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§ 2020年7月28日 発行 海外情報ニュースフラッシュ

フランスで国家評価委員会(CNE)が第14回評価報告書を公表

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フランスの国家評価委員会(CNE)は、第14回評価報告書を2020年7月16日に議会科学技術選択評価委員会(OPECST)に提出し、CNEウェブサイトで公表した。CNEは、2006年の放射性廃棄物等管理計画法の規定に基づいて、放射性廃棄物等の管理に関する取組や調査研究等の進捗状況について毎年評価を行い、評価結果を報告書に取りまとめて議会に提出することになっている。なお、前回の第13回報告書は、2019年6月27日に公表されている

フランス政府は2020年4月に、2019年から2028年を対象として、温室効果ガス排出量の削減やエネルギー効率向上、再生可能エネルギーの開発促進等を目標とした基本政策となる「多年度エネルギー計画」(PPE)を発行している。原子力発電に関しては、2035年までに発電量に占める比率を50%とすること等を示しており、これを実現するため、現在MOX燃料が装荷されている90万kW級原子炉の閉鎖等を計画する等、燃料サイクルや放射性廃棄物等の管理のあり方にも影響を与えるものとなっている。CNEは、第14回評価報告書において、多年度エネルギー計画(PPE)による燃料サイクルへの影響を分析し、以下のような章構成にて報告書を作成している。

第Ⅰ章:多年度エネルギー計画(PPE)の影響と燃料サイクル
第Ⅱ章:廃止措置及び極低レベル放射性廃棄物
第Ⅲ章:長寿命低レベル放射性廃棄物の管理
第Ⅳ章:地層処分場(CIGÉO)
第Ⅴ章:貯蔵と長寿命低レベル放射性廃棄物の処分に関する国際的展望

各章におけるCNEの主な勧告と見解は以下の通りである。

<多年度エネルギー計画(PPE)の影響と燃料サイクル>

  • 原子力発電比率の縮減を達成するには、早い時期に導入された原子炉を閉鎖することになる。閉鎖される原子炉には、現在MOX燃料の装荷許可を受けている24基の90万kW級原子炉のうち、12基が含まれる。EDF社は、MOX燃料需要を維持するため、130万kW級原子炉にMOX燃料を装荷する計画である。CNEは、130万kW級原子炉へのMOX燃料装荷に必要となる許認可の取得に要する期間を過小評価しないよう勧告する。
  • 政府は、多年度エネルギー計画(PPE)において、天然ウラン資源が豊富に存在し、ウラン価格が低い水準で安定していること等から、第4世代のナトリウム冷却高速炉(SFR)の原型炉ASTRID開発計画を中止し、高速炉研究プロジェクトを長期的に再検討していく方針を示した。しかしながら、将来的に天然ウラン燃料を必要とせず、再処理で回収されたプルトニウムを主体として発電を行うクローズド燃料サイクルの実現を可能とするとともに、高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)において主要な発熱源となっているマイナーアクチノイド核種の変換を可能とするには、高速炉開発は不可欠である1 。CNEは、これまでの蓄積されてきた科学技術的知見の喪失を避けるには、野心的な研究計画を立案する必要があると指摘する。CNEは、原子力・代替エネルギー庁(CEA)が提案している研究計画は不十分であり、国際協力の可能性も限定的であることから、少なくとも欧州レベルで、中性子照射施設を設置することに意義があることを強調する。
  • 多年度エネルギー計画(PPE)において政府は、使用済燃料の再処理による分離プルトニウム及び使用済燃料のストックを一定水準以下に抑制するため、軽水炉を利用したプルトニウムのマルチリサイクルに関する研究を継続する方針を示している。軽水炉でのマルチリサイクルの実施計画はまだ具体化していない。CNEは、事業者等に対して、2020~2021年に予定しているヒアリングにおいて、より具体的な計画を提示するよう要請する。

<廃止措置及び極低レベル放射性廃棄物>

  • フランス国内で発生し、処分が必要な極低レベル放射性廃棄物の大半は廃止措置作業により発生するものである。CNEは、多年度エネルギー計画(PPE)に示された既存炉の閉鎖計画に照らして、極低レベル放射性廃棄物の発生量予測をアップデートするよう勧告する。また、極低レベル放射性廃棄物の発生量の縮減や、リサイクルを想定した除染等の研究を継続するよう、強く勧告する。

<長寿命低レベル放射性廃棄物の管理>

  • 長寿命低レベル放射性廃棄物は、原子炉のみでなく様々な活動から発生しており、総量も比較的多いことから、各廃棄物の放射能レベルや化学組成に応じた処分方法を検討しなければならない。長寿命低レベル放射性廃棄物のうち、黒鉛及びラジウム含有廃棄物の処分場に関しては、2008年にANDRAが開始したサイト選定が途上であるが、1カ所あるいは複数個所のサイトを特定するため、ANDRAは取組を継続すべきである。

<地層処分場(CIGÉO)>

  • ANDRAは2020年春に、政府による公益宣言(DUP)2 申請に必要な文書を提出し、2020年末に設置許可申請を行う予定である。過去数年、設置許可申請は何度も先送りされている。CNEは、ANDRAに対して、より適切にスケジュール管理を行うよう勧告する。
  • ANDRAは設置許可申請の提出に向けて、十分に成熟した科学技術的知見を獲得している。CNEは、ANDRAに対して、処分予定の放射性廃棄物の基準インベントリと整合する形で、地層処分場のレファレンスとなる形状や配置を特定するよう勧告する。
  • CNEは、地層処分場の150年にわたる操業期間を通じた長期的な作業の枠組みを明確にするために、デジタル模型等を活用し、地層処分場の形状や配置の管理プロセスを確立するよう勧告する。
  • CNEは、ANDRAに対して、ビチューメン(アスファルト)固化体の管理に関する国際レビューで提示された、急激な発熱反応のリスクを排除するための地層処分場の設計変更等の勧告内容に早急に着手し、その結果を地層処分場の設置許可申請において提示するよう勧告する。
  • 地層処分場設置に関してANDRAが実施中の社会経済的影響評価については、評価結果が出次第、CNEに報告するよう要請する。

<貯蔵と長寿命低レベル放射性廃棄物の処分に関する国際的展望>

  • 多くの国では、使用済燃料並びに高レベル及び長寿命中レベル放射性廃棄物の貯蔵が長期にわたっている。CNEは、長期貯蔵は成り行きを見守る方針であるため、これと同時に永続的な処分によるソリューションを開発するための積極的な方針が必要であることを指摘する。
  • 世界における長寿命低レベル放射性廃棄物(黒鉛含有廃棄物、ラジウム含有廃棄物等)の管理計画は初期的な段階にある。地表付近での処分よりも地下深部で処分する方が、より高度な廃棄物の閉じ込めと隔離を提供するため、推奨される。

【出典】


  1. 高レベル放射性廃棄物の発熱量は、地層処分場の面積を大きくする要因の一つとなっている。 []
  2. 公益宣言(DUP)は、公用収用法典に基づいて、公共目的で行う開発のために私有地を収用する際の行政手続きである。当該開発プロジェクトを実施する事業者からの申請を受けて、公開ヒアリングを実施したうえで、政府が公益宣言を発出する。 []

(post by eto.jiro , last modified: 2020-07-28 )