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《フランス》長寿命低レベル放射性廃棄物処分場のサイト選定を開始 -2008年6月中に処分場の公募を開始、設置許可申請は2013年までに

フランスのエコロジー・エネルギー・持続可能開発・国土整備省は、2008年6月5日付のプレスリリースにおいて、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)に長寿命低レベル放射性廃棄物処分場(黒鉛及びラジウム含有廃棄物)のサイトの選定を公募により開始するよう求めたことを公表し、同サイト選定が地域の民主主義に則った立候補に基づく透明なプロセスによって進められると伝えている。

同プレスリリースでは、今後のスケジュールとして、2010年末までにサイトを選定し、2013年末までに処分場の設置許可を申請して2019年には操業を開始することが示されている。処分場の操業開始時期については、2006年の「放射性物質及び放射性廃棄物の持続可能な管理計画法」 の第4条では、2013年までに開始することとされていたが、2007年12月にANDRAは政府に対して操業開始時期を2019年にするという新たなスケジュールを提案し、政府は2008年6月2日付のANDRAへの書簡で、これを認めていた。

プレスリリースによれば、放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2008年6月より地質学的な観点から潜在的に好ましいサイトを有する自治体(コミューン)の公募を開始する。その後ANDRAは、2008年末までに応募申請のレビューを行い、2つないし3つの候補サイトを選定し、2009年から2010年にかけてこれらの候補サイトに関する総合的な調査を実施する。また、今後の見通しとして、現場調査段階への移行は地元の議員や住民との意見交換などを経て実施されること、公衆との協議の結果や地域開発プロジェクトと処分事業の統合などがサイト選定の重要な基準になることが示されている。

2008年4月に公布された「放射性物質及び放射性廃棄物管理国家計画」(PNGMDR)に関連するデクレ(政令) では、長寿命低レベル放射性廃棄物は、短寿命低中レベル放射性廃棄物のような浅地中処分ができない廃棄物と位置付けられていた。今回のプレスリリースでも、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分の技術的オプションとして、やや深い地層での処分が念頭に置かれている。

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)がウェブサイトで公表した資料によると、処分場の設置対象となる地層は透水性の高くない50m以上の厚さを持つ地層。処分深度は地下200mまでとしている。また、同資料では、長寿命低レベル放射性廃棄物処分場の深度について、同国で計画されている地層処分(高レベル・長寿命中レベル放射性廃棄物の処分)が予定している深度(地下500m程度)と同等とすることは適切では無いとしている。

【出典】

  • エコロジー・エネルギー・持続可能開発・国土整備省、2008年6月5日付のプレスリリース、 http://www.developpement-durable.gouv.fr/IMG/pdf/05_06_2008_-_Gestion_durable_dechets_radioactifs_cle5234dc.pdf
  • エコロジー・エネルギー・持続可能開発・国土整備省、2008年6月2日付の放射性廃棄物管理機関(ANDRA)への書簡、 http://www.andra.fr/IMG/pdf/FAVL-lettre_mission_favl.pdf
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、http://www.andra.fr/sommaire.php3

【2008年6月25日追記】

放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は、2008年6月23日に同機関のウェブサイトにおいて、長寿命低レベル放射性廃棄物の処分場サイトとして地質学的に好ましい地域に属する3,115の自治体(コミューン)に対して、サイトの公募に関連する資料を6月中旬に送付したことを公表した。また、これらの関連資料は同ウェブサイトでも公開されており、サイトの選定方法、処分対象廃棄物やその処分概念、今後のスケジュール、処分場受け入れ地域への経済効果や地域振興などについての情報が提供されるとともに、これらの情報を取りまとめたパンフレットのダウンロードが可能である(これらの情報の一部を以下に抜粋して示す)。

  • 処分場サイトとして地質学的に好ましい地域に関する情報:地図を用いて具体的に提示。
  • 今後のスケジュールに関する情報:既に公表されていた操業を開始する2019年迄のサイト選定スケジュールに加え、自治体からの応募の締め切り時期(2008年10月末)及び2019年以降の事業スケジュール(2040年まで操業、2040年の操業停止後監視段階へ移行)を提示。
  • 処分概念:処分深度は15~200m。併せて、ANDRAが計画・検討している黒鉛及びラジウム含有廃棄物の処分概念例として、両廃棄物の同一深度(場所)への処分(レファレンス概念)、両廃棄物の同一サイトでの異なる深度(場所)での処分(代替概念)等を紹介。
  • 処分場受け入れ地域における経済効果や地域開発に関する情報:オーブ処分場、ラ・マンシュ処分場及びビュール地下研究所での事例を紹介。

【出典】

  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、http://www.andra.fr
  • 放射性廃棄物管理機関(ANDRA)ウェブサイト、http://www.andra.fr /interne.php3?&id_rubrique=180

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )