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《米国》放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)が乾式貯蔵等に係るエネルギー省(DOE)への勧告・所見を公表

米国の放射性廃棄物技術審査委員会(NWTRB)は、2020年1月23日に、2019年11月に開催されたNWTRB秋期会合(以下「2019年秋期会合」という。)における議論等を踏まえて、エネルギー省(DOE)に対する勧告・所見を示した書簡を公表した。2019年秋期会合は、使用済燃料の乾式貯蔵等に係るDOEの研究開発活動についての情報を審査するため、2019年11月19日に開催されたものである。なお、NWTRBは、1987年放射性廃棄物政策修正法に基づいて、エネルギー長官が行った高レベル放射性廃棄物処分に係る活動の技術的及び科学的有効性を評価するために設置された独立の評価組織である。

NWTRBがDOEに宛てた書簡では、5つの勧告と2つの所見が示された。このうち、使用済燃料の乾式貯蔵に関わる勧告・所見としては、以下のポイントが示されている。

  • 乾式貯蔵における使用済燃料への水分(moisture)の影響の理解を深めること、さらに、使用済燃料乾式貯蔵システム内での水分計測のために原子力産業界が使用している代替手法を確認する取組を継続するとともに、DOE標準キャニスタにおいても同様の取組を行うことをDOE原子力局(NE)に勧告(勧告2)
  • 特定の乾式貯蔵システムに適用する前に、コンピュータモデルの検証を行うよう、更なる重点化を勧告(勧告3)
  • DOEがコンピューターモデルの開発と使用を継続して、使用済燃料の乾式貯蔵システムパラメータを予測するため、すべての仮定や不確実性を正しく同定・説明すること、コンピュータモデルを実際のシステムのデータで検証すること、燃料挙動モデルが複数の物理モデルとして統合されること、モデル開発者と実験担当者との間の調整の強化が達成されるようにすることにDOEが取り組むことを勧告(勧告4)
  • DOE標準キャニスタに関して、臨界安全や水素濃度制限などに適用される規制要件のすべてを認識できるよう、DOEのプロジェクトチームが原子力規制委員会(NRC)と早期に接触を持ち、DOE標準キャニスタの開発完了とNRCからの容器承認取得のための確実な道筋・スケジュールを構築することを勧告(勧告5)
  • 他国の研究者との交流で得られる教訓もある。2019年秋期会合における英国のセラフィールド社の事例からは、容器内の状態をリアルタイムでモニタリング可能なものとして、計測器付容器であるスマートパッケージ概念に取り組む革新チームを設置するなど、課題に対応する組織構造を構築することが教訓として得られた。(所見2)

2019年秋期会合では、使用済燃料の乾燥、乾式貯蔵に関するDOEの研究開発活動について、DOE原子力局(NE)及び環境管理局(EM)、国立研究所の研究者らから報告が行われた。また、英国セラフィールド社からは、英国における使用済燃料研究と研究炉などで使用されたアルミニウム被覆管の使用済燃料に関する報告が行われた。さらに、セラフィールド社を含めたパネルディスカッションも行われた。

なお、NWTRBは、アルミニウム被覆管の使用済燃料に関するDOE環境管理局(EM)からの報告では、情報が限定的で技術的な精査ができなかったなどとして、DOE環境管理局(EM)とNWTRBとの定期的な交流を要請する書簡も送付している。

【出典】

(post by inagaki.yusuke , last modified: 2023-10-17 )