英国政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)と原子力廃止措置機関(NDA)とは、2020年1月10日に、放射性廃棄物インベントリ報告書の最新版である2019年版を公表した。放射性廃棄物インベントリは、英国政府とNDAが実施している共同研究プログラムの一部であり、放射性廃棄物の管理計画を立案する上での重要なデータとして、今後対策が必要となる1放射性廃棄物の廃棄物量、放射能量等を3年毎に評価したものである。
今回の2019年版の放射性廃棄物インベントリ報告書に示されている下表の廃棄物量(単位:m3)は、2019年4月1日時点において処理されて貯蔵されている廃棄物量と、今後発生が見込まれる廃棄物量を合計したものである。この廃棄物量には、既に操業しているドリッグ村近郊にある低レベル放射性廃棄物処分場(LLWR)及びドーンレイ低レベル放射性廃棄物処分場で処分された低レベル放射性廃棄物、並びに民間の産業廃棄物処分場で処分された極低レベル放射性廃棄物の量は含まれていない。
2019年版の放射性廃棄物インベントリ報告書では、下表のように、前回の2016年版の放射性廃棄物インベントリ 報告書 に比べて、極低レベル放射性廃棄物及び中レベル放射性廃棄物が減少する一方で、低レベル放射性廃棄物及び高レベル放射性廃棄物がそれぞれ増加している。これらの放射性廃棄物の増減理由に関してNDAは、相当前に発生した廃棄物に関する知見の向上(廃棄物ストリームの改善)や廃棄物の減衰・除染による廃棄物分類の見直し、国家戦略の更新などによる廃棄物パッケージや処理処分オプションなどの変更、今後発生が見込まれる廃棄物の基本発生シナリオの見直しなどによるものであると説明している。
英国の分類別の放射性廃棄物インベントリ
廃棄物分類 | 2016年版報告書 | 2019年版報告書 |
---|---|---|
極低レベル放射性廃棄物 | 2,860,000m3 | 2,830,000m3 |
低レベル放射性廃棄物 | 1,350,000m3 | 1,480,000m3 |
中レベル放射性廃棄物 | 290,000m3 | 247,000m3 |
高レベル放射性廃棄物 | 1,150m3 | 1,390m3 |
合計 | 4,501,150m3 | 4,558,390m3 |
【出典】
- 原子力廃止措置機関(NDA)2019年1月10日付プレスリリース、
https://www.gov.uk/government/news/2019-inventory-of-uk-radioactive-waste-published - 原子力廃止措置機関(NDA)、2019年版放射性廃棄物インベントリ報告書ウェブサイト
https://ukinventory.nda.gov.uk/document-library/?filter-taxs[wds_document_category]=189 - 原子力廃止機関(NDA)、2019年版放射性廃棄物インベントリ報告書
https://ukinventory.nda.gov.uk/wp-content/uploads/2020/01/2019-Waste-Report-Final.pdf
- 原子力施設の運転・廃止措置に伴って発生する放射性廃棄物の推定量を含む。 [↩]
(post by f-yamada , last modified: 2023-10-17 )