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《米国》DOEがユッカマウンテン処分場の許認可申請書をNRCに提出

米国の連邦エネルギー省(DOE)の民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、2008年6月3日のプレスリリースにおいて、ユッカマウンテンでの高レベル放射性廃棄物処分場建設のための許認可申請書を原子力規制委員会(NRC)に提出したことを発表した。

DOEの民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長が許認可申請に関して送付した2008年6月3日付けの書簡によると、許認可申請書全体は以下の文書によって構成されている。

  • 一般情報
  • 安全解析書(SAR)
  • 海軍原子力推進計画(NNPP)技術支援文書(TSD)

DOEのプレスリリースによると、提出された申請書は約8,600ページからなり、最終環境影響評価書(FEIS)と約200の主要な支援文書も申請書と共に提出されたとしている。許認可申請書を含む360万以上の許認可関連の文献は許認可支援ネットワーク(LSN)において公開されている。なお、民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)局長の書簡によると、2007年10月にドラフトが公開されたユッカマウンテン処分場に関する補足環境影響評価書(SEIS)については、2008年6月30日までに提出する予定とされている。

NRCは2008年6月3日のプレスリリースにおいて、DOEによる許認可申請書の提出を受けて、申請を正式に受理するかどうかを判断する審査を開始することを発表した。NRCの受理審査においては、追加の情報や文書をDOEに要求する可能性も排除しないとしている。NRCは、申請書が十分に完備したものと判断されれば正式に申請を受理し、NRCの原子力安全・許認可委員会(ASLB)による公聴会の開催を求める告示を行うとしている。NRCのウェブサイトでは、受理に係る決定までの期間は95日間とされている。NRCによる許認可申請書の受理後は、原則として3年間の建設認可の審査期間が放射性廃棄物政策法(NWPA)により定められているが、NRCは1年間の審査期間の延長を要求して、4年間で実施する見通しを示している。

ユッカマウンテンについては、2002年7月にブッシュ大統領の推薦及び議会の立地承認決議により、高レベル放射性廃棄物の処分場サイトとして選定されており、2007年10月にはDOEによる許認可関連書類のLSNへの登録証明が行われていた

【参考】
DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)のユッカマウンテン許認可申請関連ページ
(http://www.ocrwm.doe.gov/ym_repository/license/index.shtml)

【出典】

【2008年6月6日追記】

連邦議会上院の実質的なトップであるリード上院多数党院内総務を始めとするネバダ州連邦議員団は、2008年6月5日に、DOEの許認可申請に対して、強い懸念を示す旨の書簡をNRCの委員宛に送付した。同書簡では以下のような点を挙げ、許認可申請書が不完全であるとした上で、許認可申請書を受理しないことを強く勧めるとしている。

  • 処分場の設計が35%しか完了していない。
  • 環境保護庁(EPA)の放射線防護基準が最終版となっていない。
  • 処分場の閉鎖時に設置されるドリップシールドに関する具体的な計画が示されていない。
  • 輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタの設計が示されていない。
  • TADキャニスタを支柱なしで立てて貯蔵するという施設設計に重大な疑問がある。

追記部出典

【2008年6月9日追記】

ネバダ州は2008年6月4日に、NRCに対して、DOEの許認可申請書を受理しないように正式に申し立てを行った。ネバダ州司法長官のプレスリースでは、許認可申請書は不完全であり、明白な不備として以下の点を挙げている。

  • 環境保護庁(EPA)の放射線防護基準が最終版となっていない。この点のみで、許認可申請は時期尚早であり、即座に却下されるのに十分である。
  • NRCの処分規則が最終版となっていない。
  • 処分場の設計に不足しているところがある。
  • 輸送・貯蔵・処分(TAD)キャニスタの設計に関する情報に不足しているところがある。
  • DOEが安全基準を満たすために廃棄物を定置してから300年後に設置するとしているチタン製ドリップシールドは、材料不足及び費用高騰の可能性の中で、全て定置し得るという仮定に基づいており、信頼性に欠ける。

追記部出典

【2008年6月17日追記】

DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、2007年10月にドラフトが公開された補足環境影響評価報告書(SEIS)及び処分場への鉄道輸送と鉄道敷設に関する環境影響評価書(既報)について、ドラフト評価書に対する意見募集結果及び許認可申請書の安全解析書の内容を反映した最終版をウェブサイト上で公表した。

追記部出典

  • DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)ウェブサイト
    処分場開発に関する補足環境影響評価書(SEIS)
    (www.ocrwm.doe.gov/ym_repository/seis/index.shtml)
    処分場への鉄道輸送及び鉄道敷設に関する環境影響評価書(SEIS, FEIS)
    (www.ocrwm.doe.gov/transport/draft_eis/index.shtml)

【2008年8月25日追記】

2008年8月22日、NRCは、DOEの許認可申請書を受理しないようにとネバダ州が2008年6月4日に行った申し立てに対して、NRCが申請書の受理審査を終えていない段階での申し立ては時期尚早として却下した。

追記部出典

【2008年10月10日追記】

2008年10月9日、DOE民間放射性廃棄物管理局(OCRWM)は、ネバダ州における鉄道敷設についての意思決定記録(ROD)の連邦官報での告示文書をウェブサイトにおいて公表した。廃棄物輸送のためのネバダ州内の鉄道は、カリエンテ・ルートで建設を行い、一般貨物と共用することが決定された。(カリエンテ・ルートについてはこちらを参照)

追記部出典

(post by 原環センター , last modified: 2023-10-10 )