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英国

英国政府のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2015年8月4日に、地層処分事業を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」と位置付ける上で必要となる持続可能性評価(AoS,Appraisal of Sustainability)と生息環境規制評価(HRA,Habitats Regulations Assessment)の実施内容案を示した技術的な協議文書を公表した1

英国では、2008年計画法(2015年3月改正)により、イングランドに設置する場合の高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設(GDF)に加えて、候補サイトを評価するために実施する地上からのボーリング調査も「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」の一つと位置づけられており、その実施には計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令が必要となっている2 。英国政府は、地層処分施設に関する開発同意令の発給審査の基礎となる国家政策声明書(NPS)3 のドラフト版の策定を進めており、この国家政策声明書には、2008年計画法に従った、持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の評価結果を含むことになっている。

また、英国政府は、今回公表した協議文書についての意見等を2015年9月25日まで受け付けるとしており、今後、寄せられた意見等を踏まえて、持続可能性評価(AoS)と生息環境規制評価(HRA)の実施内容を確定し、評価を実施することとなる。英国政府は、国家政策声明書のドラフト版及びそれぞれの評価結果をまとめた報告書について、2016年に公開協議を行うとしている。

■持続可能性評価(AoS)の目的と協議文書で示された内容

国家政策声明書(NPS)の前提となる持続可能性評価(AoS)では、一般的なサイトを対象とした地層処分に関する国家政策声明書のドラフト版に対して、環境に影響を与える計画及びプログラムの環境アセスメントに関する欧州連合(EU)の「戦略的環境アセスメント(SEA4 )指令」(2001/42/EC)で求められている環境アセスメント、及び環境アセスメントと同様の手法による社会・経済的影響評価が行われる。なお、EUのSEA指令は、計画及びプログラムに対する影響評価だけでなく、計画及びプログラムの目的や地理的範囲を考慮した合理的な代替案に対する影響評価も実施することを定めている。

国家政策声明書のドラフト版に対する持続可能性評価の目的は以下の通りである。

  • 持続可能な開発に貢献し、気候変動の緩和と適応、景観への配慮がされていることを保証すること
  • 環境及び社会・経済的影響を特定して定量化すること
  • 好ましい影響を増強し、好ましくない影響を回避・抑制・管理するための適切な措置を特定すること
  • 法定諮問機関、ステークホルダー、より広範な公衆、事業者、事業者のコミュニティ、利害に関係する環境及び社会・経済的影響について認識させ、見解を出させること。また、国家政策声明書のドラフト版への見解提出や改善提案を促すこと

国家政策声明書(NPS)のドラフト版についての持続可能性評価(AoS)に当たっては、NPSの全般的な目的、地層処分事業の開発原則、一般的な影響とサイト選定で考慮されるべき点、一般的な緩和措置を特に考慮して、持続可能性への影響が評価される。また、EUのSEA指令に沿って、AoSではNPSドラフト版に対する影響評価だけでなく、NPSドラフト版の代替案に対する影響評価も実施される。英国政府によるSEA指令についてのガイダンスでは、計画及びプログラムの実施の必要性、実施方法、実施地域、実施時期、実施内容の詳細についての代替案を作成すべきとしている。

英国政府は、国家政策声明書(NPS)の代替案として、①特別な環境影響が懸念される地域を除外するなどの除外基準を設けたNPS、②地層処分施設の複数の立地候補サイトを示したNPS、③NPSを定めず地層処分事業を実施した場合の3案を挙げている。また、地層処分を高レベル放射性廃棄物等の管理方針として決定しているため、持続可能性評価(AoS)において地層処分の代替案を設定しないとしている。

■生息環境規制評価(HRA)の目的と協議文書で示された内容

国家政策声明書(NPS)の前提となる生息環境規制評価(HRA)では、一般的なサイトを対象とした地層処分に関するNPSのドラフト版に対して、EUの生息環境指令(1992/43/EEC)で求められている土地利用計画による欧州のある地域への影響評価が行われる。

国家政策声明書(NPS)のドラフト版についての生息環境規制評価(HRA)に当たっては、NPSの全般的な目的、地層処分事業の開発原則、一般的な影響とサイト選定で考慮すべき点、一般的な緩和措置を特に考慮して、影響評価が実施することとなっている。

生息環境規制評価(HRA)を実施する英国政府は、国家政策声明書(NPS)は特定のサイトを対象としていないため、HRAではイングランドの特定の地域を対象として、その地域への影響について評価することは適切ではなく、欧州のある地域を全般的に保護するために必要な措置を特定するための評価を行うことが、より適切であるとしている。なお、英国政府は持続可能性評価(AoS)で取り扱う3つの代替案を対象としたHRAを実施するとしている。

【出典】


  1. 持続可能性評価(AoS)及び生息環境規制評価(HRA)は、国家政策声明書(NPS)が策定される前に、国レベルで見込まれる環境及び社会・経済効果を特定し、考慮に入れられるようにするために実施される。 []
  2. 英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、イングランド以外で地層処分施設を計画する場合は各地方自治政府が定める許可制度が適用される。 []
  3. このNPSは、特定のサイトではなく一般的なサイトを対象とした地層処分施設等について作成される。 []
  4. 戦略的環境アセスメント(SEA)は、事業の計画決定過程、立地選定段階などで実施される環境アセスメントを指す。 []

英国の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の完全子会社の放射性廃棄物管理会社(Radioactive Waste Management Limited, RWM)は、地層処分対象となる放射性廃棄物を抽出した報告書「地層処分:2013年版抽出インベントリ」(以下「インベントリ報告書」という)を2015年7月22日に公表した。RWMは、これまでもインベントリ報告書を定期的に作成しており、2007年版と2010年版を作成している。RWMは2007年版のインベントリ報告書をもとに、一般的な条件における処分システム・セーフティケース1 (gDSSC)を作成したが、今回RWMが公表した2013年版のインベントリ報告書は、2016年末に予定されているgDSSCの更新版の作成において活用するとしている。

英国政府は2014年に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』 において、処分場立地の可能性を検討する自治体を含む地域に対して、地層処分対象の放射性廃棄物インベントリの全体像を予め提示することを方針としている。これは、地層処分対象の放射性廃棄物地層処分の受け入れを検討している地域に対して、地層処分場に処分される廃棄物を明確に把握してもらうためとしている。

今回RMWが公表したインベントリ報告書では、地層処分対象の放射性廃棄物として、高レベル放射性廃棄物(HLW)、中レベル放射性廃棄物(ILW)、浅地中処分できない一部の低レベル放射性廃棄物(LLW)のほか、再処理の対象とならない使用済燃料(SF)、再処理によって分離・回収した余剰のプルトニウム(Pu)及びウラン(U)を含めている(表1参照)。なお、英国では、安全基準を満足するセーフティケースが実現することを前提として、費用の削減の観点から、地層処分施設は1カ所を想定している。

 

表1 地層処分対象の放射性廃棄物インベントリ

廃棄物分類 廃棄物量(m3
(貯蔵時)
廃棄物量(m3
(処分容器収納時)
高レベル放射性廃棄物(HLW) 1,410 9,290
中レベル放射性廃棄物(ILW) 267,000 456,000
低レベル放射性廃棄物(LLW) 9,330 11,800
プルトニウム(Pu) 0.567 620
使用済燃料(SF) 9,850 66,100
ウラン(U) 26,300 112,000
合計 314,000 656,000

※表1には、地層処分を実施しない方針のスコットランドが保有する、高レベル放射性廃棄物等のインベントリは含まれない。

RWMは、地層処分対象の放射性廃棄物インベントリを抽出する上での将来の原子力発電の導入と再処理計画に関する想定として、英国で初期に導入されたガス冷却炉(GCR,マグノックス炉)の使用済燃料約55,000トン(ウラン換算、以下同じ)は2017年まで再処理してガラス固化体として地層処分するとしている。既存の原子炉から発生する使用済燃料のうち、改良型ガス冷却炉(AGR)の使用済燃料の一部と加圧水型原子炉(PWR、1基)の使用済燃料のほか、今後新設が計画されている原子炉計12基分から発生する使用済燃料約22,050トンは高レベル放射性廃棄物に含めておらず、再処理せずに使用済燃料として処分すると想定してインベントリを計上している。なお、RWMは、地層処分対象の放射性廃棄物インベントリは、2013年版の放射性廃棄物インベントリ報告書 で示された英国全体での全放射性廃棄物インベントリの約6%程度であるとしている。

 

【出典】


  1. 英国で見つけられるような地質環境を想定し、サイトを特定しないで一般的な条件で作成した処分システム・セーフティケースであり、英語では generic Disposal System Safety Case と呼ばれている。 []

英国のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場が所在するイングランドの環境規制機関(Environment Agency、EA)は、環境セーフティケース(ESC)が安全規制要件等を満たすものであるとのレビュー結果を示した上で、低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)からの許可申請を承認する決定案を2015年5月28日に公表するとともに、意見提出期限を2015年7月23日までとする公開協議を開始した。カンブリア州西部で1959年より操業を行っているドリッグ処分場は、既に処分の許可を得ている施設が満杯であることから、処分場を操業するLLWR社は、同処分場内の新たな施設での処分の許可申請とともに、処分場全体の安全性や環境影響などに関する環境セーフティケース(ESC)を提出していた。

英国で発生する低レベル放射性廃棄物は、ドリッグ処分場のほか、スコットランド北部にあるドーンレイ処分場で処分されている。LLWR社は、原子力廃止措置機関(NDA)が所有する原子力施設の操業・廃止措置等をNDAとの契約に基づいて実施するサイト許可会社(SLC。原子力施設法に基づいて原子力サイトとする許可を受けた者)であり、ドリッグ処分場を操業する事業者である。

■ドリッグ処分場の現状と今後の計画

ドリッグ処分場では1959年の操業開始以降、7つのトレンチ処分施設で80万m3の低レベル放射性廃棄物が処分されてきたが、1988年以降はコンクリートボールト施設での処分に切り替えられている。8号コンクリートボールト施設として1988年より処分を開始した20万m3の容量をもつコンクリートボールト施設は既に満杯であるため、新たな施設での処分の許可が必要であった。なお、既に9号コンクリートボールト施設が完成しているが、処分施設としての許可は取得していないため、現在は一時貯蔵施設1 として利用されている。

新たな施設での処分の許可に関するLLWR社の申請では、ドリッグ処分場内に9号から20号までの新たな12のコンクリートボールト施設を増設し、2010年から2130年までに発生が見込まれる440万m3の低レベル放射性廃棄物を処分する計画である。

■英国における放射性廃棄物処分の許可及び環境セーフティケース(ESC)の提出

使用済燃料や放射性廃棄物の管理及び処分施設を含む、原子力施設の建設や操業などについては、原子力施設法に基づき、原子力規制局(ONR)から原子力サイトとしての許可を取得する必要がある。また、原子力サイトにおいて放射性廃棄物を処分するためには、イングランド及びウェールズでは環境許可規則、スコットランドと北アイルランドでは放射性物質法に基づいた許可をそれぞれの環境規制当局から取得する必要がある。

※環境規制機関(EA)、天然資源ウェールズ(NRW)、スコットランド環境保護局(SEPA)、ならびに北アイルランド環境省(DoENI)。

上記の環境規制当局の連名により策定された「放射性固体廃棄物を対象とする陸地における浅地中処分施設:許可要件に関するガイダンス(GRA)」は、浅地中処分施設の操業許可申請者に、規制当局が求める要件を満たしていることを示す処分施設に関する環境セーフティケース(ESC)を提出することを要求しており、ESCで示されるべき放射線防護要件などをGRAで規定している。ESCは、放射性廃棄物の処分の安全性や環境影響などについて説明するものであり、公衆の健康と環境が適切に防護され、放射性廃棄物を安全に処分できることが示されなければならない。また、操業期間中に行われる定期的なレビューの際には、ESCの更新版が提出されなければならない。

■今回の公開協議までの経緯

9号コンクリートボールト施設での処分を含むドリッグ処分場に関する環境セーフティケース(ESC)は、2002年9月に環境規制機関(EA)に提出された。これに対してEAは、ESCのレビュー結果として、例えば、海岸部の浸食や氷河作業の影響の詳細な評価や処分場全体としてのより包括的な評価の必要性など、いくつかの懸念が残されたことから、2006年2月に8号コンクリートボールト施設での処分継続は許可したものの、新設された9号コンクリートボールト施設での処分は許可を発給しなかった。

環境規制機関(EA)は、レビューで指摘した懸念などに対処した環境セーフティケース(ESC)の更新版の提出をLLWR社に求め、同社は更新版を2011年5月に提出した。このESCの更新版では、9号だけではなく、将来の20号までのコンクリートボールト施設での処分計画が含められた。EAは、ESC更新版について、レビューを実施するために必要となる追加資料の提出を2013年10月までLLWR社に要求し続けた。

このような経緯を経てLLWR社は、2013年10月28日に、ドリッグ処分場での処分許可の範囲を拡大する許可申請を環境セーフティケース(ESC)の更新版とともにEAに提出した。EAは、2013年11月から2014年2月にかけて申請内容の検討及びESCのレビューを実施し、今回、許可申請を承認する決定案について公開協議を実施することとした。

■EAによるECS更新版のレビュー結果

環境規制機関(EA)は、環境セーフティケース(ESC)の更新版及び追加資料のレビューにおいて、特に以下の観点から評価を実施したとしている。

  • 最終的に処分施設の表面を覆う設計となっている8号コンクリートボールト施設に関する、廃棄体露出の潜在的可能性やその場合の影響の評価
  • 処分場サイトの沿岸域の海水による浸食あるいは施設への人間侵入に伴う影響の評価(成分や組成の異なる廃棄体の混合の影響など)
  • 非放射線学的影響の評価(化学毒性など)
  • 影響が合理的に達成可能な限り低く抑えられることを立証するための工学設計と最適化

また、環境規制機関(EA)はレビューの結果として以下の3点を示している。

  • LLWR社が提出した環境セーフティケース(ESC)の更新版及び追加資料から、同社は、許可要件に関するガイダンス(GRA)の要件及び環境許可要件を満たしている。
  • ドリッグ処分場での今後の処分に対して、環境許可を発給するに足る適切な水準かつ品質の証拠が示されている。
  • ESCの更新版及び追加資料が、今後のドリッグ処分場での放射性廃棄物の処分について、現在及び長期の双方の面で人間や環境にとって安全なものであることを立証していることにEAは満足している。

【出典】

【2015年10月30日追記】

英国のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場が所在するイングランドの環境規制機関(Environment Agency、EA)は、2015年10月29日に、操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)が提出した処分場内での増設施設における処分の許可申請について、承認する決定を行ったことを公表した。

環境規制機関(EA)は、2013年10月28日にLLWR社から提出された許可申請書及び処分場全体の安全性や環境影響などに関する環境セーフティケース(ESC)について、2013年11月から2014年2月にかけてレビューを実施した。2015年5月28日に環境規制機関(EA)は、レビュー結果を示した上で、許可申請を承認する決定案を公表し、2015年5月28日から2015年7月23日まで同案に関する公開協議を行い、寄せられた見解を踏まえて、今回の決定に至ったものである。

環境規制機関(EA)による許可では、公衆の健康と環境が適切に防護されるため、以下のような制限・条件が付されている。

  1. 廃棄体の劣化を最低限に抑え、環境への放射性物質の放出を最小限とするため、最終的に処分施設の表面を覆う設計となっている8号コンクリートボールト施設と新設された9号コンクリートボールト施設について、廃棄体の保護方法に関する提案、及び9号以降のコンクリートボールト施設における長期的な廃棄体の保護プログラムを含んだ計画を環境規制機関(EA)に提出すること
  2. 環境セーフティケース(ESC)が変更される場合、その変更が処分場の管理に対して、重大な影響を及ぼしうるか否かを決定する方法を策定すること
  3. 過去に処分された廃棄体内にあって、将来的に外部に露出し、多量の放射性物質を放出する可能性がある廃棄物等についての最適な管理方法を示した報告書を環境規制機関(EA)に提出すること
  4. 環境セーフティケース(ESC)の継続的な改善と実施に向けた、包括的な作業計画を環境規制機関(EA)に提出し、実施すること
  5. 8号と9号コンクリートボールト施設に定置されている廃棄物の処分方法を詳細に示した計画書を環境規制機関(EA)に提出すること
  6. 2011年版の環境セーフティケース(ESC)の環境規制機関(EA)によるレビュー結果を踏まえ、非放射線学的な水文地質学的な観点からのリスク評価のアップデート版を提出すること
  7. 環境規制機関(EA)が示した「放射性固体廃棄物を対象とする陸地における浅地中処分施設:許可要件に関するガイダンス(GRA)」の最新版に規定している全ての要件を満たしていることについて、ドリッグ処分場についての環境セーフティケース(ESC)のアップデート版を提出すること

また、9号以降のコンクリートボールト施設に廃棄体を処分する場合には、事前に環境セーフティケース(ESC)に沿って各施設が建設されていることの証明などを含む報告書を環境規制機関(EA)に提出し、承認を得なければ、処分を開始できないとしている。

【出典】

【2015年11月5日追記】

英国のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場の操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)は、2015年11月3日のウェブサイトにおいて、1990年都市田園計画法に基づいて、処分場の増設施設の建設等の計画申請(planning application)をカンブリア州に行ったことを公表した。

低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLWR社)が申請した主な計画は、以下の通りである。

  • 8号コンクリートボールト施設と9号コンクリートボールト施設に仮置き中の放射性廃棄物を処分すること
  • 3つのコンクリートボールト施設(9a号コンクリートボールト施設(9号コンクリートボールト施設の増設に相当)、10号コンクリートボールト施設及び11号コンクリートボールト施設)の新規の建設
  • 既存の1~7号トレンチ処分施設、8号コンクリートボールト施設、新規に建設するコンクリートボールト施設の最終的な覆土(cap)の施工

低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLWR社)は、計画申請に対する許可が発給されれば、9a号コンクリートボールト施設の建設を2016年中に開始し、約4年で建設を終了するとしている。なお、LLWR社は、最終的には最大で14のコンクリートボールト施設を建設する計画である。

【出典】

【2016年7月19日追記】

英国のドリッグ村近郊の低レベル放射性廃棄物処分場の操業者である低レベル放射性廃棄物処分場会社(LLW Repository Ltd、LLWR社)は2016年7月15日に、1990年都市田園計画法に基づいてカンブリア州に申請していた処分場の増設施設の建設等の計画申請(planning application)(2015年11月5日の追記を参照)について、同州に承認され、計画許可の発給を受けたことを公表した。LLWR社は、計画していた9a号コンクリートボールト施設等の新設・増設の作業を2017年から開始するとしている。

また、今回の計画許可により、処分場は2050年頃まで操業が継続できることになる。LLWR社は地元の雇用維持に加えて、新たに建設関連の雇用創出に貢献するとしている。

【出典】


  1. 放射性廃棄物の貯蔵に関しては、原子力規制局(ONR)からの許可取得が必要である。 []

英国の地方自治政府の1つであるウェールズ政府は自身のウェブサイトにおいて、公衆との公開協議を経て、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定したことを公表した。また、地層処分施設のサイト選定プロセスに関する公開協議を開始した。

今回ウェールズ政府が決定した地層処分の方針は、英国政府が2008年に策定した白書 以降に示してきた方針と同様である。また、サイト選定プロセスに関してウェールズ政府が公表した協議文書では、英国政府が2014年7月に策定した白書 で示している地層処分施設のサイト選定プロセスと同様のプロセスを採用することを提案している。

 

■背景

英国では、地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)のうち、イングランド以外は地方自治政府に放射性廃棄物管理の権限が委譲されている1

2008年白書に基づく公募で関心表明を行った自治体

2008年白書に基づく公募で関心表明を行った自治体

英国政府は2008年に、ウェールズ政府及び北アイルランド政府とともに、高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針とその施設のサイト選定プロセスを定めた白書2 を策定した(以下「2008年白書」という)。2008年白書の公表とともに、地層処分施設のサイト選定プロセスに関心を示す自治体を含む地域の公募が開始され、カンブリア州及び同州内の2市が関心を表明したものの、2013年1月に選定プロセスから撤退している

上記の結果を受けて英国政府は、2013年5月より選定プロセスの見直しに向けた公開協議等を進め、2014年7月に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書3 を策定し(以下「2014年白書」という)、英国政府及び実施主体は現在、その初期活動(2年間、2014年~2016年)を進めている

この2014年白書は、英国政府が単独で策定したものとなっており、2008年白書のようなウェールズ及び北アイルランド政府との共同文書とはなっていない。北アイルランド政府は2008年白書と同様に、2014年白書で規定される英国政府の方針や取組を支援することとしている。一方、ウェールズ政府は、2008年白書以降に示してきた現行の政策の再検討の是非について、2014年白書の策定前の段階から検討を進めていた。

なお、スコットランドについては、スコットランド政府が地層処分する方針を採用しておらず、地表近くに設置した施設で高レベル放射性廃棄物等の長期管理を継続することとしている。

 ■高レベル放射性廃棄物等の管理に関するウェールズ政府の現行政策の見直し

ウェールズ政府は、英国政府とともに2008年白書を策定したものの、地層処分の方針については保留しており(否定も肯定もせず、また、その他の管理オプションを支持することもしない)、ウェールズ内の自治体を含む地域がサイト選定プロセスに関心を表明する場合には、その時点において、地層処分プログラムと個々の関心表明についてウェールズ政府として取るべき立場を検討するとしていた。その後、ウェールズ政府は、ウェールズ内における新規原子炉の建設について、2008年当時は支持していなかったが、2012年に新設を支持する方針に転換した。このため、新規原子炉から発生する放射性廃棄物等の管理に関する現行政策(方針決定の保留)の見直しが必要となっていた。

このような背景のもと、ウェールズ政府は、2014年4月~6月にかけて、上記の現行政策の見直しの可否について、ステークホルダーからの見解を得るために、確かで根拠のある情報の提供(Call for Evidence)を募集した。ウェールズ政府は、その結果を踏まえて、現行政策を見直すことを決定し、地層処分が最も好ましい管理方策であるとするウェールズ政府の提案等を示した協議文書「高レベル放射性廃棄物等の管理・処分方針の見直し」を2014年10月に公表し、公衆との公開協議を2015年1月まで実施した。

ウェールズ政府は、公開協議で寄せられた意見を踏まえて、2015年5月19日、ウェールズ内で発生する高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針を決定したことを公表した。これと伴に、ウェールズ政府は、地層処分の実施方法に関する協議文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域の参加と実施プロセス」を公表し、公衆との公開協議を開始した。同文書に対する公衆からの意見提出は2015年8月18日までとされている。この協議文書においてウェールズ政府は、2014年白書で示されたイングランドと北アイルランドにおける地層処分施設のサイト選定プロセスと同様のプロセスを採用することを提案している。

 

【出典】

 

【2015年12月18日追記】

英国の地方自治政府であるウェールズ政府は、2015年12月10日に、政策文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域の参加と立地プロセス」の中で、ウェールズ政府も英国政府と同様のサイト選定プロセスを採用する方針であることを公表した。ただし、ウェールズにおいてサイト選定プロセスを進める上では、ウェールズ固有の状況での対応が取られることになるため、必ずしも同一のプロセスにはならないとしている。

■ウェールズにおけるサイト選定プロセスの現状

英国政府は、2014年7月に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設(GDF)の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書 (以下「2014年白書」という)を公表している。具体的なサイト選定プロセスは、以下の2つの段階(期間)で構成されており、英国政府は既に2年間の初期活動を開始している。

  • 英国政府及び実施主体による初期活動(2年間、2014年~2016年)
    ① 英国全土(スコットランドを除く)を対象とした「地質学的スクリーニング」
    ② 「2008年計画法」の改正、
    ③ 地域との協働プロセスの策定活動
  • 関心を表明した地域と実施主体との正式な協議(15~20年間、2016年以降)

今後、ウェールズでは、英国政府が先行して実施している上記①②③の活動について、歩調を合わせていくことになる。

①の「地質学的スクリーニング」については、2014年白書で示されたウェールズ政府の意向により、既にウェールズも対象として実施されている

②の「2008年計画法」の改正については、英国政府が、イングランドにおける地層処分施設(GDF)の開発を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」の一つと位置づける立法措置として、2015年3月26日に制定された「2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令」によって2008年計画法の改正が行われた。しかし、対象はイングランドのみとなっている(2015年4月6日の追記を参照)。英国では地方自治政府に権限が委譲されているため、ウェールズにおいてGDFの設置が計画される場合は、2015年計画法(ウェールズのみが対象)のもとでウェールズ政府が許可を発給することになる。

③の地域との協働プロセスの策定については、「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)の主導により、策定活動が進められている 。ウェールズ政府は、今回の政策文書の公表と同時に、CRWGに参加した。

【出典】

 

【2019年1月21日追記】

英国の地方自治政府の1つであるウェールズ政府は、2019年1月16日に、政策文書「高レベル放射性廃棄物等の地層処分:地域社会との協働」を公表し、イングランドで2018年12月から開始された地層処分施設(GDF)のサイト選定プロセスに正式に参加することを明らかにした。今回、ウェールズ政府が公表した政策文書は、2018年12月に英国政府がイングランドでのサイト選定に関して公表した政策文書『地層処分の実施-地域社会との協働:放射性廃棄物の長期管理』(以下「2018年政策文書」という)のウェールズ版に相当する文書であり、イングランドの場合と同様に、地層処分事業の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM社)がボランタリーなワーキンググループとの初期対話を契機として、複数の「調査エリア」(Search Area)を見出しつつ、自治体組織が参加する「コミュニティパートナーシップ」の設立を目指す計画である。

また、放射性廃棄物管理会社(RWM社)は、 ウェールズ政府の政策文書の公表を受け、同日、ウェールズを対象とした「地質学的スクリーニング」の結果を公表するとともに、今後のサイト選定プロセスを通じて地域社会と協働して進めていく「サイト評価方法案」に関する協議文書を公表した。サイト評価方法案に対する意見募集は、2019年4月14日まで行われる。この「サイト評価方法案」に関する意見募集は、イングランドにおいても2019年3月31日まで行われている。ただし、協議文書の内容のうち、地方自治制度や土地利用計画制度などの地方自治政府に権限が委譲されている事項に関しては、イングランドでの英国政府とウェールズ政府の制度を反映した内容となっている。

【出典】


  1. 放射性廃棄物管理の権限は各地方自治政府に委譲されているが、各地方政府管轄内で発生した廃棄物を必ずしも管轄内で処分しなければならないということではない。なお、地方行政の観点では、ウェールズ、スコットランドならびに北アイルランドでは、それぞれ1999年に議会が設置され、地域主権(権限委譲)の体制整備が進められている。 []
  2. 正式名称「放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み Defra、BEER並びにウェールズ及び北アイルランド自治政府による白書」(Cm 7386、2008年6月) []
  3. 正式名称「地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み」、DECC(2014年7月) []

地層処分施設のサイト選定プロセスの初期活動を進めている英国政府は、地域との協働プロセスの策定に関する進捗について、「地域の代表のための作業グループ」(Community Representation Working Group、CRWG)の活動状況に関する情報を公表した。

英国における地層処分施設のサイト選定プロセスは、エネルギー・気候変動省(DECC)が2014年7月24日に公表した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)によって見直され、次の2つの段階(期間)で構成されている。

  • 英国政府及び実施主体による初期活動(2年間、2014年~2016年)
  • 関心を表明した地域と実施主体との正式な協議(15~20年間、2016年以降)

現在、2年間の初期活動において、①英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングの実施、②2008年計画法の改正、ならびに、③地域との協働プロセスの策定が進められている。このうち、③地域との協働プロセスの策定については、英国政府が設置するCRWGの主導で検討が進められている。

 

■地域の代表のための作業グループ(CRWG)設置の目的

2014年白書に基づくCRWGの主要な活動は次のとおりである。これらの活動は、専門家、ステークホルダー等の関与による確かで根拠のある情報に基づくものとなる。

  1. 地域の代表あるいは地域の意思表示に関する定義

    地層処分施設の開発に関心を表明する地域における自治体の役割や責任などを定義し、自治体を含む地域を関与させる方法を含めて、地域の代表のための効果的なプロセスを定義する。

  1. 住民の支持を調査・確認(test)する方法の策定に向けたプロセスの開発

    住民の支持を調査・確認する方法について、その適切な実施時期や方法を明確にする。

  1. 地域への投資

    投資時期やその管理方法を含めた、地域への投資のための資金拠出オプションを開発する(地域の地理的境界内での投資の効果や、資金活用の申請に係る評価基準の作成を含む)。

■地域の代表のための作業グループ(CRWG)の構成メンバー

DECCからの代表者を議長とするCRWGは、地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)、関係省庁、地方政府、学術界など、英国政府による地域との協働プロセスの策定を支援できる能力や専門性を有するメンバーで構成されている。

CRWGの構成メンバーは次表のとおりである。なお、英国政府の諮問機関である放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)もオブザーバーとして参加している。

議長 トム・ウィントゥル(DECC)
メンバー ホルムフリダー・ビャルナドティル(スウェーデン原子力廃棄物評議会)
メンバー アンドリュー・ブロウワーズ(英国国立オープンユニバーシティ‎社会科学名誉教授)
メンバー リサ・レビー(広報・ステークホルダー関与の分野の専門家)
メンバー キルスティ・ゴーギャン(気候・エネルギー分野のコミュニケーションの専門家)
メンバー フィル・リチャードソン(英国の地質学会(The Geological Society)会員)
メンバー フィル・マシュー(原子力遺産諮問フォーラム(NuLeAF))
メンバー ニック・ピジョン(カーディフ大学環境心理学部教授)
メンバー フィル・ストライド(テムズ川トンネル事業長)
メンバー チェリー・ツィード(RWMの主席科学アドバイザー)
メンバー ナタリン・アラ(RWMの地層処分施設立地部長)
メンバー ジュリアン・ウェイン(地方自治体における再生・住宅分野の専門家)
メンバー ジュディス・アーミット(ローカル・パートナーシップス社取締役)
メンバー 英国財務省からの代表者
メンバー コミュニティ・地方自治省からの代表者

 

地域の代表のための作業グループ(CRWG)の活動状況

CRWGは2015年3月12日に第1回会合を、2015年4月16日に第2回会合を開催している。今後、CRWGは約6週間に1度のペースで会合を開く予定であり、次回の第3回会合は2015年6月11日に予定されている。

また、CRWGの活動は、ローカル・パートナーシップス社(Local Partnerships Ltd、LP社)の支援を受けており、実例や関連情報等の収集、ステークホルダーの関与、検討資料の作成などの実務面を担っている。LP社は、英国財務省と地方自治体協議会(LGA)が共同出資して設立された会社であり、公共部門の業務効率化や公共サービス等の向上を目的とした支援活動や助言を提供する専門組織である。

 

【出典】

【2015年7月3日追記】

英国政府は、2015年7月1日に、地域との協働プロセスの策定に向け、Call for Evidence(根拠に基づく情報提供の募集)を開始し、情報提供を2015年9月4日まで受け付けることを公表した。

今回の情報募集は、「地域の代表のための作業グループ」(CRWG)の主要活動である、①地域の代表あるいは地域の意思表示に関する定義、②住民の支持を調査・確認(test)する方法の策定に向けたプロセスの開発、③地域への投資に関して、特に情報を収集することを目的としている。

英国政府は、原子力産業や放射性廃棄物プロジェクト関係者に限らず、学術界、産業界、大規模社会基盤プロジェクト関係者、自治体等から広く情報提供を求めるとしている。また、英国政府は、上記の①に関する情報提供について、地域において何らかの問題への対応に迫られた際の代表の決め方、地域が何らかの意思表示を行う必要があった事例等に関する具体的な経験情報の提供を要望している。

【出典】

【2016年3月7日追記】

英国政府は、2016年3月4日に、地域との協働プロセスの策定に向けたCall for Evidence(根拠に基づく情報提供の募集)への回答状況を取りまとめた報告書を公表した。情報提供の募集は2015年7月1日から2015年9月4日まで行われていた。英国政府は、今回提出された情報に基づいて、地域の代表あるいは地域の意思表示に関する課題について検討していくとしている。英国政府が今後策定する地域との協働プロセス案についての公開協議は、2016年夏に行われる見込みである。

今回の情報提供の募集に対しては54件の回答があり、その回答者の内訳は以下の表の通りであった。

回答者 回答件数 割合(%)
自治体 25 46
個人 17 32
その他(電力会社、地域コミュニティグループ、代表団体等) 10 18
学術界、研究機関 2 4
合 計 54 100

また、英国政府は今回提出された回答の主なポイントとして、以下を挙げている。

  • 英国政府がサイト選定に関する新たなプロセスを設計する場合には、他の事業における最良事例を参考にすべきである。
  • 過去に実施された地層処分場のサイト選定プロセスから得られた教訓を活かすべきである。
  • 地域の代表、あるいは地域の意思表示に関する定義を行うことは非常に難しい課題である。
  • 海外の類似事例から得られた教訓を活かすべきである。

【出典】

英国のドーンレイサイト復旧会社(Dounreay Site Restoration Limited,DSRL)は、2015年5月19日付のプレスリリースで、同サイト内に新たに建設した低レベル放射性廃棄物処分施設において廃棄物の受け入れを開始したことを公表した。DSRLは、原子力廃止措置機関(NDA)が所有する原子力施設の操業・廃止措置等をNDAとの契約に基づいて実施するサイト許可会社(SLC。原子力施設法に基づいて原子力サイトとする許可を受けた者)であり、スコットランド北部に位置するドーンレイサイトの廃止措置及び環境修復を実施する事業者である。

DSRLはサイト内に最終的に6つのコンクリートボールトを建設する計画であるが、今回、廃棄物の受け入れを開始した処分ボールトは、第1期の2つの処分ボールト部分であり、残りの4つの処分ボールトについては、今後、第2期及び第3期に分けて段階的に建設・操業する計画である。最終的には、175,000m3の低レベル放射性廃棄物を処分することとしており、このうち、33,000m3は過去に同サイトで処分した廃棄物を回収することによって今後発生するものである。

なお、英国では地方自治政府(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)に放射性廃棄物管理の権限が委譲されており、ドーンレイサイトがあるスコットランドでは、スコットランド政府がその管理方針を決定している。英国政府は、操業中のドリッグ低レベル放射性廃棄物処分場(浅地中処分)で処分ができない低レベル放射性廃棄物を含む高レベル放射性廃棄物等を地層処分する方針であるが 、スコットランド政府は地層処分する方針を採用しておらず、地表近くに設置した施設で長期管理を継続することとしている。

■ドーンレイでの新たな低レベル放射性廃棄物処分場の操業開始までの経緯

ドーンレイサイトでは、高速炉などの原子炉や再処理施設等の廃止措置によって発生する低レベル放射性廃棄物を処分する必要があり、同サイトの廃止措置プログラムの一環として、長期管理方策の検討が1999年より開始された。DSRLは、当時の施設所有者である英国原子力公社(UKAEA)とともに、ステークホルダーや公衆との協議を経て、2005年に「ドーンレイにおける低レベル固体放射性廃棄物に関する全体戦略」を策定し、サイト内に新たな浅地中処分施設を建設する方針とした。DSRLは、2006年に、ドーンレイの地元であるハイランド自治体の議会に対して、環境影響評価書とともに、低レベル放射性廃棄物の処分に関する計画申請書を提出した。

上記の計画申請書については、スコットランドの環境規制当局であるスコットランド環境保護局(SEPA)による評価を経て、2009年4月にハイランド自治体から計画許可が発給された。これと並行してDSRLは、2008年に放射性物質法に基づく処分に関する許可をSEPA1 に申請し、2013年1月に許可を取得している。

DSRLは、新しい浅地中処分施設の建設及び操業を3期に分けて実施する予定であり、その第1期として2つの処分ボールトの建設を2011年11月に開始し、2014年5月に完成した。そのうちの1つは、ドーンレイサイトにある原子力施設の解体によって発生する瓦礫など、比較的放射能レベルの低い廃棄物専用の処分ボールトである。

第2期として、ドーンレイサイトの廃止措置計画の進捗を踏まえて、2020年までにさらに2つの処分ボールトを建設する予定としている。また、第3期では、さらに2つの処分ボールトの建設を予定しているが、今後の低レベル放射性廃棄物の発生スケジュールや総量の見通しを踏まえて、その必要性に関する評価を行うとしている。いずれの処分ボールトも、定置が終了した時点で閉鎖し、覆土等で覆って元に近い状態に戻すとしている。

なお、ドーンレイサイトを所有するNDAと地元ハイランド自治体は、地域振興を目的として、処分施設の建設開始時に100万ポンド(1億8,200万円)、操業開始から10年間にわたり毎年30万ポンド(5,460万円)の合計400万ポンド(7億2,800万円)をNDAがハイランド自治体に支払う取り決めを交わしている。このような資金は、地域の経済活動の再構築を支援するために設置された基金を介して活用される。

【出典】


  1. 放射性廃棄物を処分するための許可は英国の各自治政府の環境規制機関が発給する。 []

英国の地質学会(The Geological Society)は、2015年3月27日に、地層処分施設のサイト選定プロセスの初期段階で実施される、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングの評価を行う独立評価パネル(IRP)を設置した。この地質学的スクリーニングは、高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(RWM)が行うものであり、RWMが事前に作成するガイダンスをIRPの7名の委員が評価する。

この独立評価パネル(IRP)は、英国政府の要請により地質学会が設置したものであり、英国政府はIRPに対して、以下の点に注視しつつ、RWMが策定する地質学的スクリーニングのガイダンスを評価するよう要請している。IRPは2015年6月までに評価を完了する予定としている。

  • 地質学的、技術的な知見に立脚したものであること
  • 既存の地質情報を利用して適用できること
  • 地層処分施設(GDF)に関する長期セーフティケースの開発を支援できること

今回設置されたIRPの委員は、委員長を含めて7名であり、産業界及び学術界の経歴を有する英国、スウェーデン、カナダの地球科学分野の専門家で構成されている。委員のうち2名の委員は地質学会員を対象とした公募によって選出した委員であり、その他の5名の委員は地質学会が任命した委員である。以下に各委員の氏名・所属等を示す。

委員長 クリス・ホークスワース教授(英国ブリストル大学、王立協会特別会員)
委員 マイク・ビックル教授(英国ケンブリッジ大学、王立協会特別会員)
委員 ジョン・ブラック氏(コンサルタント)
委員 ロバート・チャプロー博士(コンサルタント)
委員 カーリン・ヘグダール博士(スウェーデンのウプサラ大学)
委員 ゾー・シプトン教授(英国ストラスクライド大学)
委員 リチャード・スミス教授(カナダのローレンティアン大学)

 

【出典】

【2015年6月16日追記】

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンス案に関して、独立評価パネル(IRP)との公開会合を2015年6月23日にロンドンで開催する。これに先がけ、RWMはIRPのレビュー用に作成したガイダンス案を2015年6月12日付けで公表した。今回のガイダンス案の作成を含む、地質学的スクリーニングの実施に向けたスケジュールについては、2014年10月に開催された技術イベントで公表されていた 。RWMは、IRPによるレビュー結果を踏まえてガイダンス案の完成度を高めた後、2015年内に公開協議を実施したうえで最終化するとしている。RWMは英国地質学会(The Geological Society)とともに、最終化したガイダンスに基づく地質学的スクリーニングを2016年に実施する予定である。

今回、放射性廃棄物管理会社(RWM)が取りまとめた地質学的スクリーニングのガイダンス案では、既存の情報を活用した地質学的スクリーニングの実施方法、また、どのような結果を提示するかなどについて、5つの地質学的なトピックス(岩種、岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、地下水、自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、資源の賦存)ごとに、RWMの取組方針を取りまとめている。

 【出典】

【2015年7月31日追記】

高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)の放射性廃棄物管理会社(RWM)は、2015年7月29日に、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングのガイダンス案に関して、ロンドンの英国アカデミーで2015年6月23日に開催した独立評価パネル(IRP)との公開会合の会合報告書を公表した。会合報告書によると、公開会合にはIRPの7名の委員のうちの5名、RWMから4名、一般傍聴者の約50名がこの会合に参加した。公開会合の模様は、インターネットを通じてライブ配信1 も行われた。

会合報告書によれば、今回のRWMとIRPとの公開会合では、RWMがIRPのレビュー用に事前に取りまとめ・公表していた地質学的スクリーニングのガイダンス案(2015年6月16日追記を参照)で示していた5つの地質学的なトピックス※のうち、①岩種、②地下水、③資源の賦存についての議論が行われた。公開会合の後、RWMとIRPが一般の傍聴者からの質疑に対する応答が行われた。一般傍聴者からは、独立評価パネルの独立性や委員の選出方法、沿岸域での処分場の建設可能性、地質学的スクリーニング結果の説明先に関する質問などの9つの質問が寄せられている。

※5つの地質学的なトピックスは、(1)岩種、(2)岩盤の構造(断層・破砕帯、褶曲の位置等)、(3)地下水、(4)自然現象(地震・断層活動、氷河作用等)、(5)資源の賦存である。(2015年6月16日追記を参照)

 【出典】


  1. 公開会合の模様は、下記アドレスより閲覧可能である。
    https://www.youtube.com/channel/UCpFJyxnagWhTWURacGN42KQ []

英国の高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である放射性廃棄物管理会社(Radioactive Waste Management Limited, RWM)1 は、2014年9月30日にロンドンで地質学的スクリーニングに関する技術イベントを開催した。本技術イベントに関する報告書は、2014年10月16日付けの原子力廃止措置機関(NDA)のプレスリリースを通じて公表され、技術イベントの開催概要、プレゼンテーション資料などが取りまとめられている。

地質学的スクリーニングに関する技術イベントの開催背景

英国では、2014年7月にエネルギー・気候変動省(Department of Energy and Climate Change, DECC)が白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』 を公表している。本白書に基づいて、RWMが今後2年間をかけて、英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニングを実施する計画である。地質学的スクリーニングは、自治体を含む地域が地層処分施設の設置について検討を行う際、安全面において重要な地質に関する情報を利用できるようにするため、RWMが既存の地質情報を活用し、地層処分施設(GDF)の一般的なセーフティケース要件に基づき実施するものである。なお、地質学的スクリーニングの結果は、地層処分施設の設置に「適格」または「不適格」なエリアの判定やサイトの絞り込みに使用されるものではないと位置づけられている。

今回の技術イベントは、地質学的スクリーニングに対する英国市民の認知度を高めること、RWMが地質学的スクリーニングのガイダンス(後述の「地質学的スクリーニングの実施スケジュール」を参照)を策定するのに先立って、ステークホルダーからのフィードバックを得ることを目的として開催されたものである。RWMは、最初に地質学的スクリーニングのガイダンス案を策定し、独立したレビューパネルによる評価を受けた後、公開協議を経て完成したガイダンスを英国全土(スコットランドを除く)に適用する考えである。

2014年9月30日にロンドンで開催された技術イベントには、地球科学分野の団体のほか、多分野の学術組織、NGO等から80名を超える参加があったとしている。今後、ブリストル、バーミンガム、マンチェスター、リーズ、ニューキャッスルでも技術イベントが開催される予定である。

ロンドンで開催された技術イベントのプログラム

今回のロンドンで開催された技術イベントの概要を以下に示す。英国内外の専門家による講演の後、パネルディスカッションが行われ、英国地質調査所(BGS)のアンドリュー・ハワード博士、Intellisci社のアドリアン・バス博士、Geoscience社のトニー・バチェラー博士、Midland Valley Exploration社のロディー・ムーア博士がパネリストとして参加した。

●技術イベントの概要(2014年9月30日、ロンドン)
  講演者と講演内容の主なポイント
午前の部 ブルース・ケアンズ〔エネルギー・気候変動省(DECC)地層処分部門長〕

  • 英国の原子力の歴史とこれまでの放射性廃棄物管理プログラム
  • 地層処分する必要がある放射性廃棄物の種類と地層処分施設(GDF)の機能
  • 国際的な経験に基づくGDFプログラムのタイムスケール
アダム・ドーソン〔放射性廃棄物管理会社(RWM)サイト選定部門長〕

  • 地質学的スクリーニングにおいて実施することと実施しないこと
  • 「2016年までの2年間」における実施概要と主な活動の実施時期
  • 地質学的スクリーニングの結果におけるコミュニケーションとステークホルダーの関与
ニール・チャップマン〔シェフィールド大学教授、MCMインターナショナル〕

  • 諸外国の地層処分施設(GDF)プログラムで示された課題
  • スウェーデン、フィンランド、スイス、カナダ、日本、イタリアにおける初期でのスクリーニングの経験
  • 諸外国におけるアプローチと英国のアプローチに関する個人的見解
ニック・ビルハム〔地質学会(The Geological Society)政策・コミュニケーション部門長〕

  • 国内外における地質学会の広範なメンバーシップ
  • 独立したレビューパネルの設置に関する初期見解
  • サイト選定プロセスにおける地質学会のその他の役割
午後の部 ジェラルド・ブルーノ〔国際原子力機関(IAEA)放射性廃棄物・使用済燃料管理部門長〕

  • 地層処分施設(GDF)のサイト選定要件を含む、放射性廃棄物処分に関するIAEA指針
  • サイト選定プロセス
  • 英国のサイト選定プロセスにおけるIAEAの今後の関与の可能性と役割
ルーシー・ベイリー〔放射性廃棄物管理会社(RWM)閉鎖後安全マネージャー〕

  • RWMの多重バリアアプローチと一般的なセーフティケース
  • 閉鎖後の安全性
  • 地質環境の安全機能

 午前の部の最後には、午前の講演内容に関する質疑応答が行われ、会場からは以下のような質問が出された。

  • 地層処分施設はどのようなものなのか。
  • 他の分野から適用できるようなモデルはあるのか。
  • 地層処分される放射性廃棄物はどのようなものか。
  • 天然バリアと人工バリアがどのように共働するのかについて公衆は認知しているのか。
  • 地質学会はどのようにして、全ての構成グループを関与させることができるのか。
  • 現地での地質調査を含め、総費用はどのくらいになるのか。

地質学的スクリーニングの実施スケジュール

今回の技術イベントでの放射性廃棄物管理会社(RWM)サイト選定部門長であるアダム・ドーソン氏の講演資料において、地質学的スクリーニングの実施スケジュールが以下のように示されている。

  • 2014年9月:地質学的スクリーニング活動の開始
  • 2014年10月~2015年2月:放射性廃棄物管理会社(RWM)による地質学的スクリーニングのガイダンス案の検討
  • 2015年3月~4月:地質学会のレビューパネルによる地質学的スクリーニングのガイダンス案の独立したレビュー
  • 2015年5月~6月:地質学的スクリーニングのガイダンス案の更新
  • 2015年7月~10月:地質学的スクリーニングのガイダンス案についての公開協議
  • 2015年11月~2016年7月:地質学的スクリーニングのガイダンスの適用と地質学的スクリーニングの結果の整備(地質学的スクリーニングのガイダンスの適用と並行して、地質学会のレビューパネルがガイダンスの適用についての独立したレビューを実施)

また、地質学会(The Geological Society)政策・コミュニケーション部門長のニック・ビルハム氏の講演では、地質学的スクリーニングのガイダンス案のレビューなどを行う独立したレビューパネルが2014年末までに設置されることが示されている。

 

【出典】


  1. 放射性廃棄物管理会社(RWM)は、原子力廃止措置機関(NDA)の内部組織であった放射性廃棄物管理局(RWMD)を分離し、2014年4月にNDAの100%子会社として設立されたものであり、地層処分の実施主体となっている。 []

英国政府のエネルギー・気候変動省(DECC)は、2014年7月24日に、高レベル放射性廃棄物等の地層処分施設の設置に向けた新たなサイト選定プロセス等を示した白書『地層処分の実施-高レベル放射性廃棄物等の長期管理に向けた枠組み』(以下「2014年白書」という)を公表した。新たなサイト選定プロセスにおいては、原子力廃止措置機関(NDA)の100%子会社である「放射性廃棄物管理会社」(RWM、2014年4月設立)が地層処分の実施主体と位置付けられており、今後2年間をかけて放射性廃棄物管理会社(RWM)が英国全土(スコットランドを除く)を対象とした地質学的スクリーニング1を実施する計画である。なお、放射性廃棄物の長期管理の実施責任は、これまでと同様にNDAが有するとしている。

英国政府は、2008年に公表した白書『放射性廃棄物の安全な管理-地層処分の実施に向けた枠組み』(以下「2008年白書」という) において、地層処分施設のサイト選定プロセスを定め、これに対して関心表明する自治体を含む地域を公募した。再処理工場などがあるカンブリア州及び同州の2市が関心表明を行っていたが、2013年1月に、これらの地域が次段階となる机上調査に進まないことを決定したことを受け 、英国政府は、公募は継続するものの、サイト選定プロセスの改善策の検討に着手することとした。2 2013年9月には、新たなサイト選定プロセスの提案を示す協議文書を公表し、約3カ月間の公開協議を通じて意見募集を行っていた。英国政府は、2014年白書公表時の英国議会への声明において、公開協議で寄せられた意見、カンブリア州でのサイト選定活動の失敗で得られた教訓を新たなサイト選定プロセスに反映させたとしている。

2014年白書では、地層処分施設のサイト選定プロセスを2つの期間―「英国政府及び実施主体による初期活動」と「関心を表明した地域と実施主体との正式な協議」―で構成している。それぞれの期間における活動概要を以下に示す。

 

○英国政府及び実施主体による初期活動:2年間(2014年~2016年)

2年間の初期活動において、英国政府及び実施主体は、自治体を含む地域に対して、地質、社会・経済的影響、地域への投資等の地層処分施設に関連する情報の提供を行う。英国政府は、技術的事項及び実施主体と地域との協働事項の両面に関して、地域が明確で、証拠に基づいた情報を得ることにより、より安心してサイト選定プロセスに参加することができると考えている。具体的に初期活動では、①英国全土(スコットランドを除いて、イングランド、ウェールズ、北アイルランド)を対象とした地質学的スクリーニングの実施、②「2008年計画法」(Planning Act 2008)の改正、③地域との協働プロセスの策定が実施される。それぞれの実施概要は以下のとおりである。

① 自治体を含む地域が地層処分施設の設置について検討を行う際に、安全面において重要な地質に関する情報をアクセス可能な形で提供するため、実施主体は、既存の地質情報を活用し、地層処分施設の一般的なセーフティケース要件に基づいた地質学的スクリーニング活動を行う。実施主体は、最初に地質学的スクリーニングの実施要領書案を策定し、独立したレビューパネルによる評価の後、確定した実施要領書を地質学的スクリーニングに適用する。

② 2008年計画法では、イングランド3 における「国家的に重要な社会基盤プロジェクト」(NSIP)については、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(DCO)が必要とされている。英国政府は、2008年計画法を改正し、地層処分施設をNSIPの一つと定義し、候補サイトを評価するために必要な地上からのボーリング調査もNSIPの定義に含める。英国政府は、2008年計画法に沿って、地層処分施設に関するDCO発給審査の基礎となる国家声明書(NPS)4 を作成する。このNPSは、特定のサイトではなく一般的なサイトを対象として作成される。

③ 地層処分施設の設置に関心を示した自治体を含む地域と協働するプロセスを策定する。実施主体は地域が求める全ての情報を提供し、地域の見解や懸念を聞き、対応しなければならない。地域との協働プロセス策定のため、以下が実施される。

  •  英国政府が設置する「地域の代表のための作業グループ」の主導の下、地層処分施設の設置について住民の支持を調査・確認(test)する方法などの地域の代表プロセスの策定方法を決定する。ここでは地域との正式協議を開始する2016年以降での地域の代表の詳細プロセスを策定するのではなく、プロセスの策定方法が検討される。
  • 英国政府は、サイト選定プロセスに参加する地域への経済的なサポート5 及び地層処分施設を設置する地域に対して、更に追加される経済的なサポートに関する情報(時期・方法について決定するプロセスを含む)の提供を行う。地層処分施設の建設・操業は数十億ポンドのプロジェクトであり、今後数十年にわたって数百の雇用を創出するなど、立地地域にとって大きな経済便益をもたらすものである。
  • 地域、実施主体、英国政府がサイト選定プロセスにおいて、独立した第三者機関から重要な技術的事項についてのアドバイスを受けられるようなメカニズムを策定する。

 

○関心を表明した地域と実施主体との正式な協議:15~20年間(2016年以降)

2年間の初期活動での成果に基づいて、実施主体は地層処分施設の設置に関心を持つ自治体を含む地域との間で地質調査の実施などに関して正式な協議に入る。サイト選定プロセスからの撤退権については、地域が処分施設の設置についての住民の支持を調査・確認(test)するまで、いつでも撤退できるとしている。一方、いかなる地域も他の地域のサイト選定プロセスへの参加を妨げることはできないとしている。また、実施主体が実施する地質調査の結果、当該サイトについて地層処分施設の設置の適合性を立証できる十分な情報が得られたと実施主体が判断した場合は、住民の支持の調査・確認(test)が行われる。住民の支持の調査・確認(test)の結果が肯定的な場合、実施主体は地層処分施設の設置のための許可申請が行うことができるが、否定的であった場合には、当該サイトにおける地層処分事業は打ち切られるとしている。

以下に、2014年白書と2008年白書におけるサイト選定プロセス等に関する主な相違点を示す。

表 2008年白書と2014年白書におけるサイト選定プロセス等の主な相違点

項目 2008年白書 2014年白書

サイト選定
プロセス

6段階で構成される段階的プロセスによってサイトを選定する

2段階で構成され、2年間の初期活動の後に地域との協働を通してサイトを選定する。

自治体を含む地域のサイト選定プロセスからの撤退権

サイト選定プロセスの第6段階である地下調査の前まで、意思決定機関である地域(州、市町村等)に撤退権が与えられている。

地域は処分施設の設置について住民の支持を調査・確認(test)する時点まではいつでも撤退が可能。

※いかなる自治体も他の地域のサイト選定プロセスへの参加を妨げることはできないとしている。

廃棄物の
回収可能性

処分施設の操業終了後も回収可能性を維持するかについては規制機関と地元地域が協議して決定する。

英国政府は操業段階において、処分施設に定置された廃棄物の回収を実施する説得力を伴う理由が存在する場合、廃棄物の回収を行うことができるとしている。

※地域における回収可能性の判断については、特に記載されていない。

実施主体

原子力廃止措置機関(NDA)

NDAの100%子会社である
放射性廃棄物管理会社(RWM)

事業規制

・1965年原子力施設法
・1990年都市田園計画法
・1993年放射性物質法

・1965年原子力施設法
・1990年都市田園計画法
・2010年環境許可規則
 (イングランド、ウェールズ)
・2008年計画法
 (イングランド)

【出典】

 

【2015年4月6日追記】

英国政府は、イングランドにおける地層処分施設(GDF)の開発を「国家的に重要な社会基盤プロジェクト(NSIP)」の一つと位置づける立法措置として、2015年3月26日に「2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令」を制定し、翌日に発効した6 。この立法措置により、GDFの開発プロジェクトは、国家レベルで重要なインフラ整備に係る手続きなどを定めた「2008年計画法」に基づく規制が適用されることになり、プロジェクトの実施に先立ち、計画審査庁からの勧告を受けた担当大臣による開発同意令(Development Consent Order ,DCO)が必要となる。なお、GDFの候補サイトを評価するために実施するボーリング調査等もNSIPに該当するものとなっている。

2014年白書において、英国政府は、地層処分施設(GDF)に関する開発同意令(DCO)の発給審査の基礎となる国家声明書(National Policy Statement, NPS)を作成するとしており、このNPSは、特定のサイトではなく一般的なサイトを対象として作成されるとしている。

2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令においては、放射性廃棄物の処分を「回収を伴わない廃棄物の定置」と定義し、地層処分施設(GDF)は以下のような条件を満たす施設と規定している。

  • 施設の主要目的が放射性廃棄物の最終処分となること
  • 施設の一部が地表または海底下から少なくとも200mよりも深い位置に建設されること
  • 施設周辺の自然環境が工学的対策とともに、施設の一部から地上へと放射性核種が移行することを防ぐ機能を果たすこと

また、2015年社会基盤計画(放射性廃棄物地層処分施設)令では、地層処分施設(GDF)の開発について、主に以下のように規定されている。

  • 1つまたは複数のボーリングに関連した掘削・建設・建築作業
  • ボーリングは地表または海底下から少なくとも150mより深い位置にあること
  • ボーリングの主要目的が、地層処分施設(GDF)の建設・操業に適しているかを決定するための情報・データ・サンプルの入手となること
  • 地層処分施設(GDF)の建設
  • 地層処分施設(GDF)が建設される場合、施設はイングランド及びイングランド領海域内にあること

 

【出典】


  1. 地質学的スクリーニングは、地層処分施設の設置に「適している」または「不適格」なエリアの選定、サイト選定に使用されるものではなく、好ましい地質の分布を示した地図を作成することに主眼がある。 []
  2. 2014年白書において英国政府は、将来のある時点において新たなサイト選定プロセスが機能していないと判断される場合、再びサイト選定プロセスの見直しを行うとしている。 []
  3. 2014年白書ではイングランドの許認可制度が中心に示されており、ウェールズ政府、北アイルランド政府もそれぞれ独自の制度に基づいて開発に対する許認可を発給する。なお、スコットランド政府は地層処分を支持していないため、2014年白書の対象となっていない。 []
  4. 主に重要な社会基盤施設の開発を行う際の国の政策文書 []
  5. サイト選定プロセスに参加している地域には年間最高100万ポンド、さらにボーリング調査等が実施されている地域には年間最高250万ポンドが参加期間中に投資される。 []
  6. 英国では、各大臣に委任された権限を行使するための法的手段として、1946年に制定された委任立法法(Statutory Instruments Act 1946)に基づき、委任立法(Order等)が運用されており、この委任立法によって英国議会で制定される法律(Act)を改正することも可能とされている。 []

原子力廃止措置機関(NDA)が放射性廃棄物管理局(RWMD)を子会社化

英国における高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体である原子力廃止措置機関(NDA)は、2014年4月1日付のプレスリリースにおいて、NDAの内部組織であった放射性廃棄物管理局(RWMD:Radioactive Waste Management Directorate)を分離し、同日より政府外公共機関(NDPB)であるNDA所有の100%子会社としたことを公表した。

RWMDの新しい名称は「放射性廃棄物管理会社(Radioactive Waste Management Limited)」となる。同社はRWMDの事務所と約100名の職員を引き継ぎ、高レベル放射性廃棄物等の地層処分の実施主体となる。今後、NDAは、放射性廃棄物管理会社をサイト許可会社(SLC)に位置付ける方針である。地層処分場のサイト選定に向けたボーリング調査等の実施、原子力施設である高レベル放射性廃棄物等の地層処分場の設置のためには、1965年原子力施設法による原子力サイト許可を取得する必要があり、原子力サイト許可の取得は法人にしか認められないため、放射性廃棄物管理会社のように法人化する必要がある。

原子力規制局(ONR)が独立・公法人化

英国における原子力施設の安全規制機関である原子力規制局(ONR)は、2014年3月31日付のプレスリリースにおいて、2013年エネルギー法1  に基づいて、労働年金省(DWP)所管の政府外公共機関(NDPB)である保健安全執行部(HSE)から分離され2 、同日付で単独の公法人に移行したことを公表した。独自のウェブサイト(www.onr.org.uk)も新たに開設し、公法人化後のONRの業務所掌等を取り決めた枠組文書、2014年度の年間活動計画書、規制方針文書を公表している。

ONRは、環境規制機関(EA)3 とともに、放射性廃棄物の地層処分施設に係る環境保護、安全、セキュリティ、廃棄物管理、輸送において事業者が満たすべき水準を高く引き上げるべく、必要な規制活動を行うとしている。ONRは、地層処分場のサイト選定に係る規制に関して直接的な役割は有していないが、処分前の貯蔵施設に対する規制を所管する。このため、ONRはEA等と共同で、処分要件と処分前の廃棄物管理において考えられる相互影響を踏まえて、新たなガイダンスを策定している。また、地層処分施設は1965年原子力施設法で定義されている「原子力施設」に該当するため、ONRは処分実施主体に対して原子力サイト許可の発給と許可条件を付与する権限を持っている。このような正式な規制活動に加え、ONRは、英国政府、処分の実施主体、地方自治体、ステークホルダーなどに対して、規制面からアドバイスする役割があるとしている。

 

【出典】


  1. ONRの設置は2013年12月18日に制定されたエネルギー法の第77条において規定されており、同条は2014年2月10日付の政令により2014年3月10日に発効されている。 []
  2. ONRは、2011年4月1日にHSEの暫定組織として設置され、規制業務を行っていた 。 []
  3. 環境規制機関(EA)は、イングランドとウェールズを所掌する環境規制に係る機関であったが、2013年4月にイングランドのみが所掌となっている。なお、ウェールズでは、新たな組織として、天然資源ウェールズ(NRW:Natural Resources Wales)が設置され、ウェールズに所在していた環境規制機関(EA)の機能などを引き継いでいる。 []