項を定めたもの)を導出する。

次の段階では、公論化委員会と専門家が導出した懸案に対して、国民、専門家、利害関係者、原子力発電立地地域の住民、市民グループなどからの幅広く意見を収集する。意見の収集方法としては、各種シンポジウム、説明会、フォーラム、公論調査、現場視察、インターネットによる意見収集(懸案別、意見収集対象別)などを活用する予定である。

最終の段階では、収集した意見に関する定量的評価と定性的評価を統合して、使用済燃料管理方策を最終的に評価し、この評価結果に基づく勧告を策定する。

 <議論方法>

公論化_議論の方法_小

 

【出典】

韓国産業通商資源部(MOTIE)1 は、2013年10月30日のプレスリリースにおいて、政府から独立した民間諮問機関である「使用済燃料公論化委員会」(以下「公論化委員会」という。)が発足し、使用済燃料管理方策に関する本格的な公論化プログラム(ステークホルダー、一般市民、専門家などから広範囲な意見の取りまとめ)が開始したことを公表した。今後、公論化委員会が公共討論や公論調査などを含む公論化プログラムを進め、その結果に基づいて、2014年末までに勧告を韓国政府に提出する計画である。

公論化委員会は、放射性廃棄物管理法の規定に基づいて韓国産業通商資源部長官が設置するものであり、2012年11月に当時の韓国知識経済部(現在は韓国産業通商資源部)が策定した「使用済燃料管理対策推進計画」において、公論化委員会の機能や委員構成の考え方などが定められた。プレスリリースによれば、公論化委員会の委員構成は、人文社会・技術工学分野の専門家7名、原子力発電所立地地域の代表5名、市民社会団体の代表3名の計15名である。韓国政府は、2013年1月から約9ヵ月間にわたって原子力発電所立地地域、民間団体、政治家、専門家などとの50回以上の説明会、懇談会・討論会などを開催し、寄せられた意見を踏まえて委員会を構成したとしている。

  • 人文社会・技術工学分野の専門家7名:委員選定過程での公正と透明性を確保するため、民間委員で構成する「公論化委員推薦委員会」を設置し、委員候補を選定。
  • 原子力発電所立地地域の代表5名:原子力発電所立地地域に対して、巡回説明会、地方自治体懇談会などを通して公論化推進について共感を醸成し、当該地方自治体から5名の公論化委員を直接推薦。
  • 市民社会団体の代表3名:環境団体・市民社会団体との持続的な議論を通して民間団体を代表する3名の委員候補を推薦。

プレスリリースによれば、公論化プログラムは、専門家、市民・環境団体、原子力発電所立地地域住民、一般国民などの様々なステークホルダーから使用済燃料の管理方策に対する具体的な意見を聴取することを意図したプロセスである。今回の公論化プログラムは、過去に経験した社会的葛藤を繰り返さずに社会で共感できる使用済燃料の管理方策を探るための国民的議論過程であり、使用済燃料管理のための特定の施設のサイト選定を目的とした手続きではないとしている。公論化プログラムに係る全ての過程は公論化委員会が独自に定め、多くの国民が参加できるように公開で進められる予定である。韓国政府は、2014年末までに公論化委員会が取りまとめる勧告を基にして、使用済燃料管理対策基本計画を策定する計画である

 

公論化の工程V4

図 予定されている公論化の段階

韓国政府は、公論化委員会が使用済燃料の管理に対する公論化プログラムを円滑に遂行するため、公論化委員会に対して財政的・行政的に支援する役割を担う計画である。また、公論化プログラムで委員会と関係部署間の疎通及び協力を強化するため、国務調整室を主管とする汎部署協議体2 を設置する計画である。

なお、韓国では毎年約700トン以上の使用済燃料が発生しており、現在、各原子力発電所のサイト内で中間貯蔵されている。サイト内の中間貯蔵容量は2016年には貯蔵容量の限度に達する見込みである。貯蔵施設の拡充等を行ったとしても、2024年には貯蔵容量が不足する時期を迎えるとされている。

 

【出典】


  1. 韓国知識経済部(MKE)は2013年3月8日に、韓国産業通商資源部(MOTIE)に改編された。 []
  2. 国務調整室第2次長、並びに産業通商資源部及び未来創造科学部などの室長級で構成する協議体。 []

2012年11月20日付の韓国教育科学部(MEST)のプレスリリース及び翌日の政府広報によれば、11月20日に開催された第2回原子力振興委員会1において、「使用済燃料管理対策推進計画」が審議・議決を経て確定され、今後の使用済燃料管理方策の策定に向けた議論の枠組みとスケジュールが示された。また、同日の委員会では、「原子力施設廃止措置技術開発計画」も確定され、関連する中核技術に関する今後の研究開発方針が示された。

政府広報及びMESTのプレスリリースでは上記の議決内容に加えて、政府広報では「使用済燃料管理対策推進計画」について、MESTでは「原子力施設廃止措置技術開発計画」について、上記の第2回原子力振興委員会を経て確定されたそれぞれの計画内容や関連する補足情報が報道資料として公表されている(政府広報での補足情報に関する報道資料は韓国知識経済部(MKE)が作成)。

使用済燃料管理対策推進計画

放射性廃棄物管理法は、韓国知識経済部(MKE)長官に放射性廃棄物管理基本計画の策定を要求している。MKEのプレスリリース等によれば、今回確定された使用済燃料管理対策推進計画は、国民的なコンセンサスを得て使用済燃料管理計画を策定すべきとした2004年の原子力委員会(現原子力振興委員会)の議決を踏まえてMKEが策定したものである。具体的には、使用済燃料管理方策を含む放射性廃棄物管理基本計画(基本計画)を2014年までに策定することを目標として、基本計画策定の方針、策定までの議論の枠組みならびにスケジュール等について、次のように計画している。

  1. 基本計画の策定方針として(特に使用済燃料管理方策について)、安全性を最優先として、短・中期的対策と長期的対策を区分した取組を計画する。関係する管理施設の新設等に関連して、地域住民と将来世代に対する社会的負担に対して、国民が共感できるレベルでの支援方策を講ずる。
  2. 基本計画の今後の具体化においては、社会的コンセンサスを得るために、放射性廃棄物管理法の規定に基づく「公論化委員会」を2013年上半期に設置する。
    • 公論化委員会は政府から独立した民間諮問機関として、人文・社会科学、技術工学分野、市民・社会系ならびに原子力発電所の地域代表などで構成される。
    • 公論化委員会では、討論会、説明会、公聴会などの多様なプログラムをとおして、国民に対する公論化を推進する。
    • 公論化委員会における議論のテーマは限定されないが、使用済燃料管理に関する中間貯蔵に先立つ乾式の暫定貯蔵の実施など、主に短・中期的な現実的対策案の検討が集中的に行われることが想定される。

    ※MKEから公表されている使用済燃料管理対策推進計画によれば、放射性廃棄物管理法に基づいて政府から独立した民間の諮問機関として設置される公論化委員会には、右図のような独立的な権限と責任が付与される。また、韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)、韓国水力原子力株式会社(KHNP)、韓国原子力安全技術院(KINS)、韓国原子力研究所(KAERI)ならびに韓国原子力文化財団(KNEF)などで構成される公論化支援団体が公論化委員会の活動を支援する予定である。

  3. 公論化委員会の活動結果は、2014年までに政府への勧告として原子力振興委員会及びMKEに提示され、MKEは同勧告を反映して、関連する新たな管理施設等に関するサイト選定計画及び投資計画を含む基本計画を同年中に策定する。

 

今回確定された使用済燃料管理対策推進計画に関する公論化のプロセスを中心とした上記計画の工程は以下のとおりであり、MKEは、2014年に「放射性廃棄物管理基本計画」を策定した後、2015年以降にサイト選定などの関連の手続に着手するとしている。

  • 公論化の事前準備(2012年12月~2013年3月):公論化推進に係る詳細な方策の策定、公論化支援団体の設置など
  • 公論化委員会の設置・運営(2013年4月~2014年):中間貯蔵の方法(位置、運営期間、方法など)、サイト選定手順、誘致地域の支援方策などを含む政府への勧告案の作成
  • 「放射性廃棄物管理基本計画」の策定(2014年):放射性廃棄物管理施設のサイト選定計画及び投資計画などを含めた、放射性廃棄物管理法に基づく基本計画の策定
  • 公論化委員会の勧告を反映して、必要に応じてサイト選定などの関連施策への着手 (2015年以後)

図1 使用済燃料管理対策推進手順(案)

 

なお、韓国では2011年11月に「使用済燃料政策フォーラム」を設置し、使用済燃料の管理政策や管理政策の策定のための公衆協議の方法などに関する議論が行われていた。使用済燃料管理対策推進計画によれば、使用済燃料政策フォーラムは2012年9月に政府への勧告書を取りまとめ、韓国知識経済部(MKE)に提出していた(後述の「参考」に勧告内容を整理)。同フォーラムによる14項目の勧告のうち次の2つの項目について、今後公論化委員会によって本格的な議論が行われる予定である。

  • 2024年までに使用済燃料の中間貯蔵施設の建設を完了すること
  • 暫定貯蔵施設の設置、暫定貯蔵方法(フォーラムは暫定的な貯蔵施設として、モジュラー型の乾式貯蔵施設を勧告)、サイト選定手順の作成など

 

原子力施設廃止措置技術開発計画

韓国教育科学部(MEST)のプレスリリースによれば、第2回原子力振興委員会では、「原子力施設廃止措置技術開発計画」の審議・議決も行われ、計画が確定されている。同計画は、2025年以降に拡大が見込まれる国際的な廃止措置市場への参画を目指して、関連研究開発を長期的な観点から体系的に推進し、廃止措置技術分野における先進国との競争力を向上させる方針である。具体的には、これまでの10年間の研究開発成果も踏まえた現状の技術レベルの評価を踏まえ、今後10年間の研究開発の方針や取組を次のように計画している。

  • 廃止措置市場への進出に必要となる中核基盤技術として抽出された38項目の技術のうち、先進国の技術レベルに達していない21項目の技術について、2012年からの10年間で1,500億ウォン(政府1,300億ウォン、民間200億ウォン)を投資して技術開発を完了させ、廃止措置に関する中核技術を先進国のレベルに引き上げる。
  • 原子力先進技術センターの指定などを通して人材を養成する一方、400億ウォンを投資して産学研が共同で活用できる「原子力廃止措置技術研究センター」を設立する。

 

参考:使用済燃料政策フォーラムの勧告

韓国における使用済燃料の管理政策や、管理政策の策定のための公衆協議の方法などについて議論するために、2011年11月に使用済燃料政策フォーラムが設置された。使用済燃料政策フォーラムは、議論の結果を基に、2024年までに使用済燃料の中間貯蔵施設を建設完了するための使用済燃料の管理方策及び公論化の方向性に関する政府への勧告案を取りまとめ、2012年8月に韓国知識経済部(MKE)及び原子力振興委員会に提出した。

使用済燃料の管理政策の策定原則、公論化の推進、公論化のテーマ、原子力発電所の立地地域の補償など、全14項目で構成される使用済燃料政策フォーラムの政府への勧告は以下のとおりである。

<使用済燃料の管理方策に係る勧告(6項目)>

  • 管理政策は、透明性と説明責任を基本に関連手順により決定。
  • 管理政策を中間貯蔵と恒久的な処分に区分して策定し、暫定貯蔵(サイト内貯蔵)は中間貯蔵のための準備段階とする。
  • 中間貯蔵方策の策定のために安全、保安、可逆性、費用に対する基準を設定し、最適な方策を導出。
  • 中間貯蔵施設の建設・運営に必要な規制基準を法制化して、貯蔵期間及び手順を早急に決定。
  • 2016年には暫定貯蔵(サイト内貯蔵)施設が満杯になるとして、2024年以前に中間貯蔵施設の建設を完了。
  • 暫定貯蔵(サイト内貯蔵)施設から中間貯蔵施設までの運搬経路・容器に対して十分に検討して技術開発に着手。

<公論化の勧告(6項目)>

  • 管理政策決定の緊急性を考慮して、早急に公論化に着手、このために公論化委員会を構成。
  • 公論化委員会は、使用済燃料に関する正確な事実を国民に伝え、社会的な熟慮を基に最善の管理方案を導出。
  • 公論化委員は、使用済燃料の管理及び社会との意思疎通に学識と経験がある者で構成され、原子力発電所の地域代表の参加が原則。
  • 公論化の議論テーマは、議論の効率性のために、中間貯蔵を中心テーマとして扱うが、他の管理方策に対する議論を制限しない。
  • 公論化委員会は、使用済燃料の管理問題に対する認識を共有し、乾式の暫定貯蔵(サイト内貯蔵)施設の設置、中間貯蔵方法・サイトの選定手順と制度などに対して議論。
  • 公論化の統合性、独立性、透明性を考慮して、公論化委員会の地位を格上げ。

<その他の勧告(2項目)>

  • 管理政策決定のための主要事項を法律で定めて関連制度を整備。
  • 地域住民及び将来世代が負うことになる社会的負担に対して、国民が同意できるレベルでの補償又は支援。

 

【出典】


    1. 原子力振興委員会は、原子力振興法に基づき原子力政策に関する重要事項を審議議決する組織であり、委員長となる国務総理と、財政・外交・教科・知識経済部の各長官及び民間委員4名の委員で構成される。2011年に従前までの原子力法が改正され、原子力の安全管理に関する「原子力安全法」と原子力の利用(研究・開発・生産・利用)に関する「原子力振興法」とに分離された。この改正を受けて、原子力法に基づき設置されていた「原子力委員会」は「原子力振興委員会」へと改組された。 []

韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)は、2012年1月13日付のプレスリリースにおいて、建設中の中・低レベル放射性廃棄物の処分場である慶州市の「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の竣工予定を再度変更し、2014年6月としたことを公表した。

月城原子力環境管理センターは2008年8月に着工した。当初は2010年6月の竣工(工期53ヶ月)を予定していたが、2009年6月には、竣工時期が予定から2年以上遅れた、2012年12月に変更された。今回、さらに18ヶ月工期が延長(総工期71ヶ月)されることになる。

KRMCは、2011年10月に新体制になった後、処分場建設事業全般に対して精密な見直しを実施した。その結果として、工法の改善にもかかわらず工期が不足するという結論に至ったとしている。延期の理由として以下の3点をあげている。

  • 岩盤特性を反映した設計の再検討の結果、建設予定の6つの処分坑道のうち、第1、第2処分坑道の工期として7ヶ月程度の延長を要する。
  • 地下水の湧水量の増加にともなう進入坑道の掘削工事に5ヶ月の延長を要する。
  • 処分坑道の施工のための設計審査に約3ヶ月(2011年1月~2011年3月)を要するほか、進入坑道のライニング工事に別途3ヶ月を要する。

さらに、KRMCは、処分場の安全性について、これまでにも許認可審査過程や国内外の専門機関による確認を受けているが、韓国国民の不安を解消するため、今後、海外の専門機関による安全性の検証を進めることを明らかにした。また、原子力発電所で発生している中・低レベル放射性廃棄物については、2010年12月に操業を開始した貯蔵施設での貯蔵容量を増やすことで、管理に支障がないようにするとしている。なおプレスリリースによると、処分場の施工会社から、処分場を部分的に竣工させることにより、処分場の建設と操業を並行して進める代替案の提示を受けていたが、KRMCは、工期を延長してでも安全に操業するほうが望ましいと判断したとしている。

【出典】

 

【2014年7月4日追記】

韓国放射性廃棄物管理公団(KORAD)は、2014年6月24日付のプレスリリースにおいて、慶州市で建設中である中・低レベル放射性廃棄物処分施設「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の建設工事が2014年6月30日に完了し、2014年7月中旬に竣工検査を実施予定であることを公表した。

この発表に先立ち、KORADの監督官庁である韓国産業通商資源部(MOTIE)は、 2014年6月23日付の告示において、月城原子力環境管理センターの建設事業の事業期間が2014年6月末の予定から2014年12月末に延長される見通しであることを公表した。MOTIEは、建設事業期間の延長の理由について、中・低レベル放射性廃棄物処分施設の操業開始に必要な許認可を取得するため、必要な協議等の期間を暫定的に確保するためと説明している。

建設事業期間の変更(MOTIE発表)

変更前:2007年7月~2014年6月(総工期84カ月)

変更後:2007年7月~2014年12月(総工期90カ月)

【追記部出典】

【2014年12月15日追記】

韓国原子力環境公団(KORAD)は、2014年12月11日付のプレスリリースにおいて、原子力安全委員会(NSSC)による使用前検査の結果の承認により、中・低レベル放射性廃棄物処分施設「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の第一段階の処分施設(地下空洞型処分)の操業が可能になったことを公表した。

 月城原子力環境管理センターは、2008年7月に建設・操業に係る 許可を受けていた。今回の原子力安全委員会により承認を受けた処分施設に係る使用前検査は、原子力安全委員会の規制支援機関である韓国原子力安全技術院 (KINS)が「原子力安全法施行令」第101条の規定に基づいて約6年間にわたって実施してきた。

今後、韓国原子力環境公団(KORAD)は、今回承認された第一段階の処分施設の建設事業の完了を受け、第二段階の処分施設の建設事業(浅地中処分、事業期間:2012年1月~2016年12月)を推進していくとしている。

【追記部出典】

【2015年7月16日追記】

韓国原子力環境公団(KORAD)は、慶州市の中・低レベル放射性廃棄物処分場「月城(ウォルソン)原子力環境管理センター」の第一段階の地下空洞型処分施設において、2015年7月13日より廃棄物の処分を開始した。2015年7月13日付のプレスリリースにおいては、同日に容量200リットルのドラム缶に封入された廃棄物16本を処分し、2015年末までに計3,008本を処分する計画としている。 第一段階の処分施設は、地表から深さ80~130mに建設されたサイロ6基から構成されており、ドラム缶10万本分の廃棄物を処分できる。

【追記部出典】

韓国政府の知識経済部(MKE)1は、2011年9月2日付のプレススリリースにおいて、使用済燃料の管理政策を確立する方針を示し、原子力専門家が検討して「技術的に可能なオプション」を取りまとめた報告書の提出を近く受ける見通しであること、本報告書に対する意見を取りまとめる計画であることを明らかにした。また、MKEは、ステークホルダーの代表から構成される「使用済燃料政策フォーラム」を組織し、政策に関する提案を取りまとめる考えを示している。最終的には、原子力委員会2での審議・議決をへて、国の使用済燃料管理政策の「基本原則」を策定する計画としている。

MKEのプレスリリースによると、使用済燃料管理の「技術的に可能なオプション」の検討は、韓国の原子力学会を中心としたコンソーシアム3が2009年12月から2011年8月まで(20ヶ月間)で実施したものである。コンソーシアムの最終報告会が、2011年9月2日に韓国原子力研究所(KAERI、テジョン)で開催された。

現在、韓国では、使用済燃料は4カ所の原子力発電所で貯蔵されている。原子力学会のコンソーシアムは、今後の短・中・長期での技術的に可能な管理方策を検討している。短期オプションとしては、①発電所間での移送、②既存の湿式貯蔵施設での稠密ラックへの交換、③乾式貯蔵施設の新設―があり、これらによって2024年までの貯蔵容量を確保できるとしている。中期オプションとしては、集中中間貯蔵施設、または既存の原子力発電所内における中間貯蔵施設の建設の必要性を指摘している。長期オプションについては、今後の再処理・最終処分の国際動向や、国内で実施している乾式再処理技術の研究の成果を勘案して継続検討が必要としている。

今後、MKEは、地域、NGO、消費者団体、言論、法曹界、学界などから推薦された、30~50人で構成される「使用済燃料政策フォーラム」において検討し、必要に応じて、討論会・懇談会などの意見収集の機会を設ける考えである。

【出典】

  • 韓国知識経済部(MKE)報道資料 2011年9月2日
  • 原子力法
  • 放射性廃棄物管理法

【2011年11月30日追記】

知識経済部(MKE)は、2011年11月25日付のプレスリリースにおいて、「使用済燃料政策フォーラム」の委員を任命し、同フォーラムを設置したことを明らかにした。同フォーラムは、2011年11月から2012年4月までの期間に、韓国における使用済燃料の管理政策や、管理政策の策定のための公衆協議の方法などについて議論する予定である。

「使用済燃料政策フォーラム」の委員は、原子力発電所の所在する自治体の代表4名、人文科学系の専門家12名、理工系の専門家7名の計23名で構成されている。

「使用済燃料政策フォーラム」では、使用済燃料管理の具体的な政策と、政策の策定のための手続き的側面が検討される。具体的な検討内容は、次に示すとおりである。

○短・中・長期の、使用済燃料管理の具体的な政策

  • 発電所内での貯蔵容量の拡大
  • 中間貯蔵の方法と期間
  • 再処理の実施や最終処分などの長期政策

○管理政策の策定のための手続き的側面

  • 公衆協議の方法や手続き
  • そのための組織の構成
  • 意見を求めるべき範囲など

【追記部出典】

  • 知識経済部(MKE)報道資料 2011年11月25日

  1. 韓国の「部」は、わが国の「省」に相当 []
  2. 原子力法によると、原子力委員会は、国務総理を長とし、原子力利用に関する重要事項を審議・議決する。 []
  3. 原子力学会コンソーシアムは、原子力学会、放射性廃棄物学会に加えて、社団法人グリーンコリア21フォーラムによって構成されている。 []