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韓国産業通商資源部が「高レベル放射性廃棄物研究開発ロードマップ(案)」を公表

韓国の産業通商資源部(MOTIE)は2022年7月20日に、「高レベル放射性廃棄物の研究開発ロードマップ(案)」を公表した。本ロードマップ案は、2021年12月7日にMOTIEが案を公表し、同年12月27日に第10回原子力振興委員会において確定した「第2次高レベル放射性廃棄物管理基本計画」(以下「基本計画」という)の後続措置である。基本計画では、「高レベル放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処分の能力向上と効率的な管理のために必要な技術を持続的に開発すること」を示していた。 MOTIEはロードマップ案の副題として「高レベル放射性廃棄物の安全な管理のための技術的な青写真(ブループリント)」を付しており、必要な技術を段階的に確保していく上で、スケジュールの明確化と体系的な研究開発を推進する必要性を強調している。

図 韓国産業通商資源部が公表した高レベル放射性廃棄物研究開発ロードマップ(案)

図 韓国産業通商資源部が公表した高レベル放射性廃棄物研究開発ロードマップ(案)

ロードマップ案では、輸送、貯蔵、サイト、処分の4分野の104の要素技術を抽出しており、専門家へのアンケート調査やレビューグループでの議論等を踏まえ、高レベル放射性廃棄物の管理に関する先進国での開発状況と比較した達成度を分析し、①既に国内で技術が開発済のもの、②開発中のもの、③今後開発が必要なものに分類している。これらの分析をもとに、それぞれの要素技術が必要となる時期に対応する技術開発スケジュールとして、輸送と貯蔵に関する技術は2037年、サイトに関する技術は2029年、処分に関する技術は2055年までに技術開発を完了させるとした目標が示されている。また、研究開発には1997年から2022年の間に合計4,000億ウォン(約382億円、1ウォン=0.0956円として換算)を投資しており、今後2023年から2060年の間に合計9,002億ウォン(約861億円)を投資する予定としている。これに加え、地下研究施設の建設には、4,936億ウォン(約472億円)の投資が必要になるとの見通しが示されている。

また、MOTIEは本ロードマップ案の意義について、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領就任後の2022年7月5日に韓国政府が決定した「新政府のエネルギー政策の方向性」において、気候変動対策やエネルギー安全保障の強化のため、原子力発電をフルに活用する必要があるとの方針が示されており、原子力政策の大前提が安全第一であることを踏まえて、高レベル放射性廃棄物の技術的研究開発に関するロードマップを策定して実施し、国民の安全確保に万全を期すものと述べている。

ロードマップ案については今後、国内でディスカッションが実施されるほか、フィンランドやフランスといった主要国や、国際原子力機関(IAEA)や経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)といった国際機関のレビューを受けて、2022年下半期には最終決定される予定となっている。MOTIEは、ロードマップの作成と並行して、サイト選定の手順・方法・スケジュール、誘致地域への支援、高レベル放射性廃棄物の安全な処分のための専門機関の設立を含む特別法の制定に向けた取組を進める計画である。

【出典】

(post by eto.jiro , last modified: 2023-10-11 )