Learn from foreign experiences in HLW management

《カナダ》使用済燃料処分場のサイト選定の状況-カナダ核燃料廃棄物管理機関(NWMO)がヒューロン=キンロス・タウンシップを除外

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2020年1月時点)

NWMOによるサイト選定プロセスの進捗動向(2020年1月時点)

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(Nuclear Waste Management Organization, NWMO)は、2020年1月24日、使用済燃料処分場のサイト選定プロセスの第3段階第2フェーズが実施されていたオンタリオ州のヒューロン=キンロス・タウンシップ(図中19番)について、サイト選定プロセスから除外したことを公表した。これにより、カナダの使用済燃料処分場のサイト選定プロセスに残る自治体は、オンタリオ州北部のイグナス・タウンシップ(図中5番)と同州南部のサウスブルース自治体(図中20番)の2つに絞り込まれた。NWMOは、2023年までに1カ所の好ましいサイトを選定することを目指している。

NWMOは2019年5月から、土地所有関係が複雑であるオンタリオ州南部のヒューロン=キンロス・タウンシップ及びサウスブルース自治体において、土地所有者からフィールド調査を行う許可を得るための「土地アクセスプロセス」(Land Access Process)を公表し、NWMOと土地所有者との双方に有益な関係の構築を進めていた。NWMOは今回のプレスリリースにおいて、サウスブルース自治体のティーズウォーター・コミュニティ北西の土地の複数の所有者との合意が得られ、フィールド調査の実施にとって十分な広さである合計で約1,300エーカー(526ヘクタール)の土地が確保できたとしたとしている。NWMOは、土地アクセスプロセスの結果により、2自治体のどちらか一方でサイト選定プロセスを進めていくとしており、サウスブルース自治体で土地が確保できたため、ヒューロン=キンロス・タウンシップを除外することとなった。

NWMOは、土地所有者から土地アクセスプロセスに関する合意文書を得ることによって、最終的に約1,500エーカー(600ヘクタール)の土地へのアクセスする権利を取得する意向である。この土地の面積は、処分場地下施設と同等の広さであり、また、地上施設が建設される約250エーカー(100ヘクタール)よりも十分に広いものである。NWMOは、既に合意を得た土地に隣接する土地の所有者と協議を継続していくとしている。なお、NWMOが提案する土地アクセスプロセスでは、NWMOがフィールド調査を実施する権利を得るものの、土地所有者は土地の継続利用が可能である。将来、この土地が処分場建設地として選定された場合には、NWMOは土地所有者から土地を購入する権利を行使することになっている。

NWMOはサウスブルース自治体内の土地において、ボーリング孔の掘削や基礎的な環境のモニタリングを数カ月以内に開始し、地域の特性を調査するとしている。また、ヒューロン=キンロス・タウンシップは除外されたものの、サウスブルース自治体において取組を進めていく中で、近隣自治体として重要な役割を引き続き担っていくとしている。さらに、NWMOは、先住民との連携も継続していくとしている。

【出典】

 

【2020年10月19日追記】

カナダの使用済燃料処分の実施主体である核燃料廃棄物管理機関(NWMO)は、2020年10月のプレスリリースにおいて、サウスブルース自治体におけるフィールド調査に向けて、複数の土地所有者から合意文書を得ることにより、NWMOが目標としている1,500エーカー(約600ヘクタール)の土地へアクセスする権利を取得したことを公表した。NWMOは、サウスブルース自治体のティーズウォーター・コミュニティの北西部の2カ所においてボーリング調査を行う予定であり、最初のボーリング調査は2021年4月頃となる見通しを明らかにした。

NWMOは、今後、フィールド調査を通じた地質学的な特性調査に向けて、微小地震モニタリングステーションや、浅部地下水をモニタリングする井戸を設置する予定である。NWMOは、地元コミュニティから寄せられている懸念に対応するため、地層処分場の候補サイト内や周辺にある個人所有の井戸水のほか、近隣を流れるティーズウォーター川のモニタリングを計画に含める予定である。

また、NWMOは、土地アクセスプロセスの一環として、サウスブルース自治体との協議の下、NWMOのプロジェクトの実施によって資産価値に影響があった場合、資産の所有者に補償を行うことに言及している。NWMOは、資産価値保護プログラムを地域の福祉に関する調査の一部として開発するとしており、地元コミュニティの関与も得て、2021年内に開発を完了させたいとしている。

【出典】

(post by nunome.reiko , last modified: 2023-12-27 )